2009年8月22日

日曜セミナーでスタンダードをDIG!

 こんにちは!夏の疲れや、世界陸上による寝不足でバテバテになっていませんか?寺井尚之ジャズピアノ教室は発表会後も燃え尽きず、来る9月6日(日)お昼に、日曜セミナーを開催いたします。

seminor_they_watch.JPG

一般参加歓迎!寺井尚之ジャズピアノ教室生徒会主催セミナー
テーマ:「スタンダード曲をフラナガンの味わいにするには?」
日時:2009年9月6日(日)正午~4pm(開場11:30am)
場所:Jazz Club OverSeas
受講料:2,500円

seminar_chairpersons.JPG  寺井門下優等生コンビの講演もこうご期待!あやめ会長、むなぞう副会長

 今回は初心者の生徒たちに、いわゆるスタンダード曲の楽しさと、彼らが大師匠と呼ぶトミー・フラナガンの音楽の特徴を体験してもらおうという趣旨で開催いたします。演奏家でないジャズ・ファンにも楽しい講座になりそう!

sea_changes.jpgのサムネール画像

 長年トミー・フラナガン&寺井尚之を聴きこんできたむなぞう副会長は、アービング・バーリンのじーんとする名曲、『How Deep Is the Ocean (ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン)』を解説。「"海より深い恋心"・・・トミー・フラナガンがこの名歌詞をどう読むか?」その辺りの解説と、むなぞう君による歌詞対訳が、私も楽しみです!フラナガン・バージョンは"Sea Changes"に収録されているので、聴いておくといいかも・・・


lady_be_good_for_ella.jpg  あやめ会長は、モンク・チューン『Ruby, My Dear ルビー・マイ・ディア』と、ガーシュイン歌曲、『Isn't It a Pity イズント・イット・ア・ピティ』の2曲、様々な演奏、歌唱を例に取りながら、トミー・フラナガン音楽の特徴や、門下生が応用できそうなテクニックの秘密を教えてくれるでしょう。なお『Ruby, My Dear』のフラナガン・バージョンは"白熱"で、また『Isn't It a Pity』は"Lady Be Good for Ella"で聴けるので、お持ちの方はぜひ聴いてみてください。

<真打は枯葉とベサム・ムーチョ、それからサテンドールでジャズ高座>

hisayuki_talks.JPG

 今回のレクチュアを取り分けルンルンで準備していたのが真打、寺井尚之。「それならわしは、バリバリのスタンダードで勝負や!」とピックアップしたのは、なんと『枯葉』、『ベサメ・ムーチョ』それに『サテン・ドール』の3大スタンダード、おかげで、対訳係りにはシャンソンからトリオ・ロス・パンチョスのスペイン語まで・・・「勘弁して~」という位、どっさりタスクの山。

 当初、子供の頃から、それら大スタンダードの数え切れない凡演を聴き育った私には苦役に思えましたが、やって良かった!イヴ・モンタンの男の魅力や、サボテン・ミュージックの明快さにシビれながら、楽しくお仕事させていただきました。外国生まれの歌詞を読み解くと、その国の「文化」や「情」の違いというものが垣間見えて面白いものですね。

 ナット・"キング"・コールからマイルス・デイヴィスまで、名演、凡演、怪演・・・3大スタンダード曲のさまざまな演奏を聴きながら、トミー・フラナガン音楽の神髄に迫る寺井尚之の日曜噺、たった2曲なのに、どうしても喋り足りないそうで、生徒会にかけあって、当初3時までの予定を、4時前まで延長してもらいました。今回も後半は講座から「高座」になりそうです。しかしオチは私も知りません。

 一般のお客様のご参加も、生徒一同大歓迎です。なお、給食は日曜名物、牛すじカレーとロール・ケーキになっております。
参加ご予約はOverSeas(TEL 06-6262-3940)まで。

CU

2009年8月 9日

Jazz講座:Bottom-Up

zaiko_talks.JPG

 昨日のジャズ講座、お休みの中来てくださって、どうもありがとうございました!

