「クレオパトラの夢」:Keyのおはなし

 大阪もどんより冬空です。皆様いかがお過ごしですか?
 Jazz Club OverSeasの動画チャンネルに、寺井尚之メインステムによる「クレオパトラの夢」が加わりました。もうご覧になりましたか?
<The Scene Changes>
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 「クレオパトラの夢」のオリジナル・ヴァージョンは、バド・パウエルがパリに発つ直前のアルバム、『The Scene Changes』(’58)に収録されています。
 ジャケットに写っている子供は、バドの息子さん、アール・ジョン・パウエル、現在NY在住の舞台プロデューサーです。”The Scene Changes(場面転換)”というアルバム・タイトルの由来は彼にありました。パウエル夫妻は、里に彼を預けてパリに移住したのですが、生活が安定したので、パリに呼び寄せ、家族水入らずの生活が始まった直後にリリースされました。バドは、息子にアメリカという枠にはまらない生き方をして欲しいと望んでおり、彼のたっての希望で、ブルックリンから、このアルバムに参加しているアーサー・テイラー(ds)の同行で、フランスにやってきた。
 “The Scene Changes(場面転換)”とは、ピアノに対峙する父を無垢な瞳で覗き込んでいる息子の人生を表現していたのでした。アール・ジョンは5歳から10歳までの間、サルトルやボーボワールなどフランスを代表する知識人や、ジョセフィン・ベーカーを筆頭に数多くのパリ在住のセレブや、ケニー・クラーク達、ジャズの巨人達に囲まれて育ったそうです。彼のインタビューの全訳はJazz Japan Vol.4にあります。脳の疾患のため、共演者を含め一切会話をしなかったバド・パウエルも父親の愛情は普通の人と全く変らなかったんですね!
<クレオパトラの夢>
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 さて、バド・パウエルの代表作品とされ、「クレオパトラの夢」という魅惑的なタイトルも手伝って、並のスタンダード・ソング以上に有名なこの曲ですが、案外演奏している人は少ないですね。それは、この曲がAm という♭がマキシムに7個付いた特殊なキーで書かれていることが理由のひとつです。
 クロード・ウィリアムソンや山本剛、穐吉敏子など、多くの著名なピアニストたちがレコーディングしているけれど、殆どが、Gm(♭2つ)やAm(♭も♯もなし)といった”ご近所”のキーに移調して演奏されています。腕のあるバップ・ピアニストなら、当然どのキーもOKのはずですが、レコーディング直前にプロデューサーから指示されたのなら仕方ない・・・
 でも、寺井尚之の動画では、オリジナル・キー、Amに忠実に、これぞバップ・ピアニスト!という華麗な演奏を繰り広げています。
 ヴォーカリストなら、自分の音域に合わせてキーを変えるのは当たり前。一昨日のイベントで寺井尚之が語っていたように、トミー・フラナガンやハンク・ジョーンズなどの名手は、”Oleo”のようなバップ・チューンですら、「緊張感を出すため」に、録音でわざをキーを変えて演奏したりする。
 そんならAmでもええやんか、と言いたくなるのですが、やっぱりAmでなければならない理由があるんです。
<キーの持つ色相>
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 かつてピアノの巨匠、生まれつきの盲目であるジョージ・シアリングは、サウンドが空気のヴァイブレーションであるならば、自分が見たことのない「色」というものは、恐らく「光のバイブレーション」だろうと、語りました。
 キー(調性)とは、その光の当たり具合を変えて、音の「色合い」を決めるものだと思えば判りやすいのではないでしょうか?クラシックの世界では、例えばベートーベンの「運命」は「交響曲第5番ハ短調(Cm)」と、タイトルにしっかり明記されて、ずっと「偉そうに」しているみたい。調性論という学問もあって、シャルパンティエとか、キルンベルガーといった調性の権威が、その色合いを言葉で説明しようとしている。
 「クレオパトラの夢」には、コードがE7、Amの二つしかないシンプルな組み立てになっているので、キーで作り出される色合いが一層大切になるわけで、やみくもに「オリジナル・キーじゃないとダメ~!」と叫ぶ石頭じゃない。
<じゃあ、Amは何色?>
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 この質問を、演奏者、寺井尚之にそのままぶつけてみました。答えはズバリ「クレオパトラの肌の色!」威厳に満ちて美しい色合い。黒人のルーツである絶世の美女の肌の光と、寺井尚之は即答。黒人には、「音楽による肖像画」の伝統があります。作曲者バド・パウエルの心の中には、きっと琥珀色に輝くクレオパトラの肌色があったのだ。
 寺井はさらに、「この色は西洋の色彩より日本文化の持つ色合いに近い」と言います。例えば写楽の着物の色や、能衣装の色彩も、Amに近いと寺井は言う。
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 バップと日本古来の色彩感覚が共通しているから、日本人はジャズを愛し、バッパー寺井尚之が生まれたのかもしれないな!クラシックでは、A♭m(変イ短調)はベートーベンのピアノソナタ「葬送」の第三楽章とか、「哀切」や「憂愁」を表現する色合いとして選ばれるけれど、バド・パウエルの「クレオパトラ」はもっと「壮麗」だし美しい。
 そして、これをを安直にAmに上げると、色の深みが消え去り、ペラペラの「黄色」っぽい色になり、Gmに下げると、ブルーな色相に変ると寺井は言います。その辺りは、シャルパンティエの調性論と近いかもしれません。
 Youtubeで「クレオパトラの夢」を検索すると、色々な「クレオパトラ」がありました。バド・パウエルと寺井尚之以外は、私の観た限りでは全てAm,Gmで演奏されていますから、色相の違いがよくお分かりになると思います。
 不肖、当チャンネルの寺井尚之ヴァージョンは、演奏同様、ピアノの輝きも傑出してます。ピアノのカバーが鏡のように指を写して目が回りそう。

