これぞフラナガン・ミュージックだ!
With Malice Towards None ウィズ・マリス・トワード・ノン/ Tom McIntosh | |
フラナガンが愛奏する作曲家、敬虔なキリスト教徒であるトム・マッキントッシュ(tb)の作品、この曲は、長年OverSeasで最も人気のあるナンバーだ。 賛美歌の「主イエス我を愛す」を基にした親しみやすいメロディ、「誰にも悪意を向けず」と言う題名はエイブラハム・リンカーンの大統領就任演説の一節として、ワシントンDCにあるリンカーン記念館の壁面にレリーフ彫刻されている。 シンプルなメロディから、沢山のハーモニーが弾け、ブラック・ミュージック特有のソウルフルな感動が湧き上がる。 OverSeasだけでなく、他の大阪の演奏地で、フラナガンがこの曲をコールすると、OverSeasの常連達から大歓声が巻き起こった。するとフラナガンは、フフンと少し鼻を膨らませ、あのお得意の澄ました顔で、魂を揺さぶるような名演奏を聴かせてくれたものだ。 フラナガンは《Ballads & Blues》('75)はデュオで、《The Birthday Concert》('98)ではトリオ、フランク・モーガン名義の《You Must Believe In Spring》('92)にはソロで,参加盤として《Dusty Blue / Howard McGhee》《Vibrations/Milt Jackson》('60)(Mallets Towards Noneというタイトルで) に収録。寺井は《AnaTommy》('93)に収録。 |
1984年、OverSeasに於けるフラナガン・トリオの初コンサートで、寺井は初めてセロニアス・モンクとエリントンに捧げた2つのメドレーを聴き大きな衝撃を受けた。それは作品に対する深い造詣と愛情、そして、表現力を持つ者だけに許される、壮大な音楽作品だった。 音楽史上燦然と輝くエリントン作品のメドレー、エリントニアはトリビュート・コンサートのクライマックスだ。 |
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左から:デューク・エリントン、ビリー・ストレイホーン |
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I Didn't Know About You アイ・ディドント・ノウ・アバウト・ユー/Duke Ellington |
デューク・エリントン |
Passion Flower パッション・フラワー/Billy Strayhorn 内面に激しさを感じさせる神秘的なバラード、エリントンの片腕と呼ばれるビリー・ストレイホーンの作品には“花”に因んだものが多い。 パッション・フラワー('44作)は日本語ではトケイソウと言われ、一風変わった幾何学的な形から、欧米では磔刑のキリストに例えられる。ストレイホーン自身が最も愛奏した作品で、この花に自分自身の姿を見ていたのかもしれない。 フラナガンの名パートナージョージ・ムラーツ(b)の名演目で、現在もムラーツが来店すると、必ず演奏してくれる曲。 今夜は宮本在浩(b)が見事な弓の妙技を聴かせてくれた。 フラナガンは《Positive Intensity》('75)に収録。 |
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Black & Tan Fantasy 黒と茶の幻想/Duke Ellington |
予告:第14回Tribute to Tommy Flanagan
2009年3月
In Memory of Tommy Flanagan
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