第19thトリビュート・コンサート、ありがとうございました!

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 11月26日(土) 第19回トリビュート・コンサートを無事開催することができました。応援いただいた皆様に心よりお礼申し上げます!
 トミー・フラナガンが亡くなって早10年、今回が一番こじんまりとしたコンサートになりましたが、内容は大変充実したものになり、やはり開催してよかった!と心から思います。
《第19回トリビュート・コンサート演奏曲目》
演奏:The Mainstem:寺井尚之(p)、宮本在浩(b)、菅一平(ds)
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1. Minor Mishap /Tommy Flanagan マイナー・ミスハップ 
2. Beyond the Bluebird /Tommy Flanagan ビヨンド・ザ・ブルーバード
3. Rachel’s Rondo /Tommy Flanagan レイチェルズ・ロンド
4. Medley: Embraceable You(Ira& George Gershwin)
      ~Quasimodo(Charlie Parker  エンブレイサブル・ユー~カジモド
5. Lament : J.J.Johnson ラメント
6. Bouncing with Bud/ Bud Powell バウンシング・ウィズ・バド
7. Dalarna  /Tommy Flanagan ダラーナ
8. Tin Tin Deo / Gill Fuller, Dizzy Gillespie ティン・ティン・デオ

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1. Thadrack  /Thad Jones サドラック
2. Smooth As the Wind/Tadd Dameron スムーズ・アズ・ザ・ウィンド
3. That Tired Routine Called Love /Matt Dennis ザットタイヤード・ルーティーン・コールド・ラヴ
4. Mean Streets  /Tommy Flanagan ミーンストリーツ
5. Passion Flower / Billy Strayhorn パッション・フラワー
6. Eclypso  /Tommy Flanagan エクリプソ
7. Easy Living / Ralph Rainger, Leo Robin イージー・リヴィング
8. Our Delight /Tadd Dameron アワ・デライト

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Like Old Times/ Thad Jones ライク・オールドタイムズ
With Malice Towards None /Tom McIntosh ウィズ・マリス・トワード・ノン


 ジャズ講座では大阪弁マシンガン・トークを誇る寺井尚之ですが、トリビュート・コンサートでは演奏にほとんど司会というものをしないのが常です。トミー・フラナガンが重視した「曲の間合」というものを大事にしているのが理由でした。
CUPID.jpg でも、コンサートの数日前に、いつも応援してくださる常連様からこんなメールを頂きました。
 “トリビュートコンサートとても楽しみにしています。全く個人的な希望ですが、曲名紹介の時にその曲のTFのエピソードや、聞きどころ、選曲の理由等を簡単に紹介いただけると曲に対する理解が深まる様に思いうれしいのですが。”
 このメールが寺井尚之の心に響き、MCでは、フラナガンをよく知る寺井尚之ならではの思い出や、曲の説明を聞くことができて、プレイヤーと客席の距離がグっと縮まり、インティメイトで思い出に残るコンサートになりました。
 宮本在浩(b)のビートは深く、菅一平(ds)のドラムはリムやタムのサウンドが鮮やかになり、沢山の歓声を頂いて、豊かなイマジネーションを感じました。 Passion Flowerの弓の陰影が素晴らしかった宮本在浩、Meanstreetsの渾身のドラムソロで「セクシー!」と絶賛された菅一平、二人は出演後、よく「打ち上げ」に行く仲良しですが、この夜は燃え尽きて直帰したのだとか・・・
 寺井尚之ともども、長い準備期間、休日返上でリハーサルや練習に没頭してきましたが、やはりお客様の応援があってのライブ!ライブはお客様が作ってくれるものだと、ますます実感しました。絶妙な掛け声に輝くプレイヤーの顔って、ほんとにいいなあ!
 私が一番唸ったのは、アンコールのWith Malice Towards Noneでのサウンドでした。ピアノ・タッチの出し入れと、トリオのダイナミクスが三位一体になって、今までで最高の厚みになっていたと思います。
 お客様の応援と、それに応えた寺井尚之The Mainstemのプレイで、私にとってもとても幸せな一夜になりました。
 コンサートはもうすぐCDになる予定です。ご希望の方はメールでお問い合わせください。
 併せてHPに曲目説明をUPしましたので、ご興味があればご閲覧ください。
 激励メールやご感想、お供えその他、いろいろお心づかい、心よりお礼申し上げます。今後ともJazz Club OverSeasをどうぞ宜しくお願い申し上げます。
CU

「デューク・アドリブ帖」さんOverSeasに!

