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2008年11月21日

土曜日はトリビュート・コンサート、ENJOY!!

tommy_tootie.jpg亡くなる2ヶ月前、'01 9月 NY, Birdlandにて、アルバート・ヒース(ds)と。
写真提供:藤岡靖洋氏

 ここ数日、大阪の町もめっきり冷え込んでいます。皆さんお元気ですか?

  7年前、トミー・フラナガンの訃報が届いたのも木枯しの吹く寒い朝でした・・・今週はトリビュートに先駆けて、昨日までトミー・フラナガン愛好会の石井夫妻が来られていて、色んなお話をさせて頂けてよかったー。
 
  亡くなる前年に来日したトミー・フラナガンは、体調の波が激しく、「アンコールの拍手に応えず、ファン・サービスが悪い。」という趣旨の記事を目にしたことがありますた。実は、その時、演奏中に心臓ペースメーカーがストップするようなアクシデントに見舞われていたんです。ですから、もしも、拍手したのに、アンコールがなかったことを今も不快に思っているお客様がおられたら、どうぞ許してください。飛行機に乗るのをお医者さまから禁じられていたのに、フラナガンはどうしても日本のファンの前でプレイしたかったんです。

  下はフラナガンのお葬式の時に配られたメモリアル・カードです。葬儀の後日、レキシントン街の聖ピーターズ教会で行われた告別式のプログラムには、写真と共にコンラッド・エイケンという文学者の詩が添えられていました。私の持っているプログラムは、ジミー・ヒース夫妻がFAXして下さったもので、もうかなり退色してしまい、アップロードできないのが残念です。

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 ダイアナが、フラナガンの告別式にとっさに選んだエイケンの詩は、日本では、ほとんど紹介されていないようです。米国ではレナード・バーンスタインなどが、この詩に沿って楽曲を創作しているらしいけどザッツ・アナザー・ストーリー。私がガラにもなく詩に興味を抱くきっかけになった詩はこんな感じ。「追憶」ってこんなものなのかな?この詩が予言したように、ダイアナが一人住むアパートは、トミーがいたことろまるで変わっていないみたい。原文はネット上にありますよ。

Music I Heard
by Conrad Aiken

あなたと聴いた音楽は音楽を超え、
あなたとの食事は、食事を超えた;
でも今あなたはいない、全ては虚ろ;
あの頃、美しかったもの、皆朽ち果てた。

今もここにあるテーブル、ナイフやフォーク、
あなたの触れたものたち、
私は覚えている、
あなたがこのグラスを手にしていたことを。
それらのものが、あなたを偲ぶことはないにせよ、…
手触りは残ったまま、消えることはない、

あなたが、それらの道具の中で生活し、
その手や瞳で愛でたことは、
私の心に生きている;
私の追憶の中だけに、
それらの道具が、
いつもあなたを思い出す、
-なんと美しい人であったろう、なんと賢い人であったろうと。


  さて、土曜日のトリビュート・コンサートは、寺井尚之のThe Main Trioを聴きながら、大いに食べて飲んで、皆でトミー・フラナガンを思い出そう!!皆で一緒に聴けるのが私の幸せ!おいしい料理作って待ってます。勿論アンコールはどんどんどうぞ!!

 ENJOY!!

2008年10月03日

11月22日(土) トリビュート・コンサートのお知らせ

tommy%27s%20back.JPGTommy Flanagan(1930 3/16- 2001 11/16)

 <第13回 トリビュート・トゥ・トミー・フラナガン>
出演:寺井尚之 The Mainstem (宮本在浩:bass/ 菅一平drums)
 日時:11月22日(土)  7:00pm-/ 8:30pm- (入替なし)
 前売りチケット(座席指定:税込) 3,150円 (当日:3,675円)

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 トミー・フラナガンが亡くなってから7年の歳月が経ちました。毎年3月と11月に開催するトリビュート・コンサートも早13回!
 寺井尚之(p)が、宮本在浩(b)、菅一平(ds)を擁するThe Mainstem(ザ・メインステム)は、トリビュート初お目見え、メインステムも正念場です。

 「トリビュート」は寺井尚之の音楽活動の節目、寺井だけでなく、宮本在浩(b)、菅一平(ds)のメインステム全員がトリビュート準備態勢で、当日まで稽古に余念なし。宮本在浩さん(b)の音色も眼光も鋭くなってきました。驚いたことにOverSeas酒豪番付関脇の菅一平さん(ds)は先日から禁酒中!なんと演奏中にビールを飲むと、フラナガンの視線を感じるらしい…

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 生前のフラナガンが寺井尚之のプレイを聴くときは、あの大きな瞳を見開き、みじろぎもせず、レーザービームの眼差しで終始プレッシャーを与え続けた。トリビュート・コンサートでは、三人ともその視線を感じながらプレイするのだろうか?

 生前のフラナガンのプレイを生でご覧になった方が少なくなってきた現在、フラナガンの名演目と銘打ってお聴かせする者には、それ相当の覚悟が必要です。


 トミー・フラナガンは、お客様になじみのない曲を、「どこかで聴いたことのある懐かしい」曲、「まるで前からよく知っていたスタンダード」みたいに聴かせる名手だった。トリビュート・コンサートでは、きっとそんな気持ちが味わえるに違いない。

 寺井尚之が身近に接した稀有な天才、フラナガンのイメージを少しでも多くの皆さんにお伝えすることができれば、私も幸せです。

 先日の金融恐慌の直後、ベルリンのピアノの巨匠、ウォルター・ノリスさんから来たメールには、こんなことが書いてありました。
 “1930年代の世界恐慌で、ミュージシャン達は大変な苦労を味わった。今起こりつつある金融不安で、再び大恐慌が来たら、ハンク・ジョーンズのようなピアニストは、'90歳の高齢で再び同じ苦労を強いられることになる。そんなことにならないように祈るばかりだ。”
 
 今でも私たちがトリビュート・コンサートを続けられるのは、OverSeasを応援してくださる皆さんが、おられるからこそです。

 当日は、皆一緒にフラナガンの名演目を聴いて、元気一杯、幸せになろう!トミー・フラナガンを知ってる人も知らない人も、ひとりでも多く来てください!
一緒に聴きましょう!!
  おいしいお酒も料理も楽しんでくださいな!!
 それが、トミー・フラナガンへの何よりの供養になるはずです。

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 前売りチケットはOverSeasでのみ販売中。座席に限りがありますので、どうぞお早めに!!

 CU

 


 

2008年09月26日

発表会レポートできました!

