ジャズのくまモン!熱烈歓迎

furusho_image.JPG 寺井尚之(p)が、毎月熊本のJANISさんというジャズクラブで講座やライブを開催していたとき、たいへんお世話になったベーシスト、古荘昇龍(ふるしょう しょうりゅう)さんが、久々にJazz Club OverSeas訪問!
 古荘さんは、九州の各地で引っ張りだこのベーシスト、サー・ローランド・ハナ(p)の愛弟子、ジェブ・パットン(p)とツアーしたこともあります。ピアノの調律師としても評判が高く、熊本に著名なピアニストが来演するときはファースト・コール。今回は忙しい日程を繰り合わせて駆けつけてくださいました。
 寺井と共に九州でお世話になった宗竹正浩(b)、河原達人(ds)に加え、ぜひお手合わせをと、若い衆、菅一平(ds)、なんと末宗俊郎さんまでギターを抱えて参上!
 歓迎演奏はどんどん過激さを増し、夜更けには、くんずほぐれつのバトル・ロイヤルに・・・
kumamon_sesshion_1.JPG 古荘さんをフィーチュアしたカルテットは、”Ladybird”, “What Am I Here for””You Don’t Know What Love Is”それに、火曜日名物の”Just One of Those Things”を九州新幹線並スピードでサラリと聴かせてくれました。
munetake_if_you_could.JPG 久々の宗竹正浩(b)さんは、”If You Could See Me Now”で、強烈アピール!弾力のある力強いビートは健在!
 レギュラー、宮本在浩(b)はおハコのブルース”46th and 8th”でブイブイ言わせまて迎撃します。
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 菅一平(ds)、河原達人(ds)の名手二人が、手さばき、足さばき、色々凄い技を聴かせてくれて、超刺激的なリズムが溢れました。河原達人(ds)は22日(金)に正式にライブ・カムバックですので、ぜひ応援に来てください!
 プレイの合間には、旧交を温めたり、ベース談義で盛り上がったり・・・いつの間にか’Round Midnight…仲間であると同時にライバルで切磋琢磨するミュージシャンたち、お互いのプレイに真剣にプレイに耳を傾け、心底音楽を楽しんでいる姿は本当に素敵です!
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 古荘さん、遅くまでお付き合いくださってありがとうございました。いつか寺井尚之と本格的なライブでお手合わせお願いします!
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Bravo!くまモン!!大阪より愛を込めて!
CU

スタンダード・ソング! 聴くもよし、弾くもよし 5/25に!

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 大阪は新緑の気候になりました。皆様いかがお過ごしですか?今日、環状線で大阪駅に行くとグランドセントラルな別世界になっていて迷子になりました!大阪に遊びに来られたら、ぜひJazz Club OverSeasにジャズを聴きに来て下さいね!大阪駅から20分ほどでお越しになれますよ。
 寺井尚之メインステムの新譜スタンダード集、“Evergreen”もたくさんダウンロードいただきありがとうございます!好評に付きEvergrenn第二弾準備中、どうぞご期待ください。
 来る5月25日(水)に、アルバム収録曲について、演奏者にもリスナーにも楽しい講座を開催。;曲の由来や裏話、そして譜面を見ながら音楽解説も行います。ジャズを演奏してみようと思われる方、どうぞお越しください!お申し込みはメールでもお電話でもどうぞ!
 <解説曲>
standard_Monroe1.jpg1. Chinatown チャイナタウン
2. As Time Goes By アズ・タイム・ゴーズ・バイ
3. Autumn Leaves  枯葉
4. I’m Thru With Love アイム・スルー・ウィズ・ラヴ
5. Fly Me To the Moon  フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
6. My Funny Valentine  マイ・ファニー・ヴァレンタイン
7. My One and Only Love マイ・ワン&オンリー・ラヴ
8. White Christmas ホワイト・クリスマス
 <楽しいJAZZの講座の夕べ>

「スタンダードをより楽しむには」

【日時】5月25日(水)7pm~9pm 
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】¥2,500 (税込¥2,625)  要予約

