第12回 寺井尚之ジャズピアノ教室発表会 2007年1月28日



 1998年、師匠トミー・フラナガンが病気に倒れた事から、デトロイト・バップ伝承の熱意に燃えた寺井尚之が開いたジャズピアノ教室、生徒達の上達の成果が披露される、毎年1月、8月最終日曜日の発表会も、12回目を迎えました。
 「トミー・フラナガンの音楽の遺産を守りたい!」という寺井尚之の熱意に応え、色々な地方から、様々に個性溢れる生徒達が集まり日夜練習に勤しんでいます。
 当教室の特徴をかいつまんで言うと「ジャズ曲のアレンジ譜を、それらしく弾くのではなく、“即興演奏”としてのジャズを演奏すること。打楽器のようにただガンガン弾くのではなく、ピアノ本来の美しいサウンドを引き出すこと。フィーリングや根性に頼るレッスンではなく、合理的に近道で目標を達成すること。」です。

 本発表会の出場資格は“自分で創ったアドリブをする事”。各自の発表曲について、ちゃんと演奏解釈をして自分だけのバージョンを作った演奏者だけが出場出来るのです。
 師匠、寺井尚之の一音も聴き漏らさぬ集中力と真剣な審査ぶりも、発表会の大きな魅力です。

 教室開講以来のベテラン達から、デビューを飾る新人まで、色々な経歴や環境の皆さんが集まり、日頃のレッスンで実力を蓄えて挑む発表会は、私に大きな感動を与えてくれます。
 寺井尚之ジャズピアノ教室教室とは? 

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<目次>
手堅いサポートメンバー!
各賞
御礼
選手宣誓

爽やかな第1部
台頭するミュージシャン達の第2部
タッチで差をつける第3部
貫禄&迫力の第4部

 サポートメンバー

宮本 在浩(ベース)
Zaiko Miyamoto

1975年1月4日生まれ。
西川悟氏に師事後、OverSeasで修行間もなく、仕事中の事故で右手に大怪我をするが、強靭な意志で奇跡的にカムバック。現在最も注目される成長株。
 発表会では生徒達と同じ視線で、皆のレパートリーを徹底的に研究し、最高のフォロー役。
河原 達人(ドラムス)
Tatsuto Kawahara

1957年11月8日生まれ。寺井尚之と同じ関西大学軽音楽部に入部した18歳よりジャズを始める。
フラナガニアトリオでの演奏は巨匠の風格、
発表会といえども手抜きなし。終始細かい気配りあるドラムを聴かせてくれました

各賞受賞者(次点略,敬称略、氏名は本人の希望する場合ニックネームになっています。)
★最優秀賞(該当者2名:松本誠、あやめ)

松本誠 あやめ

★構成賞:あやめ 


★Ad-lib賞(該当者4名、松本誠、あやめ、むなぞう、アクビ)


松本誠


あやめ
むなぞう アクビ

★努力賞:けんいち
★パフォーマンス賞:
    児玉勝利
★新人賞:つー


発表会開催ご協力ありがとうございました!
録音、CD制作、写真撮影:You-non様

記念品:グレイスピアノ サービス
ピアノ調律:川端定嗣様
 *調律とピアノに関するお問い合わせはグレイス ピアノサービスへ!0725-33-9808

美しい花束:マダム・パノニカ


まずは選手宣誓から!
教室の無形文化財!橋本会長の選手宣誓なしでは発表会は始まりません!
トレンディな言葉の入る名物宣誓ー今回は「生徒の品格」をキーワードにした名文句でした。
<第1部 爽やかな感動!>

司会はあやめ副会長、
受付はむなぞうーアクビのコンビが新人達を温かくサポート。

1. アユミ There Will Never Be Another You 

*左の写真をクリックするとYou-non氏が作成してくれたプレイヤーのアルバムが見れます
 発表会の記念すべきオープニングを飾るのは、美しさも才能もビッグなアユミちゃん、長年のクラシックの基礎とジャズへの情熱に燃えるアユミちゃん、でもレッスンになるといつも緊張してしまうのが悩みの種。本番でもっとナーバスになったらどうしよう…とヤキモキしていた師匠と私ですが、完全な取り越し苦労でした。ブラックニットに映えるパールよりも輝く笑顔、指使いも足さばきもレッスン以上の出来!
発表会デビューを最高に楽しみました!

