Interludeは、PCでも実力派の宮本在浩(b)さんのおかげで、デザイン一新!
ブラックなデザインで再デビュー!ザイコウさん、ありがとう!!
バックがブラックで、ただでさえ長くて読みにくいのに、余計読みにくいやん…とか、色々ご意見がありましたら、どんどんお聞かせください。
過去の記事で、見えなくなったキャプションも多数ありますので、これから手直ししていきます。しばしお待ちください。
私も、ザイコウさんの手を煩わせず、ベースに専念していただけるように、色々勉強しなければ・・・
CU
宮本在浩(b)
ブログソフトをアップデート中。
<Interlude>を訪問いただきありがとうございます。
現在、ブログソフトをアップデートしていて、OverSeasのHPから観てくださると、見難い状態が続いていてごめんなさい。
新しいウィンドウで開いていただくと、全画面が見れるようになります。しばらくご迷惑をかけますが、宜しくお願い申し上げます。
現在ピアノ調律中。良く鳴ってます!!
CU
スタンリー・カウエル速報
2月27日タウンホールにて、スタンリー・カウエル
1月末に来日したチャールズ・トリヴァー・オールスター・ビッグバンドのおかげで、OverSeasでは、プチ・スタンリー・カウエルブームが巻き起こっています。 深夜の歓迎パーティで、スタンリー・カウエルやルーファス・リードと交流した方々は、せっせと彼らのレコードを蒐集されているようです!
トリヴァーOrch.はグラミー賞にもノミネートされ、これから更に注目される存在ですから、先日の来日は時流を先取りしすぎていたのかも知れません。 その時に、スタンリー・カウエルさんから2月にNYで大きなコンサートをすると聞き、ずっと楽しみにしていたのですが、コンサート速報がインターネット上に出ているので、紹介しようと思います。
<Thelonious Monk at Town Hall 50th Anniversay Celebration>
セロニアス・モンク・タウンホール・コンサート50周年祝賀コンサート
E.スミス撮影のリハ風景から音が聴こえてきそう!アーサー・テイラーのドラムセットに注目。フィル・ウッズのクールな姿も・・・
このコンサートは、セロニアス・モンクが、キャバレーカード剥奪や病気など、様々な困難を経て、1959年に初めて大編成のバンドを率いタウンホールという大舞台で成功を収めた<タウンホール・コンサート>と呼ばれる歴史的な公演の50周年を記念するイベントとして開催されたものです。当時の演目をトリバーが、同じ会場、同じ楽器編成、同じソロオーダーで再現するコンサート!モンクの出生地であるノースカロライナ州の名門、デューク大学が後援する大プロジェクトでした。
余談ですが、モンクのタウンホール・コンサートのリハーサルやミーティングは、20世紀を代表する社会派の写真家、ユージン・スミスのロフトで行われたそうです。ユージン・スミスといえば、シュヴァイツァー博士の写真が小学校の教科書に載っていたと思います。また日本人にとっては、水俣病の写真集や、その撮影を巡る暴行事件が記憶に残ります。
スミスが、ロフト撮影した多数のジャズメンの写真や3000時間もの録音テープを、デューク大学が保存しようという「ジャズ・ロフト」プロジェクトも進んでいるとラジオは報じていました。フォト・ジャーナリストのロフトで何故モンクたちがリハーサルをしていたのか興味は尽きません。とにかく不況下で大事な資料が散逸せぬように祈ります。
さてコンサートの模様は、ネット上のNYパブリック・ラジオで聴くことが出来ます!
コンサートの反響をネット上で眺めると、NYタイムズは、スタンリー・カウエルに対する賞賛もなく、オリジナル・メンバーのアーサー・テイラー(ds)とジーン・ジャクソン(ds)を比較して「前の方が良かった」という、全く当たり前のいや言に終わっていて、同じトリビュート・コンサートをしている者としては腹立たしいものでした。一方、ウォール・ストリート・ジャーナルのコンサート評は、激賞していてスタンリー・カウエルを「モンクのコピー・フレーズは一切使わずに、モンク音楽の精髄を表現して見せた。」と絶賛しています。百聞は一聴にしかず。ご自分で聴いて見られたら、よく音楽聴いた上での論評か、プレス・キットだけでテキトーにまとめているの記事かが、お分かりに成ることでしょう。
ルーファスのタキシードも貫禄!
