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演奏曲目
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トミー・フラナガンが寺井尚之とオ-バ-シ-ズの「お父さん」なら、今回のサ-・ロ-ランド・ハナは、「叔父さん」と言ってもよいピアノの名手でしょう。寺井尚之はハナさんを<セカンドアイドル>と公言してはばかりませんし、ウチの店でハナ&ムラ-ツ・コンビのレコ-ドが流れない日はありません。また寺井がNYに行くと必ずハナさんがどこからか現れます。自宅の暖炉の脇には、奥さんのラモナがハナさんに似ていると非常に気に入っている私達からのプレゼント、信楽焼の狸が飾られています。またハナさんのオーバーシ-ズでの公演回数も数え切れません。 今年1月には、ポ-ル・ウエスト(b) 、エディ・ロック(ds)の自己トリオで来演、エディ・ロックの「キャラバン」での名ドラムソロを含めて私達に鮮烈な感動を与えました。今回はここ10年間の日本ツア-でレギュラ-コンビと言えるベ-シスト、中山英二さんとのDUO。今回のツア-は比較的小さな町でやるコンサ-トが主で、この日も和歌山 から車であちらの公演地の方々に大阪迄送ってもらうとの事でした。 連絡通り、演奏者と和歌山のお店<じゃらんじゃらん>の皆さん(とても丁寧で礼儀正しい方達。)はやって来ました。それもランチタイムに!!うちは大阪のオフィス街にあるので、昼休みは大混雑、調理場は戦場と化すのです。寺井尚之も、あの悪名高い長靴姿で陣頭指揮をとっている真っ最中でした。ハ-ドスケジュ-ルも何のその、ハナさんは至極元気そうでランチのごはん付けに大忙しの調理場の寺井の所にニコニコしながら歩み寄り、こう言いました。「ヒサユキチャン、今日はおまえに凄いプレゼントを持ってきてやったぞよ!」そう言っておもむろに差し出したのは、ハナさんのオリジナル作品集で、大変美しい本です。杓子片手にその本を受け取った寺井は驚きと喜びと忙しさがごちゃまぜになった何とも言えない表情でした。さらにこの本をプレゼントするにあたって何か訓示を言いたそうだったハナさんですが、てんやわんやぶりに途中で断念し、ミ-トスパゲティを注文し召し上がりましたが、偶然ランチに来ていた宗竹さん(b)やピアノのお弟子さんなど、ハナさんファンの熱烈歓迎を受けご満悦でした。 さてうちのピアノですが、名調律師の川端さんと寺井は、数ケ月前からこの日に照準を合わせ、2人3脚で何カ月も調律調整に努力したものの、最近の天候不順で大変苦労していました。ところが今日ピアノを触った川端さん、首をかしげて言うには「ピアノの調子が物凄く良いんですよ。ハナさんが弾くいうて、ピアノもごっつう気合い入ってるみたいですわ」。うちのピアノには、こんな不思議なことが時々あります。またハナさんやフラナガンはこんな陰の努力をよく知っていて、ピアノのサウンドチェックは全くしないのです。
今回は1月のコンサ-トで新しいファンも増え、皆がソロのアルバムを愛聴しているということで、意を決してコンサ-トの中にそれぞれソロの演奏をして欲しいと御二人にお願いしました。1月もアンコ-ルでソロを弾いたハナさんのこと、快諾を得られると思っていたのですが、意外にも「今回のツア-はデュオしかやっていないし、ソロは集中力が非常に要求されるから、キツイ・・・」との返事。そこを粘って、1曲だけなら、と何とかOKをもらいました。 中山さんだけサウンドチェックの後、いよいよ定刻通り演奏がスタ-ト。1曲目はこのコンビの愛奏曲「朝日の如くさわやかに」。ハナさんは、中山さん独特のリズムの上に快調にスイングしていく。ベ-スソロが完全に終わらぬ内に待ち切れぬ様に切り込んで来たハナさんのフレ-ズは歌舞伎で花道からトントンと入ってくる千両役者のようにきらびやか。