耳もお腹もTasty! The Mainstem 5/29(金)

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 五月後編のThe Mainstemトリオは、先週バックスクリーンに満塁ホームランをかっ飛ばしたフラナガニアトリオに続く打順、でもプレッシャーでボテボテのショート・ゴロを打ったりしなかった。レギュラー・トリオでしか聴けない手堅いファインプレーでしっかり魅せました。
 懐石料理を目指すメイントリオに相応しく、グルメな彩りを添えてくれたのが、お客様が差し入れてくださった旬の食材!
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 遥か摩周湖のホテルで、トミー・フラナガンや寺井尚之を楽しむジャック・フロスト氏からは、北の大地で育ったドーンと逞しいグリーン・アスパラガス、箕面のピアニスト、マチルダ農場からは有機栽培のえんどう豆とスナップえんどう!野菜ってこんなに甘かったんだ!
 アスパラガスやビーンズの写真を撮ろうと思っていたのに、キッチンに入ると料理に熱中してすっかり忘れてました…
 最高の食材は名曲と同じ、「こんな風に食べてね」と、材料が料理の仕方を教えてくれます。鶴橋市場のお肉屋さんで、最高の国産ポーク・ロースの塊を花びらみたいに薄~くスライスしてもらってパスタにアンサンブルしたら、それぞれの甘みが組み合わさって自然においしくなりました!最高の差し入れには、いくら感謝しても足りません!
ms_09_may_29.JPGThe Mainstem Trio: 寺井尚之(p)、宮本在浩(b)、菅一平(ds)
 The Mainstemライブは、旬の食材と共に、この時期、この季節に聴きたい曲がずらりと並びました。

今夜の曲目

1.テンダリー (Walter Gross/ Jack Lawrence)
2.時さえ忘れて (Richard Rodgers/ Lorenz Hart)
3.レイズ・アイデア (Ray Brown)
4.エリントンの迷い牛 (Jimmy Heath)
5.バウンシング・ウィズ・バド (Bud Powell)
<2nd>
1. ザ・タッド・ウォーク (Tadd Dameron)
2. ソー・ビーツ・マイ・ハート・フォー・ユー (Pat Ballard)
3. グリーン・ワイン (Benny Carter)
4. 恋の気分で (Dorothy Fields, Jimmy McHugh)
5. ストロード・ロード (Sonny Rollins)
<3rd>
1. レッツ (Thad Jones)
2. グランド・ストリート (Sonny Rollins)
3. スターアイズ (Gene DePaul/ Don Raye)
4. ブルース・フォー・サルカ (George Mraz)
5. スクラップル・フロム・ジ・アップル (Charlie Parker)
Encore; ウィステリア (George Mraz)

 オープニングのTenderlyは丁度この季節にぴったり、サラ・ヴォーンのおハコでした。夕暮れ時のそよ風を、恋人の優しい愛撫に例えた愛らしい歌詞をサラが歌うと何とも言えず官能的。今夜は風のように爽やかにスイング。
 I Didn’t Know What Time It Was(時さえ忘れて)も旬の曲、『触れ合う君の手、そのぬくもりは、五月の季節…』という一節を覚えていますか? 5月16日はバラードで、今回はイントロにTime after Timeをさりげなくあしらい、ミディアムテンポで料理しました。
 レイ・ブラウン(b)の代表曲、Ray’s Ideaでは宮本在浩(b)のモダンなボトムラインに、久々に聴けたジミー・ヒース(ts.fl)の名曲、Ellington’s Strayhornでは、菅一平(ds)の柔軟なドラミングに唸りました。
 セカンド・セットは、ベニー・カーター(as,comp,arr,)の作品Green Wineが今夜のパスタにぴったりで、ソムリエみたいな選曲だった!名盤、The Kingのフラナガンのソロも忘れられないけど、今夜も快演!現在のワイン道で”グリーン・ワイン”と言えば、オーガニック・ワインのことらしいですが、この曲が出来た頃は、ポルトガル産のヴィーニョ・ヴェルデ(緑のワイン)のように、熟成させない若いワインのことだったみたい。ビバリー・ヒルズに住んでいた王様ベニー・カーターはワイン通だったのかも…
 ラスト・セットには、今月のジャズ講座で感動した『Ballads & Blues』から3曲(3-3,4,5)が立て続けに演奏されて、客席も大喜び。どれも寺井尚之の日常的愛奏曲、OverSeasの大スタンダードですから、レギュラーならではのこなれたプレイが一層光ります!
 旬の選曲に絡まるハード・バップは、前回のThe Con Manに続き、今回はLet’sなど、ワインに例えればキリリと冷えたシャブリかな?超辛口の厳しい曲ばかり。寺井尚之が自分自身に対して上げたハードルの高さは凄まじいものがありました。それにしっかり応えたザイコウ&一平のリズム・チームはさすがですね!
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 そして、私が一番聴きたかった五月の曲、Wisteria(藤)がアンコールに聴けました。
 寺井尚之は「徹底的に緻密に考え抜いたすごい曲や!ジョージ・ムラーツは天才や!!」と言います。壁に飾ってあるムラーツ兄さん直筆の譜面を寺井に持ってきてくれたのは、確か’87だったと思います。
 神秘的な藤の花は、日本だけではなく欧米にもあって、藤棚もあるみたい。私の実家にも小さな藤棚があり、今頃の季節になると、白や紫の花が咲きこぼれました。お転婆だった子供の頃、木登りして観察すると、花の陰のツルになぜか目がついていて、私と視線が合っちゃった・・・実は白っぽい蛇が巻き付いていたんです・・・それ以来、私にとって藤は、美しさと怖さが共存する魔性の花。この曲の艶やかさと幽玄さ、和音の膨らみはスラブ的、ドボルザーク的でありながら、どこか懐かしい東洋的なメロディに魅了されます。
 五月の後半のThe Mainstemは、心にも舌にも嬉しいグルメなライブになりました。来て下さったお客様、それにジャック・フロストさま、マチルダさま、どうもありがとうございました。
 6月の寺井尚之The Mainstem trioは、20日(土)と26日(金)、その時分はしとしと梅雨? それともゲリラ豪雨? 皆様のお越しをお待ちしています!
CU

「耳もお腹もTasty! The Mainstem 5/29(金)」への2件のフィードバック

  1. お久しぶりです!お元気そうで何よりです!
    最近は忙しくしており毎日眠る時間を確保するのにやっとです。。。
    いつも息抜きに拝見させていただいておりますが、美味しそうな
    野菜とThe Mainstem。。。妄想が膨らみました。。。
    各セットに好きな曲がたくさん!
    Bouncing with BudとWisteriaはその中でもかなり好きなので
    チャンスがあれば是非聴いてみたいなと思いつつ今回も
    読ませて頂きました。
    時間に余裕が出来たらまたお伺いしたいです♪

  2. Bushnellさま、超多忙中にも関わらず、お立ち寄りくださっておおきに!
    お仕事一段落したら、また素敵なファッションでお越しをお待ちしています。
    Bouncing with Budも大好きです。
    今日大阪で100 Gold Fingersのコンサートがあり、以前ジョージ・ムラーツと共演したテッド・ローゼンタールから「会いたいよー」と連絡ありましたが、結局時間が合いませんでした。あのコンサートも来られていましたっけ・・・
    またお目にかかれますように!ありがとうございました。
     

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