南十字星の国から

 天神祭も終わり、大阪の街は本格的な夏休みモード。
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 昨日から、長年、寺井尚之のCDを愛聴し、ゴールド・コーストのFM局で流してくださっているフィオナさんが休暇を取って遠路はるばる南半球からライブを聴きに来阪中。今日は、ミナミの街へと、ミニミニ大阪ツアーに行って来ました。
 ご両親は英国人、UKの従兄弟たちもジャズ・ソサエティを主宰しているというロイヤル・ジャズ・ファミリー!何のPRもしないのに、フラナガニアのCDをどこかで聴いて、いっぺんにファンになってくださったというから、ありがたいです!
 今回、フィオナさんが日本で一番買いたいものは、意外にもタオルケット!オーストラリアには、こんな気持ち良い寝具は入手できないというので、デパートでゆったりお買いもの。店員さんのサービスの良さに驚いてました。大丸百貨店さんありがとう!
 そして第二希望はユニクロ・ツアー!開店と同時に入店して、約一時間、時さえ忘れて、あれもこれもとお買いもの、ふと周囲を見回すと、アジア系の旅行者のお客さん観光客さんばかり・Jazz Club OverSeasのライブ・スケジュール配ればよかったなあ・・・大阪知らずのへっぽこガイドであります。
fionaP1050166.jpg 丁度ランチ・タイムになったので、心斎橋を南下し、かに道楽を横目で観ながら、法善寺横丁の浪速割烹で、大阪の地野菜を使った日本料理に舌鼓。カウンター席なので、皆が大吟醸を悠然と飲み干す彼女に、色々フレンドリーに話しかけてくださって、いかにも大阪やね~って感じでした。
 明日から、坂田慶治(b)とのデュオ、メインステム・トリオ、宮本在浩(b)との火曜日名物デュオなど、寺井尚之のピアノで心行くまで楽しんで頂く予定。ここは、ひとつ盛り上がりたいものです。Jazz Club OverSeasのためにも、寺井尚之のためにも、どうぞ、ここはひとつライブにお越しくださいますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
CU

Rahsaan Roland Kirk ローランド・カーク (1936-77)

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 猛暑到来!どんなに暑くても、若いときは街歩き大好きだったのですが、今はとにかく時間が取れません。来週はオーストラリアから、寺井尚之ファン、Fionaさんが遠路はるばる来られるので、今日は観光案内の下見にミナミの街へ行って来ました。
 「かに道楽」や「グリコ」、パチンコ屋さんの喧騒や、食べ物の香り一杯のコテコテで暑いナニワの繁華街には、ローランド・カークの「カッコーのセレナーデ」が似合うなあ・・・
 というわけで、8月5日(日)正午より、「映像で観るジャズの巨人」DVD講座にローランド・カーク (Rahsaan Roland Kirk)登場!
 若いファンのみなさんは、ローランド・カークなんて言っても知らないかも・・・沢山の楽器をガブっとくわえる上の写真を観て「アクロバットか」と横向く人、ちょっと待って!ローランド・カークは、正真正銘、本物のメインストリームです。そんな方こそ、ぜひ8月5日に来てくださいね。
<マルチ・リード>
 カークは1936年8月7日、オハイオ州コロンバスの蒸し暑い夏の日に生まれました。2歳の時に失明、盲学校でトランペットを習得し、15歳ですでに2管の楽器を同時に演奏する技を会得していたといいます。
rahsaan-roland-kirk-1-lee-santa.jpg カークの演奏楽器は多種多様!テナーサックス、クラリネット、フルート(鼻で吹くときも)、そして、トランペットにサックスのリードを付けたものや、マンゼロ、ストリッチというカークのオリジナル・ホーンがあります。
 左のモノクロ写真で左端のホーンが「Manzello(マンゼロ)」、真ん中の長いのが「Stritch (ストリッチ)」と言う楽器で、どちらもカークが名付けた名前です。前者は H. N. White 社製のサクセロというB♭のソプラノサックスに、メロフォンという金管楽器のベルを付けたもの。後者は、ブッシャー社製の直管のアルトサックスのキーを改造して片手で演奏できるようにしたものです。
 盲目のカークが、一体どうやって、いろんな楽器を開発したかというと、NYロウワーイーストサイドに馴染みの質屋があって、質流れ品の楽器で気に入ったものを、更にカスタマイズして使ったのだそうです。その他にも「サウンドツリー」と名付けられたスタンドには、ゴングやベル、タンバリンといった小道具が色々つりさげられて、その都度必要に応じて使ってました。
 ロータリー式呼吸法を駆使し、ノンストップで、複数の楽器を演奏するというと、「体力勝負」のサーカスと思われるかも知れませんが、キーの異なる楽器でハーモニーやリフを付けて演奏するには、それ以上に大脳を駆使しなければなりません。まして、そのプレイがソウルフルで、即興演奏をガンガン聴かせるのですから、カークが多くのミュージシャンに尊敬され、愛されるのは当然!子供の頃にNHKの音楽番組で観た
カークはほんとにカッコイイ!と思いました。その迫力は、カークがNYに出てきたとき、まっさきに起用した恩人、チャーリー・ミンガスや、ミンガス一派のジョージ・アダムス&ドン・プーレンのバンドに通じるものがあります。
<ライブの迫力!>
vanguardgordon_MED.jpg ヴィレッジ・ヴァンガードの店主、故マックス・ゴードンの回想記”Live at the Village Vanguard”を読むと、カークはヴィレッジ・ヴァンガードに出演するのが好きで、年間3-4週間は演奏していたと言い、いかにもNYっぽいライブの様子がリアルに描かれています。
 「ラシャーンは黒いベレー帽とサングラス姿で杖を持っていたが、不思議なことに、ヴァンガードの店内のトイレも電話もバーも、全てどこにあるのか判っていて、狭いテーブルの間をかいくぐって辿りつくことが出来た。」
 「彼は、自分を聴きに来るファンのことを”信者(believer)”と呼び、たまに”不信心者(Unbeliever)”が客席にいるのを感知すると、間違いなくその席に降りて行き、そのお客の首根っこを摑まえて追い出した。」
 「興が乗ると、カデンツァにクラリネットで”聖者の行進”を吹きながら、客席に下りて行進し、そのままドアを開け、地下から上に上がり、再び吹きながら戻ってくるのだった。」