輝く音色と滑るようなパッセ-ジはまさしくハナさんならではでした。 2曲目のイントロをハナさんが優雅に弾き始めると、今回も『ハナさんの奇跡』が起きました。ピアノの弦がいきなりツ-ンと50cm程伸びたのです。まるでヤマハのC3が壁を突き破りコンサ-トグランドに変身したように聞こえます。毎度の事なのですが、やはり耳を疑います。後で名調律師川端さんも同じことをおっしゃっていました。この曲「エニグマ」は寺井-鷲見DUOの定番レパ-トリ-で、当店のホ-ル係達の人気曲、OverSeasではスタンダ-ドと言える曲です。世界中どこでコンサ-トをやっても、聴衆のほとんどが「エニグマ」を知っているというのはOverSeasだけかも知れません。テ-マが始まると、児玉さんの背中が歓喜の余りエビ反りになるのを目撃。寺井-鷲見のヴァ-ジョンはリズミックで軽やかですが、今夜のハナさん達のヴァ-ジョンは、もっとゆったりしたテンポでハ-モニ-の分厚さが強調されています。『深海のイメ-ジ』という児玉さんの例えをなぞれば、より深く暗く青い海、という感じ。演奏後この曲を皆が知っていたことをハナさんに伝えると「OH、 ヒサユキチャンも演ってるのか! GOOD!」とお喜びでした 。 3曲目は、中山さんお気に入りの自作曲"BEFORE SUNRISE(夜明け前)"、寺井も以前中山さんと演奏したことがあります。中山さんならではのくぐもった音色のアルコで紡ぎ出されるテ-マは正に夜明け前の雰囲気、その後にハナさんのソロが入ってくると、太陽が上ったごとく煌々と私達を照らしました。 ここまではかつて、このコンビでの演奏を聴いたことのある曲ばかりでしたが、次の"LET ME TRY"はリチャ-ド・デイビス(b)名義の同タイトルのCDはあるものの、初めて生で聴きました。「すぐ失敗してしまう難曲なので『もう1度やらせて』という意味でつけたタイトル」というMCでしたが、ハナさんに『むづかしい』があるなんて信じられません。ハミングしながら縦横無尽に弾きまくるハナさん、様々な色合いに変化する絹糸の束の様なサウンドの美しさに惚れ惚れしました。 うっとりとしたところで遂にOverSeasへの最高のプレゼント、ソロピアノです。曲はジェロ-ム・カ-ンの「イエスタデイズ」。絢爛たるピアノの響きで独白される『昨日』は、波乱万丈の人生を語る壮大な叙事詩。Dマイナ-で始まりEマイナ-に転調、大きなクライマックスを迎えたのちに語られるアウトコ-ラスは最初のテーマとは異なり、静かで淡々とした様子で語られる『昨日』、こんな演奏を聴くと何故か大きく息を吸い込んでしまいます。ピアノはさっきよりも更に大きくなっています。せいぜい10分余りの演奏だと思いますが人生の四季が語り尽くされた長編小説を読んだような充実感が残りました。 1部の締めくくりは、モンクチュ-ン「バル-・ボリバ-・バル-」、ハナさん、中山さんのやりとりが、狂言の太郎冠者、次郎冠者のように朗々として楽しい、続くハナさんのピアノソロは両手ユニゾンで目を剥くウルトラ技が連発されました。 ピアノソロが余りに濃密だった為かアンコ-ルはなし。やや短か目でしたが、本当に充実したセットでした。 インタ-バルの間、ハナさんはサイン責め。その時当店の常連たちが持参したのはソロアルバムばかり(殆どがカリスマ三村氏よりの供給ブツと思われます)。大阪に自分 のアルバムが集中販売されているのを見てハナさんはちょっと驚いた様子です。OverSeasのお客さん達がどれほどハナさんを好きか、皆がどれほど苦労してこの名作品群を入手して愛聴しているか説明すると、ハナさんはしきりにうなずいておられました。 さて遠路はるばるやって来たお客様も揃ったところで2部がスタ-ト、私も奥のキッチンの横から、ピアノの後ろに席替えです。ハナさんの優雅なクラシック風のイントロから何が始まるかと期待すると一転、スインギ-な「A列車で行こう」で発進。