寺井尚之ジャズピアノ教室発表会 名演をありがとう!

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 未曾有の豪雨の翌日、第21回寺井尚之ジャズピアノ教室発表会開催!6人のピアニストたちが稽古の成果を堂々と披露してくれました。
 トップバッター、みゆきさんのパーカー・チューン”Scrapple from the Apple”から、あやめ会長のスタンダード集デトロイト・ハードバップ風味まで、各プレイヤーが趣向を凝らしてアレンジした「自分だけのオンリー・ヴァージョン」を心を込めて演奏。
 個々の出場者を応援に来られたお客様が、全員のプレイを、最初から最後まで、心のこもった拍手と笑顔で応援してくださる様子に演奏と同じくらい感動しました。
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<各賞>(敬称略)

  • 努力賞:みゆき、Hitomi 
  • パフォーマンス賞: Hitomi
  • 構成賞:あやめ会長
  • Ad-lib 賞:あやめ会長
  • タッチ賞:ネネ
  • スイング賞: あやめ会長
  • 最優秀賞: Hitomi

(努力、タッチ、最優秀の各賞はあやめ会長殿堂入りにて除外)
 私自身は受賞、無冠はdon’t matter、日ごろの課題がクリアされていたり、アレンジの意図がうまく演奏できるとハッピー!演奏に合わせて客席が体を揺すってたり、ダンナさまが笑顔で眺めていたり、サポート役の宮本在浩(b)さん、菅一平(ds)さんが、バシっとピアノを引き立ててくれると、思わずイエーイと言ってしまうのでした。
cerny_book.JPG いつも発表会後のピアノをしっかりチューン・アップしてくださる名調律師、川端定嗣さんからは、参加賞としてチェルニー教則本のクリアファイル&ノートブックを!いつもありがとうございます!
 発表会が始まるずっと前にタクシー飛ばして、常連山口マダムが、ピアニストの人数分の極上スイーツの差し入れを! (プログラムと同じグリーンのパッケージだったのにびっくり!)いつも、若手ミュージシャンや生徒達を応援いただきありがとうございます!!
 発表会レポートは、あやめ会長が撮影してくれた写真と一緒にしてHPに近日UP予定。
 プレイヤーの皆さん、今日のレッスンから再始動!ジャズ・ピアノには「寝てる間にできるスピードラーニング」はないですね。だからプラクティス、プラクティス!
CU

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8/28(日) 寺井尚之ジャズピアノ教室発表会開催!

