Evergreen
HISAYUKI TERAI TRIO
"The Mainstem"

寺井尚之 ピアノ
宮本在浩 ベース
菅一平 ドラムス

ダウンロードはi^tune,amazon.co.jp からアルバム=1,200円、1曲=150円で、CD Baby(英語サイト)1曲$0.99とお買い得です。
 本アルバムの自筆譜面もお分けしています。ご希望の方はこちらへ。


●曲目

1. Chinatown チャイナタウン 2:24
2. As Time Goes By アズ・タイム・ゴーズ・バイ 3:03
3. Autumn Leaves  枯葉 5:37
4. I'm Thru With Love アイム・スルー・ウィズ・ラヴ 3:22
5.Fly Me To the Moon フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン5:22
6. My Funny Valentine  マイ・ファニー・ヴァレンタイン 3:14
7. My One and Only Love マイ・ワン&オンリー・ラヴ3:35
8. White Christmas ホワイト・クリスマス 4:14

Recorded at Jazz Club "Over Seas" , Osaka . 2010 Dec.

●アルバム・ノート 

バップの名手によるスタンダード・ソング集、色褪せぬ魅力を最大限に!

 トミー・フラナガン世界唯一の弟子、寺井尚之の人気トリオ、メインステムによる初のジャズ・スタンダード集。

 寺井尚之は1952年大阪生まれ。4歳からクラシック・ピアノを始め、18歳でジャズに転向。'72年、大学入学と同時にプロ入りし、デトロイト・バップ、特にトミー・フラナガンの研究に没頭する。
 '75トミー・フラナガンに弟子入りを志願し'01に亡くなるまで、深く親交を結ぶ。
 '79年に自分のジャズクラブ、”Over Seas”を大阪市堺筋本町に開店し、そこを本拠として、トミー・フラナガンのライブを頻繁に行った。


 師匠没後、「トミー・フラナガンの足跡を辿る」という月例のジャズ講座を開催し、フラナガンの残した膨大なディスコグラフィーを逐一解説している。

 しかしフラナガンをここまで尊敬しているからといって寺井の音楽がトミー・フラナガンのコピーであるかというと、今の寺井は全くそうではない。本アルバムを聴いても判るように、寺井の音楽には、フラナガン音楽の再生バージョンではなく、寺井自身のやさしさ、浮世離れした気品、凛とした自己への厳しさ、それと対照的な、一流の音楽家がしばしば垣間見せる、茶目っ気、といった自身の個性が満ち溢れている。

 ベースの宮本在浩は、1975年 大阪生まれ
 大学時代に独学でベースを始める。OverSeasで修行間もない2002年、仕事中の事故で右手に大怪我をするが、強靭な意志で奇跡的にカムバック。家業は大阪が世界に誇る町工場、妻も子息も妹も音楽をたしなむ音楽一家。寺井尚之が舌を巻くほどの努力家。 繊細なフレージングと、野太いビートを併せ持つ逸材。

 ドラムスの菅一平も宮本と同じで、1975年大阪生まれ。ドラムを始めて20年、一音入魂のソリッドなドラミングを目指す。実家は八尾市の老舗古書店、大仙堂。バップ・イディオムの傑出した習熟度と、配慮の行き届く人柄がプレイに反映され、各方面から注目のドラマー。

<曲目と演奏について>
1.Chinatown 
  チャイナタウン Jean Schwartz 曲 /William Jerome 詞

 大都会の路地裏を一歩入ると、そこは異国情緒溢れる別世界、「チャイナタウン」を歌う軽快な作品、20世紀初頭(1910)に流行した古いスタンダード・ナンバー。スイング全盛期に、ミルス・ブラザースやルイ・プリマなど人気ミュージシャンが盛んに取り上げた。Evergreenではテディ・ウイルソンばりの品格溢れるスタイルにビバップの香りがプラスされている。