奥で聴いていても良く鳴っていたピアノですが、こちらに来ると、ハナさんの体温まで伝わって来るようです。 引き続き、アルコで始まる「7つの子」、日本のうたをジャズにするのは中山さんの得意技です。哀愁に満ちた中山節に続くハナさんの弾く「7つの子」は一転、カラスから白鳥に変身、『や-ま-のふ-る-すに、来てみてごらん』の歌詞が『山のブル-スを聴いてみてごらん・・』と聴こえました。 3曲目"THIS TIME IT'S REAL"は1月にも演奏されたオリジナル曲。ハナさんの知り合いの恋多き女性フレンチホルン奏者が、幾多の失恋を経て出来た新しい恋人を語った言葉を聞いて作ったそうです。幸せを願う女心を"OVER THE RAINBOW"や「星に願いを」を挿入しながら歌い上げるのは、デトロイト派のオハコ。最前列に鎮座するト-リス・ガリ氏の幸せそうな表情と児玉さんの切ない瞳が印象的。またハナさんの超美技連発のおかげで、ピアノの後ろで、手摺りにつかまって覗き込む寺井の必死の姿はネコ化けを思い出させます。 さて「ソロはハ-ドだから今夜は多分1曲だけ」と何故か躊躇していたハナさんですが、先ほど皆さんが手にしていたソロのCDに触発されたのか、「次はリクエストでソロを1曲、 スタンダ-ドで一番有名な曲を」と1部と同様ジェロ-ム・カ-ンの作品、"ALL THE THINGS YOU ARE"を演奏。ハナさんの言うとおり誰もが演奏する曲でありながら、ハナさんのソロはイマジネ-ションがほとばしるままに、どんどん曲想が変化していきます。その美しさ、スイング感、そのスリルにはただただ圧倒されるばかり。私の前にいるネコ化けは気の毒にとうとう手摺りからでんぐり返りで落ちそうな状態になっています。後で寺井に聞くと、「あのタッチは、例えば居合い抜きの達人が人間のお腹の上に大根をのせ、お腹にはカスリ傷ひとつつけずに、大根だけスパっと一刀両断するような究極の技だ」ということです。またまた私は胸一杯に何度も息を吸い込んだのでした。 さて次は再びデュオに戻り、一転してブル-ジ-なベイシ-風の曲、ハナさん'72年の作 品"THE LONELY ONE"でリラックス。ほっと一息つきました。 その後、中山さんが弓でテ-マとるジョビンの"O GRANDE AMOR"、アンニュイなイメ- ジの強いボサノバも、ハナさんの手にかかると気だるさ皆無のスカっとした仕上がりになりました。 プログラムの最後は寺井-中嶋鉄人デュオのオハコでもある「ハッシャバイ」。初めと終わりにシュ-ベルトの子守歌変奏曲で再びハナさんの美しいソロを堪能。アドリブはどんどん盛り上がり、ハナさんのウルトラトリルなど、恐ろしい奥技が披露され場内は息を飲みました。 OverSeasが敬愛するハナさんと、巨匠と渡り合った中山さんに会場は物凄いスタンディングオベ-ションで応えます。鳴りやまぬ拍手に返すアンコ-ルは、中山さんのソロで始まる「ラウンドミッドナイト」。先ほどの「ハッシャバイ」と対称的にラテンへの変化もあっさりと、抑制されたフィナ-レでした。 寺井は「今夜のハナさんが今まで一番凄かった!」と興奮。変な姿勢でずっと覗いていたおかげで、肩こりが悪化してしまいました。名調律師川端さんも、ハナさんがピアノに対して行った数々の奇跡に茫然、大満足。終了後の深夜の調律も終始ニコニコ顔でした。 終了後、食事をしなから、寺井と昔のデトロイトのジャズシ-ンや現在のジャズの状況など、いつもどおり話は尽きませんでしたが、その時やっとハナさんが何故、ソロを頼んだ時ためらっていたのかが判りました。何と、長年苦しんでいた腱障炎が悪化し、昨年と今年6月の2回に分けて両手の神経の圧迫を取り去る手術を受けたのです。それで、ずっとソロは演っておらず不安があったのでした。でもこの夜の2曲のソロの演奏は今までのハナさんの多くの出演歴の中でも最も素晴らしいものでした。そしてこの名演を生む助けとなったのは言うまでもなく、ハナさんのソロを深く愛し理解している当店のお客様の熱意です。 一層高らかに鳴るようになった当店のピアノ共々心より皆さんにお礼を申し上げます。 |