2. つー  There Will Never Be Another You
      My One & Only Love
 新人つーちゃんは、小学生時代、アクビちゃんと同じピアノ発表会に出場していたというから不思議な縁を感じます。昨年のトナカイ姿のパーティ・クィーンの可愛らしさも印象的でした。まだ半年足らずで、スポンジのように師匠の教えを吸収し課題曲を2曲とも完成しました。
 シックなスモーキーパープルのニットが良く似合います。Another Youは予想より速いテンポで出たのは、稽古充分の証拠。宮本在浩(b)の汗を拭く姿が印象的でした。バラード、My One & Only Loveの歌い上げ方は新人離れした堂々としたもの、演奏を聴くご両親の笑顔もつーちゃんに負けず、とってもチャーミングでした!

3. スズキ My One & Only Love
 コツコツ、丁寧に師匠について学んできたスズキさん、細やかに神経の行き届いた真面目な演奏には定評があります。その細やかさでケーキ作りの腕も超一級。じっくり仕上げたMy One & Only Love、バラードは最初のサウンドに命を懸けねばなりません。演奏ぶりは前回よりずっと落ち着いて、アドリブに入ると完全にABちゃんペースの演奏、歌詞の意味が伝わる歌い上げが出来ました!ピンタックのドレスシャツもお洒落感覚一杯、次は自由曲!素敵なセンスを音楽に生かしてください。
4. ユミ  My One & Only Love
 My One & Only Loveのトリは、プロとして毎夜ステージでピアノを弾くユミちゃん、昨年はオーストリアに短期留学してクラシックの技量もしっかり磨いて来ました。当教室では、即興演奏と共に、お客様に喜んでもらえる実践的なプレイを学んでいます。プロでも発表会では緊張してしまうと言うユミちゃん、でも初出場の時よりはずっと落ち着きを感じました。両手のサウンド・バランスやアドリブもよく出来て、歌詞が伝わり、My Oneのトリにふさわしいプレイだったという講評で大満足!今後もお客様の拍手を頂けるような演奏を目指します!
5. マツヒサ Softly, As in a Morning Sunrise
 教師として、またバレー部監督としての忙しい毎日、早朝からピアノに向かうてっちゃんことマツヒサさんのプレイを、師匠は「論理的なピアノ」と評します。出場3回目の今回は、堂々、自由曲<朝日の如く爽やかに>で出演。人前で何かするのは慣れているはずでも、ピアノは別で、手が震えてしまうそうですが、今日は稽古充分で、緊張のミスがあってもうまく乗り切り、ベースに回す合図もばっちりで、大進歩の後がありありと感じられました。演奏後のトークもスカっと爽やか!中年の星、てっちゃんのプレイは私に大きな元気を与えてくれました。
6. まっさん My Foolish Heart
 アマチュアとして、様々なバンドで活躍するまっさんは、当教室に入門してから、バンド仲間に「音が綺麗になった!」と絶賛されています。出場2度目の今回は、ジョージ・ムラーツ(b)のおハコでもある<愚かなリ、わが心>の自由曲出場。レッスンでは、ミスを絶対見逃さぬ師匠から、コードミスを常に指摘されていましたが、本番ではテーマからミスなく、曲の持ち味をうまく出しました。そのテーマ演奏の良さを強調してくれる宮本在浩のソロも良かった!