このエントリーの下方にラジオのプレイヤーを埋め込んでおきましたけど、「More」をクリックしてパブリックラジオのサイトから直接入ればもう少し聞きやすいかも・・・ 冒頭に、プロジェクトの趣旨やトリヴァーやカウエルの肉声インタビューなどが11分ほどあり、それからコンサートが始まります。
オープニングは、スタンリーのソロでIn Walked Bud、寺井尚之が愛して止まない10thヴォイシングのブラックなサウンドが味わえます!
2曲目ではルーファス・リード(b)をフィーチュアしたトリオも聴けますよ。
<セットリスト>
1.In Walked Bud’
2.Blue Monk’
3.Rhythm-A-Ning’
4.Thelonious
5.Friday The 13th
6.Monk’s Mood
7.Little Rootie Tootie
8.Off Minor
9.Crepuscule With Nellie
アンコール:Little Rootie Tootie’
まだ16歳だったトリヴァーは、当時のタウンホール・コンサートの聴衆の一人であったそうです。後にモンクのバンドに加入したトリヴァーですが、よもや少年時代に聴いたコンサートを自分が再現するとは予想していなかったことでしょうね。
イベントは2夜連続で、2日目は編曲者、ホール・オバートンへのトリビュートとなり、ジェイソン・モラン(p)がフィーチュアされたそうです。初日は T.S.モンクを始めとするモンクの遺族や、当時のオリジナルメンバーも集まりイベントは大成功だったようです。
OverSeasのトリビュート・コンサートは、スポンサーもいないし、決して大ホールの大プロジェクトではないけれど、フラナガンを誰よりも理解する寺井尚之とThe Mainstemでタウンホールのコンサートに負けないトリビュートにします!
CU
トリビュート前:北国からのお客様
昨年のフラナガンの誕生日に撮影された摩周湖の眺望が「ウィキペディア」に載っていました。
トリビュート・コンサートの3月到来!だけど、春は遠く真冬の寒さに花粉だけが舞う大阪の路地裏ウイークデイに、北の大地、マイナス20℃の摩周湖から一年ぶりに、ジャック・フロスト氏が飛んできて、寺井ー宮本在浩デュオ、エコーズを連日楽しんでくださいました。
フロスト氏は、長年のトミー・フラナガン・ファン!札幌でトミー・フラナガン・3を楽しんだり、訪米時に、フラナガンゆかりの「レガッタ・バー」や、スイート・ベイジルをを行脚、フラナガン本人と遭遇してお話されたり、ディック・カッツさんの演奏をNYで聴かれたり、…今回も楽しいお話を沢山伺うことが出来ました。昨年11月のトリビュート前には、北の恵みのジャガイモを沢山贈っていただいて、色んなお料理に使わせていただきました。おいしかった~!
“エコーズ”とフロスト氏。
追記:OverSeasのBBSやInterludeを愛読してくださっているフロスト氏にとって、今一番聴いてみたいOverSeasのプレイヤーは今北有俊(ds)だそうです。今日、イマーキー君は、「ぜひお会いしたかったなあ…」と残念がっていました。来年はぜひ!
にこやかな紳士フロスト氏、実はホテル協会の理事長さんという、私には想像もつかないビッグ・ショット、摩周湖の名湯、川湯温泉にある御園ホテルのオーナーでもあります。トミー・フラナガン・ファンの皆さん、釧路方面にご旅行の際はぜひどうぞ!ホテルには海外の観光客が沢山来るらしい…寺井尚之の友人、アキラ・タナも大の北海道ファンですよ!
