土曜日は寺井尚之メインステムのHard Bop Spring で!

 もうすぐGW!皆さま、ご予定を立てるのにお忙しいことと思います。えっ私?
 OverSeasは5/4,5,6と三日連続でお昼の講座開催!
 貴重映像や秘蔵音源!大阪のオフィス街、堺筋本町はゆったりしてますよ!のんびり午後のひとときを、最高のジャズでご一緒に!
 4月28日(土)は、寺井尚之The Mainstemのライブがあります。4月のメインステムはスプリング・ソングが一杯ですので、久しぶりに曲目を予告しておきますね!
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<1>
  1.Tenderly ( Walter Gross)
  2. Wished on the Moon(Ralph Rainger)
  3.Hackensack(Thelonious Monk)
  4.Heaven (Duke Ellington)
  5.Ladybird (Tadd Dameron)

<2>
  1.Blue Bossa (Kenny Dorham)
  2.PassionSpring (Kenny Dorham)
  3.Don’t Blame Me ( Jimmy McHugh )
  4.Prelude to a Kiss (Duke Ellington)
  5. Love the Rhythm in a Riff (Billy Eckstein)

<3>
  1.Strode Rode (Sonny Rollins)
  2.They Say It’s Spring (Bob Haymes)
  3.Ray’s Idea (Ray Brown)
  4.Spring Can Really Hang You Up the Most (Tommy Wolf )
  5.Woodyn’ You (Dizzy Gillespie)

ladybird.PNG 今回は、“テンダリー”から”アイ・ウィッシュト・オン・ザ・ムーン”と、春の宵の甘いファンタジーから始まって、”レディ、ビー・グッド”を基にしたモンク・チューン、”ハッケンサック”という風変わりな名前はNYからハドソン川を隔てたニュージャージー州の地名で、有名なヴァン・ゲルダー・スタジオがあった場所、ルディ・ヴァン。ゲルダーは今も現役!スタジオは現在NJの”イングルウッド”というところにあります。
 寺井尚之がトランプのジョーカーと呼ぶエリントン・ナンバーは、どんな曲の前後にもしっくりと合います。”ヘブン”は、エリントン晩年の宗教音楽的作品ですが、春の天空のように冴え冴えしたサウンドをお楽しみに!締めくくりは、リトル・エリントンと言われたビバップの大物、タッド・ダメロン作品でスイングします! 
kennydorham4.jpg 2ndセットは春爛漫、KDことケニー・ド-ハムの名曲2曲、”パッション・スプリング”を聴かずして、OverSeasの春は終われない!
 “ドント・ブレイム・ミー”は、ジミー・マクヒューの古い歌曲というよりも、私たちにとってはチャーリー・パーカーのヒット曲、「あなたに恋したからって、私が悪いんじゃないの。あなたが素敵だから悪いのよ…」歯の浮く歌詞もバードが吹くと、粋の極致に聴こえるから不思議です。この歌は、ポップ通には、ジョン・レノンのお気に入りとして有名というのが意外です。
 そして1stと同じ位置にエリントン・チューンが入ってきます。こちらは宗教音楽とは真逆、俗世の官能美の極致「キスの前奏曲」で百花繚乱!どちらのエリントンも素晴らしい!
 そしてラストは寺井尚之が愛して止まないMr. B ことビリー・エクスタインのヒット曲で締めくくります。
 3rdセットは「晩春」のムード、ソニー・ロリンズやレイ・ブラウンのハードバップ・チューンでザイコウ+イッペイのリズムがビシバシ・スイング!そしてトミー・フラナガンのおなじみのスプリング・ソング、“ゼイ・セイ・イッツ・スプリング”や、エラ・フィッツジェラルドの名唱が忘れられない光と影のスプリングソング、”スプリング・キャン・リアリー・ハング・アップ・ザ・モスト” で最高のピアノ・タッチを!
 ラストはディジーの”ウディン・ユー”でThe Mainstemの真骨頂、軽やかなフットワークを楽しんでくださいね!余談ですが、”Woody’n You”は辛口のハーモニーとラテン・リズムでガレスピー作品の内でも難曲と言われています。”ウディと君”という意味で、ウディ・ハーマンに捧げた曲。でも、ハーマンはタップ・ダンスのバックで演奏した記録はあるものの一度もレコーディングしなかったそうです。
 Hard Bopな春の宵、4.28(土)はOverSeasイチオシ、寺井尚之The Mainstem3にぜひどうぞ!
4/28 (土)
メインステム:寺井尚之(p)+宮本在浩(b)+菅一平(ds)
 演奏7pm-/8pm-/9pm-
 ライブ・チャージ 2,625yenです

CU

GW お昼はOverSeasで!