第2部:台頭するサックス奏者&中堅ピアニスト達

司会は一番弟子松本誠
受付には演奏を終えたスズキーアユミのコンビが晴れ晴れした表情で!
1. 児玉勝利 Body & Soul

友情出演:鷲見和広(b) 演奏後は児玉さんの勇姿をパシャリ!
 師匠−鷲見和広のデュオ、“エコーズ”の守護神として、水曜日の三番テーブルを独占するコダマさんの真の姿はテナー奏者、教室開設時から寺井尚之に師事していおり、師匠が「今回が、最高の仕上がりや!」と太鼓判を押しています。出番直前に登場したのは、タキシードに身を包む鷲見和広(b)! 大阪女子マラソンの大渋滞をかいくぐり、児玉さんの守護神になろうと駆けつけたのです。エコーズのイントロを待ちながら、サックスを手に、天を見上げる児玉さんの姿に、赤城山の国定忠治のようにエモーショナルなものを感じます。力強いホーンの響き、軽やかに舞う師匠のピアノと、普段のエコーズ以上に躍動感溢れるベースに発表会独特の華やぎが一気に増し、児玉さんは彼のジャズライフ最高のプレイを披露しました!YEAH!
2. PON    I'm Beginning to See the Light 
 プロとしてお客様に喜んでもらえる演奏を目指し、遥か加賀百万石からやってくるPONちゃんは、演奏やレッスンで幅広く活躍中。数ヶ月前、石川から寺井尚之のライブを聴きに来てくれたお客様も、「石川県でコナカデさんは凄く有名です!!」と証言しておられました。そんな事は自分から少しも言わないPONちゃんの謙虚さと礼儀正しさには、私も多くを学ばせてもらっています。
 長身をチュニックドレスに包み、パートナー達に送る合図も見栄えして、客席もしばし高級旅館のラウンジ気分を満喫。師匠は「とっても洗練された!」と満足気。「すごく垢抜けて上達しはった!」とお客様にも大好評。遠方から通うハンディキャップを見事に克服している好例のピアニスト。長身のメリットをフルに生かし、更に洗練されたピアニストに成長してくれるでしょう!
 PONちゃんのblogはこちら
3. けんいち Good Bait
 保育士になるべく勉強を続ける教室のアイドル、けんちゃんは、21歳の若さに似合わず、LPを含め膨大なジャズ・レコードコレクションの持ち主。フラナガニアトリオも皆勤で、師匠のライブを聴く時のけんちゃんの輝く瞳は、OverSeasの従業員一同、皆が大好きです。寺井の演奏を栄養にして、発表会を重ねるごとに大成長しています。今日はタッド・ダメロンの渋いバップ・スタンダードを選びました。ピアノに向かうと姿勢も視線もキリリとし、冒頭のカウント出しもばっちり決まりました。日頃ライブで学んでいるから、パートナー達への合図もスムーズに通ります。トミー・フラナガンの愛したタッド・ダメロン作品のカラフルな持ち味が良く出た演奏になりました。
4. あー Ask Me Now
 入門時はあどけない少女だったあーちゃんも、今ではすっかり大人の女性になりました。先日のパーティでは、ほんわかしたキャラクターで魅力的な司会役を務め大好評!
 前回の発表会で、サー・ローランド・ハナのオリジナルに意欲的に取り組んだ後、基礎力を付ける為にリズム・チェンジのパターンを集中的に稽古していましたが、発表会にはモンク・ナンバーを選びました。

 座った瞬間から、風格を感じさせる姿は、子供の時からピアノに親しんでいる証拠でしょう。本番では、タッチが思うようにキマらない不満な箇所があり、演奏後「もっとマジメにやります!」と、あーちゃんらしい名言を生みました。必死で稽古して、余りある才能に花を咲かせてあげて欲しい!
 

<第3部 寺井門下はタッチで差をつける!>
(左から)司会デビューも鮮やかに飾ったつーちゃん、
受付はマツヒサ監督、ユミちゃんの親子コンビ
1. さーや  Mean What You Say
Sunset and The Mockingbird
 中入り後のトップバッターは、最近、咲き零れるバラの花のような美しいサウンドを手中にしたさーやちゃん、寂しいことに、、今回の発表会が最後のステージになりました。自分ではリズム感が悪いと言いますが決してそんなことはありません。
 典型的なデトロイト・バップ・チューン、Mean What You Sayと、トミー・フラナガンと寺井尚之の18番である<モッキンバード>と、寺井門下ならではの選曲でラスト・ステージを飾りました。さーやちゃん。これからもジャズを聴き続けて、余裕が出来たら戻ってきてください!
2. むなぞう  Pannonica
Our Delight
 少年時代からOverSeasの常連だったむなぞうくんも、もう立派な大人、若頭として後輩の面倒見もよいようですが、私はどうしても子供扱いして失礼しています。トミー・フラナガンやサー・ローランド・ハナとの交流で培ったハートフェルトな演奏解釈は教室でも指折りで、一般のお客さまにも好評です。今回も寺井尚之とトミー・フラナガンの愛奏曲2曲を選びました。客席へお辞儀する時に見せた笑顔は、彼のセットの最高のイントロになりました。
 ルバートから始まる<パノニカ>には、息遣いの良さが感じられ、"ひずみ"のないタッチで、パノニカ男爵夫人のエレガンスが良く出ました。その上品さは、むなぞうくんの素敵なお母様の雰囲気と共通するものであったのかも知れません。宮本在浩はベース・ソロで、ジョージ・ムラーツのフレーズを引用しながら応酬し、楽しいプレイでした。
 続く<アワ・デライト>はジェット・コースターの様なBeBopのスピード感が身上の大ネタ。目の回るようなテーマも、速さに気後れすることなく大成功、河原達人(ds)の名サポートもあり、グルーヴ感が最後まで途切れない大好演!
 タッチを完璧にコントロールして、終始温かで上品な雰囲気を出し切ったむなぞう君は、今回、新たな進歩ぶりを見せ付けました。レッスンより本番が勝るというのは、日頃の稽古が足らないのか、心臓が強いのか…寺井尚之が一からピアノを指導した弟子として、これからも一層ハードに稽古を積んで欲しいものです。