関連HPはこちら。
「Evergreen」曲説ブログはこちら。

<ゴールデンウィーク楽しいJAZZの講座>予告編:カーメン・マクレエ

 <ゴールデン・ウィークの楽しいJAZZの講座>最終日5月5日のテーマはカーメン・マクレエ!ジャズ・シンガーの代名詞、“ミス・ジャズ”と称されるカーメン・マクレエ!その半世紀を超えるキャリアの内、寺井尚之が選りすぐった名唱を、不肖私の作った対訳と共にご一緒に聴ければ嬉しいです。
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カーメン・マクレエ(1920-1994)
SAMMY_CARMEN.JPG若きカーメンとサミー・デイヴィスJr.、講座では掛け合い漫才みたいな楽しいデュエット乞ご期待♪

 カーメン・マクレエは、アメリカ黒人を象徴する街、ハーレムに生まれ育った生粋のNY子。ハーレムに住む黒人はジャマイカ出身者が多く、カーメンの両親もそうでした。カリブの血を引く若き日の並外れた美貌は、何ともいえない粋な風情が漂って深川の芸者さんみたい!
 カーメンがジャズ界に入るきっかけは、5/3に講座で取り上げるビリー・ホリディと、彼女の音楽監督的役割を勤めた女性、アイリーン・キッチングスとの出会いでした。ホリディは譜面が読めなかったため、新曲が出来ると、譜面の読めるカーメンがホリデイに歌って聞かせる仕事をしていたのです。
 「ビリーとアイリーンがいなければ、今の自分はない」というのがカーメンの口癖。5日の講座で、カーメンがビリー・ホリディにトリビュートしたアルバム『For Lady Day』の深い思い入れのある名唱とMCがお楽しみになれます。
<多彩なレパートリーと歌詞解釈>
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 カーメンのレパートリーは有名無名に拘らず多種多彩!スタンダードは言うに及ばす、シャンソンや、ビートルズ、ポール・サイモンなどコンテンポラリーなアメリカン・ソング、またビバップに精通した歌手しか歌えないセロニアス・モンク作品など、世界中のありとあらゆる名歌名曲を取り上げ、素材の持つ思いがけない味を出し、聴く者を虜にしました。
  カーメンの歌唱の特徴を、ネット上で検索すると、日本では「ジャズボーカルの四天王」とか「ハスキーな歌声」や「しっとり語りかける渋さ」という表現が多いですね。でも、英語圏でカーメンが絶賛されるところは、「歌詞解釈の深さ」なんです。その辺りを対訳で、お楽しみいただければ嬉しいです!
  カーメン自身は、歌詞の大切さについてこんな風に語っています。
  “言葉は私にとって、とても大事。私の場合、歌詞が一番で、メロディはその次。自分が歌うかどうかは歌詞を読んで決める。だって、お客さんに納得してもらえる鍵は、歌詞が握っているの。女優と同じように、自分が演じたい役柄ってものがあるのよ。”