 大阪は造幣局の通り抜けが始まって春爛漫、皆さまいかがお過ごしですか?
 今年のゴールデン・ウィーク、Jazz Club OverSeasでは昼間にイベント開催します。5月4日~6日の3日間、巨匠たちの歴史的映像や名ドキュメンタリー・フィルム、そして、当店の超秘蔵音源など、開店33周年を記念して、一挙公開!
 ぜひこの機会にご来店ください!
5/4 Friday (みどりの日)映像講座
1.Thelonious Monk  Solo

monkimage1.jpg  前半は、モンク ’69年のソロピアノ映像を鑑賞します。”Monk’s Mood”や”Reflections”など、寺井尚之で皆さんお馴染みのレパートリーばかり。モンクはIn Tempoで強烈にスイング!
 ソロ・ピアノという切り詰めたフォーマットを聴きながら、寺井尚之がモンク・ミュージックの真髄を解説します。
2. Bud Powell
budimage2.jpg 後半は、映像自体が稀少なバド・パウエルのヨーロッパでの演奏。それにしても、ジャズの巨匠達の歴史的映像は、なんでヨーロッパのものばかりなんでしょう?
 “Blues in the Closet”,”John’s Abbey”など、お馴染みのパウエル・チューンや、師匠モンクの”52nd Street”・・・これぞビバップ・ピアニストという華麗なプレイ。
 共演は、「もっとも過小評価されている巨匠」と言われるラッキー・トンプソン(ss,ts)や、弱冠16歳のニールス・ペデルセン(b)、ケニー・クラーク(ds)、クラーク・テリー(tp)など豪華絢爛!
 何よりもバド・パウエルがアート・テイタムやトミー・フラナガン同様、ソフト・タッチのピアニストであったことがこの目で確認できます。
 寺井尚之が口を酸っぱくして説く“ソフト・タッチ”の極意!日頃、パウエルを、荒々しいタッチで、ガンガン弾きまくる天才と思っておられるお方、ぜひご一緒に!
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5/5 Sarturday(こどもの日) 映像講座
1. A Great Day in Harlem (’95 アカデミー賞 最優秀ドキュメンタリー・ノミネート作品)
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  ”Esquire エスクヮイヤ”という男性誌をご存知ですか?”Playboy”マガジンより、ちょっと硬派な老舗文化雑誌、一時日本版も出版され、ジャズ特集版は今も保存しています。この雑誌が’58年に掲載した、ジャズの巨匠達の集合写真が、”A Great Day in Harlem”。旧店舗のホワイト・ボード一面に張り付けてあったのでご存じの方もいらっしゃるかも。
 撮影後37年、撮影されている巨匠たちにインタビューすることにより、ジャズの壮大な歴史が浮き彫りになって行くというドキュメンタリーを、寺井尚之のナビゲートでお送りします!
 この作品を製作者は、ジーン・バックという、ラジオ番組のプロデューサーですが、ジーンはNY社交界、知る人ぞ知る大物マダム。ホテル・カーライルでNYの名物だったキャバレー・アーティスト、ボビー・ショート(p.vo)の友情も有名です。ジーンの両親は享楽のジャズエイジをその言葉どおりに生きた石油富豪、その影響か、少女時代からデューク・エリントンのおっかけを自認するジャズファンで、エリントンのレコーディングの際はスタジオで一緒に立ち会っていたほどです。後には、ブロッサム・デイリーを自分の屋敷に寄宿させるなど、ジャズのパトロンとしても著名です。そんなジーンの作るドキュメンタリーですから、ジャズメンたちが、快くインタビューに応じていて、楽しい雰囲気が伝わってきますよ。
 何度かお目にかかったジーンさんは、知的でゴージャスで、私たちのようなノーバディにも気配りしてくださるエレガントな女性でした。なお、ナレーターはクインシ―・ジョーンズ!
2. Nat King Cole
Nat_King_Cole,_New_York,_N.Y.,_ca._June_1947_(William_P._Gottlieb_01531).jpg 昨年のGWは女性ジャズ・ヴォーカルの御三家を特集しましたね。今年は待望の男性歌手、ナット・キング・コールの映像を観ましょう!ピアニストとしてはトミー・フラナガンに大きく影響を与えた名手。”Mona Lisa””Unforgettable” ”Route 66″、ポップだけれどしっかりジャズです!歌手として、大エンタテイナーとして、世界を魅了した秘密を、DVDでしっかり検証いたします。この映像を観れば、あなたもカメラ目線でピアノが弾きたくなるかも!
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5/6 Sunday  歴史的秘蔵音源鑑賞講座
Tommy Flanagan 3 Live at OverSeas
photo7.jpg  GWも大賑わいの京都の大観光名所、清水寺、ご本尊の千手観音は秘仏として、33年に一度だけしか公開しないとか。よっしゃ~!そんならOverSeasも33周年を記念して秘仏を公開しましょう。門外不出のライブ音源です。感動のコンサート!詳細はご来店の際に!
OverSeas 33周年記念講座
【日時】5月4日(金)-5月6日(日) 正午~ (要予約)
【講師】OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】各日¥2,625 (税込) 飲食代別
単日のみ、連日受講、いずれも歓迎いたします。

