1984年、OverSeasでフラナガン・トリオ(アーサー・テイラー/ds、ジョージ・ムラーツ/b)の初コンサートが行われた。 寺井は初めてセロニアス・モンクとエリントンに捧げた2つのメドレーを聴き、大きな衝撃を受ける。それは単に同じ作曲家の作品を順番に演奏するのでなく、作曲家達と作品に対する深い造詣と愛情、そして充分なテクニックを持つ者だけが創造できる壮大なスケールの音楽作品だった。 音楽史上燦然と輝くエリントン作品のメドレー、エリントニアは成熟したフラナガニアトリオが、皆さんに贈る大きな贈り物だ。 |
OverSeasの初コンサートでMCをするフラナガン('84) |
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Lotus Blossom ロータス・ブロッサム/Billy Strayhorn メドレーのオープニング、ロータス・ブロッサムは「睡蓮」の事。デューク・エリントンの片腕と称されたビリー・ストレイホーンの作品で、ストレイホーン自ら愛奏した名作。彼の花に因んだ作品は、どれも例えようのない耽美的な美しさに満ちている。そこには、活き活きしたあでやかさと背中合わせの、はかなさが垣間見られ、一層いとおしさが増す。 この作品は、エリントン楽団が、ストレイホーンの追悼盤<<And His Mother Called Him Bill>>に、デュークが彼を想い、ソロで淡々と弾く感動的なヴァージョンが収録されている。 追悼コンサートに相応しい名作。 |
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Chelsea Bridge チェルシーの橋/Billy Strayhorn |
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Passion Flower パッション・フラワー/Billy Strayhorn ストレイホーン作品に“花”に因んだものが多いのは、幼い頃に遊んだ祖母の家の美しい庭の記憶に起因していると伝えられる。パッション・フラワー('44作)は日本語ではトケイソウと言われ、一風変わった幾何学的な形をしており、欧米では磔刑のキリストに例えられる。ストレイホーンは自分自身の姿になぞらえたのだろうか? これもLotus Blossom同様ストレイホーン自身が最も愛奏した作品であった。フラナガン・トリオはジョージ・ムラーツ在籍時代、弓の妙技をフィーチュアするナンバーとして毎夜必ず演奏した。 ムラーツ自身独立後、リーダーとして録音したMy Foolish Heart('95)に収録している。今夜は宗竹正浩のアルコをフィーチュア、大喝采を受けた。 フラナガンは《Positive Intensity》('75)に収録。 |
Black & Tan Fantasy 黒と茶の幻想/Duke Ellington |
ダイアナ未亡人から贈られた赤い花束のせいで、フラナガニアトリオの演奏に一層情熱が溢れ、最高の演奏となった今夜のコンサート。トミー・フラナガンが遺してくれた大きな遺産を集まったフラナガン・ファンとともに堪能する事が出来ました!お越しくださったお客様に心より感謝します。
次回のトリビュートは2006年3月です。どうぞご期待ください!!