2011年4月25日

<ゴールデンウィーク楽しいJAZZの講座>予告編:カーメン・マクレエ

 <ゴールデン・ウィークの楽しいJAZZの講座>最終日5月5日のテーマはカーメン・マクレエ!ジャズ・シンガーの代名詞、"ミス・ジャズ"と称されるカーメン・マクレエ!その半世紀を超えるキャリアの内、寺井尚之が選りすぐった名唱を、不肖私の作った対訳と共にご一緒に聴ければ嬉しいです。

mcrae250.jpg

カーメン・マクレエ(1920-1994)

SAMMY_CARMEN.JPG若きカーメンとサミー・デイヴィスJr.、講座では掛け合い漫才みたいな楽しいデュエット乞ご期待♪


 カーメン・マクレエは、アメリカ黒人を象徴する街、ハーレムに生まれ育った生粋のNY子。ハーレムに住む黒人はジャマイカ出身者が多く、カーメンの両親もそうでした。カリブの血を引く若き日の並外れた美貌は、何ともいえない粋な風情が漂って深川の芸者さんみたい!

 カーメンがジャズ界に入るきっかけは、5/3に講座で取り上げるビリー・ホリディと、彼女の音楽監督的役割を勤めた女性、アイリーン・キッチングスとの出会いでした。ホリディは譜面が読めなかったため、新曲が出来ると、譜面の読めるカーメンがホリデイに歌って聞かせる仕事をしていたのです。

 「ビリーとアイリーンがいなければ、今の自分はない」というのがカーメンの口癖。5日の講座で、カーメンがビリー・ホリディにトリビュートしたアルバム『For Lady Day』の深い思い入れのある名唱とMCがお楽しみになれます。

<多彩なレパートリーと歌詞解釈>

74313656.jpg
 カーメンのレパートリーは有名無名に拘らず多種多彩!スタンダードは言うに及ばす、シャンソンや、ビートルズ、ポール・サイモンなどコンテンポラリーなアメリカン・ソング、またビバップに精通した歌手しか歌えないセロニアス・モンク作品など、世界中のありとあらゆる名歌名曲を取り上げ、素材の持つ思いがけない味を出し、聴く者を虜にしました。

  カーメンの歌唱の特徴を、ネット上で検索すると、日本では「ジャズボーカルの四天王」とか「ハスキーな歌声」や「しっとり語りかける渋さ」という表現が多いですね。でも、英語圏でカーメンが絶賛されるところは、「歌詞解釈の深さ」なんです。その辺りを対訳で、お楽しみいただければ嬉しいです!

  カーメン自身は、歌詞の大切さについてこんな風に語っています。

  "言葉は私にとって、とても大事。私の場合、歌詞が一番で、メロディはその次。自分が歌うかどうかは歌詞を読んで決める。だって、お客さんに納得してもらえる鍵は、歌詞が握っているの。女優と同じように、自分が演じたい役柄ってものがあるのよ。"

 それでは、カーメン・マクレエが演じたい役柄とは?若い頃は都会的で洗練された美人女優でした。サミー・デイヴィスJrとのデュエットは、まさにスター男優を彩る美人女優そのものです。やがて、年齢を重ねるにつれ、女優と同じように、役柄はどんどん変化していきます。トーチソングと呼ばれる実らぬ恋の歌を粋に歌うのが、若い頃からカーメンのオハコでしたが、60年代中盤からは、ビタースイートの「苦味」が増して、女の「業」というようなものが見えてくる。やがて、例えば命を賭けた恋人に裏切られたり、運命が自分の味方をしてくれなくても、自分の道を貫く強い女へと変化していきます。晩年は、「女」の枠を超え、ひとりの「人間」として歌う。その姿勢は、今回のビリー・ホリディやサラ・ヴォーンと全く違う。ビリー・ホリディを終生アイドルとしたからこそ、マクレエならではのアプローチを見出せたのかもしれませんね。