.2.As Time Goes By
 アズ・タイム・ゴーズ・バイ Herman Hupfeld 
 自由への戦いとロマンスを描いた古典的恋愛映画、「カサブランカ」に使われた大スタンダード曲。「時代は変わっても、ロマンスは変らない」と歌う曲は、ロマン派の寺井尚之にはうってつけの題材。転調の名手と呼ばれるだけあって、サビの途中で巧みにキーを変えて、よりドラマチックな構成で聴かせる。
.3.Autumn Leaves
  枯葉 Joseph Kosma 曲
 ジョセフ・コズマ作曲、ジャック・プレヴェール作詞のシャンソン「枯葉」は、世界中で愛されるスタンダード。ナット・キングコールやマイルス・デイヴィスの名演によって、現在もプロ、アマ問わず数多くのジャズメンが演奏し続けている。寺井尚之は美しいタッチと、ビリー・エクスタイン(vo)のバップ・イディオムで一味違った清冽な枯葉の世界を構築する。
4. I'm Through with Love
“アイム・スルー・ウィズ・ラヴ”
 Gus Kahn 詞 /Joseph A. Livingstone, Matt Malneek 曲

 禁酒法時代1931年のヒットし曲、後に同じ時代設定のロマンチック・コメディー「お熱いのがお好き」でマリリン・モンローが歌い再び大ヒットした。“真心を捧げたのに、 あなたは新しい恋人の元へ… だからもう恋はしない。” 失った恋の悲しみがさり気ない言葉で語られる佳曲。粋なピアノ・ジャズが堪能できる。

 5. Fly Me To the Moon
  “フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン” Bart Howard 
 '50年代は“In Other Words”のタイトルだったが、'60年代“ Fly Me To the Moon”と改題、フランク・シナトラがカウント・ベイシー楽団をバックに歌い大ヒット、アポロ11号の月面着陸の歴史的瞬間に流れ、宇宙旅行時代のテーマソングとなった。本アルバムでは転調の妙技で、大気圏外に飛び出すワープ感を巧みに表現している。
.6. My Funny Valentine  
  “マイ・ファニー・ヴァレンタイン” Richard Rodgers 曲/Lorenz Hart 詞

 ロジャーズ&ハートのコンビは数多いスタンダードナンバーを生み出した。親しみのあるメロディとひねりの効いた歌詞、“ブルー・ムーン”“ラヴァー”“レディ・イズ・ア・トランプ”などこのコンビによるヒット曲は数多い。“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”は最も感動的なバラードのひとつ。サラ・ヴォーンやチェット・ベイカーなど色々な歌唱演奏解釈があるけれど、Evergreenでは洗練されたピアノ・スタイルが聴ける。
7. My One and Only Love 
  “マイ・ワン&オンリー・ラヴ” Guy B. Wood 曲 /Robert Mellin 詞


 1947年の作品で「戦後のバラードのうちで最も精巧に仕立てられた」と絶賛されるラブ・バラード、最初は違うタイトルと歌詞がついていたが、歌詞と題名を変えてフランク・シナトラが歌ったことでジャズ・スタンダードとなった。寺井尚之ジャズピアノ教室では、初級の課題曲としても親しみのある作品。

8.White Christmas 
  “ホワイト・クリスマス” Irving Berlin
 巨匠、アービング・バーリンの作品、ビング・クロスビーの歌うレコードは現在まで3000万枚以上のセールスを記録している。バーリン自身はユダヤ人であり、宗教的にクリスマスを祝わないので、曲の依頼に四苦八苦、近隣のクリスマス風景をイメージして何とか曲作りしたものの、出来上がった時には満足していなかった。ところが、宗教色のない点が却ってクリスチャンでない人たちにも大きくアピールして世界中で最も親しまれるクリスマス・ソングになった。Evergreenでは、チャーリー・パーカーやトミー・フラナガンのビバップ・スタイルでスカっと演奏している。


 寺井尚之の初スタンダード集、好評につき近日 EvergreenU発売予定です。どうぞご期待ください!