Rahsaan Roland Kirk ローランド・カーク (1936-77)

99edb89164484ef44d556b9d84cee.jpg
 猛暑到来!どんなに暑くても、若いときは街歩き大好きだったのですが、今はとにかく時間が取れません。来週はオーストラリアから、寺井尚之ファン、Fionaさんが遠路はるばる来られるので、今日は観光案内の下見にミナミの街へ行って来ました。
 「かに道楽」や「グリコ」、パチンコ屋さんの喧騒や、食べ物の香り一杯のコテコテで暑いナニワの繁華街には、ローランド・カークの「カッコーのセレナーデ」が似合うなあ・・・
 というわけで、8月5日(日)正午より、「映像で観るジャズの巨人」DVD講座にローランド・カーク (Rahsaan Roland Kirk)登場!
 若いファンのみなさんは、ローランド・カークなんて言っても知らないかも・・・沢山の楽器をガブっとくわえる上の写真を観て「アクロバットか」と横向く人、ちょっと待って!ローランド・カークは、正真正銘、本物のメインストリームです。そんな方こそ、ぜひ8月5日に来てくださいね。
<マルチ・リード>
 カークは1936年8月7日、オハイオ州コロンバスの蒸し暑い夏の日に生まれました。2歳の時に失明、盲学校でトランペットを習得し、15歳ですでに2管の楽器を同時に演奏する技を会得していたといいます。
rahsaan-roland-kirk-1-lee-santa.jpg カークの演奏楽器は多種多様!テナーサックス、クラリネット、フルート(鼻で吹くときも)、そして、トランペットにサックスのリードを付けたものや、マンゼロ、ストリッチというカークのオリジナル・ホーンがあります。
 左のモノクロ写真で左端のホーンが「Manzello(マンゼロ)」、真ん中の長いのが「Stritch (ストリッチ)」と言う楽器で、どちらもカークが名付けた名前です。前者は H. N. White 社製のサクセロというB♭のソプラノサックスに、メロフォンという金管楽器のベルを付けたもの。後者は、ブッシャー社製の直管のアルトサックスのキーを改造して片手で演奏できるようにしたものです。
 盲目のカークが、一体どうやって、いろんな楽器を開発したかというと、NYロウワーイーストサイドに馴染みの質屋があって、質流れ品の楽器で気に入ったものを、更にカスタマイズして使ったのだそうです。その他にも「サウンドツリー」と名付けられたスタンドには、ゴングやベル、タンバリンといった小道具が色々つりさげられて、その都度必要に応じて使ってました。
 ロータリー式呼吸法を駆使し、ノンストップで、複数の楽器を演奏するというと、「体力勝負」のサーカスと思われるかも知れませんが、キーの異なる楽器でハーモニーやリフを付けて演奏するには、それ以上に大脳を駆使しなければなりません。まして、そのプレイがソウルフルで、即興演奏をガンガン聴かせるのですから、カークが多くのミュージシャンに尊敬され、愛されるのは当然!子供の頃にNHKの音楽番組で観た
カークはほんとにカッコイイ!と思いました。その迫力は、カークがNYに出てきたとき、まっさきに起用した恩人、チャーリー・ミンガスや、ミンガス一派のジョージ・アダムス&ドン・プーレンのバンドに通じるものがあります。
<ライブの迫力!>
vanguardgordon_MED.jpg ヴィレッジ・ヴァンガードの店主、故マックス・ゴードンの回想記”Live at the Village Vanguard”を読むと、カークはヴィレッジ・ヴァンガードに出演するのが好きで、年間3-4週間は演奏していたと言い、いかにもNYっぽいライブの様子がリアルに描かれています。
 「ラシャーンは黒いベレー帽とサングラス姿で杖を持っていたが、不思議なことに、ヴァンガードの店内のトイレも電話もバーも、全てどこにあるのか判っていて、狭いテーブルの間をかいくぐって辿りつくことが出来た。」
 「彼は、自分を聴きに来るファンのことを”信者(believer)”と呼び、たまに”不信心者(Unbeliever)”が客席にいるのを感知すると、間違いなくその席に降りて行き、そのお客の首根っこを摑まえて追い出した。」
 「興が乗ると、カデンツァにクラリネットで”聖者の行進”を吹きながら、客席に下りて行進し、そのままドアを開け、地下から上に上がり、再び吹きながら戻ってくるのだった。」

<輝く星>
jzveutacglxrzjel.jpg
 カークは、夢のお告げで本名のRonaldのNとLを入れ替え、アラビア語で「輝く星」を意味する”Rahsaan”を冠しました。
 沢山の楽器を持つ姿はなかなかヤヤコシイ感じがしますが、気性はまっすぐ!歯に衣着ぬ弁論家で、サックスにエレキを使ったり、ロックやフュージョン(’70s当時はクロスオーバー)に走るミュージシャンたちを、はっきりと一刀両断にバッサリ切り捨てています。
 僅か41歳という短い一生で、幼い時に失明、晩年は脳溢血で右半身付随という不幸に見舞われましたが、それでもテナーサックスを改造し、片手で演奏活動を続けた「輝く星」ローランド・カーク!偉大なジャズ・ミュージシャンに乾杯!
 「オースティン・パワーズ・デラックス」しか知らない皆さん、ぜひ一緒にDVD観ながらランチして、寺井尚之の解説を聴いてみてください!講座のサイトはこちらです。
<映像で辿るジャズの巨人>
8/5(日) 正午- 2pm 「 マルチリードの醍醐味!Rahsaan” Roland Kirk」
受講料 2,625yen (要予約)

CU

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です