 演奏は寺井尚之(p)、宮本在浩(b)、菅一平(ds)、トリオ全体が写っているヴァージョンは一平チャンネルでご覧になれます。
 「クレオパトラの夢」を含めたバド・パウエル作品の譜面や楽曲の解説本もありますので、ご自分の演奏に応用できます。興味のある方はぜひどうぞ!
☆2011年 4月に訂正&更新

Jazz Poet →The Mainstem

 新春ジャズ講座に遂に待望の『Jazz Poet』が登場!寒い夜にも拘らず、沢山お集まり頂きありがとうございました。
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  1. Raincheck
  2. Lament
  3. Willow Weep for Me
  4. Caravan
  5. That Tired Routine Called Love
  6. Glad to Be Unhappy
  7. St. Louis Blues
  8. Mean Streets
  9. *I’m Old Fashioned (add)
  10. *Voce A Buso(add)

 ジャズ詩人”Jazz Poet”という言葉は、元々、雑誌”The New Yorker”でトミー・フラナガンの特集記事が出た時の見出しでした。”The New Yorker”は「知的で洗練されたNY」を具現する大人の雑誌。長年ジャズコラムを担当していたホイットニー・バリエットが名付け親。フラナガン夫妻は、コマーシャリズムの影響を受けない”The New Yorker”のバリエットの評論と、このニックネームをとても気に入っていて、自己プロデュースのこのアルバムのタイトルにしたんです。
 日本では、フラナガンの代表作は今も『Overseas』ですが、米国では『Jazz Poet』の方がずっと評価が高い。メジャーのレコード会社製作でないのに、ビルボード誌「最優秀ジャズ・アルバム」やグラミーにノミネートされ、ダウンビートやジャズ・タイムズの人気投票で一位になった。’90年代の新しいジャズ・ファンに、フラナガンのバップの香りと、気品ある演奏スタイルが受け容れられたのだと、ジャーナリストのM.J. Andersenは述べています。
 上のオリジナルLPのジャケット写真は、数あるトミー・フラナガンのポートレートの中でも最もトミーの個性が出ていて素敵ですよね。実はこのポートレートを撮影したのはジャズ写真家ではなく、リチャード・デイビス(!)というモード系フォトグラファー、落ち着いた錆色のプリントとパノニカの令嬢ベリットの特徴あるレタリング、すっきりしたジャケットデザインも、フラナガンの音楽スタイルにしっくり合っています。
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リチャード・デイビスの撮影したファッション写真はRichard Avedonをガサツにした感じ。Poetのポートレートの方がよく見えるのは被写体のせいなのかな・・・
 講座では、寺井尚之がトミー・フラナガンに頂いた原盤のLP、その後出たCD、フラナガンの意に反して発売されてしまった『Please, Requeat Again』というタイトルの日本盤のジャケット・デザインや曲順を比較しながら、タイムレス原盤LPには、フラナガンの配慮が隅々に行き届いていたことを実感できました!掲示板にむなぞうくんが書いていたけど、曲順は本当に大切ですね!