3. アクビ   Walkin'
I Had the Craziest Dream
For Heaven's Sake
Let's
 昨年8月の発表会で見事4月28日(土)に、OverSeasでのライブ出演権を獲得したアクビちゃん、小柄な肢体から繰り出す、美しいタッチとキレの良いリズムは、後輩達の憧れです。師匠も新入生には「発表会ではアクビの背中の使い方を観察せよ!」とハッパをかけ、現在、最もマークされているプレイヤーですから、プレッシャーも自ずと高まります。
 彼女の選曲と演奏解釈には、師匠の生演奏と共に、師匠のもうひとつのライフワークである「ジャズ講座」が大きく反映していました。1曲目は、フラナガンがレギュラーを努めたトロンボーンの神様J.J.ジョンソンの名盤"イン パーソン"で、「つかみ」のある構成とソロが鮮烈な印象を与えた曲です。「つかみ」を狙い選曲したアクビちゃんの狙いはばっちり!そのかっこよさに後輩達はすでノックアウト!
 2曲目は、ジャズ史上不朽の名盤、ケニー・ド−ハムの<静かなるケニー>の収録曲、2曲目にふさわしく、派手でなく、静かな感動を呼ばなければならない難しい役どころの曲、軽やかな美しいタッチで仕上げました。
 3曲目は、押さえた語り口で熱く恋を語る大人のバラード、生徒会主催の「ビリー・ホリディ講座」での<レディ・イン・サテン>での名唱、ジャズ講座では、JJ.ジョンソンのワン・ホーン・アルバム"ファースト・プレイス"での名演に触発されました。甘さを抑え、ビター・ショコラのように香りを出さなくてはいけない、バラードの内でも最も難しいものですが、浮揚感のある歌い上げで、アクビ・ジャズの新境地を開拓したのには恐れ入りました。
 そしてラスト・チューンは泣く子も黙る大ネタ!前回の発表会での松本誠の好演が、アクビちゃんに強いインパクトを与えた様子です。小柄な体で豪快に柔らかくスイングする姿は実際よりもずっと大きく見えるスカっとしたプレイで、熱心に見守るお母様も大満足の様子でした。
 アクビちゃんにとって今日の演奏は、ライブ・デビューへ向けての大きな布石、デビュー。ライブでも、胸のすくような思い切りの良いプレイでスイングして下さい!


