2011年1月28日

講座本8出版 ハイライト講座のお知らせ

 講座本第8巻 発刊に際し、来る2月8日(火)に、新刊収録の名演奏をピックアップしたハイライト講座開催!

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「トミー・フラナガンの足跡を辿る」第8巻出版記念

【日時】2月8日(火)7pm~9:30pm 
【講師】 寺井尚之
【受講料】One Drink付 ¥2,500 (税込\2,625)  要予約 

 ご予約はOverSeasまで!

イベント関連サイト

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2011年1月27日

ジャズ講座の本、第8巻出来ました!

 今日も寒いですね!OverSeasの入っている新トヤマビルは全館いつも暖かいのに、薄着で廊下に出たらひや~っ・・・、超低湿度なので、寺井尚之はピアノの周りで霧吹きに余念なし。

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 さて、お電話やメールで「まだですか~?」とお問い合わせいただいているジャズ講座の本、「トミー・フラナガンの足跡を辿る」第8巻がやっと出来上がりました。

<フラナガン独立の真相>

 今回はフラナガンがエラ・フィッツジェラルドの音楽監督から、リーダーとして独立する節目の時期、'76年から'78年の録音作品を掲載しています。当時のジャズ・メディアでは、フラナガンが独立した理由は、心臓病のためと盛んに報道されていましたが、本当のところは、フラナガンが、自分自身の音楽活動に専念したくなり、同時にエラが糖尿病で、仕事をキャンセルすることが増えたことが原因であったようです。

 トミー・フラナガンは、「自分は良い伴奏者ではない。」とよく寺井に言っていました。謙虚な発言と解釈することも出来ますが、真意は「自分は伴奏者である以前にピアニストなんだ!」というプライドの婉曲語法だったのでないかと、私には思えます。

 トミーは歌手としてのエラを絶賛していましたが、エラはジャズのカテゴリーではくくりきれない歌手、「喝采こそ命」の大スターであり、ストレート・アヘッドなフラナガンには、流行のポップ・ソングを積極的に取り上げるエラの姿勢は必ずしも本意に合うものではなかったのは自明。DVDなどでエラのコンサート映像を見ると、コマーシャルな題材を伴奏しているときのトミーのちょっとした表情に、そんな思いを汲み取ることが出来ます。

ella_montreux77.jpg 第8巻には、エラ+トミーのコラボレーションの最終章、『Montreux'77』が掲載。長年培われた二人のコラボの集大成を解説で実感することができます。'60年代の共演盤では聴けないスリリングなアレンジと、掛け合いの凄さは、「歌手と伴奏」なんていう概念を遥かに超えたもの!不肖私の作った歌詞対訳も併せて、どうぞお楽しみくださいね!ジャズ・スタンダードは勿論素晴らしいし、コマーシャルな歌、S.ワンダーの"You Are the Sunshine of My Life"の中に、ポップ・ソングの"小さな青リンゴ"をドカンと引用して、「お客様が私の太陽です!」とオチをつけて大喝采を頂くあたりは、正に「喝采こそ命」の面目躍如!やっぱりフラナガンと一緒のエラは凄かった!

<珠玉のピアニストからダイヤモンドに!>

eclypso.jpg 第8巻で、最も人気のあるアルバムは『Eclypso』でしょう。デトロイトの旧友エルヴィン・ジョーンズ(ds)とのリユニオン、「講座本」初登場(!)の我らがジョージ・ムラーツ(b)が織り成す、超大型ピアノ・トリオ作品は、リリース時にジャズ喫茶を席巻しました。

 エラのもとから離れ、フリーランスのピアニストとしてジャズ・シーンに帰って来たトミー・フラナガン、ソロ作品、『Alone Too Long』、キーター・ベッツとのデュオでバド・パウエル作品をより洗練させる『I Remember Bebop』、もう一人の名手、ハンク・ジョーンズとの真剣勝負に手に汗握るピアノ・デュオ、『Our Delight』『More Delight』は「喜び」というよりガチンコ対決ということも、解説を読めばよく判る!この頃になると、フラナガンは「珠玉」というより、もっとアグレッシブに、大粒のダイヤモンドの輝きで聴く物を圧倒します。

 リーダー作でのレパートリーに対するフラナガンのこだわりや、繊細なアレンジなど、本書を読めば、レコードをかけるのが一層楽しくなることでしょう!