 この夜、一番印象に残ったのは、やはりレッド・ミッチェル(b)!寺井尚之の耳の中で今も響き続けるミッチェルのボトム・ラインの話でした。"Communication"で聴かせた、トミー・フラナガン、ジェリー・ダジオン(as)との絡み合い、せめぎ合いの波動、まるで、ライブ会場の"Fat Tuesday's"にいるようにリアルに感じ取れて、楽しかった~。

 レッド・ミッチェルは、通常のチューニングとは異なり、ヴァイオリンやチェロと同じの「五度チューニング」を使用しています。それが、どのような音楽的効果を生むのかを、The Mainstemのベーシスト、宮本在浩(b)さんが、ピアノの下にあるOverSeasの店置きベースの調弦を変えながら、ベースに触ったことのない私たちに判り易く解説してくれたので、この夜の講座が一層楽しくなりました。

 現在のベースの基本になっている4度チューニングは、クラシックのオーケストラでは、他の弦楽器との不調和を生む悪しきものだというのが、レッド・ミッチェルの信念であるようです。

 クラシックのオーケストラによっては、ブラームスのシンフォニーを演奏する際はベース・セクションの数人のチューニングを変更するようなことも一般的に行われているそうです。オケの人はまたいろいろ教えてください。

red_mitchell_in_black.jpg Red Mitchell (l927- 1992)  ミッチェルの一番のアイドルはベーシストでなく、テナー・サックスのズート・シムズ、2番目は歌手サラ・ヴォーン。

 2枚のライブ盤で、バップ・チューンからオリジナル曲、スタンダードまで、いろいろ楽しみましたが、私がなぜか印象に残ったのが"These Foolish Things(思い出の種)" 三人のプレイヤーの音楽の途は三者三様ですが、ビリー・ホリディという同じ観音様をお守りにしていることが、演奏ににじみ出ていた!私は江戸っ子でもなんでもないけど、「 鮨食いねぇ!!」って言いたくなるような、親近感を持てる演奏だった!

   寺井尚之の解説は、熱く楽しく、ライブで掛声をかける私設応援団の人数を数え、何者なのか、人物鑑定までしてしまいました。やっぱり、大向こうの掛声は上手にしないといけませんね・・・

 来月のジャズ講座にも、引き続きレッド・ミッチェルが登場。今度はトミー・フラナガンのトリオ作品、『Super Session』ですから、これは絶対に参加していただきたいと思います。

CU


 

2009年8月 6日

ジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」は8/8 土曜日!

bradley's.jpg  '84年 Bradley's, NYにて:左からJimmy Knepper(tb), 寺井尚之(p), Red Mitchell(b)

 皆さん、暑いけどお元気ですか?私もなんとか元気にやってますが、毎日アタフタ、火傷もして暑い日々。夏休みというものがあった過去を懐かしむばかり・・・エアコンもジャクジーも要らない!南の島で潮風に吹かれ、一日中寝転がって過ごしたい・・・

 でも明日の土曜日はジャズ講座、夏休みを満喫している皆さん、高校球児の応援に燃える皆さんも、明日はジャズに燃えよう!講座に集合しましょう!

 今回は、トミー・フラナガン、レッド・ミッチェル(b)、ジェリー・ダジオン(as)が組んだ"Communication (コミュニケーション)"という名前のトリオのライブ盤2枚('79)を中心に、寺井尚之が深く楽しく解説していきます。

FAT-TUESDAYs_title.jpg  ライブ盤のロケーションはNYグリニッジ・ヴィレッジで盛業だったジャズクラブ、Fat Tuesdays、ここはかつて、エレキギターの無形文化財みないなレス・ポールが出演し、ジミー・ペイジなどロック・ギタリストも頻繁にセッションに参加していることでも有名でした。'80年代にはスタン・ゲッツの息子、スティーブ・ゲッツがブッキング・マネージャーになっています。

communication.jpg  Communicationのライブは'79年11月の第三週目13日(火)~17日(土)の一週間ギグでした。当時の"The New Yorker"のタウン情報のナイトライフ欄には、こんな紹介文が。

