先日のフラナガニアトリオ・リユニオンに、喝采ありがとうございました!
あの昼下がりのプログラムはジャズミュージシャンのオリジナルが中心で、歌詞のないナンバーばかりでしたね。そのせいか久しぶりに歌詞のことを書きたくなりました。歌は“Street of Dreams”「夢の街角」っていったいどんな所なんでしょう?
土曜日の寺井尚之The Mainstemトリオに来てくだされば、この素敵な歌詞が聴こえてきます。
<A Song of Great Depression(恐慌時代の歌)>
“Street of Dreams”は、先日のジャズ講座に登場したドイツのサックス奏者、クラウス・ドルディンガーのリーダー・アルバムのタイトル曲にもなっていましたね。4beatと6/8beatを組み合わせた斬新な90年代サウンドでした。でも“Street of Dreams”はとても古いポップソングで、大恐慌時代に生まれました。当時の社会情勢は今と似ています。この歌が生まれたのは、ウォール街の株価が大暴落したブラック・マンデーの3年後、1932年。ダウ平均は暴落以前から89%下落し、アメリカ中、世界中に失業者が溢れていました。同年、日本では5.15事件が勃発、歴史は第二次大戦へと突き進みます。
職がなく食糧もない、まっとうな人達が食べて行けずスープキッチンと呼ばれる配給食に長い行列をしなければならなかった時代の歌は、アメリカのポップ・ソング史に於いてGreat Depression Songsと呼ばれています。”On the Sunny Side of the Street”や、寺井尚之が『Evergreen』に収録している”I’m Thru with Love”は今もスタンダードとして親しまれるDepression Songだし、Bebop通なら、ビリー・エクスタインとウディ・ハーマンがデュエットしている”Life Is Just a Bowl of Cherries”もお馴染みかも知れません。
“Street of Dreams”は、Depression Songsの中でも、リアルでありながらロマンティック、なんとなく山田洋二監督の映画を観たような気分になります。’32年当時は、ドリーミーな歌声のビング・クロスビーが歌ってヒットしました。”Stella by Starlight”の作者、映画音楽家としても有名なヴィクター・ヤング作曲、作詞は”Just Friends”や”My Foolish Heart “の詞を書いたニューヨーカー、サム・M・ルイスです。
クロスビーの音源はyoutubeにありました。
<Street of Dreams 夢の街角>
(Sam M. Lewis/ Victor Young)
<ヴァース>
午前零時、
いろいろ大変だね、もう夜中だよ、
さあ、古い夢を下取りに出し、
新しい夢を手に入れよう!
新しい夢と
昔の夢と取り換えるてもいいね。
僕は知ってる、
どこで夢が売れるのか、
どこで夢が買えるのか。
午前零時、
真夜中にそこに行かなくちゃ、
そうすれば君みたいな人たちに会える、
君と同じようにブルーな仲間にね。
<コーラス>
愛は王様でも笑い飛ばしてしまうもの。
この夢の街角じゃ、
王様なんてどうってことない。
引き裂かれた夢、
夢の街角なら、
新品同様元通り。
金や銀、
月明かりの下で、
取り放題。
貧乏人、
そんな者はいない、
愛が確かである限り。
この夢の街角では。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Verse
Midnight,
You heavy laden, it’s midnight.
Come on and trade in your old dreams for new.
Your new dreams for old.
I know where they’re bought,
I know where they’re sold.
Midnight,
You’ve got to get there at midnight,
And you’ll be met there by others like you,
Brothers as blue,
Chorus
Love laughs at a king,
Kings don’t mean a thing
On the street of dreams.
Dreams broken in two
Can be made like new
On the street of dreams.
Gold, silver and gold,
All you can hold
Is in the moonbeams;
Poor, no one poor
Long as love is sure
On the street of dreams.
『夢の街角』というのは、愛の世界のことだったんですね。愛する人と一緒なら、どんなに苦しくても、新しい夢に向かって頑張ることができるんだ!よ~し、めげずにがんばろう!森ノ宮の駅の階段でずっこけそうになってもヘコたれないぞ!
’29-’33の「Great Depression」に対し、現状は「Great Recession」(大不況)と呼ぶらしい。不況の悲哀は、Interludeもご同様。でも、OverSeasに溢れるお客様の楽しい笑顔や拍手は私にとってSilver and Gold! それに思いがけないジャズ界の大先輩がこのブログを愛読してくださっていると教えてもらったりすると、路地裏も一瞬にして『夢の街角』に変わります!
それでは土曜日の寺井尚之The MainstemでCU!
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