 エリントン楽団やマット・デニスなど、収録曲のオリジナル・ヴァージョンと『Jazz Poet』を聴き比べ、フラナガンがどの部分を取り入れてアレンジしているのか、録音後『Jazz Poet』の収録曲が、バンドスタンドでどのように発展していったのかを見つめていた寺井尚之の解説を聞いていると、フラナガンのアートはピカソやダ・ビンチに負けないほど、日々進化していると判り、面白かった~
 演奏は、どれもこれも肩の力が抜けていて、いとも容易に聴こえるけれど、実際は各メンバー(ジョージ・ムラーツ、ケニー・ワシントン)に卓抜した技量があり、レギュラーで活動しているからこそ出来るプレイであることが、講座で改めてよく判りました。
「灼熱の砂漠をエアコン完備の駱駝に乗って旅をしているように爽快なCaravan」という寺井尚之の名言に場内爆笑!
 来月の講座は『Beyond the Bluebird』をたっぷり解説いたします。当時のフラナガンを公私に渡って知っている寺井尚之だからこその、面白くてためになる解説が聞けますよ。2月12日(土)は予定を空けておいてくださいね!
 そして今週(土)は寺井尚之The Mainstemのライブです。『Jazz Poet』の名曲の数々を演奏予定!こちらも絶対聴き逃せません。こちらもぜひお待ちしています!
CU

トリビュート・コンサートの曲説できました。


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 去る11月に開催したコンサート、「第17回Tribute to Tommy Flanagan」の曲目解説をやっとHPにUPしました。イベント続きで遅くなってしましまいた。毎度の事ながら、たいへん申し訳ありません。
 トミー・フラナガンの名演目がズラリとならんだ曲説、そのうち、世に言う大スタンダード曲と言えば、”エンブレイサブル・ユー”位のものでしょうか?それなのに、フラナガンの演奏は、どこ曲にも親しみを感じさせるものでした。それは、素材に対する理解と料理の仕方なのでしょうか?
 デューク・エリントン、トム・マッキントッシュ、サド・ジョーンズなど、フラナガンがレパートリーを選ぶ上で、”ブラック”であるかどうかというのが大きな判断基準になっています。フラナガンの愛でる”ブラック”とは、「スピリチュアル」な要素と音楽的な「エレガンス」が深く融合したものと捉えれば良いのかも知れない。ブラックと言ったって、ファンクやR&Bなど、後にデトロイトが生んだモータウンとは全く異なる潮流のものです。
TommyFlanagan.jpg 今回、曲説を書いていて、改めて気づいたのは、トミー・フラナガンのオーケストラ的な要素。Tin Tin DeoやOur Delight、Smooth As the Wind、エリントニアなど、本来は楽団仕様の曲を、ピアノ・トリオに翻案する際に、オーケストラ的な面白さが減るどころか、更にその醍醐味が増幅されているところが凄い!ピアノの技量に負けない編曲力があった人だとつくづく感じました。
 というわけで、今回もトリビュート・コンサートを応援いただき、心よりお礼申し上げます。
今後とも、寺井尚之The Mainstem:宮本在浩(b)、菅一平(ds)をどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 コンサートの写真撮影は、後藤誠先生にお願いいたしました。上の演奏写真も後藤先生撮影です。ありがとうございました。
 レポートはこちらです。
 トリビュートのライブCDご希望の方は当店にお問い合わせください。E-mail:
info@jazzclub-overseas.com
CU