寺井教室の発表会は、演る人だけでなく、聴く側も真剣そのもの!こういう発表会は珍しいらしいです。黄色いシャツが審査委員長:寺井尚之、ピアノの後ろで、壁にもたれて耳を澄ますのは、川端名調律師。

 寺井尚之は、トミー・フラナガンが心臓大動脈瘤で倒れてから、一念発起、フラナガンの音楽を守るために、後進の指導に当たる決意をしました。丁度今から10年前のことです。

   今では、学生から熟年まで、アマからプロまで、色んな環境の沢山の生徒さんが、フラナガンの演目を熱心に勉強する、ユニークなピアノ教室になりました。実年齢と音楽頭脳の年齢は、余り関係ないみたいです。熟年でも凄く柔軟に音楽に取り組めるものなんですね!

   今年8月末に開催した発表会も15回目!普通のピアノ発表会とは違い、事細かに、各演奏者に対する、寺井尚之の厳しくて優しい批評付き。だから発表会が終わると、頭の中が生徒達の音で一杯になってしまい、寺井は誰よりも疲労困憊してます。
 
   一方、寺井尚之の師匠、天才肌のフラナガンは、一般的な意味での「教える」ということが全く不得意な人だった。逆に、弟子に大変な努力と苦労をさせて、師匠のアイデアや技術を、真に受け継がせる目的でそうしたのなら、フラナガンは「教える天才」であったのか? だけど、それは寺井尚之にしか使えない方法だったかも…。

トミー・フラナガンのNYの自宅にて

   寺井尚之の教授方は、「教え魔」であったフラナガンの弟分、サー・ローランド・ハナの影響かもしれません。

Sir_roland_hanna.JPG クイーンズ・カレッジで教鞭をとるハナさん:サー・ローランド・ハナ公式サイトより。


   レッスンや発表会で、生徒達のプレイを聴かせてもらっていると、私も思いかけず、色んなことを学ばせてもらえます。


  第15回の発表会レポートは、修業するピアニスト達への感謝の気持ちで書きました。ピアニストたち、応援してくださる皆さん、どうもありがとう!

 寺井尚之がどんな風にフラナガンから教えられたかは、いずれ気合を入れて書きたいと思っています。

CU

 

2008年09月11日

アニキ帰国

 これは、数年前のコンサート時の写真です。絵になるなあ。撮影:後藤誠 

先週は、寺井尚之のアニキ、元トミー・フラナガン3のジョージ・ムラーツさんがハンク・ジョーンズと大阪に来ていました。
 旅の多いアニキには、少しでもゆっくりしてもらって、おいしいものを食べてもらいたい… 寺井尚之も私もあたふたドタバタ、常連様、ファンの皆様もありがとうございました。

Doc_George.JPG OverSeasの常連さま、サイクリング健康法の権威、ドクター・カジはアニキと10年来の友人。


   おかげで、アニキは無事帰国の途についたようです。

 最終日は、グレイト・ジャズ・トリオで新譜をレコーディングしたそうです。ちょうど同じ日に、アニキとファーストネームで呼び合う友人、チェコのクラウス大統領(ジャズ・ピアニストです。)が日本の国連常任理事国入りについて福田首相と会談に来られていたので、アニキはぜひスタジオに招待しようと思ったのですが、一足違いで叶わなかったと、アニキは残念がっていました。

 先週のエコーズでは、ムラーツのオリジナル曲、Picturesqueには、「俺よりうまいやないか!」と鷲見和広さんのガッツ溢れてこなれたプレイを絶賛してくれて、嬉しかったなー!

 アニキの音楽をこよなく愛するOverSeas、例えアニキが世界中ツアーしても、これほど、アニキのオリジナル曲や、おハコの演目をトリビュートするジャズクラブはないと胸を張って言いたいです。

 終演後は、ベース奏法についてのアドヴァイスもたっぷりしてくれて、OverSeasで演奏しているベーシスト達には、値千金のアニキの訪問でした。

george_kimono.JPGそれにしてもキモノがよく似合います!ムラーツを神と崇めるコムラーツ、鷲見和広さんと


 来月は、ヨーロッパ全土を強行日程でツアーするアニキ、体に気をつけて!

また日本に来てくれるのを皆で待っています!

CU

 

 

2008年09月05日

或る夜の"エコーズ"

 echoes.JPG  エコーズ:寺井尚之&鷲見和広

 毎週水曜日は、寺井尚之(p)と鷲見和広(b)のエコーズが楽しい!
デュオのインタープレイと言えば、深遠なる「音楽の対話」というイメージかも知れないけど、エコーズはわかりやすい!おもしろい!!バップ・チューンで漫才みたいにかけ合いして、バラードでホロリとさせる。同じ曲を演っても毎回違った表情になります。…けど、通を唸らせる奥の深さもある関西風!

 ウィーク・デイなのに他府県からわざわざお客様が来てくださるのもありがたい。昨日も何名か遠くからお客様が来られていましたが、一番遠いところから来られた方は、はるばるNYから!数週間前から、お料理を含めご予約いただいていました。エコーズといえど、寂しい夜もあるけれど、この日は何故か超満員だった…

或る夜の演奏曲目
1st
High Fly (Randy Weston)
Out of the Past (Benny Golson)
Wisteria (George Mraz)
Picturesque (George Mraz)

2nd
On a Misty Night (Tadd Dameron)

Mean What You Say (Thad Jones)

I Wants to Stay Here (George Gershwin)~Happy Birthday

Passion Flower (Billy Strayhorn)

Denzil's Best (Denzil Best)

3rd
In a Mellow Tone (Duke Ellington)

With Malice Towards None (Tom McIntosh)

Blues for Sarka (George Mraz)

For the Kat Man (Walter Norris)

For a Cool Cat (Walter Norris)

 エコーズは、お客様が楽しく聴いて下さると、今度は、その楽しさがエコーズに逆流して、どんどん楽しいプレイになります。すると、自然に「今日のお題」が出来上がります。お題は、季節に因んだものから、「雨」とか「猫」とか「カルメン」に至るまで千差万別…サブテーマが生まれると、どんな曲にも、その「お題」が顔を出します。昨日の「お題」は、湿度最高だったからダメロンの“On a Misty Night”を演ったので、ミストになるのかと思ったら「誕生日」だった。それは、エコーズを聴きに来られた遠方のお客様の誕生日が6日後だったから。

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  I Wants to Stay Here の美しいアリアでしんみりして、ふと気が付くとメロディがHappy Birthdayに大変身、ノリの良い場内のお客様全員が「ハッピー・バースデイ」の大合唱!それからのエコーズは、スイッチが入ってどうにも止まらない… それからというもの、至るところ、あらゆるKeyで顔を出す、バースデイ・ソング!

  当のバースデイのお客様は、エコーズのこなれた演奏ぶり、ベーシスト鷲見和広のネタの仕込み具合、寺井尚之のとぼけた引用句に大うけ!音楽で繰り出すジョークに大笑い。「うまくなったなー」とつぶやいてくれて、嬉しかったなあ・・・
 言葉が違っても、音楽を通じたユーモアには国境がなかったのでした。

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  9月9日、アニキ、ちょっと前倒しにお誕生日おめでとう!