 連休のお昼間はぜひOverSeasでたのしいひとときを!
CU

ある常連様のこと

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 やっと桜が咲き、今日の大阪はサングラスをかけたいほどの日差しになりました。皆さま、いかがお過ごしですか?
 今年は寺井尚之も還暦!OverSeasは開店33周年となりました。上の写真は、1983年から2003年まで営業していた旧店舗です。People Come and Go. 思えばずいぶん沢山のお客様に支えられ、今までやって来れました。感謝のことばもありません。
 常連様と気安く呼ばせていただいていても、転居や転職、ご結婚など、色々な理由でお別れがあります。プライベートなことを存じ上げない場合は、たいてい「なんとなく・・・」という感じで、自然にお目にかからなくなるもの。そしてまた「なんとなく」再会することもあります。
<People Come and Go>
 もうずいぶん前の常連様のことです。その方のお名前を、仮に山田さんとしておきます。山田さんがOverSeasに来られるようになったのは1990年代でした。大阪人らしく、ざっくばらんで、恰幅のよい紳士、寺井尚之より少しだけ年上のトミー・フラナガン・ファンで、ラジオで流れていた寺井尚之のCDを気に入って、OverSeasを捜して来てくださったそうです。
 ウィスキーのボトルを傍らに、フライドポテトとチーズを肴に、ライブを聴く山田さんの後姿には、しみじみとくつろいた雰囲気が漂い、私はその背中を観るのが大好きでした。大企業の偉い方と知ったのは、ずっと後になってからです。トミー・フラナガンのライブや、ジャズ講座にも時々来られていたけど、一番お好きだったのは、寺井のピアノをおひとりでしみじみと聴くひとときのようでした。
 私が病気で数週間入院した時は、思いがけなく手紙を頂いた。それは、「お見舞い」というよりは、ご自分の日常の生活を綴ったもので、ペットのハムスターが自宅のピアノの下に隠れてしまい、奥様と大騒ぎしたとか、企業戦士らしくないところが不思議な手紙でした。
 10年来の常連様になった山田さんは、時々は部下の方々や、一度は奥様と一緒に来られたけど、やっぱり一人でしみじみと楽しむのがお好きでした。でも、やがて子会社の社長さんになられ、OverSeasが現在の新トヤマビルに引っ越してからは、ふっつりと来られなくなりました。
 職場が変わって忙しくされているのか、それとも、今の店が好きではないのか、音楽に飽きてしまったのか・・・People come and go しかたないさ、でも頂いた手紙は大切にして、お好きだったWith Malice…やStar Eyesの演奏を聴くと、ときどき山田さんのことを思い出すことがありました。
<再会と別れと>
 先週の金曜日、開店前に通用口から「もうやってますか?」と明るい声がします。「どうぞ、どうぞ!」
 「あの・・・山田というんですけど・・・もう忘れていらっしゃるかも知れませんけど、以前、主人がよくお伺いしていたんです・・・」
 あんなにご贔屓いただいたのに、忘れるもんですか!ご無沙汰しています!山田さん、どうなさってるんですか?
 それから、奥様が教えてくださった。山田さんはOverSeasが移転した頃、亡くなられたと。
 「少々のことではビクともしないタフな人で、病気知らずだったけれど、急にお腹が痛い言うて・・・病院で検査を受けたら末期ガンでした。10か月の闘病生活の間、結婚して初めてずっと一緒に過ごせたという感じでした。
 亡くなってからは、本当にさびしくてねえ・・・でも子供たちもみな独立しました。家に寺井さんのCDがあるから、私もよく聴くんですよ。主人は海外出張やなんやかんや、いつも忙しい人だったから・・・OverSeasでピアノ聴くのが好きや言うてね、くつろげるって言うてね。好きやったんですわ。
 それでね、私もいつか寺井さんのピアノ聴いて、主人の気持ちを味わいたいと思いながら、なかなか来れなくて・・・でも、やっとのことで来れました。」
 奥様は、帰り道が暗くて怖いからと言い、1セット聴いてから、再会を約束して帰られました。その後ろ姿は山田さんのくつろぎの背中ではなかったけれど、やっぱりしみじみとした気持ちが溢れ、私はありがとうと心の中で言い手を合わせずにはいられませんでした。
 10年間音信不通だった常連様に、再会し、同時にお別れをした不思議な夜。山田さんは「僕みたいにがんばりや!」と、私たちに喝を入れたかったのかしら。
 エネルギー注入!土曜日の「トミー・フラナガンの足跡を辿る」は、おいしいナムル&蒸豚の韓国グルメをご用意します!J.J.ジョンソン@アムステルダム『What’s New』をしみじみ楽しみましょう!
CU

