2016年冬期 寺井教室発表会
report by Tamae Terai


 1998年、師匠トミー・フラナガンが病気に倒れ、デトロイト・バップ伝承の熱意に燃える寺井尚之が開いたジャズピアノ&理論教室、生徒達の上達の成果を披露する場として、毎年1月、8月発表会を開催しています。

 当教室の特徴をシンプルに言うと以下の3点。
@ジャズ曲のアレンジ譜を、それらしく弾くのではなく、“即興演奏”を目標に技術と理論を勉強する。
Aピアノ本来の美しいタッチを習得する。
Bフィーリングや根性に頼らず、合理的に近道で目標を達成すること。

 新人から、自己ライブで活動中のベテランまで、色々な経歴や環境の皆さんが集まり、日頃のレッスンで実力を蓄えて挑む発表会は、私たちに大きな感動を与えてくれます。
 寺井尚之ジャズピアノ教室教室とは? 


<目次>
手堅いサポートメンバー!
御礼

第1部
第2部
第3部
第4部


最強リズム・チーム from 寺井尚之メインステム
宮本 在浩(ベース)
Zaiko Miyamoto
菅一平(ドラムス)
Ippei Suga
 1975年1月4日生まれ。
 OverSeasの看板トリオ ”寺井尚之メインステム“やウィーク・デーのデュオなど、寺井尚之のレギュラー・ベーシストとしてOverSeasを本拠に活躍中。
 修行間もなく、仕事中の事故で右手に大怪我をするが、強靭な意志で奇跡的にカムバック。 家業は大阪が世界に誇る町工場、妻も子息も妹も音楽をたしなむ音楽一家。
 
 発表会では生徒達と同じ視線で、皆のレパートリーを徹底的に研究し、最高のフォロー役。
 1975年2月26日生まれ。
 '96年 OverSeasトミー・フラナガン3ライブでのルイス・ナッシュに深い感銘を受け、'04年から寺井尚之と共演を重ね、現在は”寺井尚之メインステム“レギュラーとして大活躍。宮本在浩と共に、寺井尚之の懐刀として、信頼厚いミュージシャン。
 確かなテクニックと、配慮の行き届く人柄がプレイに反映され、各方面から注目の新鋭ドラマー。
 発表会初出演、生徒達が日頃の練習の成果を出せるようサポートに徹する。

発表会開催ご協力ありがとうございました!

録音、CD制作、写真撮影:You-non様


記念品:グレイスピアノ サービス
ピアノ調律:川端定嗣様


*調律とピアノに関するお問い合わせはグレイス ピアノサービスへ!0725-33-9808

第1部
伊藤かな (harmonica)


Star Eyes (Gene De Paul)
Someone to Watch Over Me
(George Gershwin)
Donna Lee (Charlie Parker)
 
 
 オープニングの演奏者は、バップ・ハーモニカ奏者として広く注目を浴びる伊藤加奈さん、セッティングと録音の都合から、番付と無関係に、トップ・バッターとして出演いただきました。

 大コンサート・ホールからライブ・ハウス、全国津々浦々で演奏、また名司会者としても、ハーモニカ界で知らぬ者のない伊藤さん。発表会では、バップに必要不可欠なダイナミクスを出すために、通常と異なり、マイクを握らず、スタンドのマイクを使用して演奏します。ハーモニカで奏でるパーカー・フレーズは超新鮮!
  伊藤さんのブログにも発表会の記事が! 

 今年は新譜のリリースが予定され、ますます忙しくなりそうですが、様々な楽器のバップのプレイををどんどん取り入れて、バップ・ハーモニカのパイオニアになってくださいね!
 
 
第2部


 向仲佐和子 (初)

There Will Never Be Another You (Harry Warren)

 
  
 寺井教室待望の大型新人ピアニストが発表会デビュー!向仲さんは、クラシックのキャリア充分、ピアノだけでなく、東洋の弦楽器、二胡も演奏しています。

 クラシック畑で培ったテクニックと、当教室直伝の美しいタッチと理論力、寺井尚之との出会いに賭ける向仲さんの伸びしろは無限大。

 「ベースとドラムの音にただただ感動している間に終わってしまった・・・」というのが初出演の感想。共演者の音がしっかり聴こえていたのは素晴らしいです。

 「初出場に拘らず、非常に安定した素晴らしい出来だった!」と寺井師匠も絶賛の演奏になりました。
 
 
  宮本多佳子

Rachel's Rondo (Tommy Flanagan)
Isn't It a Pity? (George Gershwin)
 