 それでは、カーメン・マクレエが演じたい役柄とは?若い頃は都会的で洗練された美人女優でした。サミー・デイヴィスJrとのデュエットは、まさにスター男優を彩る美人女優そのものです。やがて、年齢を重ねるにつれ、女優と同じように、役柄はどんどん変化していきます。トーチソングと呼ばれる実らぬ恋の歌を粋に歌うのが、若い頃からカーメンのオハコでしたが、60年代中盤からは、ビタースイートの「苦味」が増して、女の「業」というようなものが見えてくる。やがて、例えば命を賭けた恋人に裏切られたり、運命が自分の味方をしてくれなくても、自分の道を貫く強い女へと変化していきます。晩年は、「女」の枠を超え、ひとりの「人間」として歌う。その姿勢は、今回のビリー・ホリディやサラ・ヴォーンと全く違う。ビリー・ホリディを終生アイドルとしたからこそ、マクレエならではのアプローチを見出せたのかもしれませんね。
 カーメン・マクレエの歌詞解釈の深さが判っていただけるよう、対訳も精一杯努力してみました。対訳を作るため、彼女の歌にどっぷり浸っていた時期は、胸が張り裂けそうに痛くなりました。どん詰まりの失恋の歌で、彼女がばっさりフレーズを切る時、聴く者の心もザックリいかれます。その辺りを名伴奏者として有名なノーマン・シモンズは、こんな風に語っています。
NORMAN_CARMEN.JPG 「カーメンは独特な歌いまわしで緊張感を盛り上げた。息継ぎの空白に強いインパクトがあり、次のフレーズまで、絶妙の行間を作り出す。伴奏者はそういう空白には、普通パルスを刻むものなのだが、彼女の場合はそうしてはいけない。彼女が止まると、私は彼女が新しいフレーズを切り出すまで待つ。彼女にとって「沈黙」は音楽の一部だった。彼女の伴奏をすることによって、私は「間」を作るとことを学んだ。」
<両性的魅力>
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 カーメン・マクレエは生涯に2度結婚しています。20代で、ビバップの創始者の一人であるドラマー、ケニー・クラークが最初の夫となりましたが、1年ほどで破局。10年後、共演ベーシスト、アイク・アイザックスが二度目と夫となります。一バイセクシャルであったとも言われており、晩年の歌唱を聴くとやはりそう感じずにはいられません。
 いずれにしても個人的なセクシャリティは別にして、チャーリー・パーカーにせよ、デューク・エリントンにせよ、優れた音楽は「男っぽい」や「女らしい」を遥かに超越した魅力があるものですよね。
 以前、カーメン・マクレエのセミナーを開催したときは、OHP映写機のライトがアウトになって、予備電球がなく、皆様に多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
 5月5日は、棒指しながらOHPで対訳をご覧いただきますので、ぜひ宜しくお願いします!
<ゴールデンウィークの楽しいJAZZの講座>
ジャズ・ヴォーカルの女王達を対訳を見ながら楽しもう。

【日時】5月3日(火)=ビリー・ホリディ
     5月4日(水)=サラ・ヴォーン
     5月5日(木)=カーメン・マクレエ
     正午~3:30pm (要予約)
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】各日¥3,150 (税込) 飲食代別
CU