掲示板から |
ハナさんのLIVE すばらしかった 1部ではやはり聴きなれているハナさんのオリジナル"Enigma"を聴くことができたのがよかった。曲は普段聴きなれているのに比べてかなりゆったりとしたテンポで進められた。テーマからピアノソロ、そしてベースのソロへと、ここまではどう見ても地味に押さえた感じのプレイだった。それがこの後、一転してダイナミックなピアノソロで壮大な世界を見せ付けてくれる。トンネルから抜け出て新たな景色が目に飛び込んで来る、あの感触。後になってみて改めて曲の構成の妙に感心する。"Yesterdays"での見事なピアノソロにも聴き惚れてしまった。 2部が「A列車で行こう」で始まったのにはちょっと意表を突かれたが、ハナさんの小気味よいプレイに自然に身体も揺れる。そして、何よりもプレイをしているハナさんの表情がいい。真からピアノのプレイに打ち込んでいると同時に、それを楽しんでもいるように見られるハナさんの表情、これにも魅せられた。続いての「7つの子」も、ハナさんが奏ると見事なJAZZになってしまう。ピアノソロでの"All The Things You Are"ではすばらしいテクニックに目を奪われたのもさることながら、見事なアクセントで曲の輪郭を描き上げるそのすばらしいプレイに感激。レッスンではアクセントの付け方も課題の一つである劣等生にとっては垂涎ものの1曲でした。 1部、2部どちらもすばらしいLIVEだった。出来れば来年、また今年1月に見たあのトリオで来てくれたらなあ。
そうだよねっ明日は、全開の演奏だよね!うちのピアノ共々待っております!ああ、楽しみです。明日は中山氏さんと和歌山からドライブでこちらに向かうとの事、ひょっとしたらランチタイムにひょっこりお見えになるかもしれませんです。 私の持ち味は澄んだ音色とタッチの鋭さ、ならびにまろやかさ。したがって他人にピアノを触られると人一倍嫌がるタイプです。一流どころの誰が来て弾いても、自分の思うように戻るまで時間がかかります。でも、例外はトミー・フラナガンとサー・ローランド・ハナ。この二人はかえってピアノの鳴りが良くなる!今までに色んな人がきたけど、ケニー・バロンの時は触られたという感じがあまりしなかった。スタイルは違うがフィニッシュのタッチが似ていたのでしょう。今回のアレキサンダーはバロン以上に全く違和感なし!初めての経験です。 「かえってピアノの鳴りが良くなる!」というところで、まだハナさんを聴いたことのない人は察してほしいですね。ささ、まだチケットを買ってない人は当日券を買って聴きに来ましょう。
↓ダラーナさんの3年前のハナ&中山デュオレポートはここをクリック!
また今晩からこの掲示板もハナさんのレポートや感想で賑わいますね。こちらの方も楽しみです。 ハナさんに会いました!
なんでこんなにすごい人が、日本のジャズファンの間で人気ないの? というわけで、みなさんの感想をどんどんお待ちしてます
というわけで、みなさんも感想をどんどんお寄せください。
また、明日のジャズ講座で今日のライブに対する寺井さんの講評が聴けるのも楽しみですね。 というわけで、みなさんの感想を寝ないで待ってます
実はハナさんの演奏をあまり聴いたことが無かったのです。ですから今回のライブはとても楽しみにしておりました。 僕は第2部からの参加だったのでした。管理人さんが書かれておられるように、有名なスタンダードもハナさんにかかれば、クラシックのようになったり、はしゃぐ仔猫のようになったり(そんな風に感じたのは僕だけ?)、全身のスピリットを指先から発散させるように弾いたりと、いろんなスタイルを持たれておられる方だなと思いました。 ハイ次のひと!