 ジャズ・ブログは星の数ほどありますが、ブログ読者のみなさんと、これほど和気藹々の雰囲気を醸し出しているブログは少ないな・・・と、いつも感心しながら拝見しているのが「デューク・アドリブ帖」です。人気の秘密は、「ジャズが好き!ジャズは楽しい!」という優しいまなざしの文章にあるのだと思います。
 先日、「マーガレット・ホワイティングの作詞作曲家交遊録」というタイトルの記事で、たまたま、このInterludeを参考にしてくださったことを知り、光栄に思っていました。
 一昨日、OverSeasに笑顔で入ってこられた男性のお客様が!それが札幌から京都旅行に来られたついでに、修学旅行以来、初めて大阪まで足を延ばしてくださったデュークさんと知りびっくりしたり、うれしかったり!
 その夜は寺井尚之(p)The Mainstemの演奏も、最高の拍手と掛け声で元気をいただき、休憩中は、いろいろとジャズについての思いを聴かせていただきました。
 ネット上の交流は、時として思わぬ誤解を生んだりするものですが、リアルなOverSeasに来て下さったデュークさんは、寺井尚之と同い年、お人柄はブログ以上に温かみのある方でした。
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 デューク様、ご来店どうもありがとうございます!「アドリブ帖」ブログのおかげで、私もブロガーのお仲間が少しずつ増えてきました。
 これからも、ジャズへの愛に溢れた週刊ブログ楽しみにしています。
CU

ジョージ・ムラーツの愛器:続報2

 先日来お伝えしている、巨匠ベーシスト、ジョージ・ムラーツが売却を希望している楽器のサイズ表と写真です。楽器を大切に保管しているプラハのベース工房から届きました。
 日本のプレイヤーが弾きやすい小ぶりのベース。ムラーツさんもとても気に入っていて、手放さなければならない事をとても残念がっているらしい・・・。
 楽器の価格その他は、HPにお知らせしていますのでどうぞご覧下さい。
「ジョージ・ムラーツの怪我とベースの売却について: 寺井尚之より。」

 ジョージ・ムラーツさんの回復状況ですが、早ければ、来年春には、演奏活動を再開できる見通しです。ファンの皆様、これからも、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
<サイズ表>



ドイツ製 1800年代製造、3/4サイズ、小ぶりで日本人演奏家向きです。




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<Photos>
















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画像をクリックすると拡大写真が見れます。











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12/4 (日) 映像セミナー第二弾開催!