<ゴールデンウィーク楽しいJAZZの講座>予告編:サラ・ヴォーン

 大阪の街は造幣局「桜の通り抜け」が始まりました。皆様はいかがお過ごしですか?
 連休中、5月4日(水)のお昼、OverSeasでは、寺井尚之がサラ・ヴォーン選りすぐりの歌唱を、不肖私の作った<ゴールデン・ウィークの楽しいJAZZの講座>を開催いたします。ジャズ初心者大歓迎!ぜひご予約の上お越しくださいね!
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 エラ・サラ・カーメンと称される、ヴォーカルの御三家の一人サラ・ヴォーンは、ハリウッドの” ウォーク・オブ・フェイム”に名前が刻まれる数少ないジャズ歌手の一人。現代もビールや乗用車のCMで「ラヴァーズ・コンチェルト」など、サラの歌声が使われるのは、きっとハイクラスでセクシーなインパクトのせいですね!
 サラ・ヴォーンは、日本の大女優、高峰秀子さんと同じ、1924年3月27日生まれ、生地はNYマンハッタンからハドソン川を渡ったNJのニューアークという街です。
young_Sarah_Vaughan.JPG 18歳の時、ハーレム・アポロ劇場のアマチュア・コンテストに優勝し、歌手兼ピアニストとしてアール・ハインズ楽団に入団、スター街道が始まりました。その頃のサラ・ヴォーンは、左の写真のように、歯並びが悪く、やせっぽちのいかり肩、歌はうまいが、美人とは程遠かった。アール・ハインズ楽団はゴージャスな一流バンド、音楽だけでなく、ルックスの良さでもトップを誇った。ですからサラの入団が決まったとき、アール・ハインズは気が狂ったんじゃないかと噂になったそうです。楽団一の男前で女性ファンを熱狂させたのが、専属歌手のビリー・エクスタイン、サラは彼からバップ的奏法を習得、エクスタインはサラにとって、生涯の師でありアニキとなったのです。
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<醜いアヒルの子から美人歌手へ>
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 独立後、タッド・ダメロン書き下ろしの名バラード”If You Could See Me Now”など、多くのヒットを飛ばし、ライブ・シーンでは、「人種混合」のリベラルなポリシーで、流行のさきがけとなった<カフェ・ソサエティ>(ビリー・ホリディに「奇妙な果実」を歌わせたのもこのクラブです。)を本拠に、どんどん知名度を上げます。
 ニューアークのイモねえちゃんは、華やかなスポットライトを浴び、見違えるように垢抜けて行きます。それは、最初の夫ジョージ・トレッドウエルの功績でもありました。トランペット奏者であったトレッドウエルは’47年に結婚してから、マネージャー兼財務管理者に専念、サラの収入から大枚$8000投資して、サラ・ヴォーン改造計画を実行したのです。まず鼻と歯を整形し、発音レッスンを受けさせ、見た目も歌唱も洗練させた。トレッドウエルはなかなかセンスの良い人で、彼女の髪をショートカットにし、ゴテゴテしたドレスの代わりに、NYっぽいスッキリしたファッションにスタイリング、お洒落で憎らしいほど歌のうまい美人歌手、”サッシー”を作り上げたジャズのピグマリオンでした。19世紀の伝説的名女優、サラ・ベルナールから、”The Divine Sarah”(聖なるサラ)というキャッチフレーズもちゃっかり拝借しています。
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<夫は変われど、歌唱は不変>
 サラ・ヴォーンの私生活はエラ・フィッツジェラルドと対照的に「遊び好き」、酒も煙草もガブガブ、スパスパ、その上、マリワナはおろか、コカインの量もハンパじゃなかったといいます。サラにマリワナやコカインを教わったという後輩ミュージシャンはジャズ界にたくさんいるみたい!結婚離婚歴は公式には4回、ミュージシャン、ヤクザ、会計士など、職種も人種もさまざまです。サラは、例え稼ぎをピンハネされようとも、その時々のダーリンに誠心誠意マネージメントさせる主義、ジョージ・ウエインたち大物からオファーがあっても全て断った。ノーマン・グランツに一切の仕事を任せたエラとは、ビジネスセンスも正反対ですね。
 レコーディングの第一期黄金時代は、’50~’60年代の”マーキュリー””エマーシー””ルーレット”からの録音群、”Poor Butterfly”、”Misty” クリフォード・ブラウン(tp)との”バードランドの子守唄”、ビリー・エクスタインとのデュエット集など、歴史的名唱を残しました。’70年代以降は、レコーディングよりコンサート活動に主体を置きましたが、CBSの”ガーシュイン・ライブ”や、「枯葉」など一連のパブロ盤は、生で観たサラ・ヴォーンとオーバーラップして、思い出深いものばかりです。
<ミュージシャンはサラが大好き!>
 サー・ローランド・ハナ(p)は’60年代中盤にサラの伴奏者として活動し、’70年代サラが自分でプロデュースした名盤『枯葉』でもリユニオンしています。
 「普段、歌手の伴奏は好きではないが、サラはミュージシャンとして素晴らしかったから、金のためでなく、心から喜んで共演した。」
 ハナさん以外にもサラ・ヴォーンを崇拝するミュージシャンは、たくさんいます。レッド・ミッチェル(b)、ジミー・ヒース(ts)、ウォルター・ノリス(p)・・・枚挙にいとまがありません。ジミーは、サラ・ヴォーンを聴くと、「テナーなんか辞めて歌手になりたいと思うほどだ。」と言っている。
 それは、彼女がピアニストとして器楽的な思考が出来ることと無関係ではないように思えます。マルチオクターブの豊かな声を、ビバップの高度な理論に裏打ちされたハーモニー感覚で、器楽奏者が舌を巻くようなフレージングを実現した。
 譜面が読めないのに、ミュージシャンに大きな影響を与えたビリー・ホリディ(5/3)と、聞き比べれば更に面白いですね!
 
