2014年7月31日

バップ・ドラマー田井中福司 礼賛 :Live at OverSeas

fukushi_tainaka_solo.JPG 海外のジャズ・シーンでは"Fuku"というニックネームで知られる田井中福司さん、NYを本拠に"The Master!" "Amazing!" "Brilliant!" と最大級の賛辞で形容されるバップ・ドラムの巨匠です。バップ語法を自由自在に操る強烈なドラム・ソロにはフィリー・ジョー・ジョーンズから受け継いだヒップで危険な魅力が一杯!ライブで感動した人たちの口コミでファンがネズミ算のように増え、お里帰りには日本全国各地のジャズ・クラブから引っ張りだこ、そんな超過密スケジュールの合間を縫って、OverSeasで寺井尚之(p)とのピアノ・トリオが実現しました。ベテラン2人の間に入るベーシストはお馴染み宮本在浩、今回のライブをお膳立てしてくれたのは、田井中さんのプレイと人柄に心酔するザイコウさんでした。

 ジャズ界の人間国宝、ルー・ドナルドソン(as)のレギュラーを努めてほぼ30年、NYの第一線で34年といいますから、もう完璧なNew Yorker!とはいえ、久々にお目にかかった田井中さんは、熱い湯の風呂から上がったばかりの粋な江戸っ子みたいな颯爽とした出で立ち、折り目正しくて、調子よく喋らない。黙っていても発散されるプロ中のプロのオーラに身が引き締まります。

 寺井尚之は田井中さんより2才上、今日の共演をとても楽しみにしていました。あっという間にドラムをセッティングして、簡単な打ち合わせの後、じゃあちょっとだけサウンドチェック、ということでOverSeasではおなじみの、"Mean What You Say"を。日頃からドラムのフィル・インをフィーアチュアするサド・ジョーンズのナンバーで、田井中さんがこの曲を演るのは初めてだったそうですが、そのブラシの切れとコントロールの良さ、フィル・インの華やかさ、集中力の凄さに鳥肌がたちました。 

 平日にも関わらず、客席はミュージシャン、常連様、田井中ファンで満員、「田井中さんと演ると、いつもと違う寺井さんが聴けるのかな?」「ガチで演ったらどないなるんやろ?」色々な声が聞こえてきます。数日前に熊本で共演した古荘昇龍(b)さんや、NYで薫陶を受けるベーシスト、田中裕太君の姿も!

 キレのある田井中さんのドラムスの音量は、想像していたよりずっと小さく、しかも超明瞭、ドラムと同じようにソフトタッチを身上とする寺井尚之のピアノの美しさを際立たせてくれます。故にダイナミクスが大きくて、クライマックスは夏の夜空の大輪の花火が上がったように華やかで、聴く者を酔わせます。ベースソロでは、田井中さんの掛け声が絶妙に入り、宮本在浩のプレイが冴え渡りました。ザイコウがあんなに陶然とした表情をしたことあったかしら?

tainaka_sanP1080254.JPG 店の奥では、ギターの末宗俊郎さんが冷蔵庫の前で、喜んで踊りっぱなしです。おしぼりの小さなかごを両手で握りしめて必死で聴いてるお客さまもいましたよ。伝説のドラムソロが聴ける"Cherokee"では、冒頭のインディアンの雄叫びが客席に飛び火して場内騒然!

 お客様の熱気と対照的に、丁々発止のベテラン2人は音楽でジョークを飛ばし合いながら、汗ひとつかかず涼しい顔。これが田井中福司、寺井尚之という2人のバッパーの似ているところです。

 田井中福司さんのドラミングはOne and Onlyの田井中さんならではのアート!真正バップの磨きぬかれた技量は勿論ですが、その技量の見せ方は、"Cool"と英語で言うよりも、「美」「技」「心」が一皿に盛られた一流割烹の和食のような清々しさを感じました。本場NYで長年愛されている秘訣は、案外、ドラミングの中に光る「日本の美」にあるのかも知れません。

 田井中さんは8月24日まで日本全国で演奏予定です。まだ聴いたことのない人は、ぜひ足をお運んでみてくださいね。

田井中福司2014夏季日本ツアー予定表はこちら

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=セットリスト=

<1>
1. Crazy Rhythm
2. Out of the Past
3. Mean What You Say 
4. If You Could See Me Now
5. Scrapple from the Apple

<2>
1. What is This Thing Called Love?
2. All the Things You Are
3. Lament
4. Just One of Those Things

<3>
1. Lady bird
2. It Don't Mean a Thing
3. In a Sentimental Mood
4. Cherokee 

Encore: A Night in Tunisia 
      Dry Soul

 

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