2009年4月14日

ジャズ講座こぼれ話:NYの名所、ジャズ教会&ジャズ牧師の話

 土曜日のジャズ講座は、名演、名盤の二本立てで、すごく楽しかったですね!

afs エディ・ロック&フレンズ.JPGトミー・フラナガン、ハロルド・アーレン集

 その夜、皆で楽しんだのは、OverSeasが大好きなドラマー、エディ・ロックさんの『Eddie Locke(ds)&Friends Live at St. Peter's Church』と、トミー・フラナガン・リーダー作『Tommy Flanagan Trio Plays the Music of Harold Arlen』! 寺井尚之の弁舌は滑らかで一瞬たりとも聞き逃せない面白さ、でも「名古屋のお客様が最終新幹線に乗り遅れはったらどないしょう...」と私はハラハラしてました。
 
  今回はOHP映写機がチューン・アップされていて、構成表や対訳が見やすかったでしょう? 先月は長年酷使した疲れが出たマシンが「マッチ売りの少女」状態、すぐにライトが消えちゃって、皆で氷で冷やしたり、ウチワで扇いだり大変だったんです。土曜日に間に合うように修理してくださったダラーナ氏、ありがとうございました!

<エディ・ロック(ds)が燃えた聖ピーターズ教会>

Eddie Locke845-01.jpg

 講座前半のハイライトは、何と言ってもエディ・ロック(ds)の世界遺産的ドラム・ソロ=Caravan!オーディオ・マニアならきっと顔をしかめるほど録音状態が悪いし、ピアノの調律も最悪なのですが、演奏内容は悪条件を吹っ飛ばす!
 サー・ローランド・ハナ(p)トリオで、OverSeasが店ごと歓声で揺れた興奮がそのまま甦りました。

 自己のブログにこの日のレポートをしてくださっているG先生が、ジャズ史家ダン・モーガンスターンに照会し、解説して下さったように、元々このアルバムは、AFSという非営利文化団体の資金集めのコンサートの録音で、アルバムも会員向けの非売品だったそうです。

 講座翌日の日曜日に、当時のNew YorkerやNY Timesのコンサート欄をしらみつぶしに探したのですが、コンサートの宣伝記事は載っていなかったので、本当にプライベートなコンサートだったんですね。因みにこの前日、トミー・フラナガンは、
エラ・フィッツジェラルドの伴奏者として、エイブリー・フィッシャー・ホールに助っ人出演しています。

  寺井尚之の迫真の実況解説は、まるで教会のホールのど真ん中で見てきた人みたい!調律の悪いピアノが、フラナガンの神業でうまくサウンドしていく様子も実感できました。(「どんなひどいピアノでも鍵盤のツボを瞬時に見つけて、そこをヒットさせなイカん。」とフラナガンは寺井に言っていたっけ。)

 Caravanのドラム・ソロにはダンスがあって詩がある。エディ・ロックという人間の全てが伝わってくるような魂のドラムソロ!師匠のジョー・ジョーンズやロイ・ヘインズなど偉大なドラマーの多くがそうであったように、彼が元ダンサーであったことを強く感じます。クライマックスでは、エディさんのダンスに併せて、ドラムビートを繰り出している感じさえします。丁度、歌舞伎で「附け打ち」と言って拍子木が、役者さんの動きにピタリと併せ、絶妙の間合いでテンポをUPしながら見せ場を作るあの感じ!激しいドラムソロがブレイクする瞬間には私の血が騒ぎ、思わず「日本一!」と掛け声をかけたくなってしまいました!

<ジャズ牧師、ジョン・ゲンセル>

聖ピーターズ教会  さて、このコンサートの会場となった聖ピーターズ教会は、宗派を超えた「ジャズ教会」として非常に有名なジャズの聖地です。それは、デューク・エリントンからレスター・ヤング、セロニアス・モンクに至るまで多くのジャズ・ミュージシャンの相談役で、ルーテル教会から正式にジャズ・コミュニティを管轄する牧師として認められ、礼拝にジャズを取り入れたNYの名物、ジョン・ガルシア・ゲンセル師のおかげです。

ゲンセル牧師

 ゲンセル牧師のことで私が一番印象に残っているエピソードは、末期がんで苦しむビリー・ストレイホーンを頻繁に見舞い、彼の最後を看取ったエピソードです。デューク・エリントンも同様で、彼を羊飼いに例えた"Shepherd(羊飼い)"という作品を献上しています。

 師は、自分自身の人間としての内側を表現する本当のジャズは、聴くものの内面にしっかりと到達するものであるとして、礼拝に最適な音楽と考えていて、この教会では、フランク・フォスター(ts)などビッグバンドの演奏会が定期的行われていました。

 Youtubeでは、ゲンセル師が、教会に出演する歌手ボブ・スチュワートとメル・ルイスOrch.を紹介してからコンサートを中継した映像があるので、エデイ・ロック&フレンズの会場を観ることが出来ますよ。ピアノは若き日のハロルド・ダンコ、ベースはハナさんとも共演していたジョン・バーですね。

 チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、パノニカ...数え切れないほど多くのジャズの聖人たちの告別式、結婚式がゲンセル牧師によって行われました。以前ビリー・ストレイホーンの伝記で紹介した告別式の映像にも、壮年時代のゲンセル師が映っています。
 トミー・フラナガンが亡くなる前にゲンセル師は他界されましたが、告別式はやはり聖ピーターズ教会で行われ、YAS竹田(b)が大きな献花と共に、寺井尚之の代参をしてくれました。

 うちの実家は禅宗で、お坊さんはフリー・ジャズのプロデューサーをしておられるのですが、少し雰囲気が違うかな・・・

 次回は、講座のもうひとつのハイライト、トミー・フラナガン3のハロルド・アーレン集からジャズにゆかり深いもう一つの宗教、カリブのヴードゥー教と南国の花の香りが一杯のハロルド・アーレンのラブ・ソング、A Sleepin' Beeについて紹介したいと思います。

 今週末のThe MainstemのライブまでにぜひUPしておきますね。お楽しみに~!


CU

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://jazzclub-overseas.com/cgi-bin/mt/torakkubakku.cgi/144

コメントする