Mainstem: The Way You Sound Tonight (6/20)

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 本格的な梅雨到来!今夜は夜更けになると大雨が降ってます。季節のレパートリーで聴かせる寺井尚之The Mainstemにとって、低湿度の国で生まれた爽やかな6月の名曲をじめじめの大阪で演るには、それ相当の覚悟と腕が要るらしい…
<The Way You Taste Tonight>
 今夜のThe Mainstemには、朝晩肌寒い北海道から爽やかなプレゼントが届きました。摩周湖のジャック・フロスト氏が送って下さったグリーン・アスパラは日本一の味!出来立ての「蒸し豚」と、自家製ナムルに添えると、最高の Mainstemスペシャル・メニューに・・・おかげで演奏もカラっとした爽やかさが一杯!MR.JFご馳走様です!
yummy_pork_vegies.JPG  見た目もアメイジングなアスパラ!自宅で育つ菊菜の新芽でナムルを作ったら、この菊菜の栽培を教えて下さったK氏も1番テーブルに来られ、召し上がってくださいました。
 むなぞう副会長&N.Mitamura両氏がディナーを楽しむ4番テーブルで無作法にパチパチ撮影、Sorry, Boys!

<今夜の曲目>
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<1st>
1. The Way You Look Tonight 今宵の君は (Jerome Kern/ Dorothy Fields)
2. Out of the Past アウト・オブ・ザ・パスト(Benny Golson)
3. Strictly Confidential ストリクトリー・コンフィデンシャル (Bud Powell)
4. Heaven ヘヴン (Duke Ellington)
5. Pent Up House ペント・アップ・ハウス (Sonny Rollins)

1. Monk’s Dream モンクス・ドリーム (Thelonious Monk)
2. I Had a Craziest Dream アイ・ハッダ・クレイジエスト・ドリーム (Harry Warren/Mack Gordon)
3. Medley: Embraceable You ~Quasimodo
メドレー:エンブレイサブル・ユー(George & Ira Gershwin)~カシモド(Charlie Parker)
4. I Want to Talk About You アイ・ウオント・トゥ・トーク・アバウト・ユー (Billy Eckstine)
5. Lotus Blossom ロータス・ブロッサム (Kenny Dorham) 

1. Who Cares? フー・ケアズ?(George & Ira Gershwin)
2. Come Rain or Come Shine 降っても晴れても (Harold Arlen/ Johnny Mercer)
3. Sweet Georgia Brown スイート・ジョージア・ブラウン(Ben Bernie, Maceo Pincard, Kenneth Casey)
4. When Sunny Gets Blue サニーがブルーになった時 (Mervin Fisher/ Jack Segal)
5. Raincheck レインチェック(Billy Strayhorn)
Encore: With Malice Towards None ウィズ・マリス・トワーズ・ノン (Tom McIntosh)

