残暑お見舞い申し上げます!
リハーサルで華麗なフィニッシュ!むなぞう生徒会副会長
来る8月30日(土)正午より、寺井尚之ジャズピアノ教室門下生による発表会を開催いたします。
今回は11名のコンパクトな発表会。仕事や病気、育児や学業など諸事情で出場できなかった人たちが5名もいるのは最近の社会情勢のせいかな・・・とっても残念ですが、初出場が4名のデビューに立ち会えるのは、とっても嬉しい!
OverSeasの看板娘、あいちゃんも出場しますよ!The Mainstemの強力リズム・チーム、ザイコウ、一平がとことんサポートしてくれる発表会は門下生の憧れです。
正午から開催し、大トリのあやめ生徒会長の後、審査委員長、寺井尚之によるエクシビション演奏もあります。
出場ピアニストたちは、恥ずかしがらないで、たくさん応援を連れてきてください。「誰かの為に心をこめて演奏する」のも、アーティストにとっては大事なことかも・・・
当教室にご興味がおありなら、見学もできます。(見学チケット¥2,000 要予約)
発表会プログラムはこちら
バド・パウエルに挑むアクビちゃんをリハで指導中の寺井尚之
CU
カテゴリー: 寺井尚之ジャズピアノ教室
日曜セミナー:寺井尚之ジャズピアノ教室
6月28日(日)に開催した「寺井尚之ジャズピアノ教室」生徒会主催日曜セミナーは大盛況!
2月に開催した日曜セミナー「ジャズの歴史」は、寺井尚之のワンマンショウでしたが、今回は「インタープリテーション(演奏解釈)」がテーマで、演奏解釈に長年取り組むベテラン生徒達の名レクチュアも聴けました。
プロデュースから発表まで大活躍のあやめ会長&むなぞう副会長、Great Job!
情感のこもるピアノが「むなぞう節」と呼ばれ、発表会で人気を博するむなぞう副会長は、レコーディングの残っていないフラナガンの名演目、“If You Could See Me Now”(Tadd Dameron作詞作曲)を取り上げ、歌詞の理解が演奏解釈にとってどれほど有益かを、雄弁に語ってくれました。
元祖サラ・ヴォーンの歌唱解説から始まり、トミー・フラナガンがお宝音源で聴かせる演奏解釈を、むなぞうくんが日本語にしてみせるバーバルな講義は、ユニークで面白かった~!
発表会で「最優秀賞&努力賞の殿堂入り」を果たすあやめ会長の講義は、後輩諸君に身近なスタンダード曲“Yesterdays”、そして当教室で音楽を学ぶ過程で避けて通れない歌手、ビリー・ホリディの十八番“Goodmorning Heartache”を取り上げ、譜例やスケールを提示しながら、さりげないイントロやエンディング、クリシェ(決まり文句)に引き継がれるジャズの「伝統」というものを判りやすく説明してくれました。
勿論、どこでも聴けないお宝音源は至福の音楽。それだけでなく、後輩ピアニストたちにとって、明日から即使えそうな実用的なアドバイスも講義原稿の中に沢山織り込まれていて、さすがは会長!でした。
セミナーが始まるまでは私と一緒に給食係、牛すじカレーを盛り付けながら、注文がややこしい生徒に渇を入れたり…ケーキを勧めたり大忙しだった真打講師:寺井尚之、おかげでカレーもケーキも完売!
<寺井尚之が指南する「波止場の佇み方」>
お待ちかね真打、寺井尚之のお題は、思い出深いジャズ・スタンダード“I Cover the Waterfront (波止場に佇み)”一本勝負。
まずは譜面を見ながら、キャノンボール・アダレイ(as)w/ストリングスの流麗なスイング感に溢れた演奏を聴いて、これが「楽しい曲」か「哀しい曲」なのかという、原点からスタート。
それから歌詞に帰ります。正調ビリー・エクスタイン(vo)の基本形で、「去ってしまった恋人を、波止場で待ち続ける」という歌の原風景を皆で確認しました。星のない夜空が「待ち続ける」心の闇を象徴して、なんとも切なくやるせない歌です。1933年の同名映画の主題歌だったこの曲は第二次大戦中、徴兵で離れ離れになった恋人たちの心情と相まって、ビリー・ホリディで大ヒットしました。
しっぽりとインディゴ・ブルーな切なさを歌うと右に出る者のないアーニー・アンドリュースの名唱にしんみりしたり、テクニックは有り余るのに、サンバで楽しく演っちゃう北欧のプレイヤーを聴くと「沿岸警備隊」の歌と間違ってるのかしらん?と思ったり・・・ここでは書けない寺井の超シニカルな批評にまた爆笑。
そしてビリー・ホリディの名唱が聴けました。ホリディを語らせておくと、ほっておいたら夜が明ける、というのはトミー・フラナガンも寺井尚之も一緒です。ここではオリジナル音源は敢えて聴かずに、終戦後のカーネギー・ホールの実況版を皆で聴きました。
戦時中は自分自身が「去ってしまった恋人」であった帰還兵が沢山詰め掛ける客席に向かってホリディが歌って聴かせた”I Cover the Waterfront (波止場に佇み)”の情景は、もう「星のない夜」ではなかった。「あなたの恋人は、もう波止場に佇まなくてもいいの。ほんとによかったわねえ…」と、一人一人に話しかけるような祝福のメッセージに変貌していたんです!名歌手ホリデイならではのマジックです。
ひょっとしたら’46年のカーネギー・ホールに変装して紛れ込んでいたんじゃないかしらと思えるような迫真の解説に、参加者は大爆笑!でも「その時」カーネギー・ホールにいて、この歌の変貌を生で体験したような気持ちを皆で共有できました。ビリー・ホリディを聴く皆の瞳はキラキラして楽しそうだったね!
ラストはもちろんトミー・フラナガンの『Sea Changes』を聴いて、フラナガンのインタープリテーションの原点に隠れるアイドル、ビリー・ホリディの残像をはっきり確認。
寺井尚之が使った音源は殆どがOverSeasのCD棚にある日常的な素材ばかり。それでも、演奏解釈の研究はたっぷりできるし、知れば知るほどジャズは楽しいものだと、改めて教えてくれました。
いかに技量の優れた演奏家でも、楽曲に対する深い愛と理解なしには名演は生まれない。自分が感動しなければ、人を感動させることなんて出来ないんだ!日曜セミナーで、色んな演奏や講義を聴いた私は、そんな風に感じました。音楽は”Cookin'”というくらいで、料理にも似ているし、演奏家と楽曲の関係は恋愛と似ているのかも・・・
大好評だった生徒会日曜セミナー!生徒会あやめ&むなぞう両幹部、ほんとにお疲れ様でした。
次回は8月の発表会が終わった9月の日曜を目標に準備するそうですので、生徒以外の皆さんもぜひ覗いてみてください!毎月第二土曜日のジャズ講座にもぜひどうぞ。
CU