 ピアノ本来のタッチとジャズ理論を身につけながら、心に響く演奏を目指す「寺井尚之ジャズピアノ教室」,日曜に第21回目の発表会を開催します。
terai_kyoushitsu.JPGリハーサルにて
 震災の時節、今回の演奏者は少数精鋭、6名のピアニストが練習の成果を、宮本在浩(b)、菅一平(ds)の応援でトリオ演奏を披露いたします。
<発表会演奏プログラム>
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=第一部=
1.みゆき
 スクラップル・フロム・ジ・アップル (C Parker)
2. fatima
  アウト・オブ・ザ・パスト (B. Golson)
グッドモーニング・ハートエイク  (I.Higgibotham, E.Drake, D.Fisher)
3.ネネ
  ジェス・ファイン (T. Flanagan)
ラウンド・ミッドナイト (T. Monk)
4.むなぞう
  50-21 (T Jones)
=第二部= 13:15-
1.hitomi
ミーン・ホワット・ユー・セイ (T.Jones)
イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ (T. Dameron)
ザット・タイヤード・ルーティーン・コールド・ラヴ (M.Dennis)
2. あやめ
 デイ・バイ・デイ (S.Cahn, A. Stordahl, P. Weston)
 ポルカドッツ&ムーンビームス (J. Burke, J. Van Heusen)
 アイ・ラブ・ユー (C.Porter)
 全て演奏者が自由に選曲し、アレンジを施したパーソナルなバージョンばかり。トミー・フラナガンが愛奏したサド・ジョーンズ作品は、発表会の「定番」ですが、ベニー・ゴルソンの”Out of the Past”も人気がありますね。
 みゆきさんは、毎週2回は欠かさずライブに来て勉強しているから、2回目の出場でもこなれたアドリブ・ソロが楽しめそうです。
 上のリハ写真のfatimaちゃんは、しっとり渋い2曲で、前回よりぐっと柔らかなプレイを聴かせてくれそうです。
 ネネさんはMoodsvilleでおなじみのブルースと、モンク作品で、格段にジャズっぽくなったプレイを聴かせてくれそう!発表会で聴けるフラナガン作品がブルースというのも、とても楽しみです。
 おめでた事で忙しかったむなぞう副会長、早くライブ出演して欲しいと思うほどなのに、一曲だけというのが、私は残念ですが、パパになったんだし仕方ないね。
 第二部のhitomiさんは、王道デトロイト・ハードバップを仕上げて堂々のお披露目というのが嬉しいです。母親として、キャリア・ウーマンとして忙殺される中、本当に上手に練習時間を作っているのに尊敬です。
 トリを努める最上級あやめ会長は、スタンダード・ナンバーを並べて「歌詞の聞こえる」プレイのお手本を見せてくれるようですね。発表会前日、自己ライブが出来るほどの実力者ですから模範演奏といえるほど。後輩の手本と言われるプレッシャーを跳ね返し、心に届く演奏をしてくれることでしょう。
 サポートしてくれるザイコウ&イッペイ・リズム・チーム、長丁場で大変ですが、よろしくね!
 寺井尚之ジャズピアノ教室にご興味のある方は見学もしていただけます。(見学料¥2,000)ぜひどうぞ!詳しいタイム・スケジュールはこちら
CU

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続報:ジャズの専門店ミムラ 閉店セール

mimura_symbol_small.gif <閉店セール>
8月23日~28日
11:00~19:00
閉店セール(委託、客注以外)
(ご注意)現金のみのお支払いでお願いいたします。誠に申し訳ありませんが、カードは使用できません。

 粋な和服からTシャツに着替えて4日間、汗とホコリにまみれながら、在庫整理をお手伝いされたジョン・コルトレーン研究家、藤岡靖洋さんよりセール割引率などご連絡がありました。
8月23日-25日 通常価格より30%割引(予定)
8月26日-28日 通常価格より50%割引(予定)
*店の外でサンプル盤を寄付金制にてお分けいたします。

 皆様ご存知のように、ミムラさんのお店はそんなに広くないので、普段でも外でお客様が順番待ちされていました。故にセール最初の数日間は入場制限があるかも知れませんが、どうぞご容赦くださいとのことです。
 在庫の徹底売り尽くしを目指しています。ミムラ・ファンの皆様、どうぞご協力お願いします!ミムラさんのブログはこちら!
 この機会に沢山お買い物なさってください!
CU

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新譜: Sir Roland Hanna 至福のソロを聴こう!

 暑いと言っているうちにお盆も過ぎ、暑さは一緒でも、陽射しや風の色合いが、ほんの少し変ってきたような気がします。
Roland Hanna 87.jpg
ハナさんことSir Roland Hanna
 先日、ナニワが世界に誇るジョン・コルトレーン研究家、藤岡靖洋さんが「サー・ローランド・ハナの新譜やから聴いてみて!」と”Colors From A Giant’s Kit”というCDを持ってきてくださいました。没後約10年、まさか新譜なんて?!…”Colors”は息子さんのマイケル・ハナ(vo)と演ってるから、名前を変えただけじゃない?寺井尚之と一緒に半信半疑で聴いてみたら、ソロピアノの歴史的名盤と言ってよいほどの作品で、最初から最後まで釘付け!しっかりアルバム・コンセプトがある正真正銘の新譜でした!
 滅多にレコード紹介したりしないけど、これだけは聴いて欲しいと思いました!
cd_colors_giant_kit.jpg1.Colors From A Giant’s Kit
2.Natalie Rosanne
3.A Story, Often Told But Seldom Heard