  トリビュート・コンサート来週開催!トミー・フラナガン没後10年、昨日が命日だったので、ダイアナ未亡人に電話をしました。
 トリビュート・コンサートにお越し下さるすべてのみなさんに、「キスとハグを!」とのことでした。まだわずかにお席はありますので、ぜひぜひご参加ください!
<映像で観るジャズの巨人>
movie1sm.jpg さて、11月に生徒会が主催したジャズ映像を楽しむセミナーが大好評だったので、12月4日(日)のお昼に第二弾を開催することになりました。
 大きなスクリーン、大音量の迫力、そして皆で楽しむジャズの名演奏は、やっぱり家庭のTVやタブレットとは、一味違う楽しみですね。
 路地裏のOverSeasらしく、今回は2本立ての名画座モードにして、寺井尚之の面白い解説もゆっくりとお楽しみいただきます。
<その1. Duke Ellington>
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 トミー・フラナガン音楽のバックグラウンドというだけでなく、セロニアス・モンクから武満徹まで、あらゆる国とジャンルの音楽に影響を与えたアメリカ音楽の巨匠、デューク・エリントン。
 「私の楽器はオーケストラ」と豪語したエリントンOrch.の映像は、やはり、それなりの音量で聴きたいですね!
Ellington_Pau_Gonsalves.jpgエリントンとポール・ゴンザルベス(ts)
 登場するミュージシャンはベン・ウェブスター、ポール・ゴンザルベス(ts)、「トミー・フラナガンの足跡を辿る」出席者の間で特に人気のジミー・ハミルトン(cl)、ソニー・グリアー(ds)、ルイ・ベルソン(ds)などなど...エリントン・サウンドを目で観る楽しさは格別!そして何よりも、デューク・エリントンのドヤ顔がほんとにスゴイんです!カメラ目線のドヤ顔だけで、観る価値がありますよ!
 歴史的な映像を、存分にお楽しみください!
<その2. Billie Holiday>
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4-07-a-billie-holiday.jpg 第二部は、ジャズ史上最大の歌手、ビリー・ホリディの伝記的ドキュメンタリー。
 琥珀色の肌と美貌、12音階にない音と、絶妙のタイム感、類い稀な魅力を惜しみなく使って、歌の中の女性像を作り上げ、一般のファンと、多分それ以上にミュージシャンたちを魅了しました。彼女の浮揚感のあるフレージングは、トミー・フラナガンやジミー・ヒースなどバッパー達のプレイの中に聴こえてきます。
billie-holiday.jpg 売春、麻薬、バイセクシュアル、「暴力団との黒い交際」などなど・・・ビリー・ホリディの短い人生はスキャンダルが一杯、今も想像力を掻きたてる伝説的スターとなりました。
<奇妙な果実の悲劇>
resize.jpeg ビリー・ホリディは、南部でリンチを受けて吊るされた黒人の死体を「奇妙な果実」になぞらえた凄惨なプロテスト・ソング、「奇妙な果実」が何と言っても有名ですね。最初にビリー・ホリディがこの歌で喝采を浴びたのは、NYの高級クラブ『カフェ・ソサエティ』でした。店の方針で、ビリー・ホリディの意志に拘りなく、ラスト・チューンは「奇妙な果実」と決まっていたのです。
 なぜなら『カフェ・ソサエティ』(’38-’48)は、「人種混合」のリベラルなポリシーで人気を集めたユニークなクラブだったからです。公民権法以前、ホテルもクラブもレストランも、「人種隔離」がお決まりの時代ですから、時代の先端を行く文化的サロンとして隆盛しました。
 トップ・クラスの黒人アーティストを集めたのは、名プロデューサー、ジョン・ハモンド。レナ・ホーンも、この店から映画スターへの階段を駆け上った一人です。
 でも『カフェ・ソサエティ』のそんな姿勢は、「左翼的」ということでFBIに睨まれ、名オーナー、バーニー・ジョセフソンの弟は共産主義者として取り調べを受け、マスコミの大バッシングを浴びます。おかげで客足は激減し、閉店に追い込まれてしまうのです。
 反差別のディーヴァに祭り上げられたビリー・ホリディが麻薬でキャバレーカードをはく奪され、NYで仕事が出来なくなったのも、単にホリデイの私生活が他のミュージシャンに比べて極端に荒れていた訳でなく、『カフェ・ソサエティ』や『奇妙な果実』と大いに関係があるんですね!
 このドキュメンタリーでは、「ビリー・ホリディ命!」の名ヴォーカリスト、カーメン・マクレエを始め、ドキュメンタリー製作時に現存していた多くの友人たちの貴重な証言が満載です。
 それに、ホリデイと深い心の絆で結ばれたパートナー、レスター・ヤング(ts)や、パパ・ジョー・ジョーンズ(ds)の歴史的演奏もご覧になれます!
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 デューク・エリントン、ビリー・ホリディを自分の音楽の糧に長年研究してきた寺井尚之の深くて、最高に面白いコメントも必聴です!
 生徒でない一般のお客様も、楽しいお昼のイベントにぜひぜひご参加くださいね!
<映像で観るジャズの巨人達>
【日時】12月4日(日)12pm~3pm (開場 11:30am)
【会場】Jazz Club OverSeas 
【講師】寺井尚之
受講料】¥2,500 (税込¥2,625)  要予約

ぜひお待ちしています。
CU!

 

「トミー・フラナガンの足跡を辿る」11/12 土曜日に!