トリビュート・コンサートCD出来ました。

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 先週のトリビュート・コンサートのライブ録音が出来上がりました。
 3枚組CDで、お越しになれなかったお客様は、3,150円をダイアナ基金にご寄付ください。お問い合わせはJazz Club OverSeasまで。
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 現在トリビュートの曲説を書いているのですが、同じ演目でも回を追う毎に印象が違うため、書きたい事も変ってしまい、喜んでホイホイ書いていたら、別件の用事がどっと来て、まだ途中までしか出来ていません。近日公開!
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CU

トミー・フラナガン・トリビュート、応援ありがとうございました!

 11月27日、第17回Tribute to Tommy Flanagan開催!
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 初めてのお客様から常連様まで、沢山お越しくださって本当にありがとうございました!加えて沢山のお供えや、応援メッセージなど、心より感謝いたします。
 誕生月3月のトリビュート・コンサートから昨日まで、とても長い月日でしたが、こうして皆で、大切なフラナガンの演目を楽しむことが出来て幸せです!
 絶妙の掛け声、寺井尚之(p)、宮本在浩(b)、菅一平(ds)の各ソロへの大きな拍手!最高でした!客席から発散される”気”を感じると、ジャズクラブの片隅に居ることが出来てよかった!とつくづく思います。The Mainstemが披露した数々のフラナガン演目は、これまでのトリビュート史に残る出来栄えだったと感じました。それも皆様が聴いて下さったおかげ!
 幕間は、高級マカロンの差し入れもあって、和気藹々の「法事」みたいな良いムード!
 宮本在浩(b)、菅一平(ds)は、フィーチュア・ナンバーでの熱いプレイも良かったけれど、メリハリの効いたアンサンブルの力が、寺井尚之(p)のサウンドをより大きく潤いに満ちたものにしてくれていましたね!
 熱演の寺井尚之は、今日は指も体もヨレヨレ・・・終演後、昨日の夜は、体が痛くてよく眠れなかったそうですが、明日から再起動です!

第17回トリビュート・コンサート曲目

1. Bitty Ditty / Thad Jones
2. Out of the Past /Benny Golson
3. Minor Mishap /Tommy Flanagan
4. Medley: Embraceable You /Ira & George Gershwin ~Quasimodo /Charlie Parker
5. Lament / J.J.Johnson
6. Rachel’s Rondo / Tommy Flanagan
7. Dalarna /Tommy Flanagan
8. Tin Tin Deo/Chano Pozo, Gill Fuller, Dizzy Gillespie

1. That Tired Routine Called Love /Matt Dennis
2. Beyond the Bluebird /Tommy Flanagan
3. Smooth As the Wind / Tadd Dameron
4. Medley: Thelonoca /Tommy Flanagan~Mean Streets/Tommy Flanagan
5. That Old Devil Called Love/Allan Roberts, Doris Fisher
6. Our Delight /Tadd Dameron
7. I’ll Keep Loving You / Bud Powell
8. Eclypso /Tommy Flanagan
Encore:
With Malice Towards None /Tom McIntosh
Ellingtonia/
Lotus Blossom / Billy Strayhorn
Chelsea Bridge / Billy Strayhorn
Passion Flower / Billy Strayhorn
Black & Tan Fantasy / Duke Ellington

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 曲目解説は近日HPにUPいたします。次回は花咲く3月に!どうぞ応援宜しくお願い申し上げます。
 皆様、ありがとうございました!
(撮影:後藤誠氏

晩秋 美バップ!10/29(金)メインステム予告プログラム

 今年は秋らしい日和がほとんどありませんでしたね。今日は冷たい雨で、ちょっとメランコリックな気分。でも明日の薦め料理にポーク・ビーンズを作ろうと思い立ち、鶴橋市場で最高の食材をゲットできたので、じわじわ元気が沸いてきました。
 明日は10月最終メインステム!今回は寺井尚之の伝家の宝刀とも言うべき美バップの名曲がズラリと並びました。プログラムを観ているだけでも、Bebopファン垂涎ですね!

