ベルリンの巨匠、ウォルター・ノリスさんは5月に、名声の殿堂入りしている故郷アーカンソー州で、映画のプレミアやコンサートなど、様々な行事を予定していましたが、2週間前に奥様と散歩中、軽い心臓発作に襲われ、全てのツアー予定のキャンセルを余儀なくされました。
現在自宅療養中のノリス先生からいただいたメールによれば、手術はせずに投薬治療をし、体力は現在充分回復しておられるようです。
でも、心臓に負担をかけぬために、長時間、飛行機に乗ることは、お医者様から固く禁じられているそうです。それはノリス先生にとっての念願だった、再来日を果たすことができなくなったということでもあります。
ノリス先生のメールは、「数年前にOverSeasで行った演奏は、私の人生で特別のものだった。あの最高の時を与えてくれた皆に心から感謝している。」と結ばれていました。
トミー・フラナガンもノリスさんも、ハナさんも、大きな感情のうねりをピアノに託し、同時にピアノが喜んで倍音を膨らませてくれるようなソフトタッチの演奏家は、心臓に大きな負担がかかるのかもしれません・・・トミーがお医者さんが止めるのも聞かず、世界中で演奏を続けてあんなに早く逝ってしまったことを考えれば、ノリスさんの決断は、ちっともさびしいことでなく、むしろ喜ばしいことだと思います。
ノリス先生は、現在も自宅で執筆活動をし、しばらくすれば、ピアノ・ルームで練習を始められることでしょう。もう二度と日本にお迎えすることはないにしても、ベルリンに行きさえすれば、ノリス先生のあのサウンドをいつでも聴けるのですから、ちっとも悲しいことはありません。
ウォルター・ノリスさんへのお見舞いメッセージは、英文なら彼のサイトへ、日本語なら、OverSeas宛てに送ってくだされば、英訳してお送りいたします。
5月になったら、ノリスさん宅の美しい庭に色んなバラが咲くでしょう。ノリスさん、心からお大事に!