2008年09月01日

速報:第15回寺井尚之ジャズピアノ教室発表会

 昨日、当寺井尚之ジャズピアノ教室の15回目の発表会が無事終了しました。

 うちの発表会は「一味違う!」と、見学に来られるお客様によく言われます。それは、ピアノのタッチの美しさや、演奏曲、演奏レベルだけでなく、緊張度の高さ。会場全体が、これほど一生懸命に聴いてる発表会は他にないらしい…プロのピアニストでも、緊張で手が震えると告白する人が多い。


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  というのも、師匠が全員の演奏を、一音一句全て聴き漏らさずに、厳しくて愛情溢れる講評をしてくれるのが一因です。
 今回はいつも最終セットを飾る人気ベテラン陣が一部不在でしたが、初級から上級生徒まで大健闘!番付が高くなるにしたがって、演奏レベルもUP!生徒達の司会も楽しくて、4時間に渡るコンサートもあっと言う間でした。

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 緊張の後の笑顔はとっても素敵!この司会役は、『努力と最優秀賞の殿堂入り」を果たしたあやめ副会長。

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 宮本在浩(b)菅一平(ds)の二人が、長丁場も心を込めてサポート!後姿は録音、撮影をしてくれるyou-non氏!

sumi.JPGこのベーシストは発表者ではありません!エコーズ・ファンクラブ、コダマ会長のサックス演奏を応援のため、正装で演奏する鷲見和広さんです。

 「オリンピックじゃないんだから、本番で失敗しても、皆の実力はわしが一番よく知っている!」というのが、寺井尚之の口ぐせ。

  発表会の後は、各賞の発表に続き、「最近、入門しても、フラナガンも聴かんし、ライブや講座に来ん生徒が多すぎる!」と寺井尚之。しかし、なぜかボヤキ系スピーチを聴いて、見学に来た方が即入門するというハプニングも!

 記念写真と鷲見和広さんのショット以外は、当日のお客様にいただいた写真です。

 発表会公式カメラマン、You-non氏の演奏写真が冴える発表会レポートは、OverSeasのホームページに近日UP予定。

各賞受賞者(ニックネーム、敬称略)

新人賞:あい、マチルダ、アレグロ、スズコ
努力賞:コダマ *「殿堂入り」あやめ対象外
パフォーマンス賞:あい(名司会に)
構成賞:あやめ
Ad-lib賞:あやめ
タッチ賞:あやめ
スイング賞:あやめ
最優秀賞:アクビ *今回より「殿堂入り」あやめ対象外

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2008年08月22日

My Ship:フロイト的「女心の歌」 

寺井珠重の対訳ノート(12)

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  先週のメインステムのライブは楽しかったですね! フィンガー・シンバルや、オーラ・チャイムという棒状のパーカッションがツボにはまり、OverSeasにミントの香りが溢れ、涼しくなりました。MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)を聴いて寺井がヒントを得たらしいけど、両方ともチベット由来のもので、あの涼しいサウンドで悪いオーラが一掃されるらしい!
 因みに、あの可愛いフィンガー・シンバルは、ヨガ教師である宮本在浩(b)夫人の愛用の品です。
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 ケニー・ド-ハム(tp)の"Lotus Blossom"(睡蓮)や、ホレス・シルヴァー(p)の“Summer in Central Park”など、この季節ならではの筋の通ったハードバップもよかったけれど、私の大好きな唄、"My Ship"が聴けました。

『私のお船』

  寺井尚之のアルバム『Yours truly,』のヴァージョンも大好きですが、今はもっと肩の力が抜け、大海原を表現するグリスもずっとしなやかです。
 
 作詞はアイラ・ガーシュイン、作曲はドイツ生まれのクルト・ワイル、アイラが、弟のジョージ・ガーシュインの死後、2年のブランク後、ブロードウェイにカムバックした最初の大ヒットです。
 歌詞は確かに、幼い女の子のファンタジーのようでありながら、曲想は洗練された大人、まるでベビー・フェイスのグラマー女優みたいに不思議な魅力をかもしだしている。

 だから、歌い手は小娘じゃダメ! サラ・ヴォーンや、アニタ・オデイといった「大人」の歌手がサマになる。アニタ・オデイは、ステージで歌っているのも聴いた事があるし、何度もレコーディングして愛唱している。

何でなんやろう?

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『歌のお里』

 そこで、歌のお里を辿ることにしました。ジャズ・ミュージシャンが演奏するスタンダードのお里は、映画やブロードウェイが多く、街で流行っているものを、どんどん料理してジャズにしたので、お里を辿ると、「えーっ!こんな陳腐な唄だったの!?」とがっかりすることもあります。

  さて、マイ・シップが船出した港を調べたら、1940年、ブロードウェイのアルヴィン劇場で大ヒットした“Lady in the Dark”というミュージカルでした。原作は“ブロードウェイのプリンス”と呼ばれた当代一の劇作家モス・ハート、主演は英国出身の名コメディー女優ガートルード・ローレンス、まだ無名だったダニー・ケイがゲイのフォトグラファー役でブレイクしました。3年後に、ジンジャー・ロジャーズ主演で映画化された。
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『Lady in the Dark』
 ストーリーは、ファッションの世界や、キャリア・ウーマンに、サイコセラピーが絡む都会派トレンディ・ドラマ。    主人公リサは、一流モード雑誌の美人編集長で、妻のいる雑誌社の社長と同棲中。仕事は出来るし、崇拝者も多い。恋人の社長は、妻と離婚の段取りをして、ポロポーズしてくれたのに、何故かリサはうつ状態になる。    そこで彼女は、精神分析医にカウンセリングを受ける。医者は、彼女の深層心理を探るべく、子供の時によく歌った童謡をもう一度歌わせようとするのですが、どうしても途中までしか思い出せない歌がある。実は、リサのノイローゼの原因はそこにあった。「思い出せない歌」の中に彼女の心の秘密が隠されていたのだ…    そうなんです!その歌こそ「マイ・シップ」! サブテーマとして、劇中、何度も断片的に登場します。それはリサが、潜在意識の元で思い出すのをためらっている夢、抑圧されたリサの恋心の象徴だったというのがオチ。    結局、リサは、自分が本当に愛する男性は、社長ではなく、いつもケンカしていた社内のPRディレクターだったことに気がついたとき、その歌は心の中に完全に蘇って、リザが大らかに歌う「マイ・シップ」がフィナーレとなります。


Gertrude_Lawrence_mw70797.jpg  ブロードウェイで主演したガートルード・ローレンスは英国出身の名女優で、映画、演劇を通じて大スターだった。ミュージカル「王様と私」が亡くなる直前の最後の主演作で、当時全く無名だったユル・ブリナーを主役に推したのも彼女だったんです。