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<1st Set>

  1. Tenderly  テンダリー (Jack Lawrence/ Walter Gross)
  2. New Picture ニュー・ピクチャー  (Jimmy Heath)
  3. Three in One 3イン1  (Thad Jones)
  4. If You Could See Me Now イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ (Tadd Dameron)
  5. Sid’s Delight シッズ・デライト (Tadd Dameron)

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<2nd Set>

  1. Baubles, Bangles & Beads 腕輪とビーズ (Robert Wright/George Forest/Alexander Borodin)
  2. Smooth As the Wind スムーズ・アズ・ザ・ウィンド (Tadd Dameron)
  3. A New Thing ニュー・シング (Slide Hampton)
  4. Easy Living イージー・リヴィング (Leo Robin / Ralph Rainger)
  5. Ladybird レディバード (Tadd Dameron)

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<3rd Set>

  1. The Tadd Walk ザ・タッド・ウオーク(Tadd Dameron)
  2. Grand Street グランド・ストリート (Sonny Rollins)
  3. In Walked Bud イン・ウオークト・バド (Thelonious Monk)
  4. That Old Devil Called Love ザット・オールド・デヴィル・コールド・ラブ(Allan Roberts / Doris Fisher)
  5. Eclypso エクリプソ (Tommy Flanagan)

 Bebopでありながら、ゴリゴリ感と無縁のタッド・ダメロン作品群を味わえるライブは決して多くないはず。ダメロンをご存じない方なら、ぜひとも一度は聴いてみてほしいです!
 1-1や2-1はスタンダード曲、2-1はロシアのクラシック作曲家、ボロディン作弦楽四重奏曲のカヴァー・チューンと言えるのかも・・・アラビアン・ナイト的なミュージカル”キスメット”中の作品です。
 2-3は、「ミスノートを一回も発したことのないトロンボーン奏者」と畏怖されるスライド・ハンプトンの作品、”A New Thing”は、’60年代ジャズ界の流行語、当時のダウンビート誌にも頻繁に登場します。今聴いてもNEWな印象ですよ!菅一平のin & Outのあるドラミングにも期待!
thebridge2.jpg 3-2はソニー・ロリンズのオリジナル、宮本在浩のベース・プレイが楽しめますよ!「グランド・ストリート」は、’50年代にロリンズが住んでいたロウアー・イーストサイドの通りの名前、チャイナ・タウンやリトルイタリーを縦断していて、ロリンズが稽古にふけった伝説的な橋:ウィリアムバーグ・ブリッジは、グランドストリートの近くにあるらしい。
 2-4、3-4は寺井尚之が大好きなビリー・ホリディの持ち歌、「赦し(ゆるし)」と「愛らしさ」というホリデイの菩薩的特質を代表する2曲と言えるかもしれません。
 明日のメインステムが楽しみです!
 今夜からポーク&ビーンズの準備をして、心も体も温かくなる一品に仕上げよう!
 お天気が心配ですが、ぜひ皆様お越しくださいね!よろしくお願いします。
CU

11/27(土) トリビュート・コンサートにご参加ください!