<終生美人歌手>
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 寺井尚之は、「声だけ聴いてたら、どんな美人やろう!!と、判っていてもダマサレる」と言う。
 対訳係りとして、もうひとつ強調したいのは、彼女の官能的な魅力です。それは、ナンシー・ウィルソンとかダイアナ・ロスみたいな「ウッフン」系のセクシー・ヴォイスとは違う。もっとハードでヘヴィー級!『枯葉』に収録されている”アイランド”で、R-15指定のエロスを感じてください!
 私が観たステージ上のサラ・ヴォーンは、「デラ・リーズ(同輩の黒人ヴォーカリスト)です」と可愛く自己紹介し、ハンカチーフではなくティッシュで、グリースみたいな汗をぬぐいまくった。伴奏が気に入らないと「ギャラあげないわよ」とジョークを言い、客席のリクエストには「Not Tonight!」とすごむ。
 だけど、ひとたび歌い出せばアンコールの”Send in the Clowns”まで、絢爛たる美人に変身、圧倒的歌唱力で終生「美人」を貫いた稀有な歌手。彼女の愛称Sassyは、「小生意気な娘」の意味だった。死ぬまで、Sassy でDivineだったサラ・ヴォーンよ、永遠に!
 ヴォーカル通もオペラ・ファンも、まだ聴いたことがない人も、ぜひ5月4日、来て見てください!
<ゴールデン・ウィークの楽しいJAZZの講座>
【日時】2011年5月4日(水)
     正午~3:30pm 
【講師】トミー・フラナガンの唯一の弟子 寺井尚之
【受講料】各日¥3,150 (税込) 要予約

CU

<ゴールデンウィーク楽しいJAZZの講座>予告編:ビリー・ホリディ

 大阪の桜は満開で、こんな時期だからこそ、儚げな美しさが一層心に染みます。皆様いかがお過ごしですか?
 Jazz Club OverSeasでは、連休中、5月3日~5日の正午より、<楽しいJAZZの講座>を開催いたします。お題は「ジャズ・ヴォーカルの女王達」、ビリー・ホリディ、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ、ジャズ史上に輝く3人りの名唱を、不肖私の作った対訳と共に、寺井尚之が、歌の楽しさを解説いたします。
 お休みのお昼のひとときを、心に染みる名唱と寺井尚之のトークで過ごしませんか?
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Billie Holiday (1915-59)
 初日のヒロインは、時代を超えて心を捉え、ジャンルを超えて、多くのミュージシャンに影響を与え続けるビリー・ホリディ
 娼婦の母親、感化院の少女時代、ドラッグや人種差別、バイセクシャル、不幸な結婚の繰り返し、壮絶な44年間の人生は確かにスターに相応しい。だけど、ビリー・ホリディは「奇妙の果実」だけではないのです。
 ホリデイの歌は、聴く者ひとりひとりの心の奥底に語りかけてくる。心の奥に鍵をかけてしまいこんでしまった色々なことが、呼び覚まされるような気がします。私たちがしてしまった色んな「いけないこと」をビリー・ホリディは赦し、癒してくれる。
 ホリデイの歌唱は、満開の桜のように、人の心を酔わせてくれます。「散り行く哀しさ」が秘められているからこそ、余計に愛しくなるのです。
 対訳係りとしては、そんなところが歌詞の意味から感じていただければいいなと思っています。3日連続でも、一日だけでもノー・プロブレム!ジャズ・ファン、ヴォーカリストだけでなく、ご興味がおありでしたらぜひお越しください。
 初めてのお客様も大歓迎!お一人でもグループでもぜひどうぞ!
<ゴールデンウィークの楽しいJAZZの講座>
ジャズ・ヴォーカルの女王達を対訳を見ながら楽しもう。
【日時】5月3日(火)-5月5日(木)
     正午~3:30pm (要予約)
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】各日¥3,150 (税込) 飲食代別

第18回コンサート:Tribute to Tommy Flanagan

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 3月19日(土)、予定通り第18回トリビュート・コンサートを開催いたしました。3月とはいえ、春とは程遠い状況下、色々無理をして駆けつけて下さったお客さま、本当にありがとうございました。
 また、被災下のフラナガン・ファンの皆様、計画停電や物不足で大変なのに、激励メールなど、色々とありがとうございます!
 終演後、寺井尚之は「音楽家の仕事は、人様の魂をきれいにすることやと思います。大変なときだからこそ演奏をして、聴いていただかんといかんと思います。」とスピーチしました。
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 OverSeasが誇るメインステムのリズム・チーム、宮本在浩(b)、菅一平(ds)は。高い志で、寺井尚之の音楽的要求に応え、客席から大きな歓声をいただいていました。生前のフラナガンに会い、何度となくライブで聴いている常連の山本氏が、”メインステム・トリオの「進化」と「深化」に感動”と掲示板にコメントされていましたが、私も同感!
BRAVO!
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 セット・リストは、トミー・フラナガンが生前聞かせてくれた名演目ばかり、オリジナル曲、フラナガンならではのメドレーの数々、フラナガンが愛したエリントンやサド・ジョーンズ、トム・マッキントッシュ達の「ブラックな」味わいのある名曲が、絶妙のレイアウトで並びました。