○ ○ ○ ○ ○ ○

なるほどね!どうりで、イノセントな詞に、洗練された品格のあるメロディがついていたのだ! 
  「マイ・シップ」の海は、海深層心理の象徴で、船は「本当の自分」だったのですね。
 心待ちにする「私のお船」、宝船の財宝も、「唯一人の恋人」が一緒に船で来なければ、船なんていらないという歌詞は、劇のストーリーが集約されていて、しかも、ストーリーの俗っぽさは消えている。これこそ、アイラ・ガーシュイン!改めてアイラならではの作詞の力を思い知りました。

マイ・シップ
私のお船は絹の帆で、
デッキは金の縁飾り、
船倉は ジャムにスパイス、パラダイス。

私のお船はたくさんの、
真珠でキラキラ光ってる、
宝の箱には、
ルビーがぎっしり詰まってる。
船が港に入る頃、
サファイヤの空に、
陽は沈む。


何年でも待ちましょう
いつかお船がやって来る
うららかな春の、その日まで
でも、もしも一番大事なものが
お船に積まれていなければ
真珠も何もどうでもいい


私の唄うのその船に
もし本当の恋人が
一緒に乗って来ないなら、
船のことなど心配しない、
そんな夢など要らないの。



私の唄うその船が
私だけの本当の恋人を、
一緒に連れて来なければ。

Littel_ship.jpg


My ship has sails that are made of silk-
The decks are trimmed with gold-
And of jam and spice
There's a paradise
In the hold.

My ships's aglow with a million pearls,
The rubies fill each bin;
The sun sits high
In a sapphire sky
When my ship comes in.

I can wait the years
Till it appears-
One fine day one Spring.
But the pearls and such,
They won't mean much
If there's missing just one thing:

I do not care if that day arrives-
That dream need never be-
If the ship I sing doesn't also bring
My own true love for me -

If the ship I sing
Doesn't also bring
My own true love for me.


 歌詞を読んで、ぜひ寺井尚之の演奏するMy Shipを聴いてみてください。ピアノなのに歌詞が聴こえて、無垢な心と、大人の洒落っ気が聴こえます。  CDでも!OverSeasのライブでも!

CU
 

 


2008年07月21日

The Mainstemで夕涼み

ms_7_19.-1.JPG '08 7/19(土) 於OverSeas

 ピアニスト寺井尚之が、長年の英知を総結集して大きく育てる新ユニット、The Mainstemで、爽やかなジャズの夕涼み!

 

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   毎回違う素材を、Mainstemならではのしつらえで、お客様に満足していただくには、寺井尚之(p)だけでなく、宮本在浩(b)、菅一平(ds)の、見えない努力が欠かせない。Mainstemのセカンドライブは、骨太でありながら冴え冴えしたサウンド、ダイナミクスの振幅も大きく、爽やかな後味だった。

kin%3Dmunazou-reunion.JPG "BOYS2MEN" 元寺井尚之ジャズピアノ教室のホープだった金ちゃんが、東京から久々に聴きに来て、むなぞう若頭とリユニオン!二人とも大人になったなあ…

 The MainstemSpecial Selection: 今夜の曲目 (曲目のブルーの字は、先週のジャズ講座に登場したナンバー。)

<1st Set>
1. Crazy Rhythm (Irving Caeser, Joseph Meyer, Roger Wolfe Kahn)
2. One Foot in the Gutter (Clark Terry)
3. Repetition (Neal Hefti)
4.Little Waltz (Ron Carter)
5. Well, You Needn't (Thelonious Monk)

<2nd Set>
1. Summer Serenade (Benny Carter)~ First Trip (Ron Carter)
2. Moon & Sand (Alec Wilder)
3. Mrs. Miniver (Dexter Gordon)
4. I Cover the Waterfront (Johnny Green)
5. Old Devil Moon (Burton Lane)

<3rd Set>
1. Syeeda's Song Flute (John Coltrane)
2. Central Park West (John Coltrane)
3. Trane Connections (Jimmy Heath)

4. Star-Crossed Lovers (Billy Strayhorn)
5. Black and Tan Fantasy (Duke Ellington)

Encore: Caravan (Juan Tizol- Duke Ellington)

 <1st Set>
 オープニングで爽快にスイングした“クレイジー・リズム”は、昨年暮に講座で取り上げてから、寺井の愛奏曲になった。
Terry-1.jpg “ワン・フット・イン・ザ・ガター”は寺井尚之が大好きなトランペッター、クラーク・テリーのオリジナル、天井の高いひんやりした教会のステンドグラスを震わせるようにブルージーなピアノのエンディングに泣けた!『溝にはまった片足』なんて、変てこなタイトルでしょ? 実は「聖者の行進」の昔、テリーが育ったセント・ルイスの街でパレードの花形だったハム・デイビスというトランペッターに捧げた曲なんです。
 ジャズ史の影には無名の巨人が沢山いるのだ!ハムは、行進の時、わざと脇の溝に滑り落ちながら、ハイノートをピリっとも狂わせずにヒットする名手!クラーク・テリー少年のヒーローだった。メロディより遥か2オクターブ上を朗々と吹くペットの音は、町中に響き渡り、10マイル先でも、「あっ、ハムだ!」と判ったというのです。テリーは、もう一曲、“Two Feet in the Gutter”という曲もハム・デイヴィスに捧げている。

    リピティションは、ニール・ヘフティのダンサブルな曲、チャーリー・パーカーの、風が吹き抜けるような名演で知られている。寺井が、宮本在浩(b)+菅一平(ds)のリズムチームの為に書き下ろしたアレンジで、今後、The Mainstemのおハコになるでしょう!




 

  1-4,5,2-1,2はこのアルバムに!
『Sugar Roy』/ロイ・ヘインズ(ds)


“リトル・ワルツ”は、モネの「睡蓮」のように光や風の「ゆらぎ」を感じさせてくれます。宮本在浩(b)のベースラインが、ピアノのサウンドに絡まる様子が素晴らしかった!

ラストのモンク・チューンには、ドラムの菅一平が、強力にパワーアップしていることを改めて思い知らされました。

<2nd Set>
 湿気で鍵盤が重い故、ことさらタッチを研ぎ澄ませているせいか、湿気を含んだせいなのか、ピアノは熟した果実のような芳香を放ちます。夕涼みにぴったりのサマー・セレナーデをプロローグに、ジャズ講座で聴いたロン・カーター(b)が印象的だったファースト・トリップで、宮本在浩さんの茶目っ気溢れる、「変則ビート」が飛び出して、講座に来られていた常連さんはニンマリ!
  