いつか私たちも、トミー・フラナガンのピアノの音色のように透明な湖を眺めたり、露天風呂に入り、お風呂上りにラウンジの自動ピアノでトミー・フラナガンのソロ・ピアノを聴きたいものです!
ビヨンド・ザ・津軽海峡!フロストさん、またOverSeasに遊びに来てくださいね!
CU
ピアノトリオの顔いろいろ
2月の最終週は二日間連続で、2種類のピアノトリオが楽しめました。
27日(金)は熟成中のレギュラートリオ、The Mainstem, 28日(土)は新人、坂田慶冶(b)と今北有俊(ds)を擁するライブ2回目の、TSIトリオでした。
寺井尚之(p)はいつ写真をとっても、同じような淡々とした弾きぶりだけど、レパートリー、合図、勿論、出てくるサウンドも、全てが違う表情。
<ザ・メインステム>
The Mainstemでは、 3月28日に控えるトリビュート・コンサートを見据えた寺井尚之と、それに応える宮本在浩(b)、菅一平(ds)の気構えと礼節を感じました。菅一平(ds)さんの厳しい顔つきは、2番テーブルに来ていただいたAnnさんが捉えて下さった名ショット。
左:菅一平、右:宮本在浩
私は、久々の“Peace”(ホレス・シルヴァー)やハナさんとサド・ジョーンズの合作と言われる“A Child Is Born”に加えて、ビリー・ホリディのトーチ・ソング“If You Were Mine”に心奪われました。
そして、ザイコウさん、一平さんの引き締まった表情から繰り出されるタイトなサウンドに、トリビュート・コンサートへの期待が大きく膨らみます。
寺井尚之”ザ・メインステム”はトリビュート・コンサートに向けて、さらに飛躍する予感!
○ ○ ○ ○ ○ ○
TSIトリオ (だれかいい名前付けてください。)
翌日土曜日の、若手とのトリオは、また違った楽しさが!坂田慶冶(b)と今北有俊(ds)を引っ張る寺井尚之(p)の老獪さと、若い二人の非凡なプレイが強烈なコントラスト!通の常連様もヤングライオンズ応援団も、二人の瞳の輝きに魅了されてアンコールの拍手を送っていました。
ヤングライオンズ、坂田慶冶(b)今北有俊(ds)
若手ミュージシャン達が、デトロイト・バップにタックルしながら、自分の個性を見せて、聴き応えのある演奏をしてくれる姿にシビれました。 アンコールはインディアンの雄叫びを思わせるワイルドな“チェロキー”!これから大きく化けて花開く姿を予感させる二人の輝く瞳はKOパンチ!!
メインステムや若手トリオ、そして、ウィークデイのデュオ・シリーズ・・寺井尚之は色んなフォーマットで、新しい音楽の切り口を見せてくれます。片隅で聴く私にとっても、毎日が大きなお楽しみ。
皆さんも一緒に聴いてみませんか?
3月のスケジュールはこちらに!
CU
ご案内:春の“トリビュート・コンサート”
2009年3月28日 1部 7pm-/2部 8:30- (入替なし)
前売りチケット: ¥3,150(税込 座席指定)
トミー・フラナガン
1930 3.16- 2001 11.16
八百屋さんに“ふきのとう”が、魚屋さんに初鰹が並ぶと、寺井尚之の目の色が変わってきます。それにつれてピアノの鳴りもよくなって、調律に来られる川端さんがにっこりします。
トリビュート・コンサートが近づくと、OverSeasのお店の空気が変わってきます。
宮本在浩(b)、菅一平(ds) The Mainstemのメンバーたちの顔つきも、結成時よりずっと引き締まってきました。
えっ?トリビュート・コンサートが何かご存じないって?
Jazz Club OverSeasが最も敬愛するトミー・フラナガンが亡くなってから毎年、誕生月3月と、逝去月11月に、寺井尚之がトリオでフラナガンの名演目のみを演奏し、フラナガンが遺した音楽の遺産をを皆で楽しむ特別なコンサートのことなんです。
トミー・フラナガンを聴いた事がない方でも、興味があるならぜひ聴きに来てみてください。
「こんなにおもしろい音楽をやってはったんやなあ!」
「デトロイト・バップっていいじゃない!」
そう思ってもらえたら、とっても嬉しいです!!
