2012年1月12日

ジョージ・ムラーツ、ベースの嫁入りとカムバックのご報告

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  寺井尚之がHP上で告知していたジョージ・ムラーツさんの秘蔵ベースの件、良縁に恵まれ日本に嫁入りが果たされました!

 夏の楽旅で負傷し、高額な治療費用を捻出するために「愛器を日本の方に」と願ったムラーツさん、その願いをブログやTwitterやフェイスブック...様々な伝達方法でお声掛けくださった皆様、ご心配やお見舞いメールを下さったファンの皆様、本当にありがとうございました。ムラーツさん共々、心より感謝しています。数か月に渡りご心配をおかけしましたが、やっと良縁が決まりました。嫁ぎ先は、神奈川県在住のベーシスト。ムラーツの音楽をこよなく愛し、クラシックとジャズの両方で活躍されている心優しいサムライです。

 12月中旬にトントン拍子に話がまとまり、これでOverSeasのミッション完了!と喜んだのですが、ムラーツ兄さんから、運送&支払完了まで、引き続き言葉の面倒を見るように指令が来て、それからが大変!

mraz_terai.jpg まず、運送を安全かつ経済的に行う為には、空輸とハードケースと保険が大前提ということになりました。当初のプランは、NYでムラーツが持っている上等のハードケースを一旦自費でプラハに送り、梱包するというものでしたが、なにせミイラの棺桶!空輸なら大変なコスト、船便なら大変な時間のロスがあることを認識。現地で中古ケースの調達を試みたものの、頼みにしていたプラハの友人ベーシストはあいにくツアー中。

 また運賃は、個人で運送業者に依頼すると、法外な金額になることが判明。買い手の方に負担をかけぬよう、これもジョージ・ムラーツが色々苦心して、チェコの友人の会社に代行してもらうことにしました。ハードケースを捜したり、万全の保険の手配をしたり、普段の楽旅ならすべてのアレンジはプロモーターにまかせっきりのベースの巨匠が、一人で手配するのはさぞ大変だったでしょう。

 慌てふためくうちに、チェコ民主化のシンボル、ハベル元大統領(ムラーツの友人です。)が逝去され、チェコ全国民が喪に服することになり、クリスマスの長期休暇を目前に、銀行も会社も業務がストップしてしまったんです。このまま新年まで街は休止状態かも...「どないしょう!!」寺井尚之とジョージ・ムラーツ、プラハの関係者、そして買ってくださった方の間でメールや文書のやり取りが続き、まるでタモリの4か国連合麻雀です。

 その時の兄さんの慌て方は、ステージ上のクールな演奏ぶりからは想像もつかないほどでした。NYから夜討ち朝駆けのマシンガン現状報告、長文メールも要約すれば、「俺は一番中起きて頑張ってるのに、段取りがつかん!どないしょう?!」というものだったのですが、結局、私の翻訳作業も24時間体制...。

 でも、ムラーツさんの慌てぶりは、本当にうれしい事でした。なぜなら、予約金のみの受領で楽器を搬出すると固く決めていたのです。「もしも残金が振り込まれなかったら」なんて全く想定せず、新しい持ち主のために、指板もネックも新品に交換して「とにかく年内に届けてあげたい!」と思っていたから焦ったのです。

 言っておきますが、兄さんは、単なるお人よしではありません。チェコの民主化運動に対するソ連の弾圧を潜り抜け、ジャズに命を懸け、すべてを捨てて米国に逃れた人です。ムラーツは、こんなに日本人を信用してくれてるんだ!そう思って、寺井尚之と大喜びしました。後から伺ったのですが、嫁入り先もその気持ちを察し「日本人として恥ずかしくない態度を取らねば!」と肝に銘じたそうです。義侠の兄弟、ジョージ・ムラーツと寺井尚之、ベースのご縁を結んだ方も同じような心根の方だったのが不思議ですね。

 ベースはフランクフルト、パリを経由して1月6日に神奈川に到着!

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 新しいご主人の感想です。

 「オールド・ドイツというよりも外観も音もイタリアンに近いおとなしめの深い鳴りをするベースでした。やはりムラーツ氏の審美眼、好みが反映されているようです。」

 「弾くたびにどんどんとその本領を発揮してきています。なんといっても1から4弦のバランスがすばらしく統一されているので非常に弾きやすい楽器になってきています。
1・2弦がうなる楽器というのは非常に珍しく理想的です。」

 海を越えたベースのお嫁入り、新しいご主人も、ムラーツさんも、本当に良かったです!

324_georgemraz.jpg<ジョージ・ムラーツのカムバックが決まりました!>

 そして、もう一つGOOD NEWS!ジョージ・ムラーツのカムバックが3月に決まりました!

 丁度、一昨日VISAの手続きで帰国しているジョージ・ムラーツの弟子&アシスタント、石川翔太君によれば、ムラーツは順調にリハビリを続け、傍目には普通通り楽器を触れる程度まで回復しているそうです。

 3月23、24日の二日間、NYリンカーンセンターのアレン・ルームで開催される、偉大なるテナー奏者たちに因んだ特別コンサート"The Music of the Tenor Masters"に出演が決まりました。メンバーはジョー・ロバーノ、ベニー・マウピン(ts)、ケニー・バロン(p)、ルイス・ナッシュ(ds)とムラーツ。

 地元NYのこじんまりした会場で、なおかつ一流の演奏場所ですからカムバックには最適ですね。地元のみなさんは、ぜひ応援に行ってください!

 石川翔太君は昨日OverSeasでプレイしましたが、ムラーツの弟子は肩書きだけではありません!驚くほど沢山のことを師匠から吸収しているのがわかりました。石川君は未来のジャズ界を背負って立てる逸材です!

 約一か月の日本滞在中、元師匠の鷲見和広、先輩の宮本在浩など、皆に会いに時々遊びに来るそうですから、ぜひ聴いてみてくださいね!

 ジョージ・ムラーツさんにも、皆さまにも、今年はずっと良い年になりますように!

 寺井尚之からのご報告は、土曜日のジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」で改めて。

CU

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