日曜日、一緒に観たい!「映像で辿るジャズの巨人」

 春の嵐で今週は大変でしたね!OverSeasの入っているビルは外壁工事の足場を組んでいて、強風が心配でしたが、おかげさまでビクともしてません。
 というわけで、現在はちょっとジャングルジムっぽい見かけのジャズクラブになっています。エリントンのジャングル・ミュージックの本拠地かも?!ぜひこの機会にご来店を!
 さて、こんどの日曜日のお昼から、好評DVD講座「映像で辿るジャズの巨人」を開催します!
jazzevent4_8.pdf.jpg 今回は豪華三本立て!
 まず、エラ・フィッツジェラルド+トミー・フラナガン・トリオの1970年、イタリアでの映像。「トミー・フラナガンの足跡を辿る」で大好評だったアルバム、『Ella in Budapest』と同じツアーの映像で、”Crazy Rhythm”から始まる演目も大体同じですので、講座本第6巻を読みながら『Budapest』を聴いてお越しになると、さらに楽しそうです!
 バックはトミー・フラナガン(40歳)、フランク・デ・ラ・ローサ、エド・シグペン!オーケストラが演ることをたった3人でやってのける凄さもご堪能ください!
 その2は1995年のトミー・フラナガン・トリオ(bass: Peter Washington, drums: Lewis Nash) のフランス公演。
 演奏曲目を観ただけでシビれます!

  • Hi-Fly  ハイ・フライ
  • Lady Be Good レディ・ビー・グッド
  • Elusive イルーシブ
  • Sunset and the Mockingbird サンセット&ザ・モッキンバード
  • Tin Tin Deo ティン・ティン・デオ

 トリは、スペシャル・ゲストのベニー・カーター(as)、ブルーのワイシャツとライト・グレーのジャケット姿は、まさに”The King”の愛称にぴったり!
 J.J.ジョンソンは、ベニー・カーター楽団在籍中、カーターの一挙一動を観ながら、バンドリーダーの何たるかを学んだのだとディック・カッツさん(p)が言っていました。メンバーに対して、決して乱暴な言葉を使わない紳士的で威厳のある統制力は、職業に関係なく勉強になりますよね!
 しかし人種差別時代、気品溢れるカーターも、楽団を率いてツアーしながら、人主差別に苦しんだり、ギャングに脅されたり、様々な辛酸を舐めたと言います。J.J.ジョンソンは、ヤクザ者のクラブオーナーにピストルを突き付けられたカーターをかばって、銃身で唇をこっぴどく殴られたこともあったとか・・・ベニー・カーターがどんなに偉い人かは、ずっと前にブログに書きました。昔のエントリーなので、写真のリンクが切れたり、字の色が読みにくかったりしますが、ご興味があればぜひどうぞ!
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 こんな世の中だからこそ、品があって、明るくて、おまけにスイングするベニー・カーターの音楽を、みなさんとご一緒に楽しみたいものです!
「映像で辿るジャズの巨人」
4月8日(日)正午~ (開場 11:30am-)
参加料:2,625円 

 給食は定番:極上牛すじカレー、おやつは、桃の木ロールケーキでお楽しみください!
CU