2008年12月12日

今週のジャズ講座予告編: エラ+フラナガンのクライマックス・シリーズ

 土曜日はジャズ講座!エラ&フラナガン・コラボ・シリーズ最終回とあり、沢山のお客様にご予約頂いてます。

 私は下準備に必死のパッチ!(註:バッパー好みの韻を踏む、このヒップな大阪弁は「なりふり構わず作業中」の意味です・・・)
 
 今回登場するアルバムはのべ4枚、ぜーんぶがアメイジング!

   ①ビバップ・ファン垂涎の的、一対のオムニバス・アルバム、『I Remember Bebop』 『They All Played Bebop』は、アル・ヘイグ、デューク・ジョーダンなど8人のピアニストによる作曲家別ビバップ作品集。
 こに収録された5トラックは、トミー・フラナガン(p)がキーター・ベッツ(b)とデュオで聴かせるバド・パウエル作品集です。本家パウエルよりもまろやかで、作品の持つ凛とした気品が香る屈指の名演!ジャズが好きなら、ピアノが好きなら、一度は聴いてみてほしい! 収録曲全てをおハコにする寺井尚之の解説がとっても楽しみ!(今回の講座は早めにすっきり終わると言っていたけど、ほんまやろか?甚だ疑問??)

 

Buck_Clayton_Jam_Session.jpg ②今年5月に講座で取り上げた『Buck Clayton Jam Session Vol.2』の未収録トラック2曲。リハーサル中のやり取りも全部日本語化しました。 そうすると、この『Jam Session』は、そこらのジャム・セッションと全く違うのが良く判る。ヘッドアレンジだけでもリアル・プロはこうなんだ!個性豊かな名手の色んな楽器のヴォイスが聴こえて来て、華やかで楽しいアルバムです!
 先月のInterludeに、この録音メンバーが多数参加しているドキュメンタリー「Born to Swing」を紹介したので、併せて観ると面白い。

 ③ 今回の目玉は、なんと言っても『Ella and Tommy Flanagan trio at Montreux '77』
  土壇場で必死のパッチなのは、この対訳OHP作りのせいだった… 日本語化作業はとっくに出来ていたのですが、講師寺井が「アレンジ」と「歌詞」との切っても切れない深~い関係を、「判りやすく見せなあか~ん!」と、土壇場にOHP作成の注文が山盛り。

    エラは'50年代、「私の進む道はバップしかない」と思っていた。寺井尚之もそうですが、ビバップにルーツを持つ音楽家にとって、転調はお手のもの! しかし、このアルバムでエラとバックのトリオが繰り広げるキーの移り変わりは、ジャズ・ヴォーカル史上例を見ないケタ違いの深さがあります。
 ご存知の用にモータウンなどのブラック・ミュージックも、転調がお家芸で、私も大好きなのですが、モントルーでエラ+トミーが聴かせる転調は「モノが違う」、シンジラレナイ、凄すぎる…
  まあ土曜日は寄ってらっしゃい、聴いてらっしゃい!ジャズ講座で転調の種明かしが聞けます。
御代は見てのお帰りだ。

pile.JPG  今、私の周りは紙、紙くず、鉛筆、赤ペンが散乱する恐ろしい光景...とてもお見せできませーん・・・

ジャズ講座は12月13日(土) 6:30pm- Jazz Club OverSeasにて。
お越し下さる方はOverSeasまでご予約ください!

CU

2008年12月 4日

「トミー・フラナガンの足跡を辿る」第6巻できました!

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  ジャズ講座は、毎月第二土曜日のお楽しみ。師匠トミー・フラナガンの音楽について、ミュージシャンの視点から語り尽くす講演会は、いつのまにか寺井尚之のライフワークになっちゃった。

  年齢職業国籍学歴性別…そんな浮世のしがらみは全く関係なく、ジャズが好き、トミー・フラナガンが好きという接点で、楽しい仲間が集って、飲んだり食べたり、時には爆笑しながら、真面目に鑑賞するのがツボ。聴いて下さる皆さんが楽しいので、寺井尚之の上方(かみがた)マシンガン・トークも自然に炸裂!