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 今日でやっと平年並みの気温だそうです。トミー・フラナガンが亡くなったのは2001年11月、私は今よりずっと若く、元気でもあったけど、今よりずっと寒く感じました。
 恒例の追悼コンサート、今回は11月27日(土)に行います。
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演奏:寺井尚之ピアノ・トリオ The Mainstem 宮本在浩(b)、菅一平(ds)
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2010年11月27日
18:00開場
第1部:19:00~20:00
第2部:20:30~21:30  
(入替なし)
場所: Jazz Club OverSeas
料金: 前売りチケット 3,150円
当日:3,675円

 生前のトミー・フラナガンは、とにかく「ライブ」命のアーティストで、「録音」するのは余り好きではないと言っていました。でも、沢山のレコーディングがあるからこそ、若い世代も聴けるのですから、ありがたいことです。
 音楽産業の変化で、トミー・フラナガンが参加する名盤の数々がごく一部を除いて廃盤になっているのが現実です。レコード業界で、ジャズのみならず、音楽を熟知したプロデューサーが激減しているからという話も聞いたことがあります。
 こんな状況を天国のフラナガンはどんな風に見ているのかしら?信じられないかも知れないけど、フラナガンは、自曲の譜面もロクに書かずに演奏をしていた。フラナガン以前のジャズ・』ミュージシャンは、自分のネタを奪われるのを防止するために譜面があっても門外不出にしており、その伝統のためなのか、或いは文字文化を持たないインディアンのDNAのためなのか・・・寺井尚之がきちんと書いたフラナガン作品の譜面を、レギュラーでない共演者用にと、コピーして大事に持って帰ったりしてたっけ。故に、フラナガンのオリジナルを再現することは、誰にでも出来る業ではないのです。
 トミー・フラナガンの名演目は数あれど、それらを一挙生で聴けるのは世界広しといえども、今のところOverSeasのトリビュート・コンサートだけ!
 生前のトミー・フラナガンの勇姿をご存知の方も、その頃にはまだ生まれていなかった人も、トミー・フラナガンがお好きなら、ぜひ一度トリビュート・コンサートにお越しください!
 ぜひ沢山の方にフラナガン・ミュージックの醍醐味を味わっていただきたと願います。心からお待ちしています!
terai_watch_tf.jpgトミー・フラナガンが生前最後にOverSeasにやってきた時、当時の寺井尚之によるレポートがHPに載っています。
イベントサイト:http://jazzclub-overseas.com/concert.html
トリビュート・コンサートのページ:http://jazzclub-overseas.com/tribute_tommy_flanagan/tribute.html

CU

Jazz Club OverSeas Youtubeチャンネル オープン!

 月曜&雨、Mood Indigoになっていませんか?
 今年の夏の暑さも辛かったけど、寒くなるとベッドから出たくなくなります。な~んてゴチャゴチャ言っている間に出来ました!Jazz Club OverSeasの動画チャンネルが!コンテンツと立ち上げの全てはOverSeas撮影部の努力の賜物です。どうもありがとう!!
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 ただし今のところ、フォームの安定している寺井尚之のフィクスト・ショットなので、「動画」が動いていないように見えて、サムネイルも全部一緒なのが「苦」です。でも内容はカラフル!スタンダードからデトロイト・ハードバップ、エリントニアまで様々なレパートリー15曲がお楽しみになれますので、ぜひ覗いてみてくださいね。
 好評なら、コンテンツ拡大して、あっと驚くレパートリーもご覧いただけるようになりますよ!
 ご感想など投稿いただければ嬉しいです。(投稿するにはYoutube アカウントの登録が必要です。)
 Check It! Youtube