<第4部、ベテランは貫禄と迫力で勝負!>
(左から)ラストセットを盛り上げた司会はけんちゃん、
受付は児玉さんとさーやちゃんのニコニコ・コンビ
1. 橋本生徒会長  What Is This Thing Called Love
A Thousand Years Ago 
 寺井尚之ジャズピアノ教室が出来る前から寺井尚之に師事するベテラン橋本会長、でも黙っていたら、どちらが師匠かわからない貫禄ぶりですね。「気ばらず気楽に楽しむ」というアマチュアの真骨頂が、最近は演奏にも表現されるようになり、プレイの魅力も増しました。 
 常にラテン・ナンバーがお気に入りで、デトロイト・ラテン・バッパーを標榜する会長ですが、今回は一曲目にハードなバップ・チューン<恋とはどんなものでしょう>を持って来ました。バップのアドリブも譜面には何コーラスでも書ける、したたかな理論派ぶりがよく出た演奏ぶりに、奥で見守る奥様も大喝采!
 そして大きく深呼吸してから、マット・デニスの隠れた名ラテン・ナンバー、<千年の恋>が始まりました。前世からの恋人にめぐり合う美しい恋の歌の良さは、年季がないと決して表現出来ないものです。アドリブ展開もレッスン時よりもずっとよく出来て、流石のセットとなりました。
2. あやめ副会長 On a Misty Night
Dacquiri
All Too Soon
Stablemates
 ライブ出演を重ねるごとに余裕と貫禄が付いて来たあやめ副会長、今回は夫君You-non氏とともに、録音、CDR制作の業務も担当してくれています。タッチの美しさは自他共に認めるところ、後輩達の視線があやめ副会長の肩甲骨に釘付けとなったステージでした、
 幕開けは、しっとりした潤いと、BeBopのスリルを併せ持つタッド・ダメロンの作品、タッチの美しさと、ベース、ドラムのこなれたサポートが印象的な演奏でした。
 2曲目の<ダイキリ>は、ジョー・ニューマン(tp)の作品、太陽の光輝くカリブ海の香りがする小品で、選曲のコントラストをつけます。この作品も「寺井尚之のジャズ講座」が、あやめちゃんにインスピレーションを授けた成果です。洗練された音使いに、教室きっての教養派の面目躍如といったところです。
 続くバラードが聴き所、エリントン・ナンバーの<オール・トゥー・スーン>は、あやめ副会長のタッチの妙技が存分に味わえる名演、肘や腰のコントロールの良さで美しい分散コードもクリーンにヒットし、どっしり貫禄充分のプレイ!、発表会史上でも指折りの名バラード演奏を聴かせてくれました。
 ラストは、変則小節と変幻自在のリズムがスリルたっぷりの<ステイブルメイツ>、河原達人(ds)のスティックさばきも小気味良くヒットして、ノリの良いプレイを披露。ライブ出演回数を着実に重ねた効果が良く出た安定感のある演奏になり、真剣な後輩達の表情も印象的でした。
 曲の組み合わせの妙で聴き応えあるステージを演出するあやめ副会長の魅力と貫禄一杯のセットになりました。次回あやめさんのライブは3月31日(土)ですので、ぜひ皆さんお越しください。
3. 松本誠  Sid's Delight
The Tadd Walk
You've Changed
Bean & the Boys
 いよいよ大トリ!一番弟子、松本誠の登場です。父として、社会人として、多忙な年齢になった松本誠は、レッスン時間もなかなか取ることが出来ず、ライブ出演も一年間ご無沙汰でした。そんな彼がピアノに向かうと、後方の生徒達は立ち上がって見守っています。
 17歳から寺井に師事する彼の選曲は、曲自体の強さで大向こうウケするものよりも、トミー・フラナガン特有のグルーヴ感を引き立てる"渋め"の曲を選ぶ傾向にあります。
 前半2曲はいずれもタッド・ダメロンのナンバー、出だしから、一味違うスイング感でベース、ドラムをうまく引き寄せます。BeBopのギア・チェンジが、これほどスムーズに出てくる若手ピアニストは彼以外にはないでしょう。フレーズのイントネーションの自然さと、甘酸っぱい浮揚感のあるトーンに、新入生達にはキツネにつままれた表情をしている人も見えます。
 2曲目の<タッド・ウォーク>では、リフとして意表を突いた<オータム・セレナーデ>を挿入、それがとっても自然に聴こえました。
 バラードは、エコーズ・ライブで時々聴ける、ビリー・ホリディの悲しいバラード、<心変わり>、後輩達のようにアドリブ・フレーズを一旦書いて演奏する必要のない松本の弱点は「仕込みの不足」ということが指摘されていましたが、よく練られた演奏解釈で、聴き所充分のバラードになりました。
 ラストは、最近ジャズ講座でブームを巻き起こしているテナーサックスの大横綱、コールマン・ホーキンス(愛称ビーン)が、トミー・フラナガン達若手を擁するレギュラー・コンボで愛奏した<ビーン&ザ・ボーイズ>、<恋人よ我に帰れ>のコード進行を基にしたバップ・ナンバーです。なかなかサマに成り難い題材ですが、浮き立つようなスイング感と、切り込み鋭いフレージングで見事に弾き切り、大団円となりました。松本誠のライブは、もうすぐ、2月24日(土)です。一旦バンドスタンドを降りると、ネット上でも自己PRを全くしないピアニストで、外野は歯痒い限り。読者の皆様、ぜひ応援して下さい。
 


 4時間を越える発表会でも、新人からヴェテランまで個性豊かな演奏!あっと言う間に終わってしまいました。今までの努力を披露する出場者の皆さんは、ひとりひとりが本当に輝いていて素敵です。同時に、客席で真剣に演奏を見つめ拍手を惜しまない皆さんのミュージシャンシップも、演奏と同じほど素晴らしく、魅力を感じて止みません。
 次回の発表会は8月26日(日)、明日から、生徒の皆さんは
プラクティス!プラクティス!外野の私も力いっぱい応援しています。



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