1. Let’s (Thad Jones)
2. Beyond the Bluebird (Tommy Flanagan)
3. Embraceable You (Ira and George Gershwin)- Quasimodo (Charlie Parker)
4. Mean Streets (Tommy Flanagan)
5. Good Morning Heartache (Irene Higgenbotham, Ervin Drake, Dan Fisher)
6. Rachel’s Rondo (Tommy Flanagan)
7. Sunset & the Mockingbird (Duke Ellington)
8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Dizzy Gillespie, Gill Fuller)

1. That Tired Routine Called Love (Matt Dennis, Ted Steele)
2. They Say It’s Spring (Marty Clark/Bob Haymes)
3. A Sleepin’ Bee (Truman Capote/ Harold Arlen)
4. Minor Mishap (Tommy Flanagan)
5. If You Could See Me Now (Tadd Dameron)
6. Our Delight (Tadd Dameron)
7. Dalarna (Tommy Flanagan)
8. Eclypso (Tommy Flanagan)

Encore:
1. With Malice Towards None (Tom McIntosh)
2.Medley:Ellingtonia
Come Sunday (Duke Ellington)
Chelsea Bridge (Billie Staryhorn)
Passion Flower (Billie Staryhorn)
Black and Tan Fantasy (Duke Ellington)

18thtributesawano_sanP1040305.JPG 澤野工房の澤野社長もお忍びで来て下さってありがとうございました!顔見知りの常連様たちも澤野さんのお姿を見つけて、とても嬉しそう!ナニワのジェントルマン、私も澤野さんの大ファンです!
 写真撮影してくださったのは、東京からおいでになった後藤誠先生です。昨日帰京されましたが、新幹線はいつになくガラガラだったらしい。素敵な写真たくさん撮ってくださって、ありがとうございました。
 なお、トリビュート・コンサートは三枚組みのCDにして、お越しになれなかった皆様にお分けする予定です。ご希望の方は当店までお問い合わせください。
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 トリビュートを無事終えることができて、少し脱力~ でも先の見えない状況に変りはない・・・明日から、再びがんばって働きます!
 25日(金)はエラ・フィッツジェラルド@カーネギー・ホール・コンサートの講座を行いますので、どうぞよろしくお願いします!
CU

3/25(金)イベント:ジャズ・ヴォーカル、対訳を見ながら楽しもう!

