OverSeasは今月で開店38周年を迎えることが出来ました。これも一重に、今までご愛顧くださったお客様のおかげ、感謝の言葉もありません。本当にありがとうございました。
38周年を記念して、大型連休中に4夜連続の特別ライヴを開催しました。
初日、5月3日は中井幸一(tb)セクステット!トミー・フラナガン参加のJ.J.ジョンソンのグループが遺した名演目の数々、そしてカーティス・フラー&ベニー・ゴルソン・クインテットの名盤『Blues-Ette』に収録された名曲を、中井さん(左写真、左)とテナーの中務敦彦さん(左写真、右)の名コンビに、浪速のケニー・バレル=末宗俊郎さん(上写真、右端)のギターが一枚加わり、寺井尚之メインステム(宮本在浩 bass 菅一平 drums)ががっちりとリズムセクションを固めるという豪華なメンバーで演奏する趣向。トロンボーン奏者だけでなく、編曲家としても定評のある中井幸一書き下ろしアレンジの魅力と6名のプレイヤー達のアドリブ力が十二分に発揮された演奏になりました。
この日聴きに来てくださったジャズ評論家、後藤誠氏の論評も素晴らしいものでした。
「50年代を代表する2大バンド、すなわちJ.J.Johnson-Bobby Jasper-Tommy FlanaganのクインテットとCurtis Fuller-Benny Golson-Tommy Flanaganのクインテットがレコードに残した名曲・名演を、絶妙のアンサンブルと切り詰めた構成で見事に再現した。」:後藤誠のジャズ研究室より
5月4日 はベテラン・テナー奏者、荒崎英一郎さん(左写真)が、寺井尚之メインステム(宮本在浩 bass 菅一平 drums)をバックに、ワンホーンでハードにブロウするセッション。「38周年記念」ということで、普段とは全く違うプログラム、チャールズ・ミンガスの〈Boogie Stop Shuffle〉や〈Goodbye Porkpie Hat〉それに寺井尚之がまず演らないウェイン・ショーターの曲〈Night Dreamer〉!荒崎さんのプログラムを、しっかりとリハーサルして、カルテットで聴き応えのあるプレイを繰り広げました。
5月5日は、アルト奏者、岩田江さんとメインステムとの一大ビバップ・セッション、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーのバップ・チューンが次から次へ、メインステムの好サポートで岩田江の伸びのある美しい音色が、一層輝きを増しました。
寺井尚之も愛奏するディジーの〈Con Alma〉や〈エンブレいさブル・ユー〉も、岩田さんのヴァージョンになると、また違い色合いになり、常連様たちは、聴き比べがとても楽しかったようです。
初めて岩田さんのサウンドを生で聴いたお客様は、その美しさに驚いたようです。
最終日5月6日は、寺井尚之メインステム(宮本在浩 bass 菅一平 drums)のスタンダード集、日頃はデトロイト・ハードバップ一筋の硬派ピアノ・トリオが、連休中だけ披露する〈セント・ルイス・ブルース〉や〈スターダスト〉など鉄板スタンダードのオンパレード!
寺井尚之が定番曲の手垢を落とし、長年演奏され続けるスタンダード曲へのリスペクト溢れる、豪快なアレンジが揃いました。中でも聴きものは、寺井尚之がトニー・ベネットやナットキング・コールなどの名シンガーの歌唱をピアノでモノマネする〈As Time Goes By〉、キーやリズムがどんどん変わって、”なるほど~!”という決まりの節回しやビブラートがピアノで再現されるピアノ声帯模写、お客様のみならず、トリオのメンバーたちまでニンマリ!最後はエラ・フィッツジェラルド+トミー・フラナガン・コラボのパンチの聴いた転調で、楽しいGWライヴの幕が閉じました。
私にとってもこの四日間の特別ライブは、リハーサルも含めて、本当に色々と学ぶところが多かった。 料理も音楽も、良い素材と丁寧な下ごしらえがあってこそ、技量が光る!と勝手に納得。特別なライヴに相応しい、特別なプログラムを持ち寄って、バンドとしてまとまりのあるライヴにしてくださった中井幸一、荒崎英一郎、岩田江のリーダー達には、惜しみない拍手と心からの感謝を捧げます。
そしてメインステムのメンバー達、今回の出演者の平均年齢を下げていた、宮本在浩(b)、菅一平(ds)のリズムチ―ムは、ベテランたちに精気を吸い取られることなく、毎夜パワー炸裂で素晴らしかった!
最後に、ご来店いただき、演奏を楽しみ、応援して下さった皆様に感謝、感謝。
これからも皆で頑張って、次のアニバーサリーを一緒にお祝いできますように!
本当にありがとうございました!