 やっと肌寒くなりましたね。今日は故ウォルター・ノリスさんに頂いたスカーフを巻いて出勤しました。皆様はいかがお過ごしですか?
 日曜日は「映像で辿るピアノ・スタイル」に多数ご参加ありがとうございました!好評につき、近々再び動画鑑賞のイベントを開催しようと思っています。今週は土曜日の「足跡講座」の準備に追われ怒涛の一日。日暮にやっと何とか目鼻がつきました。
 今回は’94-’96年にかけてのフラナガン参加アルバム4枚を寺井尚之の解説と共にお楽しみいただきます。
 この時期のフラナガンは、「名伴奏者」ではなく、自己トリオで世界中を演奏地を満員にしていましたから、どのアルバムもサイドメンというより「スペシャルゲスト」として参加する形になっています。こんかいのラインナップはこんな感じになりました。
<Hi-Fly / The Riverside Reunion Band>
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 モンクやウエス、キャノンボールやエバンスなどの歴史的名盤で有名な”Riverside”レコードに因むヒット曲を、レーベルゆかりのオールスターバンドが、フィンランドの”ポリ・ジャズ”で繰り広げた演奏です。
2011_NEA_Jazz_Master_Orrin_Keepnews_is_presented_his_Award_by_fellow_Jazz_Master_Jimmy_Heath_Credit_Frank_Stewart_depth1.jpg トミー・フラナガンはRiversideの専属ピアニストではなかったものの、’58年の”Blues for Dracula”/Philly Joe Jones(ds)を皮切りに、”Incredible Jazz Guitar”/Wes Montgomery(g), “Smooth As the Wind”/Blue Mitchell(tp)、それに今回も共演しているジミー・ヒースの名盤、”Really Big” など6枚のレコーディングに参加しています。
 オリン・キープニュースの回顧録,”The View from Within”には、「当初800枚しか売れなかった」ビル・エヴァンス、スタジオに連れて行ってピアノの前に座ってもらうことだけでもほとんど不可能なセロニアス・モンクなど、プロデューサー時代の苦労話が沢山。なによりも「低予算と限られた時間で高内容のアルバム作り」が一番大変だったと書いてありました。
 ジミー・ヒースが、麻薬の罪で刑期を終えた直後にRiversideで録音したリーダー作、”Really Big”は、アダレイ兄弟やクラーク・テリー達が「ギャラは幾らでもよいから、とにかく俺が一緒に演る!」と志願者続出、キープニュースは「Riversideのファミリー的要素」と胸を張りますが、それよりもジミー・ヒースの人望の厚さと言えるかもしれません。ジミー・ヒースはトゥティと共に、東京のコットンクラブに今月出演予定ですから、お江戸の皆様はぜひ応援に行ってください!
<Sonny Rollins + 3>
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 これは、キープニューズとディック・カッツ(p)さんが創設したレーベル、Milestoneのアルバムです。フラナガンはゲスト扱いで5曲に参加しています。”Mona Lisa”などおなじみのスタンダード曲のモダンアートな演奏解釈にマルセル・デュシャンのモナリザを連想してしまいます。フラナガン絶妙のバッキングとともにお楽しみください!
 晩年のトミー・フラナガンはソニー・ロリンズとしばしばリユニオンをしていました。ジミー・ヒース曰く「ソニーには僕らの動向がすべてわかっているけど、ソニーが今どこにいるかは誰も知らない。」
 トミーが心臓発作で入院した時、真っ先にお見舞いに来て下さったのがロリンズさんでした!
<Music Is Forever/ Annie Ross>
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 トミー・フラナガンと同じ’30年生まれのロンドンっ子、アニー・ロスは驚異のヴォーカリーズ・グループ、”ランバート、ヘンドリクス&ロス(LH&R)”(’57-’62)で一世を風靡しました。独特の高音と早口でワーデル・グレイのソロをそのまま唄った”Twisted”は今でも大好きです・グループ退団後はロンドンでジャズクラブ「アニーの部屋」を経営、LH&Rで築いた人脈を生かし、ジョー・ウィリアムスやエロール・ガーナーなど一流アーティストを招へいし、アニー自身も出演していました。アニーは女優としても長年活躍し、ロバート・アルトマンの名作「ショートカッツ」では、老いたジャズ歌手の役を演じ、ティム・ロビンスやジュリアン・ムーアなど多くのスターに交じって異彩を放ちました。レイモンド・カーヴァーの複数の作品を基に、沢山の物語が一度に語られるという斬新な映画ですからカーヴァーのファンの方はぜひ!また映画の話に脱線してしまいましたが、このアルバムは、「ショートカッツ」でアニーが演じた、テスというジャズ歌手のイメージで製作された感があります。
 アニーとフラナガン夫人のダイアナが仲良しということで2曲ゲスト参加。沢山のミュージシャンの名前が出てくるタイトル曲”Music Is Forever”ですが、このアルバムのアニーに色濃く感じられるカーメン・マクレエの名前が登場しないのが不思議です。
<Stomp, Look & Listen / Chuck Redd>
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 これは寺井尚之の友人で、ヴァイブとドラムの名手、チャック・レッドの初リーダー作です。何度もJazz Club OverSeasに遊びに来ているからご存じのお客様も多いはずです。このアルバムが発売された時は今は亡き「ジャズの専門店ミムラ」さんにかなりの枚数を売っていただきました。
 チャックは現在コンコード・ジャズフェスティバルでツアー中の美女ベーシスト、ニッキ・パロットや、ケン・ペプロウスキ(as,cl)とワシントンDCを拠点にレギュラー活動しています。
 講座では彼のひととなりをよく知る寺井尚之が楽しい録音秘話を沢山話してくれる予定。素晴らしい演奏と共にぜひご期待ください!
 講座は11月12日(土)6:30pm開講です。
bonne_femme-2.JPG お勧めメニューは、摩周湖川湯天然温泉のジャック・フロスト氏が今年も送ってくださった、五つ星ポテト「きたあかり」をチキンと一緒にシンプルな蒸し焼きににして素材のおいしさをご堪能いただきます。大阪ではめったに味わえないおいしいジャガイモですよ!Jフロスト氏に感謝をこめて!
講座でCU!