 Fat Tuesday's : 190 3rd Ave. at 17th St. - 地下にあるジャズクラブ、寄木張りの床と鏡が組み込まれた滑らかな茶色の壁は、ここが以前ディスコだった名残だ。
 11/10(土)まではブラジルのパーカッショニスト、アイアート・カルテット・フィーチュアリング・ロン・カーター(b)。11/13(火)より、The Communication Jazz Bandが5日間出演。ジャズバンドと銘打っているが、実はレッド・ミッチェル(b)、トミー・フラナガン(p)そしてアルト奏者ジェリー・ダジオンのトリオ。5日間出演。開演は9:30pm、ディナーも可。

 そういえば、私も東京の六本木のディスコを改装したクラブで、レッド・ミッチェル+フレッド・ハーシュ(p)に松本英彦(ts)さんが飛び入りしたセッションを見たことがあります。レッド・ミッチェル(b)はどこで会っても、黒のハイネックシャツだった・・・彼のお部屋のクローゼットは同じ形のハイネック・シャツがずらりと並んでいるって、ジョージ・ムラーツ兄さんが言ってたけどほんとかしら?

knickerbocker_front.jpg 当時のトミー・フラナガンはレッド・ミッチェルと盛んに共演していて、10月の下旬から11月の第一週までは、"ファット・チューズデイズ"から徒歩10分ほどのUniversity Placeにあるピアノ・サロン、"ニッカボッカー・サルーン"にデュオで出演していました。ニッカボッカーはステーキがおいしいレストランとして現在も盛業中、でもライブは週末だけみたい。

red_mitchell_at_piano.JPG コーネル大中退、ジュリアード中退、しかしピアノもヴォーカルもたしなむ得体の知れない仙人、変則五度チューニングの巨匠レッド・ミッチェル(b)はたった一晩だけ、寺井尚之と一緒に演奏したことがあります。それが一番上の写真。場所は、同じグリニッジ・ヴィレッジの伝説のクラブ、Bradley's。ふとした偶然が重なって、こんなハプニングになったのですが、そのおかげで、今でも寺井尚之の耳には、生のレッド・ミッチェルの温かく柔らかでいて核心を突くビートが響いている。

 アルト・サックスのジェリー・ダジオンは、叩き上げのバンド・マン、サド・メルOrch.の、最高の二塁手のような手堅いプレイが印象的でした。フラナガン、ミッチェル、ダジオン、3人のプロが繰り広げるトリオ、"Communication"のライブは、出たとこ勝負のカオス?それとも、リラックスしたライブ?それとも三人三様の役どころが生かされるプロ中のプロしか出来ぬギグだったのか?

 明日のジャズ講座で、寺井尚之により迫真の実況中継がお楽しみなれますよ。 乞うご期待!

 私は、夏バテでもおいしく召し上がれる生春巻を仕込んでお待ちしています。

CU

"Walkin' " 本当の作曲者

 2週間前、The Mainstemが聴かせてくれたブルース、 "Walkin' (ウォーキン)"の作曲者について少し書いたのですが、「わけあり」の作曲者についてジャズ講座でおなじみのG先生から「"Walkin'"の原曲はテナーサックス奏者、ジーン・アモンズのオリジナル、"Gravy(グレイヴィー)"というのがジャズ界の通説です。」とメールが来ました。

 ところが、G先生が"Gravy(グレイヴィー)"の収録されているアルバムの作曲者クレジットを見ると、そこにはベーシストのレイ・ブラウンの名前があったそうです。G先生の知的好奇心は否応無く刺激され、懇意にするミュージシャンで、米ジャズ界で「物知り博士」と異名を取る某氏に照会した結果、やっぱり彼もアモンズの作品だと断定している旨のメールが・・・。

 「著作権」などないミケランジェロやダ・ヴィンチの時代から芸術作品や作者の真贋を調査するのは、探偵ごっこみたいで面白い。そこで、私も"Walkin'"を少し追っかけてみたら諸説紛々。