   
 
 阪大歯学部OBのバンド「カルパッチョス」は、様々なコンテストで「神戸市長賞」など、数多くの受賞歴を誇る名門アマチュア・バンド、ネネさんこと宮本さんはメンバーの紅一点として各地で引っ張りだこの存在です。

 仕事、家庭、バンド活動の傍ら、寺井尚之の元で稽古を積み重ねてきました。いつも応援に来てくださる旦那様は、奥さんのピアノを家で聴きながら一杯やるのが至福の時だそうです。羨ましいですね!

 そんな愛情や応援に後押しされて、今回の演奏、特にゆったりとスイングしながら、繊細に歌い上げたバラード・ナンバー“Isn't It a Pity”は感動的!ピアニストとして大きく成長したことをまざまざと見せつけてくれました。
 
 「これからは、もっと練習できる時間を作ってあげないとね!」と、どこまでも優しい旦那様のコメントに再び感動です。
 

<第3部>
 
 吉沢瞳
Almost Like Being in Love (Frederick Loewe)
Mean What You Say (Thad Jones)
Reflections (Thelonious Monk)
Black and Tan Fantasy (Duke Ellington)
 
 
  
 第3部からは、単独ライブも行っている上級生達の登場です。

 吉沢さんの発表会デビューは2009年、以来、ビバップを愛する気持ちを大切に、師匠のライブや講座で音楽を学び、レッスンで技術を習得、たいへん合理的な方法で、膨大なレパートリーをものにしてきました。
 
 今回は「トミー・フラナガンの足跡を辿る」に登場した名盤『J.J. in Person/ J.J.Johnson』に収録されたAlmost Like Being in Loveのピアノ・トリオ・ヴァージョンから始まり、サド・ジョーンズからモンク、そしてトミー・フラナガン・トリビュート・コンサートでお馴染みのBlack and Tan Fantasyまで、一筋縄ではいかないスケールの大きな作品を絶妙に組合わせました。

 ピアノの音色は、以前より数段骨太になり艶が出て、演奏にゆったりとした余裕すら感じます。吉沢さんがこれまで積み重ねてきたお稽古と勉強の成果が咲かせた大輪の新しい花に、拍手が溢れました。
 

<第4部>
 
  あやめ
Suddenly It's Spring (Jimmy Van Heusen)
They Say It's Spring (Bob Haymes)
Spring Can Really Hang You Up the Most
(Tommy Wolf)
La Ronde Suite (John Lewis)
 

 

 さて、発表会のトリは長年不動のあやめ会長、数えきれないレパートリーの中から、今回は春に因んだ“スプリング・ソング” と呼ばれるフラナガンや師匠の春の名演目から3曲をピックアップ、そして寺井尚之メインステム・トリオの完璧なアンサンブルと颯爽としたプレイが印象的な、ジョン・ルイスの作品La Ronde Suiteをラストに配置して、デトロイト・ハードバップ特有のキリッとした味わい深いプログラムを組み立てました。
 
  単独ライブで何度も共演している宮本在浩(b)、菅一平(ds)との息もピッタリ、特にラストのジョン・ルイス作品の難易度はとてつもなく高いものですが、忙しい仕事の合間を縫って、短時間で準備したのはさすがとしか言いようがありません。

  仕事も演奏も乗りに乗るあやめさんの安定した演奏ぶりは、充実した今回の発表会充実度を、さらにアップする内容になりました。

  後輩たちのためにも、近いうちに単独のライブをやってほしいものですね。
  
 

 私にとっては、発表会のプレイヤーは大スター、一人一人が輝いています。
 、客席で真剣に演奏を見つめ拍手を惜しまない皆さんの姿にも、演奏に負けない魅力を感じます。受け止められるものが多いほど、伝えられるものも多いのではないでしょうか?
 発表会やレッスンの皆さんの姿には、私も勉強させていただくことが一杯です。
生徒の皆さん、ご協力の皆さん、本当に素晴らしい発表会をありがとうございました。
 
 by tamae terai 
 



HOMEへ