月例講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」では、フラナガン自身が最も敬愛し、影響を受けたたボス、コールマン・ホーキンスとの共演アルバム群を聴いています。
ホーク晩年の最高傑作と言われる『ジェリコの戦い』は、本当に”最高”の出来なのか?T.フラナガン、メジャー・ホリー、エディ・ロックという若手を擁するレギュラー・カルテットの醍醐味はどのにあるのかを、寺井尚之の解説でじっくり堪能中。生前のエディ・ロックが寺井と、このカルテットの話で盛り上がっていたとき、その「白眉」として寺井に推したのは、ドラム・ソロなし、全編ルバート、4人の息を1テイクでビシっと合わせた”Love Song from Apache“という渋いバラード(Impulse盤『Today and Now』)だったという話が、彼らがどれほどチームワークを尊んでいたかを象徴していて、しみじみとした感動を呼び起こしました。
コールマン・ホーキンス芸術の最後期の成熟を助けたトミー・フラナガン達、彼らの結束はホーキンスが第一線から退いた後も、生活の援助というかたちで最後まで継続したと言われています。
『ジェリコの闘い』を始めとする一連の《ヴィレッジ・ゲイト》でのライブ録音がなされたのは’62年8月、同時期、NYでは他にどんなライブが行われていたのだろう? 当時の”The New Yorker”誌のデータベースで調べてみると、アップタウンからダウンタウンまで、NYの街はジャズ博物館の様相を呈していました。《バードランド》ではディジー・ガレスピーのコンボが、《ヴィレッジ・ヴァンガード》はシェリー・マンを擁する新人ピアニスト、ビル・エヴァンス・トリオが、《ファイブ・スポット》ではチャーリー・ミンガスのバンドが、《ハーフ・ノート》にはズ―ト&アル・コーンのテナー・コンビが!ヴィレッジ地区を離れ、イーストサイドに向けば現在のキタノ・ホテルの近くにあった《リヴィングルーム》というサパークラブには、マット・デニスがトリオを率いて弾き語りを聴かせていた!すでにTVが夜の娯楽の主流になっていたとはいえ、クラブシーンは花盛り!ああ・・どこに行くか迷いますよね。
TVといえば、この時期のホーキンスの足跡を調べていくうちに、彼が、パパ・ジョー・ジョーンズ、ロイ・エルドリッジと共に、超人気TVドラマ・シリーズ、『ルート66』にミュージシャン役で出演していたことを発見!ほぼ1時間のエピソード“Goodnight Sweet Blues”が全編Youtubeにアップされていました。
さわりだけ・・・と思ってたのに、結構面白くて最後まで観てしまった。おかげで時間がなくなって、ドラマとミュージシャン達の面白いエピソードは次回に続く・・・