林宏樹(ds)リターンズ:そよ風のようなドラム・ソロだった。

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 天神祭り宵宮に帰って来ました!東海のバディ・リッチこと林宏樹(ds)先輩。
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 今回も沢山のファンの方や、学生時代の旧友が沢山集まって、凄い熱気のライブ!「不惑」ジェネレーションの先輩達の中には現役ミュージシャンが驚くほど沢山いらっしゃいました。とはいえ、演奏内容は決して「なかよし会」レベルではありません。強烈なテクニックで繰り出すビートは懐深く気持ちいい!林宏樹さんのプレイを聴くといつも爽やかな気持ちになるのは、テクニックが有り余っていても、決してSHOW-OFFしないところです。「オレってなんでこんなにうまいんやろう!」と才に溺れないところが、「そよ風」の演奏になるのかな?故に、旧友でなくとも、スッポンみたいに喰い入るように林宏樹をCheckしてる人も・・・
watching_hayashi.JPG そうです!昼過ぎのリハから本番まで、ず~っとこの位置に前傾姿勢で座っていたのが菅一平(ds)、すごいですね~、コワいですね~、ベテランの技を盗んだろうという執念がすごく素敵です!!因みにお隣に座っているのは、林さんより少しだけ後輩で、やはり関西学生ジャズ界にアブラタニありと謳われたドラマーの油谷喜光さんです。
 イラチ?イビリ?とにかく速いテンポで行こうとする寺井3ですが、この日は適度にゆったりしてスピード感のあるCaravanが聴けて大満足。Oleoの三位一体プレイも良かったですね。御大二人の間に挟まっての名脇役は宮本在浩(b)、林さんも、客席の新旧ミュージシャンたちも、ザイコウのプレイを絶賛してました。
 終演後は久々に駆けつけてくださった関大OBで元祖イケメン・ベーシストの山川孝治さんたちと、’70年代の学生ジャズシーンを総括。毎晩、北新地の高級クラブを掛け持ちして、荒稼ぎしたことや、大卒初任給7万円時代に、売れっ子ホステスさんのサラリー100万円、移籍支度金、千万円で、そういう人は大体「おばちゃんやった。」とか・・・歌伴のトラに行って譜面が読めなくてエラく怒られた話や、キャバレーの壮絶な楽屋風景とか・・・ここでは書けない抱腹絶倒なエピソードが一杯でした。
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 林宏樹ご本人は、この夜の演奏に決して満足していないそうで、次回は、更に練りに練ったドラムでリベンジすることを誓っておられます。次回 林宏樹(ds)ライブは12月4日(土)の予定。林先輩、心待ちにしてます!!
 明日は寺井尚之(p)トリオ、ザ・メインステム!
お勧め料理は加茂なすやズッキーニを二色ソースでグラタンにしてみます。
CU

林宏樹(ds) Check it!

 暑いですね!Dog Daysとはこのことか・・・OverSeasのある路地に夕方打ち水すると、少し涼しくなりますが、蚊の餌食になります。天神祭りの週は暑いのが当たり前だけど、ハンパじゃない。プールに行きたいっ!
 こんなに暑い大阪をますますホットにしようと今週の土曜日やってくるドラマーがいます。Yes! 東海のバディ・リッチこと林宏樹(ds)リターンズ!
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 有り余るテクニックをひけらかすこともなく、大きなエンジンで、スイング感を強烈に推進するドラムス、ベテランなのに少年の瞳がたまりません!謙虚で爽やかな余韻を味わった4月のライブ、大好評でしたが今回はいかに?
 寺井尚之のオハコ、Mean Streetsや、Eclypsoでも胸のすくようなドラム・ソロを聴かせてくれそうですね!