“The Mainstem” 10/16(土) 《お月見 Hard Bop》予告セット・リスト

 今日は怒涛のように内外から沢山Eメールが届いた日でした。ご無沙汰のあの人はどうしてるかな?となんとなく気になる波動が世界中に流れているのかも知れません。
tamae_baker.jpg 最近、常連様のお勧めでTwitterなるものを始めました。まだあんまりよく判りません。私なんて、殆どお店&市場、自宅、時々キタ・ミナミくらいしか徘徊しないし、”○○なう”とも書けない身の上だしなあ。フォローさせてもらってる未知なる方々の中には、「腹減った」とか「トイレ行きたい」とか、日がな一日Tweetしている優等生も・・・興味深いつぶやきはあなりないかも知れないけど、とにかくFollow Me!宮本在浩(b)、菅一平(ds)もつぶやいてます。寺井尚之ジャズピアノ教室生徒会長のつぶやきも・・・有名常連のND氏やダラーナ氏は、グルメなつぶやきがうらやましい!私めのアイコンは、大好きな元祖ブラック・ビューティ、ジョセフィン・ベイカーのバナナ・ルックです。どうぞよろしく~http://twitter.com/#!/tamaeterai
 さて、10月最初のThe Mainstemライブが今週の土曜日に!ヒースBros.に負けないくらい「音」が聴こえてくるプログラムですよ。
乞ご期待!

“The Mainstem”
寺井尚之(p)

宮本在浩(b)

菅一平(ds)

7pm-/8pm-/9pm-

Live Charge 2,625yen(ご予約お願いします)
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1. Almost Like Being Love オールモスト・ライク・ビーイング・ラヴ(Alan Jay Lerner/Frederick Loewe)

2. Hassan’s Dream ハッサンズ・ドリーム (Benny Golson)

3. The Scene Is Clean ザ・シーン・イズ・クリーン(Tadd Dameron)

4. The Voice of the Saxophone ザ・ヴォイス・オブ・ザ・サックスフォン (Jimmy Heath)

5. Rifftide リフタイド (Coleman Hawkins)



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1. It’s Only a Paper Moon ペーパー・ムーン (E.Y.Harburg,Billy Rose/ Harold Arlen)

2. East of the Sun, West of the Moon 太陽の東、月の西(Brooks Bowman)

3. Moon Ray ムーン・レイ (Artie Shaw)

4. Moonlight Becomes You ムーンライト・ビカムズ・ ユー(Johnny Burke/Jimmy Van Heusen)

5. Old Devil Moon オールド・デヴィル・ムーン (E.Y.Harburg/Burton Lane)



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1. As Long As I Live 生きている限り(Ted Koehler/Harold Arlen)

2. Lonely Town ロンリー・タウン(Betty Comden,Adolph Green/ Leonard Bernstein)

3. 46th & 8th (Waymon Reed)

4. Autumn in NewYork NYの秋 (Vernon Duke)

5. Scrapple from the Apple スクラップル・フロム・ジ・アップル (Charlie Parker)

 1-1, 1-2は、先週のジャズ講座で印象も新たな2曲、寺井尚之流「どんなもんじゃい」という感じの演奏が聴けるでしょう。1-4は来日中のジミー・ヒースが同じテナーの大先輩であるコールマン・ホーキンスに捧げた曲。The Voiceという、ホークの究極の音色をピアノ・トリオでどのように再現するのでしょうか?興味は尽きません。
 2セット目は文字通り「お月見組曲」、毎年10月には「月」に因むプレイが聴けますが、因みに当日は少し膨らんだハーフムーン(月齢8.3)の大潮の宵、この演奏を聴いたあなたの月はどんな表情になるでしょう?楽しみですね。
 ラストの3rdセットは秋色の演奏が楽しめそう。この季節にぴったりな、レナード・バースタイン作品も登場!宮本在浩ファンの皆さんはベースがグイグイ拳を回すブルース(3-3)をお楽しみに!
 旬の楽曲と伝家の宝刀=ハードバップの絶妙の絡み合い!お勧めメニューは、10月になっても、健やかに育ち続けるバジルソースを絡めてポークをグリルする予定です。
 お時間のある方はぜひぜひ路地裏OverSeasを覗いてみてくださいね!
CU