4.Robbin’s Nest (Charles Thompson,Illinois Jacquet)
5. My Romance (Richard Rodgers /Lorenz Hart)
6. Blues
7.’Cello

8.Moment’s Notice (John Coltrane)
9.Lush Life (Billy Strayhorn)
10.20th Century Rag
11.Naima (John Coltrane)
12.Chelsea Bridge (Billy Strayhorn)
13.In A Mellow Tone (Duke Ellington)
14.Cherokee (Ray Noble)

 選曲はハナさんのオリジナル(斜体)にジョン・コルトレーンやビリー・ストレイホーンの作品、アート・テイタムやファッツ・ウォーラーといった先人達へのオマージュなど、ドラマチックな演目を聴くうち、息も出来ないなくほどの高揚感に包まれます。有り余る技巧は二人の演奏者が弾いているのではと思ってしまうほどです。
round_midnight.jpg 3,10,11は’80年代に録音したピアノ・ソロ『Round Midnight』に収録済、あのアルバムもハナさん自身が寺井に送ってきた会心のソロ・アルバム作でしたが、テーマやテンポに変更が加えられ、新しい色合になっている。
 オーディオ・マニアじゃないけれど、音質が最高です!録音はティム・マーティン、タングルウッド音楽祭でボストン交響楽団のシニア・エンジニアを努める巨匠です。空気感のある自然なピアノのサウンドが、生前のハナさんの音色を思い出させてくれる。制作はハナさんの弟子であり崇拝者でもあるビル・ソリン主宰のIPO、前作はトミー・フラナガンへのトリビュート・アルバム『Tributaries: Reflections on Tommy Flanagan』、これも同じエンジニアがスタジオでなくクラシックのコンサート会場で録音した作品だったので、90年代の録音とジャズタイムズには出ていたけれど、ひょっとしたら同じセッティングなのかも知れません。
 テイタム直系の鮮やかなラン、強靭かつ繊細なストライド、口を尖らせて、牛若丸のようにピアノのベンチを左右にワープしながら繰り出すウルトラDの鮮烈パッセージ、小柄な体で大きなプレイを繰り広げた剛速球派、在りし日のハナさんの勇姿が目に浮かびます!
 ハナさんはハイスクール時代、2年先輩のトミー・フラナガンに影響を受け、クラシックからジャズに転向した。ダイアナ・フラナガンは二人をソウル・ブラザーズと呼んでる。
 「チェルシー・ブリッジ」などトミーも愛したストレイホーンを聴くと、ハナさんの色合いはフラナガンに比べて青みが薄く赤みが強いように感じたり・・・ソウルブラザーズの似たところ、違ったところを聴くのもまた楽しいですよね。
 先月、ハナさんの未亡人ラモナさんからお便りをいただきました。ハナさんは日本ツアー中に体調を崩し、共演者の中山英二(b)さんと、NY在住のベーシスト、青森善雄さんの献身的な努力で、日本で入院治療を受け、帰国後、ご家族に看取られて亡くなりました。その顛末についてこんな風に書いておられます。
「ローランドは日本をこよなく愛していました。最後の来日を決めたとき、決して健康体ではなかった。それでも行かねばならなかった。 あの人は日本に”さよなら”を言いたかったのだと思います。最後の日本ツアーの後、彼は一度も演奏せずこの世を去りました。きっと死期が迫っていることを無意識に予感していたから、無理を押して日本に行ったのだと確信しています。」
 トミー・フラナガンが亡くなった直後、悲嘆にくれていた私たちに「私は絶対に泣かない!」と強い語調で宣言し、渇を入れてくださった。そして翌年ハナさんもトミーの後を追うように逝ってしまった。このアルバムから、真っ直ぐなハナさんの心根が聴こえてきます。私はレコード会社の回し者ではないし、ミムラさんでは買えないけれど、ぜひ聴いてみて下さい!淀んだ心が洗われます。
 余談ですが、昨日は寺井尚之+鷲見和広(b)のエコーズ、いつものようにサー・ローランド・ハナの演目を沢山やりました。ジャズ評論家の後藤誠先生がレポートしてくださったのでぜひご一読を!
 8月20日(土)は寺井尚之メインステムトリオ。先日のジャズ講座、“Lady Be Good…For Ella”の演目が聴けますよ。ぜひお越しくださいね。お勧め料理も寺井尚之の自信作、「黒毛和牛の赤ワイン煮」です。お楽しみに!
CU
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ジャズの専門店ミムラ 閉店セールのお知らせ

