真のバッパーチャールズ・マクファーソン
&アキラ・タナ達来店で
寺井尚之&鷲見和広デュオは大全開!
2000年8月2日(水) by tamae terai

翌3日に帝国ホテルでLIVEがあったパーカー以降最高のアルト奏者チャールズ・マクファーソン、旧友の日系ドラマー、アキラ・タナ、ベテランベーシスト、アール・メイ、エバンス派の巨匠ピアニスト、ドン・フリードマン達が不意に来店。寺井尚之&鷲見和広コンビはみんなを楽しませようと大張り切りの大全開。またこの夜も名演が聴けました。ゲスト達はビューティフルを連発。真剣に聴いて下さって本当にありがとう!本当に気取らない素晴らしいスター達!また思い出の夜が増えました。感謝感激!

P.S.
寺井は
チャールズ・マクファーソンから「ヤング・ハンク」だと誉めてもらったそうです。ハンク・ジョーンズみたい、とは最高の賛辞でしたが、やっぱり寺井尚之、「ヤング・トミー」と言って欲しかったそうです。でも素晴らしいミュージシャンに聴いてもらえて大満足ですね。


左から、寺井珠重、ビ・バップアルトNo.1のチャールズ・マクファーソン、ドン・フリードマン(p)、アール・メイ(b)、寺井尚之(p)、鷲見和広(b)、アキラ・タナ(ds)、寺井の母。
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寺井&鷲見デュオの演奏を熱心に聴くマクファーソン達。
とりわけガーシュイン物のアレンジについては、演奏終了後に2人をつかまえて熱心に質問するほど。
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真のバッパー、チャールズ・マクファーソンと寺井尚之&鷲見和広のデュオ。真剣に聴いてくれてありがとう!

昨年3月、そして今年も3月にジュニア・マンストリオのメンバーとしてOverSeasに来演した日系ドラマー、アキラ・タナ(中央)。
OverSeasとは長いつきあい。
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アキラ・タナと記念撮影。
あいかわらずアキラさんの優しい幸せそうな笑顔は最高ですね。

セロニアス・モンクの「パノニカ」を聴いた後、
寺井の譜面をチェックするエバンス派の巨匠ドン・フリードマン。
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寺井のCDを買うというアール・メイさん。
差し上げると大喜びでKISSしてくれた!?。その後ジャケットをしげしげと…。

LIVE日誌:8月2日
投稿日 8月9日(日)23時38分 投稿者 児玉 勝利
今月も毎週水曜日寺井〜鷲見コンビを聴くことが出来るが、今日はその最初、勇んでオーバーシーズへ。するとなんと、
チャールズ・マクファーソンアール・メイが座っているではないか!この後更にアキラ・タナさんやドン・フリードマンもコンビの演奏を聴きに来るとのことで、背後を気にしながら席に着く。

さて大御所を前にしてのコンビのプレイ、1stセットは"Bitty Ditty"から。ベースのウォーキングに乗って軽快に流れるピアノ、コンビの掛け合いも乗っている。続いて"Summertime"の曲名が告げられると背後から、喜びの声が聞こえた。やはりピアノとベースの合唱によるやさしくいたわるようなテーマ、続くソロでもこのやさしさが心に染み入る。"Blues For Sarka"ではテーマでの鷲見さんのアルゴが少し堅いめの音だがなかなかいい響き。ソロでも丁寧に曲を作り上げてくれた。演奏が終わった時、背後から大きな拍手が聞こえた。セットのラスト、"Picturesque"は快調なテンポ、流れるようなピアノソロ、そしてベースははずむような歌を聴かせてくれる。そして何よりもコンビの掛け合いに魅了される。セットが終わると背後からコンビに対して大きな拍手が聞こえた。

2stセットは"Mean What You Say"から。ベースのウォーキングに乗って心地よく流れるピアノのメロディ、でも四連の連続とそれからの見事な展開を見せつけられると、レッスンで一拍三連に苦しめられている劣等生としては唯々ため息が出るばかり。ベースの軽快なソロ、そしてピアノの仕掛けに対する細やかに歌も気持ちよい。"Enigma"は今日は幾分テンポを落として、と言うより前回がアップテンポであり、これまでのテンポでと言ったらいいのだろうか、奥深く拡がる世界を描き上げてくれる。ここから段々と背後からの拍手も力の入ったものとなってきたように感じた。"I Wants To Stay Here"ではピアノの優美なソロ、特にアルペジオからの展開は見事。鷲見さんもやはりガーシュインを織り込んでの心憎いソロ、ここでは背後から笑いが。そして演奏が終わった時には背後から驚嘆あるいは歓声ともとれる声が・・・。前回そして今回とピアノソロの傾向が今までと変わったように感じた。前回のLIVE日誌でも書いたように、力強い美しさでもなく、ダイナミックな美しさとも異なる、それでいて全体として調和した美しさを保っている。それを具体的に書くとなると僕の能力の限界を超えている。また、鷲見さんのソロも、同じガーシュインを織り込んでいると言っても様々に変化する。これをうまく表現することが出来ないのも残念だ。"Strictly Confidential"では一転、軽快なテンポで小気味よく迫ってくれる。コンビの掛け合いも楽しい。

3rdセットになってアキラ・タナさん、ドン・フリードマンが来店、久々に見たアキラ・タナさんのあの笑顔、こちらも思わずにっこり。さて、セットは"That Tired Routin Called Love"から"With Malice Towards None"へと続く。いずれもコンビにぴったりの曲だ。鷲見さんのまるでベースに歌を歌わせるようなプレイ(そしてそれは僕にとって鷲見さんの大きな魅力だ)。それが寺井さんの歌の聞こえてくるピアノのプレイとマッチしている。コンビはこの2つの曲が持つ歌を聴かせてくれる。曲の持つ歌を引き出してくれる、これは寺井〜鷲見コンビならではのことではないか。モンクのバラード"Pannonica"ではゆったりと落ち着いた雰囲気を味わせてくれる。そして、今日のラストはおなじみ"Denzil's Best"。テーマでちょっとつまずくが、すぐに持ち直す。ベースはやはり今日も木目細やかに丁寧に曲を仕上ていく。ベースのソロの最中に寺井さんが手を止めていて、鷲見さんがあれっと言った表情で寺井さんを見る場面も。でも、最後は見事に決めてくれた。曲が終わった時、背後からも大きな拍手。すばらしい人達と聴いたすばらしいLIVEの一時、ささやかな幸せを噛み締めながら帰途についた。


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