生前のトミー・フラナガンが、この季節に好んで聴かせた“スプリング・ソング”が楽しめる春のトリビュート・コンサートは、ふきのとうや初鰹に負けない旬のお楽しみ!
座席数が限られているので、前売りチケットは早めにお求め下さい。チケットは当店のみで販売していますので、チケットを買いに来れない遠方のお客様は、メールか電話でお問い合わせください。
明日のライブは2月のThe Mainstem! 私はおいしいロール・キャベツを作って、皆さんのお越しを待っています!
CU
Happy You Are Here!
皆さん、お元気ですか?
先週もOverSeasのライブに来てくださった皆様、どうもありがとうございました!
今日はちょっとミーハーなライブの幕間風景を・・・
「音楽は言語の一種」、それを如実に伝えるのが“エコーズ”や!これ研究に役立ちま~す。Yes, We Can! 脳科学者はこれを聴いてみて、プリーズ!と、私の対訳サポーター、ジョーイさんが同行されたのは、京都大学名誉教授で日本の脳科学のパイオニア、久保田競先生。「今まで研究一筋で音楽を聴く暇はなかったから・・・でも今夜は楽しみました。」と先生。京大霊長類研究所の所長さんをしておられ、楽しいお話を沢山聞かせてもらいました。
左から:エコーズ・コダマ会長、久保田先生、寺井尚之、ジョーイ、鷲見和広(b)さん。
そして、土曜日のThe Mainstemには、上方落語が世界に誇るこの師匠が!
桂南光師匠は、サー・ローランド・ハナの大ファンで、移転前には何度もお越しいただきましたが、この夜はほんとうに久しぶり!”桂南光落語ライブ 第1~10集”全巻持ってて、師匠の落語会に通い詰めるむなぞう副会長も大喜びしてました。
「寺井さんのピアノほんま好きやわ~、またヘンコなとこがええねん。寺井さん、ビル・エヴァンス嫌い言うてはるけど、ほんまは好きでしょ?」
「好きか、嫌いか言うたら、やっぱり・・・あんまり・・・」
「いいや!ほんまは好きなんでしょ。好きやて言いなはれ。」
「・・・」
毒舌=寺井尚之もタジタジで胸爽快!
写真左から:左端は決して南光師匠のお弟子さんではありません、一平兄さんを勉強に来ていた今北有俊(ds)さんです。桂南光師匠、寺井尚之、菅一平(ds) 宮本在浩は楽器を撤収中で映ってなかった・・・
プライベートでも、周りに気配りを忘れない偉大なる師匠の姿に胸キュン!ご一緒に来られた師匠の奥様は、TVで言われているのと程遠く、ダイアン・キートンみたいにチャーミングな方でした。
北新地や道頓堀ならいざ知らず、オフィス街のOverSeasにきてくださってありがとうございました。。
お客様にはいつも感謝あるのみ!!
今週もぜひお待ちしています!