terai_01Lecture.jpg  先日のジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」、寺井尚之は先日急逝された三村晃夫さんを偲ぶ談話から始めました。ワルツ堂時代は、寺井尚之のジャズ講座にも、欠かせない存在だった三村さん、その人となりや、ジャズ界への貢献、彼を失ったことが、私たちにとってどれほど大きな損失なのかなど・・・勿論、客席にはミムラさんの長年のお得意さまが沢山おられ、それぞれが思いにふける感慨深いひとときでした。
 偶然にも、この日の講座で最初に取り上げたのが、三村さんが一番お好きだったソニー・ロリンズ、不思議な偶然です。
 「ジャズの専門店ミムラ」さんの閉店セールが来週から始まりますので、三村さんのブログ より転載しておきます。
<閉店セールのお知らせ>
8月23日~28日
11:00~19:00

閉店セール(委託、客注以外)
(ご注意)現金のみのお支払いでお願いいたします。誠に申し訳ありませんが、カードは使用できません。

mimura_symbol_small.gif 閉店に伴う在庫整理など大変な作業は、私の知る限りでお名前を挙げますと、生前の三村さんの盟友、大阪駅前第一ビル≪Waltyクラシカル≫のオーナー、中岡教夫氏や、ジョン・コルトレーン研究家、藤岡靖洋、当店のジャズ講座を通じて交流を深めたドラマーの河原達人氏などの皆さんが、多忙中な中、ひと肌もふた肌も脱いで協力されているとのことです。三村さんのお人柄のおかげと存じますが、本当にごくろうさまです。
 大阪のジャズ文化の愛すべき史跡も、もうすぐ閉店。この機会に初めて行って見ようと思われる方、いっぱい買い物してください!アクセスなどは<a href="“>「ジャズの専門店ミムラ」さんのHPでどうぞ。
 もしOverSeasが同じように閉店になったとしても、セールで売るものすらありません。どうぞ今のうちに、我らが寺井尚之の演奏を聴きに来てくださいね!
CU

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エラに宛てたラヴ・レター 『Lady, Be Good… for Ella』