 寺井尚之のジャズ講座の本「トミー・フラナガンの足跡を辿る」第8巻新発売!購入後希望の方はHPをご覧の上お申し込みください。

 明日はメインステム!おすすめメニューは、ポークのグリル、粒マスタードソース、クリーミーでほくほくした出来上がりにする予定です。

CU

2011年1月13日

Jazz Poet →The Mainstem

 新春ジャズ講座に遂に待望の『Jazz Poet』が登場!寒い夜にも拘らず、沢山お集まり頂きありがとうございました。

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  1. Raincheck

  2. Lament

  3. Willow Weep for Me

  4. Caravan

  5. That Tired Routine Called Love

  6. Glad to Be Unhappy

  7. St. Louis Blues

  8. Mean Streets

  9. *I'm Old Fashioned (add)

  10. *Voce A Buso(add)


 ジャズ詩人"Jazz Poet"という言葉は、元々、雑誌"The New Yorker"でトミー・フラナガンの特集記事が出た時の見出しでした。"The New Yorker"は「知的で洗練されたNY」を具現する大人の雑誌。長年ジャズコラムを担当していたホイットニー・バリエットが名付け親。フラナガン夫妻は、コマーシャリズムの影響を受けない"The New Yorker"のバリエットの評論と、このニックネームをとても気に入っていて、自己プロデュースのこのアルバムのタイトルにしたんです。

 日本では、フラナガンの代表作は今も『Overseas』ですが、米国では『Jazz Poet』の方がずっと評価が高い。メジャーのレコード会社製作でないのに、ビルボード誌「最優秀ジャズ・アルバム」やグラミーにノミネートされ、ダウンビートやジャズ・タイムズの人気投票で一位になった。'90年代の新しいジャズ・ファンに、フラナガンのバップの香りと、気品ある演奏スタイルが受け容れられたのだと、ジャーナリストのM.J. Andersenは述べています。

 上のオリジナルLPのジャケット写真は、数あるトミー・フラナガンのポートレートの中でも最もトミーの個性が出ていて素敵ですよね。実はこのポートレートを撮影したのはジャズ写真家ではなく、リチャード・デイビス(!)というモード系フォトグラファー、落ち着いた錆色のプリントとパノニカの令嬢ベリットの特徴あるレタリング、すっきりしたジャケットデザインも、フラナガンの音楽スタイルにしっくり合っています。

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リチャード・デイビスの撮影したファッション写真はRichard Avedonをガサツにした感じ。Poetのポートレートの方がよく見えるのは被写体のせいなのかな・・・

 講座では、寺井尚之がトミー・フラナガンに頂いた原盤のLP、その後出たCD、フラナガンの意に反して発売されてしまった『Please, Requeat Again』というタイトルの日本盤のジャケット・デザインや曲順を比較しながら、タイムレス原盤LPには、フラナガンの配慮が隅々に行き届いていたことを実感できました!掲示板にむなぞうくんが書いていたけど、曲順は本当に大切ですね!

 エリントン楽団やマット・デニスなど、収録曲のオリジナル・ヴァージョンと『Jazz Poet』を聴き比べ、フラナガンがどの部分を取り入れてアレンジしているのか、録音後『Jazz Poet』の収録曲が、バンドスタンドでどのように発展していったのかを見つめていた寺井尚之の解説を聞いていると、フラナガンのアートはピカソやダ・ビンチに負けないほど、日々進化していると判り、面白かった~

 演奏は、どれもこれも肩の力が抜けていて、いとも容易に聴こえるけれど、実際は各メンバー(ジョージ・ムラーツ、ケニー・ワシントン)に卓抜した技量があり、レギュラーで活動しているからこそ出来るプレイであることが、講座で改めてよく判りました。
「灼熱の砂漠をエアコン完備の駱駝に乗って旅をしているように爽快なCaravan」という寺井尚之の名言に場内爆笑!

 来月の講座は『Beyond the Bluebird』をたっぷり解説いたします。当時のフラナガンを公私に渡って知っている寺井尚之だからこその、面白くてためになる解説が聞けますよ。2月12日(土)は予定を空けておいてくださいね!

 そして今週(土)は寺井尚之The Mainstemのライブです。『Jazz Poet』の名曲の数々を演奏予定!こちらも絶対聴き逃せません。こちらもぜひお待ちしています!

CU