CU
パノニカに夢中「三つの願い」を読みながら(その3)
写真順:
セロニアス・モンク:2枚連続~
アート・ブレイキー2枚連続
~ベティー・カーター(vo)
~ジョン・コルトレーン(ts)
~ニカのミンクを着たチャーリー・ラウズ(ts)とソニー・クラーク(p)
~英国の盲目のピアニスト、エディ・トンプソン(p)
~猫と戯れるトミー・フラナガン
~レックス・ハンフリーズ(ds)
~ジョン・ヘンドリクス(vo, lyricist)
~メアリー・ルー・ウィリアムズ(p)
~デューク&マーサー・エリントン親子
~ロイ・ヘインズ(ds)とチャーリー・ミンガス(b)
~チャーリー・ミンガス(b)
~バド・パウエル(p)
~レイ・ブライアント(p)
~ソニー・ロリンズ2枚連続
~ホレス・シルバー(p)
~エロール・ガーナー(p)
~マイルス・デイヴィス(tp)2枚連続
~ラストは愛猫たちとレコードに囲まれたパノニカ。
皆さん、お元気ですか?先週は「ジャズの歴史」「ジャズ講座」二大イベントで、靴が脱げちゃうほど店の中を走り回ってました。
今回は、パノニカ男爵夫人が遺した「三つの願い」の完結編、本には300人近いジャズメンの「三つの願い」が収められていますが、Interludeの読者の皆さんに身近なごく少数のアーティストが何を願っていたかを紹介したいと思います。
パノニカ夫人が、「三つの願いプロジェクト」を開始したのは’60年代前半、ベトナム戦争が社会に影を落とし、ビートルズが世界を席巻していたジャズの「真冬」であったことを心に止めておく必要があります。フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)の”Money, Money, Money”という答えは決して強欲なものではなく、多くのジャズメンは、当時本当に”食い詰めて”いたんです。
トミー・フラナガンがエラ・フィッツジェラルドの伴奏者になったのも、丁度この頃です。
優れたジャズメンが経済的に不遇であったからこそ、パノニカはこんな問いを投げかけてパトロンとしての自分に出来ることを探っていたのかもしれません。
冒頭には、「三つの願い」に対する、セロニアス・モンクのいかにもモンク的な反応が記されていました。
<ニカの遺稿から:>
私はまず最初に”3つの願い”をモンクに訊くことにした。
「3つの願いが何でも叶えられるとしたら、あなたは何を願う?」
モンクは、黙って部屋の中を歩き回った。やがて彼は窓のところで立ち止まり、しばらくハドソン川の向こうの摩天楼を眺めてから、おもむろに答えた。
① 音楽的に成功すること。
② 幸福な家庭
③ 君みたいにクレージーな友人を持つこと。
私は言った。「あらセロニアス、別に願わなくたって、もうすでに持っているものばかりじゃない!」
すると、彼は静かに微笑み、再び部屋を歩き回った。
<巨匠たちの願い>
先日の勉強会で、皆で聴いたビバップ以前の巨匠達は当時不惑の年齢、音楽さながらに、答えにも各巨匠の「スタイル」を感じます。ルイ・アームストロングがステージで隠す知的な顔を見せているのが、私には特に印象的でした。
ルイ・アームストロング
①一年間演奏を休み、今まで蒐集したテープを聴き直し、それらを整理する。そうしたら、何か新しいものが書けるだろう。充電すると自分の為に成ると思う。
②休養後にカムバックして、もう一度ファンの皆の前で演奏を聴かせたい。
③100歳まで生きたい。自分の音楽を追求しながら、次の世代がどんなことを演っているのか聴くんだ。
ロイ・エルドリッジ(tp)
① ラジオ・TV技師の学校を卒業すること。そうすりゃ、もうペットをブロウしなくてもよくなるから。
(エルドリッジは唇を損傷し、往年のハイノートが吹けなくなっていたんです。)
② 自分のクラブを開店できるくらいの資金。
③ せめて10年間戦争がないように。そうすりゃ僕は60歳だから、それまでに金を貯めて隠居できる。
デューク・エリントン
「私の願いは非常にシンプルだ。常に最高のものしか望まない。」
ビリー・ストレイホーン
「僕の望みは、音楽が今よりも、ずっと美しいものになること、僕はそれらを聴き、自分も永遠に音楽を書き続けたい。」
ジョー・ジョーンズ (ds)
「俺の願いは一つだけ、後10年演奏することだ。」
<ビバップのサムライ達 >