 残暑お見舞い!明日から夏休みという方もいらっしゃるのでしょうね。うらやましいな!
 13日の土曜日はジャズ講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」開催です!
 寺井尚之の解説アルバムは先月から続くソニー・ロリンズとのリユニオン盤、『Old Flames』とエラ・フィッツジェラルドへのトリビュート盤、『Lady, Be Good… for Ella』の2枚なので、映写用ファイルは楽勝!とタカをくくっていたら、エラによるオリジナル盤の対訳など作成資料リストを沢山もらって、世間様の夏休みモードと裏腹に慌てふためく週になってしまいました。
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&nbsp;『Lady, Be Good… for Ella』は、トミー・フラナガンがスイスのプロデューサー、ジャック・ムイヨールに「あなたの好みで何なりとアルバムを作って欲しい。」と乞われ、レギュラー・トリオ(ピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュ)の布陣で、闘病中のエラ・フィッツジェラルドに捧げた作品です。エラは糖尿病が悪化し、膝下両足切断の大手術をして入院中でした。病床のエラは、このお見舞いを、大変喜んで、このCDを病室のサイドテーブルにずっと飾っていたそうです。トミー・フラナガンのプレイを誰よりも理解していたエラには、トミーのプレイの一音、一音がメッセージとして聞こえていたに違いありません。
Lady_be_good_for_Ella.jpg またオリジナル盤にはライナー・ノートの代わりに、エラ・フィッツジェラルドに宛てたフラナガンの手紙が添えられています。
 「親愛なるエラ、僕が初めてあなたを伴奏したのは1956年の夏でした・・・」という書き出しで始まる短い公開書簡は、トミーらしい言葉遣いで、病床のエラに対する温かい気持ちが溢れ、行間から、二人が大観衆の前で繰り広げた、数え切れない名演や歓声の残響が漏れ聞こえてくるような名文です。トミーの話し方や書き方に親しんだ不肖私が日本語にしました。名演のサイド・ディッシュになれば嬉しいな!
EllaGershwin.jpg 『Lady, Be Good… for Ella』はガーシュインナンバー、スローな“Oh, Lady Be Good”で始まり、ファースト・テンポの“Oh, Lady Be Good”で終わります。ガーシュインの権威 Lawrence D. Stewartの冊子『Words Upon Music』には、ガーシュインがこの曲に設定したテンポは”(ユーモラスに)やや遅く”でした。ところが、1947年に大ヒットしたエラのスキャット入りヴァージョンは急速で、『ソング・ブック』は指定よりずっとスローで歌っています。当初、ソング・ブックを監修したアイラ・ガーシュインは「余りスローで歌うと歌詞の流れが悪くなる」と反対したのですが、プレイバックを聴いて大満足し、すぐ反対を取り下げたという逸話が書かれています。
 “Oh, Lady Be Good”は、恋人を募集するサビしい紳士の歌、それを女性のエラが歌うとどんな意味になるのでしょう?以前「トミー・フラナガンの足跡を辿る」に登場したキャロル・スローンのバージョンは、どこまでも「女が歌う男の歌」でしたが、土曜日お聞かせするエラの歌は、ある意味スローンよりずっとモダンな新しい歌詞の世界が見えてきます。
 レコーディングしたトミー&エラのコラボからの選曲でなく、あくまでエラの音楽性にこだわってセレクトした『Lady, Be Good for Ella』は、数多ある「トリビュートと銘打つアルバム」とは一線を画す趣味の良さとクオリティがありますね!
 余談ですが、このアルバム録音直後、まだ20代の若手だったトミーのベーシスト、ピーター・ワシントンが、寺井尚之にこのアルバムの○○は、自分の演っていたコード進行で良かったのか?と訊きにきたことがありました。何て真摯なミュージシャンなんでしょう!寺井は「あいつは今にエラいモンになるで!」と言っていたけど、本当に現在は巨匠になりましたね!
 通の方に、ジャズを聴き始めた方に、ジャズを志す若い方、ぜひぜひ、最高の音楽と、寺井尚之の解説を聞いてくださいね!面白くてためになりますよ。
寺井尚之のジャズ講座:「トミー・フラナガンの足跡を辿る」
8月13日(土) 6:30pm-
受講料 ¥2,625
於:Jazz Club OverSeas

 お勧め料理は「加茂なすグラタン」を作る予定です。
CU

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バド・パウエル至高の名曲 Un Poco Locoを演奏します!