新着動画情報&名ショット

 今週は講座二本立てで、下準備にアップアップのInterludeです。
 皆様は連休前でWhere to go…と楽しくプランを練っていらっしゃるのでしょうか?うらやましい~ 土曜日はジャズ講座なので、予定を空けておいてくださいね!
 今まで仕事に追われて紹介できなかったオーディオ・ヴィジュアル情報をまとめてお伝えします!
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 上の写真は、長年の常連様なら、お名前だけはご存知の、神出鬼没の名物男「むけぞう」氏が撮影してくださった、鉄人デュオでの寺井尚之の写真です。
 長らく姿を見せないと思えば、タイやオーストラリアに撮影旅行している謎の氏は某大手旅行代理店のパンフレット写真なども手がける名写真家。
 強烈なパッセージでも、鉄人デュオは二人とも頭部がブレないとつぶやいておいででしたが、写真の添え書きにこんなコメントが・・・

 シャッター速度0.8秒です。
釈迦に説法になりますが、この速度、三脚なしでは普通は絶対手触します。
シャッターボタン押下するだけでカメラが微妙に動きます。
しかし、それより驚きはこの0,8秒の速度で鍵盤を操る?手のみが動いている。
この方が驚きです。名人は無駄な動きは一つもない、実感です。
これ以上は語るとボロがでますし、多くを語る必要はないことです。
ファインダー通してタダタダ驚愕です。
あらためて、凄すぎる!

 その他にも、寺井ファンのために、携帯待ちうけショットも作ってくださいました。
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240X300サイズもあります。
 むけぞう先生どうもありがとうございました!
<寺井尚之のお勧め新着動画>

 このところ、OverSeas映画部が、着々と撮影する動画の数々。北海道、九州、北陸など、遠方のお客様や、生徒諸君から、「ええやん!」とお喜びいただいてます。
 悩みの種は、撮影資金がないこと、それに、寺井尚之が余りにもフォームの安定した、ジタバタしないミュージシャンなので、むけぞう先生がびっくりされていたように、動画なのか静止画像なのかが、手を観ないと全くわからない。まあ、チャーリー・パーカーにせよ、アート・テイタムにせよ、巨匠は仏様のように不動の姿で、何百万もの音符を繰り出していますよね。短距離のスーパーアスリート、ボルト選手もスローモーションで見ると頭部だけはほとんど動いていないです。 そこで、数台のカメラで、共演者の宮本在浩(b)、菅一平(ds)も撮影したのですが、編集作業がなかなか大変らしい・・・寺井尚之もファッツ・ウォーラーみたいに、メイクしてカメラ目線で映ってみるのはどうでしょうか?
 寺井尚之が自分なりに、かなり気に入っているのが上の動画、「Yours Is My Heart Alone」、元々オペレッタ『微笑みの国』の劇中歌「君はわが心の全て:Dein Ist Mein Ganzes Herz 」で、ドミンゴなどテノール歌手の十八番でもあります。スタンダードというには、地味すぎるかも知れませんが、寺井尚之の、スイング力と疾走感のあるパッセージがご堪能いただけると思います。連休の間にでも、ぜひご覧になってくださいね!
 新着動画はそれ以外にも4曲。
 (1)先日のメインステムで大好評だったデューク・エリントン+ビリー・ストレイホーンの“Warm Valley”こちら
 (2)トミー・フラナガンと寺井尚之の十八番、極めつけの美バップ “Our Delight”、ハイライトでお楽しみいただきます。
 (3)トミー・フラナガンのファンや、サド・ジョーンズを愛する通の皆さんには垂涎の動画、“Let’s”も少し公開いたしました。
 (4)日本全国のバド・パウエル研究者には見逃せない、硬派の名バラード“I’ll Keep Loving You” で、Jazz Club OverSeasならではの雰囲気が味わえます。
 ‘(5)寺井尚之3のCD『ダラーナ』では、(4)とメドレーになっているバド・パウエルの名曲、”Bouncing with Bud“もアップロードしました!かなりハイレベルのプレイ!ビバップ・ファンはCDと一緒にぜひチェックしてみてください。
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 デトロイト・ハードバップと寺井尚之を愛する、Jazz Club OverSeas常連の皆様と、OverSeasに来たいけど、諸事情によりなかなか来れない皆様全てに愛をこめて!
 さあ、これからジャズ講座のOHP製作に戻らなくては・・・
CU