2011年4月21日

Bravo!"コルトレーン ジャズの殉教者"

 先月出版された岩波新書"コルトレーン ジャズの殉教者"(藤岡靖洋氏著)が、ベストセラーとして快進撃!資料翻訳などお手伝いさせていただいた私もすごく嬉しいです。

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 藤岡さんは、トム・クルーズ主演映画"ヴァニラ・スカイ"に映像提供したり、英文の専門書2冊をすでに上辞、コルトレーンの権威として世界的!海外では"Fuji"と呼ばれる藤岡さんは、OverSeasのご近所、黒門市場の老舗呉服屋さんのご主人です。和服姿でバイクに乗って駆け回るインパクトは、ファラオ・サンダーズも真っ青!私がそれまで持っていた慶應ボーイのイメージは大きく覆されました。本書で詳しく語られているサイーダさん("Syeeda's Song Flute"で有名な、義理の娘さん)を連れて来店して下さったこともありました。

 コルトレーンを単にジャズメンとしてだけでなく、その人間像に迫るため、リスニング・ルームを飛び出して、世界中のコルトレーンゆかりの地を行脚し、親戚縁者からご近所さんに至るまで、ありとあらゆる取材を敢行、その歳月は20余年、机上データ以上に、藤岡さんがつぎ込んだ膨大な労力と時間が、ぎゅっと凝縮されて掌サイズの新書になっているのですから、内容が充実しないはずがありません。

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 私がまず感動したのは著者のエネルギッシュな筆致!全くジャズを知らない人にも、「コルトレーンのええとこを伝えたろう!」という熱意と迫力が伝わってくるし、語句説明など、隅々まで、配慮が行き渡っていますよね。

 今まで私たちが知らなかった私生活や女性関係だけでなく、アメリカの歴史や社会の様相もわかり易く述べられているし、ジャズ・クラブやロフトで形成されるNYのジャズのコミュニティも歴史に沿ってしっかり解説。だから初心者から通まで参考になるデータが一杯です。マイルズやモンク、ロリンズなど、トレーン周辺の音楽家や、共演者との関わりもしっかり解説されている。

 黒人ジャズメン=ドラッグ+人種差別という構図は、聞き飽きるほどのステレオタイプだけど、本書はそんなレベルを遥かに超え、奴隷時代や南北戦争時代の「アンダーグラウンド・レイルロード」から「公民権運動」に至るまで、人種闘争の歴史的変遷についてしっかり述べた日本のジャズ書は珍しい!

 私は幼稚園がキリスト系だったため、4才の時からキング牧師が身近な存在でしたので、個人的にはその辺りがかなり嬉しかったです。

John-Coltrane-Giant-steps.jpg 我らがトミー・フラナガンは、「Giant Steps」でウィントン・ケリーの助っ人として共演、後にトリオで同名のコルトレーン集(Enja, '82)をリリースしました。当然、寺井尚之もコルトレーン作の愛奏曲が一杯!寺井尚之は「至上の愛」の音楽解説をサポートさせていただいて、自分も新しい発見をして楽しかったらしい。Youtubeでは、寺井のSyeeda's Song FluteCentral Park Westなどが観れますよ。

 私は、藤岡さんから送られる英文の断片や、色んな質問が滅法面白く、犬がフリスビーを追いかける如く、その都度翻訳などをメールで送り返すという作業を繰り返していただけ・・・それが執筆のための作業であることも最初は全然知りませんでした。昨年暮れ、初めて新書執筆とジョン・コルトレーン・インタビューズ(シンコー・ミュージック刊)のためと知ってびっくりでした。

 英書を執筆されるほど英語に堪能な藤岡さんに、翻訳の白羽を立てていただいたのは大変光栄なこと!何よりもコルトレーンへの理解が深まれば、それ以上の幸せはありません!
"My Favorite Things"や"『バラード』ばかり聴くのは、コルトレーンの本意ではないはずですから。

 (エンディングは藤岡さんスタイルで!)岩波新書"コルトレーン-ジャズの殉教者"は800円とお手ごろですが、内容はスーパーリッチでっせ!

マイドオオキニ!

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コメント(2)

素晴らしい賛辞の数々、身に余る光栄です。
余りに嬉しいので、おもわずこのブログに書き込みしますね。
岩波新書の編集者、永沼さんにも伝えます。
ありがとうございました。

アマゾンでは5週連続ベストセラーのトップを驀進中!
(時々2~3位に落ちますけど、ほぼ1位をキープ、ベストセラーが嬉しいです)
http://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/books/500522/ref=pd_zg_hrsr_b_1_4_last

それも全て、寺井様ご夫妻の献身的なまでのサポートのおかげです。
「あとがき」の数行だけでは済まされないほど、とても多くの援助を
惜しみなくして頂き、この本が出来上がりました。
改めて、感謝の念をお伝えします。
本当にありがとうございました。

藤岡先生、取材殺到で超多忙な中、コメントありがとうございました。

 翻訳お手伝いしたことや、寺井尚之などミュージシャンたちが音楽解説お手伝いしたこと、明記してくださる懐の深さがすごいです。

 またお手伝いさせてくださいね!


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