<そういや講座で聴いたっけ!>
 The Mainstemライブは、その月のジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」解説曲の寺井ヴァージョンが聴けるのもお楽しみのひとつ!
 ケニー・バロン(p)とのデュオ・アルバム『Together』で聴いた”今宵の君は”が今宵のオープナーでした。
 例の問題作『The Super Jazz Trio』からは<1-5 >Pent Up Houseを選び、The Mainstemならではの鉄壁のユニゾンが凄かった。「どうやっ!」って大見得を切ってくれて胸がスカっとしましたね!
 <3-3>は『Together』で聴いたマイルスのバップ・チューン“Dig”の原曲“Sweet Georgia Brown”、寺井が今夜の為に書き下ろしたアレンジが大好評!
 旬の曲の合間にさりげなく挟んだ、エリントンの“Heaven”では宮本在浩(b)のベースラインが光ってました。
<あの名台詞も!>
 季節に因んだ名曲はディナーも終わってリラックスした2部から聴くことが出来ました。
 まずは3曲目の”カシモド”メドレーから。「えー、なんで??」と不思議に思う方がいらっしゃるかも知れません。かつてジョージ・ムラーツ(b)時代のトミー・フラナガン3を今頃の季節、NYで聴いたときのことでした。アドリブでフラナガンがバートン・レインの“How About You”の一節を不意に引用しました。
「I Like New York in June, How About You? 僕は6月のNYが好きさ、君はどう?」って。
そうしたら、ムラーツがすかさず後の句を最高の音程と抑揚で切り返したんです。
「I Like a Gershwin tune, How About You? 僕はガーシュインの曲が好きだよ、君は?」ってね。だって“エンブレイサブル・ユー”はガーシュイン作なんだもの!
 なんて粋なんでしょう!演った本人はすぐ忘れていたかも知れないけれど、この名台詞は寺井尚之の心の中にずっと残っていて、”カシモド”メドレーの中で欠かせないフレーズになっているんです。
 続く “I Want to Talk About You”も旬な曲。バップ・バラードの白眉といえるこの作品は甘いマスクとバリトン・ボイスで、黒人初の2枚目シンガーとなったMr.Bことビリー・エクスタイン(vo.vlb tb.tp)の作品。アイドル歌手として稼いだ資金でパーカー、ガレスピー、アート・ブレイキー、ケニー・ド-ハムなど最高のバッパーを集めた夢のようなビバップ・ビッグバンドを結成したBop史の最重要人物で、サラ・ヴォーンの師匠でもあります。

billy_ecksteine.jpeg「6月の夜のことや、
ビロードの月に照らされる小道のこと、
    そんな話はもういいよ。
    君のことを話したいんだ。」

 寺井尚之はバップのアクセントで歌うビリー・エクスタインが大のお気に入り!このバラードは当時タッド・ダメロンがビッグ・バンド用にアレンジしてヒットしました。
lotus.jpg 二部のラストは、旬のハード・バップの白眉!エクスタインのバンドで腕を磨いたKDことケニー・ド-ハム(tp)の『蓮の花』!6拍子から4ビートへとギアを目まぐるしく入れ替え、ジェット・コースターみたいにスイングするThe Mainstemは最高!演奏全体を見据えながら寺井と一体になってダイナミクスを劇的に変化させる菅一平(ds)の新境地を見せつけられました。若きピアニストたちは、この曲演りたい!と口々に言っていたけど、難しいらしい・・・
<”Pitter Patter”もしくは”しとしとぴっちゃん”・・・>
 三部では「雨」の色んな情景が聴こえてきました。<3-2>「降っても晴れても」は明るい雨の景色、
 キングコールで有名な<3-4>は哀しいけれど、可愛い雨。
 

明るいサニーがブルーになると、
 瞳はグレイの曇り空。
 ピタパタ、しとしと
 雨が降りだす。
 恋に破れて、どうにもならぬ、
 私の優しいあの人は、
 もう私のところにやっては来ない。
  ・・・
 心の傷はそのうち癒える、
 新しい夢も芽生えるさ、
 新しい恋よ、恋人よ、
 急いで急いでやって来い。

 クロージングは、最高に軽快な雨、” Raincheck “、『レインチェック』はスポーツの試合などが雨で出来なくなったとき、代替に渡すチケットのことで「雨天順延」の意味でも使う言葉。NYヤンキースタジアムは今年は異例にレインチェックが多いらしい。フラナガンの名演目ですからトリビュート・コンサートでもお馴染み!湿気を吹っ飛ばすThe Mainstemのプレイに大きな拍手が!
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 アンコールもOverSeas的大スタンダード!The Other Sideなミュージシャン達にも悪意を向けてはならぬという寺井尚之の自戒の弁だったのかも…
 とはいえ、高松から1年半ぶりに来て下さったSさんの大好きな曲で「ラッキー!」と喜んで下さっていてよかった!With Maliceは文字通り、「聴いてくださる全ての方への愛の曲」です!
 次のThe Mainstemの出演は26日、今週金曜日!
私は次回も清涼感のある料理を作ってお待ちしてます。
CU

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