翻訳ノート:ウエス・モンゴメリー『アーリー・レコーディングス・フロム1949-1958 イン・ザ・ビギニング』

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キング・インターナショナルHPより:

驚愕の未発表音源!!<<ウエス草創期の一大アンソロジー>>

オクターブ奏法, ベースを弾くウエス, クインシー・プロデュース音源・・

『エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』を凌ぐ作品の登場!!

 

  先月、日本先行発売、まもなく本国米国で発売される、ウエス・モンゴメリー話題の未発表音源『アーリー・レコーディングス・フロム1949-1958』、私の周りでも、ジャズにかぎらずロックやクラシックを主に演奏しているミュージシャン達も、すぐにチェックして愛聴しているみたいです。

 このアルバムは地元インディアナポリスの人気ギタリストとして活躍した時期、26才から33才のライブ、スタジオから、プライベートなジャム・セッションでのエレキベースまで、さまざまなシークエンスのプレイを収録したものです。ウエスが遅咲きであった理由は、家の生活を守るため、俗にデイ・ギグと呼ばれる工場勤めをしながら、地元に留まって音楽活動を続けたというのは有名ですよね。でも、ここでの演奏を聴くと、すでにウエスのあのスタイルは出来上がっていたことを、自分の耳で確かめられるのが嬉しいです。

 NYの一流ミュージシャンの間では、「インディアナポリスにウエスあり!」と口コミで噂は伝わっていて、楽旅でインディアナポリスを訪れると、こぞって、彼の出演場所にやって来た。本作は、そんなミュージシャン達の気持ちを共有できます。ウエスと共演している地元ミュージシャン、プーキー・ジョンソン(ts)、ソニー・ジョンソン(ds)も並々ならぬ実力派です。

 2枚組CDには、当時の貴重な演奏写真と共に、当時のウエスの実像に迫る様々なエッセイがぎゅうぎゅう詰めになった小冊子付き。この辺りが、「ジャズ発掘人」として名高いゼヴ・フェルドマンらしいアルバム作りですね!小冊子の冒頭には、「ジャズ発掘人」と呼ばれるフェルドマン自身が語るアルバム誕生秘話。世界中から情報を集め、良いアルバム作りに邁進するのプロジェクトXに血沸き肉踊ります。続いてウエスの家族たち、22才の若さでウエスをプロデュースしたクインシ―・ジョーンズ、ロック畑のウエス・ファン代表、ピート・タウンゼント、さらには、2月に『オファリング:ライブ・アット・テンプル大/ ジョン・コルトレーン』のアルバム・ノート執筆者としてグラミー賞を勝ち取ったアシュリー・カーンなどなど、音楽解説だけでなく、その当時のインディアナポリスのジャズ・シーン、歴史や社会状況が手に取るように見えてくる高内容の一冊!

 当時のインディアナポリスで黒人たちが直面していた人種差別からは、ウエスが、パノニカ男爵夫人の「三つの願い」で、『No discrimination whatever いかなる差別もなくなること。』 と願っているのが深く頷けました。そして、その差別をウエス達が音楽の力で正す痛快な事件のことも書かれています。

 初期ウエスの貴重なレコーディング、それに、まつわる音楽史の興味深い断面を、ぜひご一読ください!日本語訳は不肖私が担当させていただきました。King e-SHOP

 下のヴィデオは、ゼヴさんがホスト役で登場する、アルバム制作ドキュメンタリーです。

CU!

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