 ムーン&サンドは、アメリカ東海岸の文化の権化みたいな、ユニークで偏屈でロマンチックな作曲家、アレック・ワイルダーの名曲。寺井のプレイで長年聴いてきましたが、今までのベスト・バージョンのひとつ!この夜のハイライトだった。ワイルダーは多分、ニューイングランドの夜の海をイメージして書いたのだろうけど、今夜のThe Mainstemのバージョンはどこの海だったのだろう…私はインド洋の離島、電気のないコテージで過ごした夜を想いました。
 Mrs.ミニヴァーも、『ザ・パンサー/デクスター・ゴードン』でジャズ講座に登場した曲、ゴードンの大きなストライドの吹きっぷりそのままに、ゆったりしたテンポでスイングしてヒップだったね!

 波止場に佇みは、寺井尚之にとって、映画の主題歌ではなく、ビリー・ホリディのおハコです。「恋人の帰りを、荒涼とした波止場で待ち望む切ない曲」ただし、ホリデイの歌う恋人は「きっと帰っては来ない」けど、寺井尚之の解釈には「希望」の光が点る。えっ?イントロのメロディがどっかで聴いた事あるけど思い出せないって? だからね、「男はつらいよ」のテーマ・ソングだったんです。こういうところが寺井イズム! 
 
 そして、ラストはオールド・デヴィル・ムーン ラテンと4ビートのギアチェンジで、ハッピーエンドに楽しく仕上げました。

 
<3rd Set>
  
 レパートリーの視点から一番惹かれたのはラスト・セット。コルトレーンの2作は、トレーンの作曲家としての偉大さを教えてくれます!ジミー・ヒースがトレーンに捧げたトレーン・コネクションズも、ライブでは滅多に聴けない名作で、聴けて良かった!
 寺井が初めてジャズを聴いたのは、予備校時代、涼みに入った真夏のジャズ喫茶での「至上の愛」だった。ジョン・コルトレーンの命日は7月。トレーンの曲は手強いけれど、バッパーが演ると、冴え冴えして色気が出るという見本だった。

 コルトレーンの世界から、いとも自然に7月の曲、スター・クロスト・ラヴァーズへ!この辺りの組み合わせが『メインステム流』!ロマンティックだけどベタベタしない、最高の七夕のバラード!
 ラストはエリントニアの極めつけ黒と茶の幻想!河原達人さんの数々の名演を見ながら覚えた菅一平のマレットさばきに目を奪わた。

 アンコールのキャラバンは、弾丸スピードのスインガー、F1スポーツカーで飛ばしながら、シフト・チェンジするのは、こんな快感なのだろうか?グルーブが変化しながら快感も加速!

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 次回のThe Mainstemは、今週の金曜日です。曲のウンチクを知らなくたって、初めてジャズを聴く人だって、フィンガー・スナップ・クラックル、きっと楽しいワンダーランド! The Mainstemにお越しやす! 

CU

2008年06月30日

寺井尚之の旅立ち:<The Mainstem>初演

 6月28日(土)、寺井尚之の新ユニット、<The Mainstem>が初めてのライブを開催しました。
看板


 ベース:宮本在浩(みやもと ざいこう)、ドラム:菅一平(すが いっぺい):ここ何年も、寺井と腕を磨いてきましたが、この日は特別な夜。唄の文句じゃないけれど、First-Nightingには心踊る魔法があります。二人とも口には出さないけど、今日の為に多くの時間と稽古を費やしたことは、音を聴けばすぐにわかった。

 

今夜の曲目:
<1>
1. Bitty Ditty (Thad Jones)
2. Out of the Past (Benny Golson)
3. A.T. (Frank Foster)
4. If You Could See Me Now (Tadd Dameron)
5. Minor Mishap (Tommy Flanagan)

<2>
1. Almost Like Being in Love( Frederick Loewe, Alan Jay Lerner)
2. I Can't Give You Anything But Love (Jimmy McHugh,Dorothy Fields)
3. I Never Knew (Gus Kahn,Ted Fiorito)
4. If I Had You (Ted Shapiro/ Jimmy Cambell/ Reginald Connelly)
5. It's All Right with Me (Cole Porter)

<3>
1. Let's (Thad Jones)
2. A Blue Time (Tadd Dameron)
3. Mean What You Say (Thad Jones)
4. I Want to Talk About You (Billy Eckstein)
5. Raincheck (Billy Strayhorn)

アンコール: Cherokee (Ray Noble)


 First-Nightingは、じめじめした日本の梅雨だった。こういう日は鍵盤が重く、太鼓のチューニングは下がり、ベースも鳴りが悪くなりますが、新ユニットは雨も湿気もなんのその!プレイヤーの気迫と楽しさが伝わってきて、片隅で聴く私の心も日本晴れ!
mainstem_1st.JPG

 <The Mainstem>の初セレクションはデトロイト・ハード・バップ!サド・ジョーンズで始まりビリー・ストレイホーンに終わるという、逃げのない王道を突き進みました。

 オープニングの“ビッティ・ディッティ”に入る前のイントロで、寺井が聴かせたのは、朗々としたガーシュイン・ナンバー“フロム・ディス・モーモント・オン”、どうやら即興で入れたらしい。つまり、「このときから、わしはメンステムで演って行く!」というアナウンスの替わりだったんですね!

 演奏に溢れる季節の趣、“Out of the Past”のルバートで、さりげなく聴こえて来た“Here's That Rainy Day”は「やっぱり雨になってしもたなあ…」という、ピアニストの洒落たモノローグだったのかな?

寺井尚之

 寺井初演の曲<A.T.>は初演? A.T.とは勿論アーサー・テイラー(ds)のこと!ケニー・バレル(g)のアルバム、『All Day Long』の収録曲でフランク・フォスター(ts)のオリジナルです。今夜の為に、寺井が譜面を新しく書き直していました。憧れの巨匠のフィーチュア・ナンバーをプレゼントされた菅一平(ds)は、水を得た魚のように、活きのいいドラムソロを聴かせ、大喝采を浴びました。河原達人さんのMean Streetsのように、これから、この曲が彼のおハコになるのだろうか?

菅一平     宮本在浩

 ジャズ講座でフラナガンのアルバム解説をするうちに、自然にレパートリーに取り込んでしまった名曲も登場!
 エラ・フィッツジェラルドが歌った<2>-2や5は、最近の私的ヒット曲!コール・ポーターの“It's All Right...”のイントロとして、『モントルー'75』や『カーネギー・ホール』でエラが歌った“ビッグ・ノイズ・フロム・ウィネトカ”がピアノソロに挿入されていてニンマリ! <2>-3,4のスタンダードは、モントルーのJATPオールスターズで、クラーク・テリー(flg,tp)やトミーのソロが印象に残るけど、解説をするだけじゃなくて、自分のプレイの栄養にしているのはさすがです。宮本在浩(b)もそんな寺井に応えて予習十分、良いラインを作って、ハーモニーがヒットします。
 
 ラストセットは、大胆にもサド・ジョーンズの極めつけ、“Let's” から始まった。あの悪魔的なテーマが一糸乱れぬユニゾンで決まると、在浩、一平の顔に快心の笑みが浮かび、片隅から聴く私の心に爽やかな風が吹きました!えっ?寺井の顔はどうだったかって?隅から聴いていたから、顔は見えないけど、きっと表情は変わってないと思います… とにかくトリオはどんどんスイングして、色んな色合いを見せてくれた。!
 