<Who Is リチャード・カーペンター?>

 そもそも"Walkin'" の公式作曲者というなっているリチャード・カーペンターとは何者なのか?
 カーペンターズのお兄さんと同じ名前のこの人は、浅黒い肌の元会計士であったそうです。アンタッチャブルなシカゴ出身、腕っ節が太く二重顎の大男で、みかけはヤクザの用心棒。専ら編曲者のエージェントとして仕事を斡旋し、彼らの著作を自分の音楽出版社に帰属させ、作曲者の版権を不当に取得していたらしい。自分の欲しいものは、「相手の胸倉を掴み脅迫して手に入れた」カツ上げ派。  チェット・ベイカー伝記'Deep In a Dream':James Gavin著より

<ジーン・アモンズの"Gravy">

Walkin-LP.jpg "Walkin'"は'54年にプレスティッジから出たマイルス・デイヴィス・セクステットの録音で有名。そこに参加していたのがJ.J.ジョンソン(tb)です。印象的なタグ・ラインとファンキーな曲想で"Walkin'"はマイルスの名演目として繰り返し演奏され、誰もが知るスタンダードとなりました。

 マイルスのLPのライナー・ノート(アイラ・ギトラー執筆)には、ジーン・アモンズが'54年に"Gravy"というタイトルでこの曲を同レーベルから録音済みであると明記されています。

LPライナーノートより:「(Walkin'とGravyの)テーマはほぼ同一だが、一音も違わないというわけではない。また(マイルスやJ.J.ジョンソンがイントロとインタールードに使っている)タグ部分は簡略化されている。

 私が(アモンズのGravy以降)この曲に遭遇したのは'52年、NYのジャズクラブ"ダウンビート"に出演していたマイルス・デイヴィス&ジャズInc.のライブだった。Gravyが潜在意識下で蘇り、たびたび気になっていたのが、この'54年のマイルスのレコードが出ると、曲名はWalkin'に変更されていた・・・

gene_ammons_classics.jpg  ネット上でアモンズの演奏する"Gravy"のサンプル音源を聴いてみると、確かにほとんど同一曲。同じページの演奏曲リストを見ると、作曲者は"Brown"とあり、G先生の言うとおり、Ray Brownのことだろう。Garvyのカタギじゃないファンキーさは確かにジーン・アモンズの匂いで一杯ですが、アモンズ作の物証は発見できなかった。

<ジミー・マンデイ作曲説>
jimmy_monday.jpg 色々調べていくうちに、ジャズ・メディアの中には、"Walkin'"の作者をジミー・マンディ('28-83)に帰属させている人も多いことを発見。 マンディはテナー奏者兼編曲者で'30年代に一時アール・ハインズ楽団に所属、後にベニー・グッドマン、カウント・ベイシー、ディジー・ガレスピーなど様々な人気ビッグバンドのアレンジャーとして活躍した人です。  西海岸のジャズ系FM局のスーパーヴァイザーであるジョー・ムーアなど複数の関係者が、まるで当たり前みたいにこの説を唱えていました。マンディがこのブルースを演奏したデータなどあるのかな?

 というわけで、ジャズ・スタンダードとして知られる名作"Walkin'"の作曲者が誰なのか、私はまだ釈然としません。ジャズ系の掲示板には、寺井尚之がふと口にしたタッド・ダメロン説を唱える人もいるし、後の捜査はG先生に委ねたいと思います。

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 

 G先生の友人であるNYの「物知り博士」(実名を出せないのが残念)はラトガーズ大学でリチャード・カーペンターと会ったことがあるそうで、 譜面の読み書きができない「作曲者」カーペンターを"ペテン師"と言い切っています。また「物知り博士」の友人には、カーペンターが不当に取得した著作権を本当の作曲者に返すために活動している人もいるそうです。きっと著作権帰属運動をしている友人なら、とことん調査をしているだろうし、やっぱりアモンズ説が正しいのかも知れませんね。

CU