パノニカを魅了した往年のビバッパーたちの多くが、ヨーロッパに新天地を求めてNYを離れていった頃です。バド・パウエルやA.Tの願いは、本当に切ない。
ディジー・ガレスピー(tp)
① 金のために演奏しなくてもよくなること。
② 世界恒久平和
③ パスポート不要の世界。
ケニー・クラーク(ds)
① ブリジッド・バルドー② ブリジッド・バルドー③ ブリジッド・バルドー
(1a) いや、今のは冗談だ。一番目の願いは、ディジー・ガレスピー(tp)、J.J.ジョンソン(tb)、レイ・ブラウン(b)、ハンク・ジョーンズ(p)で、僕のドリーム・クインテットを結成することだ。
(2a) 次の願い?判らないよ、ニカ、しいて言えば僕の息子をこっち(パリ)に呼んで、音楽をさせることかな…
(3a)三番目の願いは、この土地、パリに学校を作って、若者たちに正しい音楽の道を教えることだな。それが出来れば僕は充分幸せだ。金儲けより、何か意義有ることをするほうがいいな。
タッド・ダメロン(arr.p)
「自分自身でいること」
アーサー・テイラー(ds)
① チャーリー・パーカーが今でも生きていますように。
② バド・パウエルが今もNYで、昔みたいにバリバリ弾いているように。いや、とにかく弾いていればいい。
③ 金
バド・パウエル(p)
① 医者や病院に通わなくてもよくなりますように。
② 日本に行きたい。
③ レコードを作りたい。
バド・パウエルが日本に来てくれたら、バド・パウエルのスタジオ・レコーディングがもっとあれば、どんなに素晴らしいことだったでしょう!’60年代初来日したアート・ブレイキー(ds)とジャズ・メッセンジャーズが、日本人のジャズに対する愛と理解に心底感動したそうで、ジミー・ラッシング(vo)や、ダグ・ワトキンス(b)も「日本」が願いの中に入っていました。彼らが現在の日本に来ても同じように思ったでしょうか?
<うまくなりたい!>
音楽的な成功を願うジャズメンが多いのは当然ですが、テクニックのある人ほど、技術的な向上を願うのは、オズの魔法使いに出てくる、勇気を欲しがる「ライオン」や知性を欲しがる案山子たちを連想しました。
J.J.ジョンソン(tb)
「思いのままに演奏できるようになること。」
ハンク・ジョーンズ(p)
「自分の楽器で、世界一になること。」
オスカー・ピーターソン(p)
① 思いのままにピアノを演奏できるようになること。
② 皆が、どんな芸術形式に対しても、本質的に理解してくれること。
③ 世界中の人に愛が溢れること。
<意外な人の意外な願い…>
最後に、Interludeを愛読してくださる皆さんが、最も身近に感じるミュージシャン達の望みをピックアップしておきます。新しい大統領になった現在でも有色人種をサル扱いする社会(私たちアジア系も決して例外ではありません。)に対する憤怒、公民権運動の時代の香り、クラブ・ギグの悲哀、色々感じられるのではないでしょうか?
サー・ローランド・ハナ(p)
① 第一に、自分の能力が全開できるよう、音楽の勉強が出来るような経済的余裕が欲しかった。
② 二番目は、全ての人間が平等かつ個性を持って生まれてくること。
③ 三番目は… 今でも母が生きていてくれること。
ジミー・ヒース(ts,as,fl)
① 「君は社会に対して責務を果たした。」という一項が、真実になるよう願ってる。つまり、刑務所で服役し出所して、これで終わったという気分になっても実際はそうじゃない。一旦犯罪を犯したものには、前科が付いてまわる。
(信じられないでしょうが、ジミーは麻薬のトラブルで刑務所で服役していたことがあるんです。)
② 世界をもう一度作りなおすなら、人間の肌の色を全員一緒にする。人間は誰でも、その人の実力、個人の長所で判断されるようになるんだ。
③ 3番目の願いをする権利は、僕の妻に譲るよ。
コールマン・ホーキンス(ts)
① 完璧な健康。
② 音楽に於ける大成功。
③ 大金持ちになること。
ジョン・コルトレーン(ts)
① いつまでも、音楽が新鮮であること。今僕はちょっとスランプなんだ。
② 全ての疾病への免疫
③ 現在の3倍の性的パワー、それにもうひとつ、他人へのさりげない愛情、これはほかの二つのどっちかにくっつけといてくれてもいいよ。
トム・マッキントッシュ(tb, comp, arr.)