それにしてもどうしてあんなに奇麗な音が出るのでしょう?1音1音が極めこまやかに、無駄のない響き。すべての音が大事に生きてるって感じでした。ほんとに素敵でした。でも、1stの響きが、2ndは、少し丸くなったような・・・こんなドン(鈍)な私にはよくわからないけど。でも、ほんと素敵。師匠、浮気してもいいですか?
いやー、自分がデザインしたチラシにサインしてもらうのって、気持ちいいですねー。 ↓私の宝物はここをクリック
P.S たいへん遅くなりましたが、河原さん、宗竹さん。熊本で9月に私のようなへたっぴぃに付き合ってくださってありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
ハナさんの自主レーベル「Rahanna Music Inc.」から出ているCDのジャケットにメールアドレスが載っていますので、返事があるかどうかは知りませんが、メールを送って訊いてみてはいかがでしょう? 後はNY在住ベーシストのYAS竹田さんに訊いてみましょう。3つ前の竹田さんの書き込みの「投稿者名」をクリックすれば即竹田さんにメールが送れます。 Dear 管理人さま 8日(金)にKnickerbockersでサー・ローランド・ハナに会いました。 それで、チックさんがNYに来られる期間のスケジュールを尋ねてみました。残念ながら、年末年始には演奏の予定は無いそうです。「その時期に日本から来る友人が、あなたにとても会いたがっています。」と言うと、「じゃあ、電話で話だけでもしよう。」と、ハナさんは言っておられました。 ですから、チックさん。もし、ハナさんの電話番号が知りたければ、もう一度私宛にメールをください。折り返しお報せします。ちなみにハナさんが住んでいるLibertyは、マンハッタンから車で約二時間半の所です。この日も2時に終わってから、自分で運転して帰っていかれました。 ちなみにKnickerbockersはいわゆるジャズ・クラブではなく、アダルトな人が集まるレストラン。私がここで仕事をした時も、チューニングをしようとピアノを一音鳴らしただけで、マネージャーが跳んできて「演奏直前まで チューニングはするな」と言うようなスノッブな所です。ですから、例えサー・ローランド・ハナといえども、ハードな演奏はできません。曲は“Body&Soul”や“Alone Together”といった、ありきたりなスタンダードばかり。音量も音数も普段の半分以下でした。 が、しかし!その力の抜け具合が、もうたまらなく気持ちいい!!音の凄味が薄れた分、優しさが増した感じです。でも、いくら力が抜けていると言っても、どうしても鋭いフレーズが出てきてしまいます。ピアノの真後ろのバー・カウンターから寺井状態でのぞき込んでいた私は、その度に椅子から転げ落ちそうになりました。 お客は演奏中も構わずおしゃべりをしていますが、良いソロの後にはきっちりと大きな拍手が起こります。観光客が集まる有名ジャズ・クラブよりも、お客の耳は確かです。コーラ一杯$3で、このゴージャスな演奏を聴かせていただきました。 ジェイ・レオンハートは「堅実なサポート」という言葉がぴったりくるベテラン・プレーヤーです。1990年にミッシェル・サダビー・トリオの一員としてOverSeasで演奏した事を、憶えておられる方もいるかも知れません。一方で、彼には弾き語りという特技があります。この日も自作の「Dogers」で、洒脱な味わいのある唄を聴かせてくれました。また、スラム・スチュワートばりにハミングとオクターブでユニゾンするアルコ・ソロも得意です。ところが所々「?」、ユニゾンではありません。なんとベースのフレーズの3度上、正確には10度上でハモっています。ビックリしました。 この週のKnickerbockersは、ジェイ・レオンハートが毎日違うピアニストをゲストに迎える、というものでした。それでそのピアニストが6日のベニー・グリーンを除くと、7日ジェイムス・ウイリアムス、8日ハナさん、9日ビル・シャーラップ、と今年OverSeasで演奏した人ばかり。OverSeasに出た事の無いピアニストはもぐりという事なのでしょうか?するとB・グリーンはもぐりか・・・。 |