 一週間が怒涛のように過ぎてしまいました。今年はなかなか始まらなかった蝉時雨も、高校野球開幕に合わせようと、今週は全開。おかげで早起きになり我が家もセミ・サマータイム。稽古魔、寺井尚之の練習時間は増える一方。
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 8月6日(土)のメインステム・トリオでは、バド・パウエルの大作、”Un Poco Loco”をお聴かせします!
AmazingBudPowell.jpg “Un Poco Loco” は、『Amazing Bud Powell Vol.1』で有名なバド・パウエルのオリジナル(’51)、ウン・ポコ・ロコというのはスペイン語で、「”A Little Crazy”ちょっとイカれてる」という意味。
 ご存知のように、天才バド・パウエルは20才のとき、師匠セロニアス・モンク(p)を守ろうと、警官に殴打され、脳にひどい損傷を受けました。病院では治療と称する電気ショックの実験台にされ、病状はさらに悪化、ひどい頭痛を和らげるためにアルコールや麻薬に浸り、僅か42才の壮絶な生涯を終えるまで、入退院を繰り返しました。タイトルはブラック・ユーモア?確かにクレイジーなくらい凄い曲、彼の人生のように激しい閃光を放っていますね!
bud_monk_paris.jpg 文芸評論家、ハロルド・ブルームは20世紀最高のアメリカン・アートと、ジャズ批評家は汎アフリカ音楽と呼ぶ。つまりビバップの斬新で複雑なテーマとハーモニー、アフロキューバンのリズム、ブルース・フィーリング、反復を繰り返す土着性のあるアドリブのコードパターンを備える包括的なブラック・ミュージックということなのかな?
 難しいことはさて置き、寺井尚之にとってこれは思い出の曲、なにしろ師匠トミー・フラナガンが初めてOverSeasでコンサートをしたとき、サウンドチェックで最初に”Un Poco Loco”ガツンとやられてブチかまされたのです。寺井のこだわりは、パウエルですら引っかかるサビ部分の左手の返し。がんじがらめの題材を頭と体で充分稽古して手中に収めれば、自由な音楽的地平が眼前に開けるんや!と寺井は言います。
 フラナガニアトリオ時代、アルバム『Fragrant Times』以来、長らく封印してきた大作、メインステムが演るとどんな味わいになるのでしょうか?土曜日の首尾は如何に?
 当日は他にバド・パウエルに因む曲としては“Bouncing With Bud”、Roostの『Bud Powell Trio』(バド・パウエルの芸術)で有名な“I Should Care”も予定しています。夏の花火のようなバド・パウエルの名曲をどうぞお楽しみに!ぜひお待ちしています。
8月6日(土) 寺井尚之(p)メインステム:宮本在浩(b)、菅一平(ds)
演奏7pm-/8pm-/9pm-
Live Charge 2,625yen

 お勧め料理はサーロインのパイ包み焼きを作ります!
CU!