 6月の名歌は、ビリー・エクスタインのバラード、I Want to Talk About You、この唄が何故6月の唄かというと、爽やかな初夏の夜、好きな人と月明かりに照らされる公園を、散歩しながら、こんな文句で愛を告白する唄なんです。
『6月の夜が素敵だとか、
月光に照らされる神秘的な小道、
そんな話はもうやめて。
僕は君の事が話したいんだ。...』

 そして、プログラムの最後は日本の梅雨のじめじめを払拭してくれる、ビリー・ストレイホーンのRaincheck! Rain Checkというのは、元々野球のゲームが雨で流れた時に配る振替券、『雨切符』のことなんです。ストレイホーンがカリフォルニアで作った曲を言われ、雨の曲なのに、どこまでも明るく軽快なスインガーで締めくくりました。

 アンコールは、想定外の“チェロキー”で客席の度肝を抜きました!ノロシの上がるのを見たインディアン達が雄叫びを上げながら攻めてくる。雄叫びが近づいたり、峠の向こうに遠ざかったり…ダイナミクス溢れるトリオのコンビネーションで、聴く者の心をわし掴みにしたまま、ライブが終わりました。

<The Mainstem>…初の船出は雨だったけど、明るい船出だった!次回は7月19日(土)、CU

2008年06月06日

FlanaganiaからMainstemへ:寺井尚之の旅立ち


 Jazz Club OverSeasの看板として、15年間の長きに渡り、皆様にご愛顧頂いたフラナガニアトリオが、先日5月30日のライブを区切りに活動休止となりました。最後の演奏曲は奇しくも“Caravan”、長い旅路への乾杯の歌か…粋だね!
kawahara-1.JPG    flanagania-final-4.JPG 横浜フラナガン愛好会から贈られたワインで乾杯!

 このトリオのレギュラー・ドラマーとして絶大な人気を誇った河原達人(ds)さんと寺井尚之の共演歴は33年だから半端ではない。レギュラーとしての活動期間はバリー・ハリス(p)とリロイ・ウィリアムス(ds)もかなわないだろう。

mc-terai.JPG    kawahara-4.JPG  KD-kawahara-1.JPG  KD-kawahara-2.JPG
右側の2枚は、埼玉から駆けつけてくださったKD氏から送って頂いたショットです!ありがとうございました!!




  税理士として多くのクライアントを抱え、山のようなアポイントとデスクワークをこなす傍ら、15年間、毎回、曲目を総入れ替えするフラナガニアのライブに付き合い、年2回のトリビュート・コンサートをこなすのは、並大抵のことではなかったはずです。

 以前は、月2回ペースで行っていたフラナガニアも、ここ半年は月一回のみのお楽しみ。リハーサルすらままならなくなっていました。それでも、あれだけの演奏レベルを保つことが出来たのは、「二人が過ごした歳月」のおかげだったのだろう。
 最後の舞台挨拶:「50歳になってドラムを叩くのは大変なことです。皆さんも50になったら判るでしょう。」は、同い年として深く受け止めました。

 河原達人:スタンダードの歌詞の「美の壺」を、音楽的にも文学的にも正しく理解した稀有なドラマー、寺井尚之のフレーズを先読み出来た理解者。巧みなタムの使い方や、音量のコントロール、「可愛い」という日本語の最良の意味での装飾音の数々に、他のドラマーは驚愕した。テクニックをひけらかす「目立ちたがり屋」でなく、アニタ・オデイ(vo)の最良のパートナー、ジョン・プール(ds)のように、聴く者の心をそっと静かに揺さぶり、コンサートが終わっても、温かく爽やかな余韻が尾を引くプレイだった。

kawahara-2.JPGフラナガン愛好会からワインと共に贈られたユニフォームに手を通す河原達人氏 

 私にとって河原達人は、一緒にお酒を飲んで一番楽しくおもろい人!ガサツではなく繊細な、真の意味での関西人!「教養」というものが、「知ってても知らんでも、実生活に全くカンケーのない素敵なもの」であるならば、河原達人ほど教養のある人を私は知りません。もしも突然に、和田誠と三谷幸喜から「飲みに行こう」と誘われたって、迷わず私は河原達人と飲みに行く!自分の美点を、決してひけらかしたり、威張ったりしないところは、彼のドラミングと同じだ。河原さんが、人知れず、「こいつ嫌いや」と思う人はいるかも知れないけど、河原さんのことを「嫌い」な人なんてこの世にいないはずだ。

young_tatsuto_kawahara.JPG遊びに来たトミー・フラナガンと一緒にセッションした後に。('93)


 良き父であり夫であり、税理士の先生でありながら、音楽しか頭にない独立独歩の無頼派ピアニストで天衣無縫の変わり者、寺井尚之と、よくぞこれまで付き合っていただいたと拝みたい。これからは、気の向いたときに、OverSeasで気楽なセッションを続けながら、菅一平さん(ds)たち後輩の教科書役、お目付け役でいてほしい!

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

 今月からは、新ユニット、“The Mainstem”(メインステム)で、スマートで集中力に溢れる斬新な演奏をお聴かせします。

 ベースは、このところ逞しさが付き、大化けしてきた宮本在浩(b)と、折り目正しい性格が、そのままビートに反映する菅一平(ds)
 "The New Trio" で、ビバップのビッグバンド時代の大ネタ、“ラ・ロンド・スイーツ”(別名 Two Bass Hit)や“マンテカ”、ファッツ・ウォーラーの古典をビバップで疾走する“ジターバグ・ワルツ”など、大胆にスイングするピアノ・トリオの斬新さは、すでに新局面を予感させ、新しいお客さまのハートを掴んでいる。

 “メインステム”という名前は、ジャズの深いリズムとハーモニーを、大河の潮流や、大木の逞しい幹に例えたデューク・エリントンの曲に因んだものです。
 “The Mainstem”、今日、56歳になった寺井尚之のデトロイト・バップ大行進はどんどん続く!
 