「我々の創造主である神の望むようにいられること。万事それでよし。」
クラーク・テリー(tp, flg)
① 健康が保障されれば、幸福と長寿が手に入るよね。
② 金のことをあれこれ心配しないでいいくらいの財産。
③ 人種差別をやめるきっかけになるような出来事が皆に起こること。
ディック・カッツ(p)
① どのクラブにもスタインウエイがありますように。
② ドラマー達が、今みたいにうるさく叩きませんように。
③ 3番目の願いを考える時間をください。
ビル・エヴァンス
「子供のときに、同じことを質問された!一番目の望みは、何でも願いを叶えてくれる指輪を手に入れること。そうすりゃ、願いは一つだけですむ!」
バリー・ハリス(p)
① 世界平和
② スタインウエイと、ちゃんとしたレコード・プレイヤー、それさえあれば、バド・パウエルやチャーリー・パーカーのレコードをずっと聴いていられるから。
③ ”ソウル””ファンク””ロックンロール・ジャズ”の滅亡。
トミー・フラナガン(p)
「僕はずっと健康で生きていたい。そして、一人でちょっと楽しめるような秘密の隠れ家が欲しい!」
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
今日ダイアナ・フラナガンに電話したとき、パノニカのことを訊いて見ました。ダイアナは勿論ウィーホーケンのお家にも行った事があるそうです。
パノニカには独特のすごいオーラがあって、自分の知る限りでは、皆がちゃんと「パノニカ」と呼んでいた。面と向かって「ニカ」なんて呼べる人はいなかったわ。とっても複雑な女性だから、ひとことで彼女を「どんな人」なんて言えない。
とにかく、ジャズとジャズ・ミュージシャンに対してリスペクトがあったの。そうそう、お家には猫が沢山いてね…猫嫌いなら気持ちが悪かったかも知れないけど、トミーは小さな生き物は何でも大好きだったからねえ。
お金の援助?そうね、具体的に誰がいくらもらったなんて私は知らない。でも、そんなことがあったって、ちっとも不思議じゃないわ。彼女は、いつでも親身になってミュージシャンに接していたもの。
皆さんがパノニカに「3つの願い」を訊かれたら何と答えますか?
ニカの孫娘、ナディーヌの序文の結びには、彼女の最後の願いが書かれてありました。
私が死んだら、遺体は火葬にして骨はハドソン川に蒔いて下さい。真夜中ごろ(Round Midnight ) に…
CU
速報:祝日勉強会「ジャズの歴史を知っておこう」
昨日、寺井尚之ジャズピアノ教室生徒会プロデュースで寺井尚之が語る「ジャズの歴史」講座を開催しました。
OHPプロジェクターの横でメモを取るのは、どんなややこしい講義資料もばっちりオン・タイムで映写してくれるプロジェクターの巨匠、むなぞう副会長です。
初心者を対象にしたジャズ講座でしたが、生徒だけでなく、ジャズをすでによくご存知の常連様などビジターも来られて会場はぎゅうぎゅう超満員!
アメリカ社会史、文化史、黒人学、そして音楽史、いろんな側面から、寺井尚之の師匠をトミー・フラナガンを生んだ背景について、選りすぐりの音源を聴きながら、判りやすく勉強してもらえたみたいでよかったー!
ディック・カッツさんにいただいたテディ・ウイルソンの自伝を掲げてフラナガンのアイドルだったウィルソンの人となりについて語る寺井尚之は、なんかうれしそう。
お昼の講座だったので、寺井尚之は講演前には調理場に入って、カレーをサーブしてコーヒーもたてて大忙し、注文をさっさと言わない生徒には、「バッパーは何でもはよ決断せなイカン!」と、眼光のレーザーで一喝!生徒達は「来た、来た、来た~!」と震えてたけど、笑ってた。
皆の熱心な瞳と、反応の良いお客様のおかげで寺井尚之の弁舌はどうしようもなく冴え渡り、講座か高座かわかんないくらいギャグも連発!ああなったら、もう誰にも止められない!高度な楽曲解説、NHK教養番組にまけない公民権運動の解説から、レスター・ヤング(ts)の下着の柄まで幅広く解説!