ジャズの専門店、三村晃夫さんを偲ぶ

 「ジャズの専門店ミムラ」の三村晃夫さんが7月29日未明に急逝されました。いつも笑顔で元気一杯、永遠のお兄さん、52歳なんて速過ぎる。同日の午前中、携帯にSMSが入ってきた時、てっきり悪い冗談だと思い込み、お知らせくださった、ジョン・コルトレーンの権威、藤岡靖洋氏に怒りの電話をしてしまったほどです。
 仕事の後、応援しているミュージシャンのライブの帰り道に心不全に襲われたとのことです。あの日のTwitterで、三村さんは、「目がチカチカする」「やばい!」と何度か投稿されていました。ひょっとしたら無意識にSOSを発信されていたのでしょうか?「はよ家に帰って休みなはれ!」と、大阪のおばちゃんらしく返信すればよかった。約束を守るミムラさんだから、結果は一緒かも知れないけど、悔やまれてなりません。
mimura-1.JPG 「ジャズ講座」チャーリー・パーカー特集で。
 三村さんと私たちOverSeasのお付き合いは「ワルツ堂」時代の1990年代初めからです。「エスト1のワルツ堂のジャズ担当マネジャーは凄いやり手や!予約分のレコードが顧客別に分けられて山積みになってるで。」と評判で、寺井尚之が父の代から懇意にしていた「ワルツ堂」堂島店の名物マネージャー、大井さんと稲村さんを通じてお知り合いになったのがきっかけだったと覚えています。
 デビュー盤『Anatommy』から寺井尚之のアルバムでお世話になり、やがて’97年に「寺井尚之のジャズ講座」が始まると、各回のテーマに沿ったアルバムをOverSeasに持ち込んで、ワルツ堂出張所として毎回即売するのがお決まりの行事になっていました。
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 講座で気に入ったアルバムが一般市場で入手困難だったりすると、ジャンケンで取り合ったり大変!おかげで講座の後は夜店みたいで楽しい雰囲気でした。エスト1のお店に行くと、三村さんは常連さんに取り囲まれていて、挨拶ももできないほどと寺井尚之の生徒達が言い、「カリスマ・ミムラ」というあだ名をつけました。
 そのころは、まだジャズ専門のレコード屋さんがキタにもミナミにも沢山あり、各店舗に名物のオヤジさんや、名物マネージャーが必ずいらっしゃったものです。その中で、素人のお客さんと同じ目線で、イチゲンさんでも分け隔てなく、気さくに判りやすく接客してくださる「優しいお兄さん」的キャラクターは、ある意味、濃い目のジャズの世界で、全く新しいタイプの実力者でした。
 とにかく几帳面で整理整頓の出来る人、ジャズ講座でトミー・フラナガンのディスコグラフィーを最初に作ってくださったのが三村さんです。本番の講座でも、レコードやCDを入念に並べてから、初めて見るお客様の名前を予め覚えたり、皆が寺井尚之の講義を楽しんでいる間に、セールスの準備をしっかりされていて、凄いプロ意識と敬服していました。三村さんの接客術に色々勉強させてもらったことを今も感謝しています。うちの常連様は三村さんのところで買い物をし、三村さんのお客様もOverSeasに寺井尚之を聴きに来て下さるということが続きました。TVでしか知らなかった桂南光師匠もその内のお一人です。
 2002年にワルツ堂が閉店し、「ジャズの専門店ミムラ」として独立される際も、それまでに築き上げた、お金で買えない人間関係が成功の基だったのではないでしょうか?ミムラ開店のニュースがTVや新聞に大きく載ったのも、関西メディアの方々に「ミムラさんを応援したろう!」という気運が高かったからだと思います。やがて、熊本放送のラジオ・パーソナリティや雑誌のコラムなど、三村さん自身がメディアの世界に移行されていっているように見受けました。肩肘張らず、それでいて几帳面な文章も三村さんのお人柄がよく出ていました。時々「珠重さんのブログからネタ拾わせてもらいましたわ~」なんておしゃっていたっけ。
6fe1b63f.jpg その一方、ミムラさんのもう一つの功績が、若い人たち、特に学生さんにジャズの扉を開けてくれたこと。若手ミュージシャンを積極的に応援し、これからジャズを目指す人たちにCDを売るだけでなく、生演奏を聴いて勉強しなさいと勧めてくれた。また彼らの演奏に足を運ぶことにで励ましを与えていたのは、本当に素晴らしいことです。同時に、しっかり未来の顧客を開拓するプロフェッショナルの姿勢であったとも思っています。
 ご家族を一番大切にされていたから、音楽好きな若者を見ると、ご自分の子供さんと同じように温かく接してあげることが出来たんですね。独立された時、真新しいお店でこうおっしゃったのを覚えています。
 「僕は家族が一番大切やから、なんぼジャズが好きやからって、嫁さんに迷惑かけて、赤字出してまで続ける気はないねん。儲からんかったらトラックの運転でも何でもする気でいてるから。」

 お酒も煙草も嗜まず、節制されていた三村さん、赤穂浪士、三村包常(かねつね)の子孫、ややこしい人間関係もスルリとうまくまとめるコミュニュケーションの達人、優しき三村さんは、たったの52歳で旅立ってしまった。奥様やお父様、子供さんたちは、どれほどご無念でしょう。思うだけで胸が詰まります。同時に、ジャズ界にとっては、かけがえのない大きなものが失なわれてしまった。
 また日曜日のお葬式に参列し、長年ご無沙汰していた恩人にもご挨拶が出来ました。それも三村さんの心遣いかと感じています。
 帰り道京阪電車のホームで、涙でボロボロになった顔を直していると、隣の女性に「三村さんをご存知だったんですか?」と声をかけられました。息子さんがトランペットを勉強していて、ミムラに通っていたのだそうです。「三村さんには、学校では教わらない色んなジャズの知識を授かって、ガンバレ!と背中を押してもらってました。本当に感謝しています。良いCDやライブを聴くためにバイトしているから、どうしても今日は抜けられず、母親の私が替わりにお礼とお別れを言いに来ました。」と・・・そのとき「僕CD売ってただけとちゃうのよね!」と聞きなれた声が私に囁きかけました。
 三村さん、本当に色々お世話になりました。いずれ再びそちらでお目にかかるまで、私も寺井尚之も、出来る限りがんばりますね!
 寺井尚之と共に、心よりご冥福をお祈りいたします。