 当日は本拠地三重県からも、ファンの方が来られるそうです。まだ少し席はありますので、必ずご予約の上お越しください。
<REUNION SESSION!>
寺井尚之3
 featuring
林宏樹(ds)
and 宮本在浩(b)
日時:7月24日(土) 
7pm-/8pm-/9pm- (要予約:入替なし)
Live Charge :2,625yen

 お勧め料理には「バジル風味のポーク・ソテー、パスタ添え」を予定!
 じゃあ、これからカーメン・マクレエの世界に戻ります。
8月1日のマクレエ講座もよろしく~
CU

カーメン・マクレエ・セミナー対訳準備中

macrae_seminar.JPG 今週は大荒れのお天気でしたね。昨日は通勤時に物凄い雨が降ったようです。夜中に大雨が降るので熟睡できないし、皆様バテバテになっていませんか?
 8月1日の日曜セミナーの為に、講師:寺井尚之が厳選したカーメン・マクレエの歌唱は若き日のディック・カッツ(p)さんが伴奏する『By Special Request』(’55)から、晩年のビリー・ホリディ集『For Lady Day』まで、カワイコちゃんシンガー(a girl singer)と言われていた時期から、”おっさん”と間違えられる時代まで、今のところ、全34曲。「いつ対訳くれるねん?」というドスの効いた取立てに泣きながら、さきほどようやく初稿の紙出しが終わったところです。
sammy_carmen.JPG 寺井尚之が解説しやすいように、草稿に加筆していくので、対訳作業はここからがやっとスタート地点。初期のレコーディングには、サミー・デイヴィスJr.との漫才みたいに楽しい掛け合いが聞ける「お目にかかれてうれしいね」など明るいものもあるのですが、マクレエの本領は、やはりトーチソングの悲劇性。何でもなさそうな「一言」に、強い痛みや、皮肉を込めるのがカーメンの必殺技なので、対訳を作っていると、私まで失恋したみたいな気持ちになって胸が痛~くなってしまうのです。
 仕事や勉強以外で毎日2時間以上インターネットを使っていると、ネット依存症(Digital Addiction)になってしまうそうですが、このまま毎日何時間もマクレエの歌詞を翻訳していると「失恋依存症」になってしまいそう・・・
 マクレエが歌を一生の仕事に選んだきっかけは、譜面がだめなビリー・ホリディの為に、新曲を歌って聞かせる「下歌い」をしたことから、弟子として、友人として彼女の一挙一動を見習ったことだったそうです。ところが、ビリー・ホリディの十八番を歌う時でさえ、ホリディ・フレーズのコピーはどこにも見つかりません。逆に、8月のジャズ講座で取り上げる阿川泰子さんのアルバムでは、慣れ親しんだホリデイの節回しがモロに出てくるので、二つの講座で聞き比べると面白いかも知れません。ホリディに心酔して、身も心もどっぷり浸かったカーメン・マクレエの歌には、表面的なスタイルでなく、そのエッセンスが昇華されているように思えます。
 寺井尚之のプレイにも、フラナガンのコピー・フレーズはほとんどないですから、その辺りもたいへん興味深い。
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 カーメン・マクレエの歌詞解釈が判っていただけるような対訳を目指して、これからさらに磨きをかけていく予定です。
 ぜひ、日曜講座にお越しください!
<Carmen McRae講座>
日時:2010年8月1日(日)
時間:正午~3:30予定
受講料:2,500円

 今週土曜日は寺井尚之メインステム3!お勧め料理は「蒸豚&チヂミの盛り合わせ」を!
CU
 
 