<輝く星>
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 カークは、夢のお告げで本名のRonaldのNとLを入れ替え、アラビア語で「輝く星」を意味する”Rahsaan”を冠しました。
 沢山の楽器を持つ姿はなかなかヤヤコシイ感じがしますが、気性はまっすぐ!歯に衣着ぬ弁論家で、サックスにエレキを使ったり、ロックやフュージョン(’70s当時はクロスオーバー)に走るミュージシャンたちを、はっきりと一刀両断にバッサリ切り捨てています。
 僅か41歳という短い一生で、幼い時に失明、晩年は脳溢血で右半身付随という不幸に見舞われましたが、それでもテナーサックスを改造し、片手で演奏活動を続けた「輝く星」ローランド・カーク!偉大なジャズ・ミュージシャンに乾杯!
 「オースティン・パワーズ・デラックス」しか知らない皆さん、ぜひ一緒にDVD観ながらランチして、寺井尚之の解説を聴いてみてください!講座のサイトはこちらです。
<映像で辿るジャズの巨人>
8/5(日) 正午- 2pm 「 マルチリードの醍醐味!Rahsaan” Roland Kirk」
受講料 2,625yen (要予約)

CU

対訳ノート(35) 虹色 Misty

 九州は未曾有の大雨、いつもは穏やかで美しい白川が氾濫、熊本市でトミー・フラナガン特集ライブの快挙を行ったベーシスト、古荘昇龍さんのご近所も水害に見舞われていると伺いました。心よりお見舞い申し上げます。
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 大阪のJazz Club OverSeas、土曜日は「トミー・フラナガンの足跡を辿る」開催!『Ella in Japan』佳境に入ってきました。
 解説用の構成表や対訳もやっと一揃い出来上がって、ほっと一息… 今回作った対訳は全15曲。『パーディド』や『A列車で行こう』など、有名スタンダード曲でも、全く違う歌詞を歌ってから、スキャット(エラは”Bop”と呼びます。)で聴かせたりするので、全て一から聞き取りです。
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 東京オリンピック・イヤー、1964年お正月の来日公演、一番大きな拍手があったのは”ミスティ”でした。”ミスティ”は、OverSeasでもリクエストが多く、プログラムの都合でお応えできない時の為に、寺井尚之とThe Mainstemがダウンロード用CD、『Evergreen 2』に収録しているので、ぜひ一度聴いてみてくださいね!
 皆さんご存知のように、“Misty”は、天才ピアニスト、エロール・ガーナーの1954年の作品。2年後に”ポルカドッツ&ムーンビームズ”や”バット・ビューティフル”などでおなじみの作詞家、ジョニー・バークが歌詞を後付けし、人気歌手ジョニー・マチスのレコードで大ヒット、ジャズの世界ではサラ・ヴォーンの十八番として世界的に有名になりました。”Misty”は、日本語では、よく「霧の中」的に訳されるけれど、「霧」は”Fog”で、”Mist”は「靄(もや」。”Mist”の語感の方が、潤いと透明感があります。米国の国語辞典サイトを読むと「甘美で感傷的な気分に満たされる」という語意があるのが判ります。エイゴはムズカシイ!
 ★左の公演ポスターは、ジャズ評論家で「Ella In Japan」のリリースに尽力された後藤誠氏の提供です。
<飛行機から観た虹の曲>