 皆様、お元気ですか?
sakura_buds.jpg 今頃になると、大阪の街に漂うお相撲さんの鬢付け油の香りが恋しいです。今日もなかなか寒いですが、膨らんだ桜のつぼみが可愛い!米国南部のサウスカロライナ州、アイケンという小さな街に住んでいる、私の翻訳アドヴァイザーから、「オラが街の桜が咲いてきたぞ~」と桜メールをもらいました。
 南部生まれの彼のニックネームはWizard of Bop (バップの魔法使い)=略してWOP、長らく枚方に住んでいた常連様で、プロの翻訳家、バリトン・サックス奏者、英訳、和訳の両方で、壁に当たると“Hi, WOB, Help Me!”とメールして、いつもお世話になっています。
 私の歌詞対訳歴も、足掛け14年、最初は「寺井尚之のジャズ講座」でビリー・ホリディを特集したとき、PCなんて持ってなかったからワープロで作った。聴き取りで判らないところは、来日ミュージシャンが遊びに来たときに、ちゃっかり手伝ってもらったり、米人のお客さんが来たら、すかさず意味を教えてもらったり、色々アツかましくやりました。
 今は辞書にない単語や固有名詞も、ネット検索すれば、沢山の情報が瞬時に手に入る!翻訳者にとっては便利な時代になったけど、微妙なニュアンスを受け取るには、ネットだけではだめで、読んで書いて、聞いて話して・・・英語の力だけでなく、日本語力も、それに人生経験や想像力が必要かも知れません。
 歌詞対訳を作っていて一番楽しいのが、ビリー・ホリディとエラ・フィッツジェラルド、何故かと言うと、「歌詞の意味が判ってジャズ・ヴォーカルがすごく楽しかった~」と喜ばれることが多いからです。
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 そのハイライトと言えるのが、ジャズ史を代表する歌手、エラ・フィッツジェラルドの「カーネギー・ホール」と呼ばれる名盤、『Newport Jazz Festival: Live at Carnegie Hall』!
 「トミー・フラナガンの足跡を辿る」で、寺井尚之が三年前に解説していますが、ご要望にお答えして、来る3月25日(金)にアンコール講座を行います!
 エラ・フィッツジェラルドが糖尿病の合併症で視力を損ない休養を余儀なくされた後、意を決して出演したカムバック・コンサート、客席の熱気も凄いですが、名手トミー・フラナガンをバックにエラが会心の歌唱を繰り広げます。
 超一流ミュージシャンにひけを取らない、エラのアドリブの凄いこと!フラナガンのサポートの素晴らしいこと!音楽の歴史に残る名唱です。
bc91.jpg  <楽しいJAZZの講座の夕べ>
“ジャズ・ヴォーカルを対訳を見ながら楽しもう”
【日時】3月25日(水)7pm~8:45pm 
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】One Drink付 ¥2,500 (税込¥2,625)  要予約

 このコンサートは’73年、エラが歌うのは1920年代にソフィー・タッカーが歌い、サルトルの「嘔吐」に登場した古い歌から、マーヴィン・ゲイのリアル・タイムな反戦歌まで、エラが休養時に選りすぐった感のある名曲揃い。失恋から立ち直ろうとする「Good Morning Heartache」や、恋を謳歌するメドレー、歌舞伎の刃傷沙汰のような「殺人」をテーマにした「Miss Ortis Regrets」など、色んなドラマの集大成!それら全てを、エラは自分の言葉にして歌う。星野哲郎や阿久悠たちが時代を彩る昭和の歌謡曲に負けない共感を覚えるものばかりです。
 映画の字幕を観るつもりで、歌詞を楽しみながら、トミー・フラナガンとエラ・フィッツジェラルドの名コラボを、寺井尚之の名解説でお楽しみください!
 今週のジャズ講座は、’90年、Jazz Club OverSeasでもトミー・フラナガン・ソロ・コンサートを開催した同時期のソロ、『100Gold Fingers』や、フュージョンの大スター、グローヴァー・ワシントンJr.(ts)の『Then and Now』から、聴き応えのあるデュオ2曲、ヴァイブ奏者、ボビー・ハッチャーソンとの『Mirage』など、iスペシャル・ゲスト格の色んなフォーマットでのトミー・フラナガンが楽しみです。
 私はおいしいポークのあばら肉でバーベキュー作ってお待ちしていま~す!
CU
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講座本8出版 ハイライト講座のお知らせ

 講座本第8巻 発刊に際し、来る2月8日(火)に、新刊収録の名演奏をピックアップしたハイライト講座開催!
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「トミー・フラナガンの足跡を辿る」第8巻出版記念
【日時】2月8日(火)7pm~9:30pm 
【講師】 寺井尚之
【受講料】One Drink付 ¥2,500 (税込\2,625)  要予約 

 ご予約はOverSeasまで!
イベント関連サイト
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1/25(火)「名盤サクソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズの真実を探る」