 そんな講座をそのまま本にした「トミー・フラナガンの足跡を辿る」の新刊、第6巻が出来上がりました。





  第6巻に登場する名盤をほんの一部挙げておきます。詳しくは講座本のページをどうぞ。は、Interludeで村上春樹の「偶然の旅人」と共に紹介したペッパー・アダムス(bs)の名盤、『Encounter! 』、“ソリッド”という形容詞そのままのハードバップが聴ける『Jazz'n'Samba/ Milt Jackson』、テナーの巨人デクスター・ゴードンの名盤『The Panther』などなど、ライブで見た巨匠達の勇姿と共に、精彩な音楽的観察で名盤の実像が浮き彫りになり、、寺井尚之の「足跡」ジャズ講座ならではの臨場感が味わえる。


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<エラ・フィッツジェラルドとの黄金時代(その1)>

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 副題のとおり、第6巻で一番多く登場するのはエラ・フィッツジェラルド。南仏『Ella at Juan Les Pins』('64)からハンガリー『Ella in Budapest』('70)まで、エラとフラナガンの音楽的関係が、「卓越した伴奏」から「稀有なコラボ=共同作業」へと録音順に変貌して行く様子は、有機的で凄い!

   エラ以外の作品も含め、第6巻掲載の歌詞対訳は70曲以上。講座の対訳は不肖私が担当させていただいてます。

 エラ・フィッツジェラルドの対訳はすごく楽しい仕事だった。発音は英会話番組より明瞭だし、万人に伝わる明確な歌詞解釈がある。だから、ディクテーションして日本語を当てはめる作業はアット・イーズ!
   逆に、書店やネット上にあるジャズ詞の最大公約数的な翻訳作業は、どれほど大変だろうと察します。ニュートラルにすればするほど、歌詞の面白さは、訳語の間から滑り落ちていく…

 私がエラの対訳で学んだことは、「名唱には明確な歌詞解釈がある。」という法則。
   ラブ・ソングでも恋のかたちは10人10色、その歌ではエラさんはどんな女?処女?人妻?貞淑?ミーハー女?山の手?下町? お相手はセレブ?庶民?サギ師?ヤクザ者?その彼の唇は薄いのかはたまたタラコか?下着の色はピンクか黒か?輪郭から細部まで、しっかりイメージを作って唄っているから、ほんと日本語にしやすい!


 Sunshine of Your Love    budapst.jpg


 エラはまた歌詞を間違えることで有名だった。でも、それは決して器楽的なアプローチで、歌詞をなおざりにしたからではない。ライブ当時のポップソングを唄うときも、よーく考えて歌作りをしたことが対訳の面からも判ります。エラがよく歌詞を逆にしたり、中抜きしてしまうのは、音楽表現する脳の部位が余りに速く稼働しているからかも知れない。インテリに扮したウディ・アレンや、BBC放送のPolitics Showに出演する高名な評論家が、ドモったり噛むのとなんとなく共通している。

(楽しかったエラさんの日本語化作業も来週ジャズ講座の『Ella at Montreux '77』で遂におわりです。お名残惜しい…)

 寺井尚之は対訳を道具にして、トミー&エラにしかできない自由自在な転調メドレーの妙味も、歌詞に沿った音楽的必然性があることを証明していきます。フラナガン・ファンだけでなく、ジャズ・ヴォーカルやジャズの即興演奏を志す若きミュージシャンにはぜひ読んで欲しい。

   読み所聴き所、笑い所も泣き所が一杯!ジャズってほんとに楽しいな!トミー・フラナガンってほんとに素晴らしい!が良く判るジャズ講座の本、「トミー・フラナガンの足跡を辿る:VOL.6」は限定版ゆえ、ぜひお早めにお求めください。

購入方法は以下の3種類。

①OverSeasでライブや講座を聴くついでに…
②OverSeasのHPから通信販売で
③堂山町の「ミムラ」さん、梅田第一ビル地下一階の「ワルティ堂島」さんで購入する。

CU