一番嬉しかったことは、若きミュージシャンたちが、ジャズの歴史に興味を持ち、ジャズを演奏する時の取り組み方のヒントを掴んでくれたこと。 うちの教室では、日常ピアノならではのサウンドを出すために、ひとりひとりに合った姿勢を指導しているけれど、今日は「心の姿勢」について考えてもらえたのが嬉しかったです!
閉会挨拶は新任あやめ会長、ビシバシ後輩を鍛えぬく予定。
鶴橋のお肉屋さんで分けてもらった極上の牛すじで作った寺珠カレーも好評でさらに嬉しかったです!
明後日、バレンタインデーは通常のジャズ講座!偶然にもチョコレートをジャケットにしたトミー・フラナガン-ハンク・ジョーンズのピアノ・デュオの名盤が2枚登場!チョコレートみたいに甘くて苦味もあるすごいインタープレイです。
CU
祝日勉強会 「これだけは知っておきたいジャズの歴史」
寺井尚之ジャズピアノ教室生徒会が主催するジャズ講座を、休日の明後日のお昼に開催することになりました。
講師はもちろん井尚之、テーマは建国記念の日になんとなく相応しいテーマ:「ジャズの歴史」です。と、いうのも、現代のジャズ初心者は、トミー・フラナガンはおろか、オスカー・ピーターソンもルイ・アームストロングもデューク・エリントンも知らないコがいるからです。とはいえ、それを「最近の若いもんは…」と言っても始まらない。昭和の昔なら、セロニアス・モンクやデューク・エリントン、カウント・ベイシー、ナット・キング・コール、ルイ・アームストロング・・・皆日本のTV番組にゲスト出演していたし、ジャズ喫茶に行けば、一日中色んなジャズのアルバムを聴いていられたけれど、今はそんなわけにいかない。ネット上に情報は溢れているけど、何を聴いていいのかも判らない。
ゆとり教育、あるいは受験体制のせいなのか、「禁酒法」も「公民権運動」も教えてもらっていないらしい。(漏れ聞くところでは、今の義務教育じゃ、ガリレオやエジソンもなし、台形の面積も習わないらしい・・・)
よしっ、そんなら話したろ、見せたろ、聴かせたろ。
アフリカで拉致され奴隷船でアメリカに運ばれて来た人達、彼らが安息日にニューオリンズのコンゴ広場でのみ許された打楽器やダンスの話に始まって、売春宿やジェリー・ロール・モートンの話、禁酒法や世界大戦が変えた演奏形態、白人が熱狂したジャズエイジ・・・ビッグ・バンド時代は何故終焉したのか?
ジャズはどのようにして広まったのか?どのように変化したのか?ビバップを生んだ背景は何なのか?デトロイト・バップは?トミー・フラナガンは?
18世紀から21世紀まで、戦争や人種問題、様々な側面から、アメリカ社会史、文化史を、寺井尚之が臨場感溢れる弁舌で、まるで見てきたように、判りやすく話してきかせます。勿論、寺井尚之(p)ですから、音楽もしっかり専門的に解説しますよ!
当日の用務員、給食係りは不肖私がひとりで担当させていただきます。たったひとりなので、サービスはきっと至らないと思いますが、どうかお許しください。
でも、明日、いつもはプライベートな来客時にしか出さない特製カレーを仕込でおきますから、おなかが減ったらどうぞ召し上がれ!トロトロになった和牛の牛スジがたんまりはいってます。デザートには、自宅近所のパティスリー「桃の木」の焼きたてロールケーキも用意しておりますからね~。
現在ほぼ満席ですが、お越しになりたい方は2月9日中にTEL 06-6262-3940かメールでお知らせください。(一般受講料 2,500円)
CU