 寺井の口癖は、「季節の懐石」のようなプレイ。だけど、どこぞの老舗のように使いまわしはしないよ! だいたい、お客様に食べ残しされるものなんて、絶対に作らない所存。「ご立派なお献立でございました」なんて言われるのはイヤだ!
 「あー、おいしかった!明日も元気モリモリや。」と言っていただけるものをお聴かせします!

 記念すべき初演は6月28日(土)7pm- 勿論Jazz Club OverSeasにて!

 

CU


2008年04月04日

トリビュート曲目説明できました!

hisayuki_12th_tribute.JPG

 先日のトリビュート・コンサートは、凄く沢山のお客様が来て下さって、サービスが行き届かず、失礼しました。開演後に、玄関口で佇む人がいるのを、テーブル席のお客様に教えていただいたり、いつもながらとはいえ、ほんとにすみません!
 そんなわけで、終わってみたら、バタバタと駆け回って、ほとんど写真を撮れなかったことに気づきました…。

 トリビュートが終わった翌日からは、歌詞や、講座の本のための翻訳の仕事が山のように溜まっていましたが、さきほどどうにか、トリビュートの曲目説明をHPにUPしました。

 「曲目説明」は、いつも頭の痛いことです。よくジャズのレコードのライナーを読むと、「○○は、コール・ポーターの作曲、19××年に、ブロードウエイのミュージカル○○の中の歌われたラブソングだ。」とかなんとか、書いてありますが、スタンダードナンバーは、ほとんどがラブソングだし、「それでどないやねん?」と思ってしまうことがある。

 何か、演奏者がその曲を選んだ必然性というか、聴き所のようなものを書きたいのですが、文章にするのはムズカシイ…

 とにかく、今回も軽めの脳みそを絞って一生懸命作りました。
 とはいえ、結局、つまるところは『百文は一聴にしかず』であります。トリビュートの演奏曲をトミー・フラナガンで聴けるアルバムは紹介しておきました。

 また、当夜の演奏を聴きたい方はCDRがありますので、Jazz Club OverSeasにお問い合わせください。

 寺井尚之(p)、宮本在浩(b)、河原達人(ds)のフラナガニアトリオの皆さん、私に曲説を書く力をお与えくださってありがとうございました。

 CU
 

 

 

2008年03月30日

トリビュート・コンサート速報

昨日は、ありがとうございました!!日本の色んな場所から、沢山お客様が駆けつけてくださって、12回目のトリビュート・コンサートを開催することが出来ました!

12th_tribute-1.JPG 







<1st><2nd>
1. Oblivion (Bud Powell)

 ~Bouncing with Bud (Bud Powell)

 オブリヴィオン~ビッティ・デッティ
1. That Tired Routine Called Love (Matt Dennis)

 ザット・タイヤード・ルーティーン・コールド・ラヴ
2. Out of the Past  (Benny Golson)

 アウト・オブ・ザ・パスト

2. They Say It's Spring (Marty Clark/Bob Haymes)

 スムーズ・アズ・ザ・ウィンド
3. Minor Mishap (Tommy Flanagan)

  マイナー・ミスハップ
3. Beyond the Bluebird (Tommy Flanagan)

 ビヨンド・ザ・ブルーバード
4. Embraceable You(Ira& George Gershwin)

  ~Quasimodo(Charlie Parker)

 エンブレイサブル・ユー~カジモド
4. Thelonica(Tommy Flanagan)

 ~Mean Streets (Tommy Flanagan)

 セロニカ~ミーン・ストリーツ

 
5. Lament (J.J. Johnson)

  ラメント
5. Good Morning Heartache (Irene Higginbotham)

 グッドモーニング・ハートエイク
6. Rachel's Rondo (Tommy Flanagan)

 レイチェルのロンド
6. Our Delight (Tadd Dameron)

  アワ・デライト
7. I'll Keep Loving You (Bud Powell)

 アイル・キープ・ラヴィング・ユー
7.Dalarna (Tommy Flanagan)

  ダラーナ
8. Tin Tin Deo (Chano Pozo,Gill Fuller,Dizzy Gillespie)

 ティン・ティン・デオ
8.Eclypso (Tommy Flanagan)

  エクリプソ
<Encore:>
With Malice Towards None (Tom McIntosh)

 ウィズ・マリス・トワード・ノン



Ellingtonia: エリントニア

 Chelsea Bridge (Billy Strayhorn)

  ~Passion Flower (Billy Strayhorn)

  ~Black & Tan Fantasy (Duke Ellington)

メドレー:

チェルシーの橋~パッション・フラワー~黒と茶の幻想

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 大人たちに混じって、ベイビーだった頃から、ご家族で埼玉からずっと来てくれている可愛いお嬢ちゃんも、小学校高学年になって、一際プレイを楽しんでくれました。なんとお行儀の良いお嬢ちゃんでしょう!演奏を聴くキラキラした瞳、食事のマナーの良さ…私の今までの悪辣な行儀を反省しつつ、も今後見習います。ダイアナにその話をしたら、「まあ、なんて素敵なんでしょう!!将来はミュージシャンかしら…」なーんて喜んでいました。

 フラナガニアトリオの演奏は骨太で、軽やかだったり、重厚だったり、トリビュートならではのサウンドに、レジの前では「感動しました!」と、嬉しい笑顔が見れて、元気を沢山いただき、ありがとうございました。


flanagania_trio-2.JPG
ミーティング中のフラナガニアトリオ、宮本在浩(b),河原達人(ds),寺井尚之(p)

 ご来店くださったお客様、激励メッセージを下さった皆様、ほんまにおおきに!ありがとうございます!

これからも、身を引き締めて努力します。


 曲目説明はHPに近日UP!

CU

2008年03月28日

トリビュート・フィンガーズ

  ’75京都にて、トミー・フラナガン&寺井尚之 




 「白魚のようなピアニストの指…」というのは真っ赤な嘘です。

 明日のトリビュートに向けて、稽古を重ねた寺井尚之の指先は、子供の頃のおやつだった『爆弾あられ』のようにツヤツヤで弾けています。

fingers.JPG 寺井尚之の指先 

 ピアノの方は、川端名調律師が、優しく厳しいチューンナップを5時間ほど施して下さったら、明るい春の音色になって、明日の本番を待ちかねている様子。

 kawabata.JPG

 当夜の演奏はフラナガニアトリオ
ドラムスは、トミー・フラナガン3を何度も生で見て、アーサー・テイラー、ケニー・ワシントン、ルイス・ナッシュたち代々のドラマーのサポートぶりや、演奏曲の隅々まで知っている長年のパートナー、河原達人、ベースは、伸び盛りベーシスト、宮本在浩。スイングしていて意味のあるプレイをしてくれます!
zaiko.JPG    tatsuto-1.JPG


 トミー・フラナガンを想う沢山のお客様に、「思い出の種」を沢山蒔いて欲しい。

 トミーは子供のときに、植物の世話がうまくて、「良く育つ」緑の指を持った子だと言われたそうです。明日は弾けた指で、トミー・フラナガンの音楽の芽をどんどん育てて欲しいです!