 ただし、エロール・ガーナー自身は、もっとシンプルな理由から、『Misty』と名付けたのでした。作曲の経緯については諸説あるけど、アーサー・テイラー(ds)のインタビュー集、”Notes and Tones“には、ガーナ―自身の決定的な証言が載ってます。ガーナ―の言う『Misty』は、水滴で潤む飛行機の窓ごしに観た虹のことだったんです。ガーナ―はこんな風に語ってます。
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 「”Misty”は、サンフランシスコーシカゴを飛行中、美しい虹に出会って作った曲なんだ。まだジェット機がない時代で、フライトはデンバー経由だった。デンバー空港に向かって高度を下げて行くと、きれいな虹が出た。それは見事な虹だった。長さは短めく幅広だったので、あらゆる色彩が見えた。飛行機の窓は雨で濡れていたので、虹は潤んで(misty)いた。それで、”Misty”と名付けたのさ。僕は自分の膝をピアノに見立てて、必死で思い浮かんだ曲を弾いていた。目を閉じてハミングしながらね。すると隣に座っていたおばあさんが、てっきり僕の具合が悪くなったと思い込み、客室乗務員を呼んでくれた。シカゴに着くころには、曲は出来上がっていた。うまいことに、目前にレコーディングが控えていたので、そこで録音したんだ。つまり、その飛行機で僕の隣に座っていたおばあさんが、”Misty”の初演を聴いた人なんだ!」
 譜面が読めないことで有名なガーナーですが、作った曲は、写真のような形で脳内に記憶することが出来たのでしょう。
 ジャズの世界では、クインシ―・ジョーンズのアレンジで壮大に歌い上げるサラ・ヴォーンの名唱が有名ですが、『Ella in Japan』のヴァージョンも素晴らしい!
 たたき上げのバンドシンガーであったエラ・フィッツジェラルドは、全然関係のないレパートリーで、何かのトラブルがあったとき、で、この“Misty”の冒頭フレーズを、秘密の暗号コードとして時々使ってました。アドリブで、いろんなフレーズを挿入しすぎて、コーラス中のどこに居るのか判らなくなってしまった時、冒頭のフレーズを歌詞のないメロディ・スキャットで繰り返すんです。“Look at me! look at me!” つまり「私を見て!首振りするから、ちゃんと見て、コーラスの頭に戻ってね!」そうすると、ビシっとうまく収まります。あの有名な『Ella in Berlin』でも聴けますよ。
Misty
Eroll Garner/ Johnny Burk
ねえ、私ったら、
木の上で途方に暮れてる子猫みたい、
雲につかまるように頼りな気。
何が何だかわからない、
うっとり、ぼんやり、
あなたと手をつなぐだけで。
ねえ、私のところに歩いて来て、
すると、沢山のヴァイオリンが音楽を奏でる、
それは、あなたのハローの声かも。
うっとり、恋の気分、
あなたといっしょにいるだけで。
だまされていてもいいの、
あなたになら、だまされたい。
私はおろおろするだけで、
あなたについて行くだけ。
一人では、
この不思議な世界は歩けない。
右も左も、
何がどうだか判らない、
あんまり、うっとり、
恋の気分に浸りすぎ。

 「足跡講座」今回のおすすめ料理は「賀茂なすスペシャル」
 「トミー・フラナガンの足跡を辿る」Ella in Japanは、今週土曜日6:30pm開講!(チャージ 2,625yen) 学割チャージ半額です。
 「足跡講座」 ぜひぜひ Look At Me!

