本国メディアで絶賛されたアキラ・タナの『音の輪』

   OverSeaが大好きなドラマー、アキラ・タナが、今年も日系人スーパー・バンド『音の輪』を率いて今年も来日ツアーを行います。ツアー・スケジュールはこちら

  アキラさんの”日系米人によるジャズ・ユニット”というコンセプトは、今から25年前、ケイ赤城(p)と、アキラさんの音楽的パートナーであるルーファス・リード(b)と組んだ『アジアン・アメリカン・ジャズ・トリオ』(1992)のアルバム〈サウンド・サークル〉に芽生えていました。そこから約20年後、東北大震災が起こり、被災地復興のために努力したいという気持ちから、特別編成のバンドを組み、地元サンフランシスコで開催したチャリティ・コンサートが大好評を博したのを機に、アキラさんが抱いていた音楽コンセプトは大いに発展を見ることになりました。

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 『音の輪』(左から)マサル・コガ(reeds), アート・ヒラハラ(p), アキラ・タナ(ds), ケン・オカダ(b)

  サンフランシスコの日系人コミュニティの後押しで、『音の輪』を率いて2013年から始めた『東北応援ツアー』と銘打った被災地でのチャリティ・コンサートやクリニックは、現地の方々に毎年親しまれ、今年も9月末から福島県いわき市を皮切りに福島、岩手、宮城の被災地だけでなく関西での一般公演も各地で予定されています。 

 継続は力なり!アキラ・タナのリーダーシップの元、マルチ・リード奏者、マサル・コガ、ピアニスト、アート・ヒラハラ、ベーシスト、ケン・オカダという名手を擁し、レギュラー・バンドでしか叶わない、ソリッドで心のこもった『音の輪』ならではのプレイは、ジャンルを越えて聴く者の胸を打つ力があります。 

 これまで『音の輪』は2枚のアルバムを発表していますが、昨年リリースされた〈Stars Across the Ocean〉は、ダウンビート誌で大きな評価を受けました。選者は、NPRのジャズ番組のプロデューサー、NY大学で教鞭をとるジャズ評論の大家、ハワード・マンデル氏!アメリカ人評論家が感動したジャパニーズ・アメリカンな『音の輪』の世界。日本語に訳したので、ぜひご一読ください。

 

otonowa_stars_across_the_ocean.jpgダウンビート誌

2017年4月号より(原文はインターネットでも読めます。

AkiraTana and Otonowa
Stars Across The Ocean
SONS OF SOUND037 
★★★★

 

Stars Across The Ocean』は、日系ベテラン・ドラマー、アキラ・タナ率いるカルテット”音の輪”による、東日本大震災(2011)被災地復興支援を目的とした第二作目のチャリティー・アルバムだ。

 洗練された表現で魅せるポスト・バップから、日本の民謡、歌謡曲、そして仏教由来の旋律を、心を込めて様々にアレンジしたヴァージョンまで、幅広い内容となっている。それぞれの曲は、バンドの強力な一体感によって、津波の悲劇に対する献辞とも感じるが、そのような経緯を知らないリスナーでも、充分に楽しめる作品だ。アルバム全体にはメランコリーなムードが漂うものの、”音の輪”の音楽的な主眼は、モダンジャズの伝統をしっかり踏まえつつ、しなやかさと明瞭さを持って、いかなる素材も秀逸にこなす点に置かれているようだ。

強靭で熱く、それでいてカラフルな光彩を放つタナのドラミングに推進されたピアノのヒラハラは、ソロを取っても、バックに回っても、十二分に実力を発揮し、気合の籠ったプレイを繰り広げる。マルチ・リードのマサル・コガは、どの楽器を取っても名手の域に達する逸材、特にソプラノ、アルト、テナーの三管が素晴らしい。ジョン・コルトレーンの影響がみられるが、端正なフレージングとほとばしる情熱は、彼ならではしっかりした個性がある。ベーシスト、ケン岡田も、タナと息の合った手堅いプレイを聴かせている。

また、本作ではジャズにお馴染みの趣向もしっかり堪能できる。例えば〈どんぐりころころ〉の進行は”リズムチェンジ”だし、〈テムジン〉の導入部には〈フリーダム・ジャズ・ダンス〉の片鱗を感じる。そしてタナのオリジナル曲、〈ホープ・フォー・ナウ〉ではアート・ブレイキーを彷彿とさせる強力なドラミングが聴ける。だが、傑出したトラックには、やはり日本のマテリアルが多い。ピアノレスで演奏される童謡〈とうりゃんせ〉とコガの尺八をフィーチャーした〈黒田節〉が出色。そして、古典的TVアニメのテーマソング〈鉄腕アトム〉では、非常に深く掘り下げた演奏解釈が思いがけない収穫だ。

評:ハワード・マンデル

 akira_tana_2016.jpgさて、アキラさんの毎回の来演を心待ちにしているOverSeasでは、10月31日(火)に、おなじみの愉快な仲間、寺井尚之(p)と宮本在浩(b)のトリオで、スペシャル・ライヴを開催します。

Akira TANA Live at OverSeas(前売りチケット制)

【日時】10月31日(火) 開場:18:00~
MUSIC: 1st set 19:00- /2nd set 20:00- /3rd set 21:00- (入替なし)
チケット制:前売り ¥3500(税抜)
当日 ¥4000(税抜)

 店が狭いので、早めにチケットをお求めください。

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