対訳ノート(28) 「あめりか物語」とIndian Summer

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 梅雨と言えない豪雨、大阪も暑いけどNYは記録的猛暑とか…皆様いかがお過ごしですか? ライブだけでなく発表会や講座の予定が一杯でアップアップですが、なんとか達者に暮らしております。
 今週のジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」では、ザ・マスター・トリオ:『Blues in the Closet』のほかに、講座本第7巻収録の超名盤、Jazz at Santa Monica Civic ’72の未発表テイクで、エラ・フィッツジェラルドの最強の歌声が花火のように炸裂しますので乞ご期待!
 その中に”Indian Summer”という名曲があります。インデアン・サマーは夏じゃない。日本語訳すれば「小春日和」ということになっているけど、カウント・ベイシー楽団をバックに歌い上げるエラの歌唱は壮大で、私達日本人が持つ「小春日和」のイメージとは、なかなかつながりませんね。
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Indian Summerって何ですか?>
 ウィキペディアで調べてみたらこんな感じでした。
 Indian Summerは18世紀に作られた北米の言葉:北半球で通常10月下旬~11月上旬の間の短い温暖な時期、「初霜と紅葉の後、初雪の前」で、温度は21℃以上。
 何故「インディアンの夏」なのか?は諸説あるようです。
「ヨーロッパからの開拓者に対するネイティブ・インディアンの襲撃が、春と夏に限定されており、秋の温暖な気候にインディアンの脅威を感じるため。」とか、「”Indian”という言葉自体に”偽の、いつわりの”という意味があるから」とか言われているらしい。白人が勝手にインディアン(インド人)と呼んだだけなのに、”ニセモノ”と言われるのも迷惑な話ですね。
 夏の一番暑い時期を”Indian Summer”という地方もあるらしいけど、歌には余り関係ないですね。
 というわけで、歌を楽しむという視点からは、Wiki諸情報はSo What?なものが多かった。一番上の写真はエラの壮大な歌に似つかわしいと思うのですが、対訳を作る際に参考になったとは言い難い。
<昔の日本人は偉かった!>
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 そんな時はやはり書物です!最近読んだ永井荷風の紀行文的短編小説集「あめりか物
語」に、季節に敏感な日本人の感性でインディアン・サマーを端的に捉えた記述がありました。

岩波文庫:あめりか物語 「春と秋」より抜粋。p.104
「11月の第2日曜の頃・・・この国では、インデアン、サンマーともいうべく、空は限りなく晴れ、午後の日光(ひかげ)はきらきら輝きわたっていたけれど、しかし野面(のもせ)を渡る風は、静かながらに、もう何となく冷たい。裏手の小山から、処々に風車の立っている村のほうを観ると、樫(オーク)の森が一帯に紅葉していて、その間から見える農家の高い屋根には、無数の渡り鳥が群れを成して、時々一団、一団に空高く舞い上がる。程なく来るべき冬を予知して、南の暖かい地方に帰って行くつもりなのであろう。…」

 「インデアン、サンマー」というのが発音そのまんまでええ感じ!「あめりか物語」は明治41年(1908年)の短編小説集で、インディアン・サマーの日本文学にデビューの書かも。短編 「春と秋」は、ミシガン州南部の神学校に留学した日本人学生が、異国という特殊な状況で織り成す物語。
 「あめりか物語」は、荷風が実際に米国に洋行した経験を元に書かれた作品で、海外旅行など不可能で、TVもなかった明治時代に大好評を博したそうです。あちらの気候風土だけでなく、当時のブロードウェイや、娼館の様子などもリアルに描かれていて、今読んでもすごく面白い。現在のアメリカを扱った紀行文やTV番組より面白いかもしれない。何しろ、書物でしか知らない異国の地に渡った荷風の興奮や驚きが、よく伝わってきます。ジャズ・スタンダード曲も明治時代に作られたものが多いし、対訳作るのにとても参考になりました。 娼婦が歌う唄(ブルース)の歌詞が英語で記述されてる箇所もありました。温故知新!昔の日本人は凄いね!
<歌の空気>
 荷風の文章を読むと、歌の空気がよく判る。初夏に「わたし」は失恋する、傷心を抱え季節は冬へと向かい、木々の葉は赤く色づき風は冷たい。そんな物悲しい晩秋に訪れる暖かなインディアン・サマーの青空と輝く太陽に、失われた恋が甦る。厳寒の冬に向かう暗い心に、優しく灯される一条の光のような短い季節インディアン・サマー・・・エラの歌唱を聴くと、たとえ2コーラス目に歌詞を間違えようと、ワインレッドの樫の森や青い空、紅葉を照らす日光や、美しい風景を映す湖の情景、失恋の痛手から立ち直り、厳寒の冬に立ち向かおうとする心情がしっかりと現れます。こういうのを「音楽的真実」というのでしょうか?
インディアン・サマー
(Al Dubin/ Victor Herbert)
懐かしのインディアン・サマー、
お前は6月の笑顔の後に
やって来る涙、
お前は幾多の夢を観る。
私とあの人の叶わぬ夢、
二人で夏の始めに観た夢を。
大事な言葉を言われぬままに、
終わった恋の心の傷を
見守る為に来たんだね。
お前は、はかなく消えた6月の恋の亡霊、
だから私は呼びかける、
「さようなら、インディアン・サマー」と。