 カーメン・マクレエの歌詞解釈の深さが判っていただけるよう、対訳も精一杯努力してみました。対訳を作るため、彼女の歌にどっぷり浸っていた時期は、胸が張り裂けそうに痛くなりました。どん詰まりの失恋の歌で、彼女がばっさりフレーズを切る時、聴く者の心もザックリいかれます。その辺りを名伴奏者として有名なノーマン・シモンズは、こんな風に語っています。

NORMAN_CARMEN.JPG 「カーメンは独特な歌いまわしで緊張感を盛り上げた。息継ぎの空白に強いインパクトがあり、次のフレーズまで、絶妙の行間を作り出す。伴奏者はそういう空白には、普通パルスを刻むものなのだが、彼女の場合はそうしてはいけない。彼女が止まると、私は彼女が新しいフレーズを切り出すまで待つ。彼女にとって「沈黙」は音楽の一部だった。彼女の伴奏をすることによって、私は「間」を作るとことを学んだ。」


<両性的魅力>

old_Carmen_McRae.jpg

 カーメン・マクレエは生涯に2度結婚しています。20代で、ビバップの創始者の一人であるドラマー、ケニー・クラークが最初の夫となりましたが、1年ほどで破局。10年後、共演ベーシスト、アイク・アイザックスが二度目と夫となります。一バイセクシャルであったとも言われており、晩年の歌唱を聴くとやはりそう感じずにはいられません。

 いずれにしても個人的なセクシャリティは別にして、チャーリー・パーカーにせよ、デューク・エリントンにせよ、優れた音楽は「男っぽい」や「女らしい」を遥かに超越した魅力があるものですよね。

 以前、カーメン・マクレエのセミナーを開催したときは、OHP映写機のライトがアウトになって、予備電球がなく、皆様に多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 5月5日は、棒指しながらOHPで対訳をご覧いただきますので、ぜひ宜しくお願いします!

<ゴールデンウィークの楽しいJAZZの講座>
ジャズ・ヴォーカルの女王達を対訳を見ながら楽しもう。

【日時】5月3日(火)=ビリー・ホリディ
     5月4日(水)=サラ・ヴォーン
     5月5日(木)=カーメン・マクレエ
     正午~3:30pm (要予約)
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】各日¥3,150 (税込) 飲食代別

CU

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://jazzclub-overseas.com/cgi-bin/mt/torakkubakku.cgi/351

コメント(2)

カーメンの記事は実に沁みますね!
tamaeさんの記事に登場するノーマン・シモンズ氏、
私も一度、東京TUCで聴きましたが、
http://blog.livedoor.jp/miruko1/archives/50068654.html
歌伴奏の神様と呼ばれるのノーマン氏の学びをtamaeさんの記事であらためて知りました。
『彼女の伴奏をすることによって、私は「間」を作るとことを学んだ。』
このノーマン氏の言葉を重ねて、その時の演奏を思い出すと、
会場のリスナーよりも一番丁寧に聞き耳をたてていたノーマン氏の様子をもう一度思い出しました。
またカーメン関しては、昨年読ませていただいた
西陰氏の(2009年に急逝された)『ジャズ・ジャイアンツの素顔』で
紹介されていた
新宿のライブハウスTHE DUGにて、
カーメン・マクレエ 弾語り
アズ・タイム・ゴーズ・バイ(XRCD-24bit Super Analog) [Live] が極上に沁みます!!
http://www.youtube.com/watch?v=WXFvVfO2pZs
akemin

 akeminさまは本当に色んなアーティストを生でお聴きになっていて尊敬の極みです!

 ライブじゃないと判らないこと一杯ありますよね!西陰さんから、ビヴァリーヒルズの自宅にマクレエを訪ねたときのお話も伺ったことがありましたけど、ここでは書けません・・・(苦)

 ピーター・ワシントンもDUGのライブが好きだそうですよ♪

 お立ち寄りいただきありがとうございました~

コメントする