 昨年秋から毎月開催している「楽しい講座&ライブの夕べ」、今月のお題は「名盤サクソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズの真実を探る」
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 「トミー・フラナガンの足跡を辿る」で大評判になった“サクソフォン・コロッサス”講座はもう6年以上前に遡ります。(講座本第一巻参照)
 今回は、ジャズ初心者の方に判りやすく、“サクソフォン・コロッサス”の面白さ、ひいては即興演奏というジャズの醍醐味をお伝えしようと、ただ今鋭意準備中。
 昨年も来日して、大阪のコンサートは完売したというソニー・ロリンズは、トミー・フラナガンと同い年でNYハーレム生まれのハーレム育ち。生家は、アーサー・テイラー(ds)やジャッキー・マクリーン(as)のご近所、当時コールマン・ホーキンス(ts)も近所に住んでいて、ソニー少年はサインをもらうために、自宅の前でホークを待ち伏せたという逸話もあります。
 “サクソフォン・コロッサス”で共演したトミー・フラナガンは、’80年代に共演アルバムを録音したり、カーネギー・ホールでリユニオン・コンサートをしたり、色々ご縁がありました。
 トミーが入院したとき、真っ先にお見舞いに駆けつけたのがロリンズさんだったと聞いています。
s-rollins.jpg ヴィレッジ・ヴァンガードのオーナー、マックス・ゴードンは、デクスター・ゴードン、ジョニー・グリフィンなど数え切れないテナーの星が出演した内で、最も華のある奏者はロリンズだと、自伝で言い切っています。
 また同じテナーのジミー・ヒースは、「ソニーは我々仲間のミュージシャンが世界中のどこにいるか、確実に把握しているが、誰もソニーの現在位置を知らない。」と神がかりっぽいことをつぶやいていました。
 真面目な性格だからこそ、堂々とユーモラスな引用ができるという話も聞いたことがあります。真面目だからこそ、二度もステージから遠ざかって、修行したり瞑想したのかも知れませんね。
 「サッコロなんか恥ずかしいてよう聞かんわ」と通が言うほど”サクソフォン・コロッサス”は有名盤、だけど、私は何度レコードをかけても、オープニングの”St.トーマス”でマックス・ローチ(ds)のイントロが始まるだけでわくわくするし、理屈では説明できない圧倒的な魅力を感じます。
 理屈じゃない隅々まで、寺井尚之はしっかり解説、おまけに自ら演奏を聴かせ、さらに納得させてくれます!
 初めてのお客様も、常連様も大歓迎です。ウィークデイ、お仕事帰り、お気軽にお立ち寄りください。
night_234x60.gif【日時】2011年 1月25日(火)7pm~9pm 
【講師】トミー・フラナガン唯一の弟子、OverSeasオーナー、 寺井尚之
【受講料】One Drink付 ¥2,500 (税込\2,625)  要予約
 いつもどおりお食事も用意していますので、ぜひどうぞ!
CU

或る夜のお客様:ウラジミール・シャフラノフ・トリオ

 クリスマス休日、皆様楽しくお過ごしですか?昨日はエコーズ!結成20周年とあり、沢山のお客様、どうもありがとうございました。
 年末とあり、終盤にお客様が続々お越しくださって、ラスト・セットは閉店時間を過ぎても続きました。その中に、「実際に来てみたら、やっぱしYoutubeの雰囲気と一緒やな♪」と、こんな人気ピアニストも!
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 クリスマス・コンサートのために来日中のウラジミール・シャフラノフさんが、トリオのメンバーと、澤野工房の澤野社長&澤野稔プロデューサーなど大阪ジャズのVIPに客席から『エコーズ』を盛り上げて頂いて嬉しかった~
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 澤野さんは、話し上手な紳士、噂どおりの素敵な方ですね!中央がフィンランドのベーシストのペッカ・サルマントさん、右がドラマーのレイスカ・ライネさん、ライネさんは無口だけれど雰囲気のある方だと思っていたら、フィンランドの国会議員であり俳優としても有名だと後藤誠さんから後で伺いました。
 シャフラノフさんは、ピアノ同様、お話も超マシンガン・トーク!70年代NYシーンやトミー・フラナガン、ジョージ・ムラーツなど思い出や、世界のジャズ事情など、早口でガンガンしゃべるパワフルな人!
 西宮のクリスマス・コンサートは完売しているそうですが、西脇の公演はまだ席があるそうです。
 こちらOverSeasも今夜の「Evergreen」発表イベントはまだ少しだけお席があります。24日、25日も併せてお越しください。
CU