 エラの歌うIndian Summerを土曜日のジャズ講座で、寺井尚之の解説で、ご一緒に聴きませんか?
 お勧め料理はジンジャーやワイン・ヴィネカーを利かせて、暑い季節にぴったりの、ビーフストロガノフにします。
CU

対訳ジゴク Again・・・

 日本列島がW杯に熱狂してるうちに7月到来!皆様、寝不足と暑さでバテていませんか?野球は好きでも、サッカーは全く音痴の私、やっと「オフサイド」の意味が判った夜に、岡田ジャパン惜敗、「よく頑張った!」と激励したいけど、疾走する選手達の一瞬の動きが和音なのか不協和音なのかよく判らないし、まだまだサッカー本来の「醍醐味」は味わえてません。
 ジャズも然り、ジャズに興味を持ち始めた方が、ジャズ本来の「醍醐味」を味わうためには、ライブや名盤を聴くときに、音楽の仕組みや、曲やミュージシャンの背景など知っていたら、余計に楽しいですよね!
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 ジャズの醍醐味、トミー・フラナガンの醍醐味を味わうには、ジャズ講座は絶好の機会、私の対訳業務はジャズ講座から始まりました。現在「トミー・フラナガンの足跡を辿る」はエラ・フィッツジェラルドの音楽監督時代を過ぎ、対訳の仕事は一段落だったのですが、ジャズピアノ教室生徒会の要望で、8月にカーメン・マクレエのセミナーをやることに決まり、思いがけなく対訳に明け暮れる恐ろしい日々復活。
 講師、寺井尚之がカーメン・マクレエの全ディスコグラフィーから選りすぐったのは目下34曲、実は、ずっと昔のジャズ講座創世記にカーメン・マクレエを取り上げたことがありました。その時聴いたカーメンの“Never Let Me Go”は本家ナット・キング・コールのロマンティックな味わいとは正反対と言っていい痛切なもので、頭をガツンと殴られたほど大ショックでした。「歌詞解釈」というコンセプトが身に染みたのは、その時が初めて、以来、歌詞対訳する際は、歌手の表現しようとしている意味を少しでも日本語にしてあげたいと思いながら訳しています。歌詞解釈の貧しい歌手の歌は訳していてもつまんない…そういう意味でカーメン・マクレエは最も『やりがい』のある歌い手です。嗚呼…伴奏者だったディック・カッツさんにもっとマクレエの話を聴いておけばよかった…後悔先に立たず。richard_katz.jpg
 鬼講師、寺井尚之の催促が恐ろしい…という訳で今週はブログを書く暇がない位切羽詰った状況になってしまいました。
カーメン・マクレエの前にエラ・フィッツジェラルドのサンタモニカ・シビックの未発表テイク3曲も通常ジャズ講座の為に作らなくちゃ…こちらはエラが歌詞をトチった為にオクラになっていたトラックです。歌詞をトチることでは定評のあるエラの豪快なトチリぶりも、皆で一緒に楽しみましょう!歌詞をトチっても音楽的には全くトチらないエラ・フィッツジェラルドの言葉を超える凄さが味わえると思います。
 ジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」
日時:7月10日(土) 6:30pm開講 受講料 2,500円
今月の名盤:『Blues in the Closet』(The Master Trio)
 未発表テイク from 『Aurex Jazz Festival ’82 All-Star-Jam』『Live at Santa Monica Civic』

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 ;生徒会日曜セミナー「カーメン・マクレエ講座」
日時:2010年8月1日(日) 正午~3:30(予定)
受講料:2,500円(要予約)

 因みに日曜セミナーでは、久々に牛スジカレーやパウンドケーキ作る予定です!どちらも初めての方大歓迎!皆さん、ぜひお越しくさだいね。
 明日の鉄人デュオもよろしく~
 じゃあ、またカーメン姐さんの元に戻ります。CU