 明日のコンサートが楽しいイベントになるように、私も、スタッフ達もOverSeasの片隅で精一杯働きます。

 開場6pm-、開演は7pm-

 CU
 
 

 

 

2008年03月26日

トリビュート・コンサートの前にスプリング・ソングスの話をしよう。(2)

 先週お話したビターなスプリング・ソングと違い、<They Say It's Spring>はパステルカラーの春の歌、ブロッサム・ディアリーという歌手のおハコです。
blossomdearie.jpg

 フラナガンによれば、名盤<Ballads & Blues>を録音した'78当時に、ディアリーがNYのクラブで歌っているのをよく聴いていたらしい。

 ディアリーの歌のレコードはこんなのです。 
 もし英語がよく判らなくても、歌詞に頻繁に出てくる、"L"とか"M"とか"F"の可愛い響きを、ディアリーはとってもうまく表現して、恋する女の可愛らしさに仕立てています。英語の歌詞はこちらにありました。

日本語にしてみたら、こんな感じになりました。

They Say It's Spring
Marty Clark/Bob Haymes

<ヴァース>
若い頃、私は夢見る少女、
ありそうもない伝説やおとぎ話、
想像の世界で暮らしてた。
正直に告白するとね、
大人になった今も、
現代人が声高に叫ぶ皮肉っぽい意見には、
どうも疑問を感じるの…

daisy.jpg

<コーラス>
春だってね、
だから、羽みたいに
ウキウキ気分になるんだって。
春だってね、
私たちが魔法にかかったのも
この季節にはありがちなんだって。

五月のせいなんだって、
だからヒナゲシみたいに
熱く燃えるんだって。
五月はね、
世の中をクレイジーにして、
ぼんやりさせるんだって、

今の私は、
空を舞うヒバリや、
チカチカ光って踊る蛍みたいな気分、
だけど、私には、
この気持ちが、
単なる季節の産物とは
決して思えない。

春のせいだってね、
私の耳にウエディングベルが聞こえるのは。
そりゃ、今は春でしょうよ、
だけど、コマドリがさえずりを止め
この季節が終わっても、
私はずっとあなたと一緒。
皆は春のせいだって言うけど、
本当は、愛するあなたのおかげなの。…


 どうですか?春らしい可愛い歌詞でしょう!

トミー・フラナガンが演奏するときには、必ず「ボブ・ヘイムズの曲…ゼイ・セイ・イッツ・スプリングを」>とアナウンスして演奏していました。
 ところで、若い皆さん、ブロッサム・ディアリーって知ってます?
 白人女性ジャズヴォーカルの一人ですが、Interludeを読んで下さっている方には、J.J.ジョンソン5のテナーサックス、フルート奏者、ボビー・ジャスパーの奥さんと言った方が判りやすいかも知れません。きっと、旧友の未亡人だから、フラナガンもディアリーの歌を良く聴きに行っていたのかも知れない。
 好き嫌いは別として、一度聴いたら忘れられない声をしてますよね。'70年代のNYの香りがプンプンする、ウッディ・アレンの恋愛コメディ『アニー・ホール』という映画を見たことがありますか?

  

 お笑い芸人と歌手、どちらも余り売れてない二人の、私小説的なラブ・ストーリーなんですが、ヒロインの歌手、アニーの歌を、もっと可愛く、うまく、洗練させたら、ブロッサム・ディアリーになるように思いました。アニー・ホールを演じるダイアン・キートン(実はキートンの本名がアニー・ホールなんだけど…)は歌手として、ディアリーが常時出演していたNYのキャバレー、『レノ・スウィーニーズ』に出演したこともあります。
 

 ディアリーは、歌手に留まらず、この声と演技力で、アニメの声優をしたり、CMソングでヒットを飛ばしたりしました。ジャズというよりは、むしろシャンソン的な味わい深い詞の語り方で、NYではとっても評価が高いシンガーなんです。
 とはいえ、彼女の歌うThey Say It's Springは、アメリカのケーキみたいにお砂糖を固めたアイシングがべったり付いた感じで、私にはちょっと甘すぎる。一方、フラナガンのプレイには、彼女の歌に滲み出る無邪気さや可愛さはそのままに、甘さを抑え、曲と歌唱解釈のエッセンスだけが抽出されているように感じるのです。「素材の持つ一番良いところを見抜き、最大限に引き出す。」のがトミー・フラナガン流なのだ!(エヘン)

 先週からお話してきたスプリング・ソングス、フラナガンが、その年に演奏した春の歌は、もっと色々あっただろうけど、これらの曲を聴くと、フラナガンと過ごしたNYの春の香りが甦ります。

 心臓に爆弾を抱えたトミーは、「後何回、自分は春を迎えられるだろうか…」と思いながら渾身のプレイを、毎年披露したのだろうか…

 追憶に浸る私とは違い、寺井尚之は、あの春にフラナガンから盗んだものを、20年近く熟成発酵させ、自分自身のものにしている。そして、毎年、春になると上の曲に加えて、<How High the Moon>とか<All the Things You Are>など、寺井的な色々なスプリング・ソングを聴かせてくれます。だって、春に2週間しかライブをしないトミーと違って、寺井尚之は春夏秋冬毎週4日演奏しなければならないんですから、色んな春のレパートリーが出来ました。

 土曜日はトリビュート・コンサート!フラナガンの雄姿を心に思い浮かべながら、「春」を満喫しよう!

 CU

2007年11月24日

トリビュート・コンサート曲説出来上がりました。

hisayuki-3.JPG


 トリビュート・コンサート、色々ありがとうございました。

 勤労感謝の日、お休み中に、やっと曲説が出来ました。http://jazzclub-overseas.com/tribute_tommy_flanagan/tunes2007nov.html

 sea-changes.JPG

 トミー・フラナガンの生演奏をご存じないお客様や、若いお客様も、沢山来てくださったし、寺井尚之は、“吉本よりおもろい文化漫談”と言われる「ジャズ講座」とは違い、演奏の際は殆どしゃべらないので、やはりどんな曲なのか知りたい方には、説明が必要かと思います。

 フラナガンの生の演目は、レコードと趣を異にするメドレー演奏も多かったし、トリビュートで演奏された演目もレコーディングが遺されていないものが多いのです。

 同時に、トミー・フラナガンという人は、常に進化するジャズ・ミュージシャンでしたから、一旦レコーディングした曲も、その後ライブで演奏をするうちに、どんどんヴァージョンアップしていきました。その頂点にあったアレンジがトリビュートの演奏では披露されていました。

 

 トリビュートのCDをご希望の方はOverSeasまで、お申し込みください。

 CU!