2012年2月 9日

祝100回「トミー・フラナガンの足跡を辿る」

albumcoverTommyFlanagan-SunsetAndTheMockingbird-TheBirthdayConcert.jpg

 トミー・フラナガンの全ディスコグラフィーを時系列に聴きながら、その人生と音楽を検証する大河シリーズ、「トミー・フラナガンの足跡を辿る」、OverSeasで毎月第二土曜日に開催してきた恒例イベントが今週の土曜日で、第100回を迎えます。

 寺井尚之が足跡講座を企画したときは、「そんなんおもろない!」「終わるまで店があるかどうかわからん」「寺井さんが生きてる間に終了するんかい?」と反対噴出、喧々諤々(ケンケンガクガク)になりました。

 結局、「わしは師匠のためにやるんや!」と、寺井が強行突破、初回は2003年11月、最初に取り上げたのが"Kenny Burrell Vol.2"、以降、毎月第二土曜日に休講なし。

 「ジャズ名盤事典」に載ってる有名盤から、非売品の超稀少盤まで、傑作から凡作まで、時代背景や、録音のいきさつ、各ミュージシャンとフラナガンのかかわりといった状況証拠から、全収録曲のキーや構成、ソロのまわし方、歌詞のあるものは全て対訳を作り、「これぞ!」の聴きどころを仔細に解説し、足かけ9年。

 ここまで続けてこられたのは、ひとえに参加くださるお客様の応援と、ジャズ評論家、後藤誠氏の後方支援のおかげです。それがなければ、僅か数回で終わっていたでしょう。

 一般的にはB級評価でも、素晴らしいアルバムだと判ったり、超名盤でも、あっと驚くエラーを見つけたり、回を重ねるたびに楽しみも深くなって来ます。何よりも出席してくださるお客様と一緒に、音楽の深さを分かち合うのは、本当に楽しいです!

 講座の準備には途方もない時間と労力が必要ですが、それが寺井尚之のプレイの肥やしになっているように思います。生講座だけでなく、本も楽しみにしていただいているのも、ありがたいことです。

thelonica_kouza_3.JPG

default.jpeg 第100回記念「トミー・フラナガンの足跡を辿る」は、お日柄も良く(?)フラナガン・トリオのライブ盤、『Sunset & the Mockingbird - Birthday Concert 』が登場!

 1997年3月16日、67歳の誕生日を迎えるトミー・フラナガンは、ピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュのトリオで、丁度NYのヴィレッジ・ヴァンガードに出演。最終セットが終了すると、小さなケーキがステージに運ばれ、客席がハッピー・バースデーの大合唱になり、円熟したプレイと、バースデーの和気藹々の雰囲気!

 アルバムの英文ライナーノートは、ジャズメンが登場するミステリー小説で有名なピーター・ストラウブ。講座が終わってから訳文を載せましょうか。

bp1-095c1.jpg 100回記念講座では、番外のお楽しみに、'89年夏にNYリンカーン・センター、アリス・タリー・ホールで開催した特別コンサート"バド・パウエルに捧ぐ"でのフラナガン・トリオ(ジョージ・ムラーツ、ケニー・ワシントン)の名演奏の解説を予定しています!

 このコンサートは、前半がジミー・ヒース(ts)+スライド・ハンプトン(tb)の10ピース楽団が、このコンサートの為の書き下ろしアレンジでパウエルの曲を演奏、後半はバド・パウエル直系と言われるバリー・ハリス(p)のソロ、ウオルター・デイヴィスJr.(p)&ジャッキー・マクリーン(as)のデュオ、そして、トミー・フラナガン+ジョージ・ムラーツ(b)+ケニー・ワシントン(ds)のトリオと、オールスターによるバド・パウエル三昧。よだれが出るようなコンサートですね!入場料僅か$25也。

 当時のNYタイムズに、コンサートを控えたフラナガンのコメントがあったので読んでおきましょう。

 「バド・パウエルは、アート・テイタム以降、モダン・ジャズ・ピアノに最大の影響を与えた。彼のプレイは非常に明快で、完璧にスイング感する。ゆえに、後のピアニストが学ぶべき規範となった。

 その演奏は、独特の感覚だ。バラードなら、たとえば"Polka Dots and Moonbeams"の深遠なムードは余人の追及を許さない。また彼のオリジナル作品は、真の傑作揃いだ。

 今回のコンサートで、私が演奏するのは 'Celia,' 'So Sorry Please' そして 'Bouncing With Bud,' 、それらは他の出演者が演奏しないということだったので選んだ。どれも非常に難しい曲ばかりだし、バド・パウエルならではの、他に例の見ない作品ばかりだ。バドのフレージング感は独特で、それが難曲の所以だ。彼の書く長尺のラインを弾き切るには、ラフマニノフを演奏するのと同じで、かなりの筋力を必要とする。

 彼のリズムセンスは、モンクと共通している。メロディにリズムの全てが内包されている。つまり、メロディのアクセントが必然的にリズムを生み出す。だから、聴けばすぐに、パウエルだとわかるのだ。」

 『リズムとメロディが必然的にぴったり結びつく特有の感覚』:トミー・フラナガンは、モンクやパウエルを語る際、この言葉をたびたび繰り返していました。果たしてそれがそんなものなのか?自分の耳で確かめてみませんか?

 ジャズ講座第100回は、2月11日 6:30pm開講。受講料 2,625円です。初めての方でも、お楽しみになれますよ。ぜひお待ちしています!

CU

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://jazzclub-overseas.com/cgi-bin/mt/torakkubakku.cgi/414

コメントする