ショーン・スミス(b)+寺井尚之(p)デュオ:Kindred Spirits

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 NYからやって来た実力派ベーシスト、ショーン・スミスと寺井尚之のデュオ・コンサート、遠くから近くから、沢山お越しくださってありがとうございました!
 サド・ジョーンズの悪魔的難曲「Elusive」の譜面が縁で始まったお付き合いも、早いものでもう10年を超えました。イタリアにルーツを持つショーンは物静かでにこやかな人。NYから日本に向かう飛行機で運命的な出会いをした安紀子さんと結婚してからは、見た目も含めて日本化しているみたい。料理上手な夫人のおかげで、今の好物は納豆やお好み焼き、お箸も完璧に使ってご飯粒ひとつ残さずに、何でもきれいに食べちゃったのにはびっくり!
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 今回のリハーサルはAt Ease! 通訳なしで瞬く間にサウンドがまとまってしまいました!でも、それはショーンが日本化したためではなく、二人ともが、この日のコンサートを大切に思って、しっかりと宿題をやっていたからだと思います。
 前回同様、ショーンは宮本在浩(b)さんのコルシーニとアンプを借りて演奏しましたが、弦高はかなり高くしてました。大事な楽器を快く提供してくれるミュージシャンシップに感激したショーンは、ザイコウさんが右手指切断寸前の大怪我を克服したこともちゃんと調べていて、ベーシスト同士の話題で盛り上がっていました。

《コンサート曲目》
<1st>
1.50-21(Thad Jones)
2.Lawn Ornament ローン・オーナメンツ(Sean Smith)
3.Poise ポイズ(Sean Smith)
4.Minor Mishap マイナー・ミスハップ(Tommy Flanagan)
<2nd>
1. Mean What You Say ミーン・ホワット・ユー・セイ(Thad Jones)
2. Strasbourg ストラスブール(Sean Smith)
3.If You Could See Me Now イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ (Tadd Dameron)
4, Blues for Beans ブルース・フォー・ビーンズ:父に捧ぐブルース(Sean Smith)
<3rd>
1. Bitty Ditty ビッティ・ディッティ (Thad Jones)
2. Minor Piece マイナー・ピース (Sean Smith)
3. もみじ~Japanese Maple ジャパニーズ・メイプル(Sean Smith)
4. You’d Be So Nice to Come Home to~Hitting Home ヒッティング・ホーム(Sean Smith)
Encore: Elusive イルーシブ (Thad Jones)

 作曲家としてグラミー賞にノミネートされたこともあるショーンさんのオリジナルは200を超えるほどあるそうですが、その中でも最高に難しい曲をセレクトして寺井に送ってきました。彼の譜面は音楽ソフトで作ったものではなく、寺井と同じ全て手書き、寺井尚之ジャズピアノ教室の初レッスンで教わるとおりの書き方で書かれています。
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 オリジナル曲中心のライブは難曲であればあるほど、時に難解で退屈になるものですが、仕込み充分の演奏は、さりげなく楽しい味わいになっていて「さすが!」と言った感じ。
 昨年も演奏してくれた「Japanese Maple」をコールすると客席から拍手が湧いたのにショーンがニコニコしていたのが印象的です。
sean_P1020848.JPG  セットを重ねるたびに、演奏は熱いものになっていきました。顔を紅潮させて、唸り声を上げながらプレイするショーンの姿は、オフの時の物静かな表情からは想像すらできません。
 一方、寺井尚之は対照的な涼しいポーカー・フェイスで対抗、だけどポーカー・フェイスのためには、「なんちゅうややこしい曲や・・・」とブツブツ言いながら、相当の稽古をしていたことを、こっそりここに書いておきます。
 ラスト・セットの「Japanese Maple(もみじ)」「Hitting Home」は、この夜のコンサートで特に好評でした。寺井はリハで、「イントロちょうだい」と言われて、普通にイントロを出していましたが、本番になると、「Japanese Maple」には文部省唱歌の「もみじ」を、「胸にグっと来る」と「お家に着く」のダブル・ミーニングがある「Hitting Home」には、ショーンさんがよく伴奏をしているヘレン・メリルのおハコ「You’d Be So Nice to Come Home to」を、何食わぬ顔でイントロに使い、ショーンはニンマリ。
 終演後、改めて「秋の夕日に、照る山もみじ~♪」と夫人に歌ってもらっていたので、今後ショーン・スミス・カルテットの定番になるかもしれません。
 アンコールは「出来るも出来ないも時の運ですが・・・」と、二人の記念すべきサド・ジョーンズ作品「イルーシブ」で大団円、1年半ぶりの共演と思えないほど、こなれたコンサートになりました。
 ショーン・スミスと寺井尚之、互いの演奏スタイルは違っても、気心の知れたキンドレッド・スピリッツ!それは、ザイコウさんが掲示板に書いていらっしゃったように、「二人が先人を尊敬してお互いに尊敬しあっているからこそできた演奏」だったからに違いありませんね。
 終演後は、エディ・ロックさん(ds)や、トミー・フラナガン、レッド・ミッチェルなど、尊敬する先人たちの話題で時間の経つのを忘れるひとときでした。エディさんに息子のように可愛がってもらったショーン・スミスは、兄弟分のビル・シャーラップ(p)やジョン・ゴードン(as)と一緒に、エディ・ロックゆかりの聖ピーターズ教会でトリビュート・コンサートを開催する計画を立てているそうです。11月末を予定しているそうなので、また決まったらお知らせします。
 おつかれさま、ショーン・スミス!来てくださった皆さま、重ねてありがとうございました。
 また来年のお彼岸辺りにコンサートができればいいなと思っています。その節はよろしく~! CU
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左から寺井、宮本在浩(b)、ショーン・スミス(b)、安紀子夫人

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