CU

Jazz Club OverSeasのご感想いただきました。

 一昨日、はるばる名古屋からご来店くださったお客様が、ご自身のフェイスブックにレポートを書いてくださっていました。
 とても、とても嬉しく励みになったので、ここに転載させていただきます!
 ご来店ありがとうございました。
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Jazz Club Overseasで撮ってくださった一枚です。
 私の横がジャズ​ピアノのジャイアンツ、故トミー・フラナガンの弟子となられたオ​ーナー寺井尚之さんです。
  目の前でピアノ・ベースのデュオを拝見しましたが、ピアノのタッ​チが滑るように・・・軽やかなタッチだけど、音がズシンと届きま​す。これがジャズピアノの真髄なんでしょうね。美しかった。強く​叩くジャズピアニストが結構多いのですが、正直疲れる私。
  私は曲がどうのこうのよりも、音を楽しむというタイプです。音楽​だもん。またジャズは偏屈な理屈を物申す御仁が多いから、とっつ​きにくいかもしれませんが、シンプルに音を聴かせてくれるこのお​店なら好きになれるかもしれませんよー。
  レコード・CDよりも生音がやはり一番。ジャズのライブハウスと​言いながら、ポップス、ロックもやったりする店だらけの昨今です​が、Jazz Club Overseasは硬派のジャズライブハウス。私の仕事と通じるところがある。「木造しかやらない」​「元請けしかやらない」「会社から1時間圏内オンリー」などなど​・・・「ジャズオンリー」「生演奏」「アコースティックオンリー​」・・・職人っぽさが魅力的です。
  3ステージを全て聴かせてもらいましたが、あっという間でした。
ベースの鷲見和広さん、彼のベースも走ってました。ベースはなく​てはならないパーツと改めて感じています。ベースなけりゃジャズ​と言えんね。
 大阪の安土町という都心に隠れるようにあるお店。それがまた隠れ​家的で最高にいいです。オーナーのピアノが聴けるお店。奥様が店​の舞台裏を切り盛り。ピアノが最高の状態で届けれるよう最善を尽​くされているのもすごく感じます。最後に・・・ライブ終わり、ピ​アノを片付ける際に、丁寧にタオルで拭かれててたオーナーの姿に​ズシンときました。道具は職人と一心同体。ピアノが私の道具と重​なりました。そんなお店です。ぜひ大阪に行かれたら足を運んでく​ださい。
 至福の時間が我が物になります★

夏休みはOverSeasでJAZZ三昧!

 お天気もニュースもどんよりしている昨今、皆さま、お元気ですか?
P1050115.JPG 毎回レパートリーを入れ替えながら、月2回のライブを続ける寺井尚之トリオ、The Mainstem(宮本在浩bass 菅一平drums)は、地味でひたむきな稽古の成果が、底力になって来た感あり。
 トリオ3名の息遣いが一体になった時、ハーモニーとリズムが大きく膨らみます。そうすると、何故か、心の中の雲が晴れて、文字通り心が躍ります。どんな素晴らしいオーディオも、生音の周波数を全てを再現することはできないそうで、生音の凄さ、ライブの楽しさは、その辺りと関係しているのかもしれません。
 OverSeasの私たちには、なかなか縁のないものですが、大多数の皆さまは、これから夏の休暇シーズン、大阪観光のおりに、ぜひ太閤路地にあるOverSeasで、寺井尚之の芳醇なサウンドをお楽しみください!大人も子供も大歓迎!学生証ご持参の方はライブ・チャージ半額です。(あくまでも学生支援のためですので、英会話スクールなど立派な大人のみなさんは適用外です。)
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 昨日は、名古屋のお客様が、ご夫妻で、初OverSeas体験!お昼は難波花月、夜はOverSeasで、ナニワの色んな側面を楽しんで頂けてよかった!
 7月末には、大阪観光を兼ねて、オーストラリアのゴールドコーストから、長年の寺井尚之ファンが来られる予定です。
 ひょんなことで、寺井尚之のCDを耳にしてから、通信販売やダウンロードで長年ご贔屓いただいてる、ありがたいお客様、美しい街、ゴールドコーストからフィオナ・ローレンスさんが、初OverSeasの予定です。
27日(金)の寺井尚之+坂田慶治(b)デュオ、28日(土) の寺井尚之The Mainstem、31日(火)、宮本在浩(b)との火曜日デュオと、ご来店予定。
 日本のジャズ・ファンのみなさんとぜひ交流したいと希望されています。英語の出来るお客様はぜひジャズ事情を語り合ってくださいね!
 英語の苦手な皆さんも、不肖私が通訳させていただきます。日豪の国際親善のためにも、ぜひご来店お願いいたします!
 日曜日は正午からDVD講座!OverSeasは休みなしで皆さまをお待ちしています!ライブ&ジャズ講座スケジュールはこちらです。
 G’Day!