大阪もやっと涼しくなりました!土曜日のパーティで、寺井尚之が紹介するトミー・フラナガンのマル秘音源の構成表もやっと完成!楽しい集まりになりそうです!
今月は、これまでインターネットでしかお付き合いのない方々と出会えることができました。まるでPCのディスプレイからリアルな人が飛び出してきたようで不思議な体験!
今週の火曜日デュオには、ジャズ・ファンなら誰でも知ってる人気ブログ「お気楽ジャズ・ファンの雑記帳」の著者、azumino氏が、長野県からご出張で、OverSeas初見参!安曇野はフラナガンが感動したスエーデンのダラーナの風景に似ていますね。美しい自然と、ジャズへの想いが溶け合って、azuminoさんならではの独特な優しい世界が味わえる素敵なブログですね。
azuminoさん、宴会を抜けて、寺井尚之と宮本在浩(b)ラスト・セットに駆けつけてくださってありがとうございます!ウディ・アレンの映画「カイロの紫のバラ」みたいなひとときをご一緒出来ました。話をするのに夢中で写真を撮り忘れたのが残念!!ぜひ再会できますように!
そして先週は、長崎より、フェイスブックでお付き合いさせていただいているジャズ・ファン、光崎さんご夫妻が、仲睦まじく大阪に休暇でお越しになりました。
光崎さんは、地元のFM局でジャズ番組のパーソナリティを務めたジャズ通。ご自分のプログラムでは、ジャズ・スタンダードの訳詩の紹介で好評だったそうです。
お帰りになってから、OverSeasの印象をFBに書いて下さっていました。
寺井ママに「こないだ来てはった光崎さんって、ジャズ評論家の先生なん?」と訊かれるほどの名文、それで、お許しを得て当ブログに転載させていただきます。
演奏は10月2日(火):メンバーは寺井尚之(p)+宮本在浩(b)+ゲスト:アルト・サックスの岩田江(as)さんが遊びに来てくれていました。チャーリー・パーカーを愛するバッパー、岩田さんは来年からOverSeasに定期的に出演予定ですので、どうぞご期待ください。
≪光崎 聡氏 フェイスブックより 10/4付≫
ピアニストはこう言った。自分はデトロイト・ハードバップ・ロマン派だからお望みのチェット・ベイカーのネタは残念ながらリクエストにお応えできない。
成程然り。女房のリクエストは受けてもらえなかったけどよくその意味は後になって分かった。
最高に吟味されたピアノが今日調律された状態で計算され尽くされた場所に置かれ、奏者が静かにそこに座っている。
ベース奏者の楽器を見るとサイドとバックの美しいトラ目が見える。
アルト奏者の持つ楽器は完全に音がヌケた状態の一種の「オールド」らしいと分かる。
演奏は一定の法則に従った曲の配列通り淡々と行われた。
音像はややタイトにまとまり一切の歪みがない。天井、壁などもほぼ完璧にエコーフラッター対策処理されているようだ。
「全ての芸術は音楽の状態に憧れる」のであると聞いたことがあるが、さらにその論を展開させれば
「全ての音楽はOverSeasの音に憧れる」のかも知れないとさえ思った。
ピアノは豊かな倍音成分を伴った音なのに、かと言って余計な装飾はなく「音域全域」が綺麗に聴こえる。テクニックは無論世界トップレベルと伺われたが特筆するべきは、結果としてその音楽ぜんたいの美しさ。どのフレーズもハードバップ・ジャズの持つスリルとユーモアに溢れ、全曲通して奏者の「美学」が香り高く感じられる。
デトロイト・ハードバップをロマン豊かに語り継ごうという確固たる決意。
一音一音が絹の帯のように綺麗に繋がりキラキラと輝く。
堅苦しさはまるで無く全ての音が美しく奏でられ、余韻を残して淡雪のように消えていく。音の消え際が殊更美しい。
低音部から高音部までどんなピアニシモの音までハッキリと美しい音で聴き取れるものだから急に自分が耳が良くなったのかと一瞬錯覚させられそうになるが、それは奏者の凄まじい集中力と豊かな音楽性によるもの。重ねて言えば自分の哲学に従った音しか出さないという美学に基づく演奏なのかも知れない。
指盤に弦が当たる音を有りがたがる録音技師が、それをリアルさと意味を間違えて多々存在する現在だけども、もっともっと真のベースの音を聴かせて欲しいといつも願っていた。
ラファロは弦が低かったのかも知れない。ルーファス・リードの音は深々としてるがやや緩い。
ジョージ・ムラーツ、ニールス・ペデルセンあたりの達人の音が本物だ。真芯を捉えた太い音だ。
この夜のベースそんな良い音だった。内容も素晴らしいプレイだったと思う。
アルト奏者もフルトーンで楽器が鳴りながら音が軽やか。これは得がたい資質だと思う。キリッとしていてスマートなフレーズの起承転結には納得。
演奏後に無口なピアニストがお喋りにつきあってくれた。
世界トップ中のトップ・ジャズピアニストに弟子入りを志願、何年も何回もかけてそれを果たした後も波乱の人生だったはずだ。
師匠は厳しい方だったと話したピアニストは師匠とは逆のタイプなのかも知れない。
綺麗な音しか出さないピアニストは最後まで優しく話をしてくれた。
うん、確かに間違いなくこの世界最高のひとりであるジャズ・ピアニストはロマン派だ(笑)
尚、ワンステージ一回40分弱の演奏時間は、美味しいものはやや少なめに、と考える私の好み通り。料理も一品毎にジャズ・クラブとしての矜持があり気が利いている。無論ママさんはこの店にこの人無しでは有り得ないと思う。
無口なお方にも同意していただきたい(笑)
あまりに褒めすぎでサクラと思われても困るので、ひとつ申し添えよう。
ビールはキリンのラガーを頼んだ。小瓶だった。これも正解。大瓶はルックス的にこんな洒落たジャズ・クラブに合わない。
ただし・・・・・・・・グラスがやや大き過ぎたようだった。
ジャズとは難しい音楽でなく誰もが楽しめる音楽です、と個人的に市民FMジャズ番組で喋りCDを回し続けてきた私に、ではそんなジャズってどこにあるの?と訊かれれば自信を持ってお答えしたいと思う。
ブルース・リーのような顔で
「考えるんじゃない。感じるんだ。大阪のOverseas でね」と。
上の写真はお土産に頂いたハンドメイドの革細工。地元のアトリエ、中山智介さんというクラフトマンがプレスティッジのジャケットをアレンジして作ってくださったものです。レジの横に置いてありますよ!光崎様、本当にありがとうございました!
でも、皆さんはどうぞ手ぶらで、気軽に来てくださいね!ご近所でもご遠方でも、演奏を楽しんでいただけるのが、私たちは一番幸せ!
これからもOverSeasをどうぞ宜しくお願い申し上げます。
CU