ウォルター・ノリスさんを悼む

 寺井尚之とOverSeasにとって掛け替えのない巨匠が10月29日に亡くなりました。アート・テイタムの流れを受け継ぐピアニスト、ウォルター・ノリスを聴いたことはありますか?ぜひ聴いてみてくださいね!
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ウォルター・ノリス(1931-2011) 写真は名盤 『Another Star』
 オーネット・コールマンの歴史的アルバム『Somethin’ Else!!!』に参加したことよりも、私達にとってウォルター・ノリスは、サー・ローランド・ハナ以降のサド・メルOrch.最高のピアニストであり、ジョージ・ムラーツやアラダー・ペゲなど、超絶技巧のベーシスト達とデュオを組むことにで、一層プレイが開花する音楽的会話の達人でした。’70年代後半からヨーロッパに拠点を移し、ドイツで結婚、ベルリン芸術大で教鞭を取りながら、レコーディングやコンサート活動を続けました。
 アーカンソー州出身のノリスさんは、同郷のクリントン大統領時代、’95年に州の「ジャズの殿堂」入り。ハーレム・ストライドから現代音楽まで、何を弾かせても、極上のタッチと迸るジャズ魂で、鮮烈さと幽玄を併せ持つノリスさん独特の世界を現出させていました。
 初来日は’50、ミュージシャンでなく通信兵として佐世保基地に駐留し、地元のジャズ・ミュージシャン達と連夜ジャムセッションに明け暮れたそうです。その後、サド・メルOrch.やコンコード・ジャズフェスティバルで日本ツアー、2003年にOverSeasの要請で夫妻で一週間大阪に滞在。大ファンだったとはいえ面識はただの一度もなかったんです。
<それは一通のメールから始まった>
drifting88.jpg 2003年にOverSeasにノリスさんがやって来たのは一通のメールがきっかけです。常連様の強い要望があり、ノリスさんのHPからメールをしてみました。寺井尚之とOverSeasのことを説明して、フラナガンやサー・ローランド・ハナ亡き後、アート・テイタムのタッチを思わせるのはノリスさんしかいないので、ぜひ大阪に来て演奏してほしいという内容であったと思います。
 すぐに返事が来て、とんとん拍子に歓迎会を兼ねた演奏会とセミナーを開催することが決まりました。滞在期間は一週間、プライベートで京都の苔寺(西芳寺)に行きたいというのが唯一のリクエストでした。ベルリンから遠い日本の小さなジャズクラブに飛んでくるなんて、なんて向こう見ずな巨匠なんでしょう!メールを読んだ途端にビビっと来るものがあったと後で伺いましたが、奥さんは、信用できないから断りなさいと大反対されたそうです。親友のジョージ・ムラーツやトミー・フラナガンの名前と、なによりもアート・テイタムというのがマジック・ワードだったのかも知れません。
<必殺技伝授>
castleSCN_0007.jpg エキセントリックな天才やったらどうしよう・・・内心おののきながら関空でKLMの到着を待ちました。にこやかに手を振りながら現れた巨匠は、カウボーイがベレー帽をかぶっているという感じ、奥さんのカースティンも英語がベラベラで優しそうな女性、「とにかくOverSeasのピアノが見たい。」と店に向かう道中、寺井尚之と昔からの知り合いみたいに熱心に話し込んでいます。「サド・メルOrch.の来日コンサートで演奏した”Quietude”のピアノ・ソロがすごかったけど、ピアノではあり得ないベンドするような不思議なサウンドがあるんですが…」というようなことを言っていました。
 店に着くと、ノリスさんはすぐさまピアノの蓋を開け、その「不思議なサウンド」を実際弾いてみせてくれました。ノリスさんがピアノを鍵盤を撫でると音がベンドするんです。それはショパンが編み出した技で「ヴァイオリン奏法」と呼ぶのだそうです。ノリスさんの指導で寺井は瞬く間にその技を習得してしまいました。それにしても、あんな大技を初対面の人間に教えてくれるとは考えられないことです。…天使の様な巨匠でした。
<名演>
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 ノリス先生の演奏を聴いたことのある方なら、圧倒的な迫力のプレイと共に、赤鬼みたいな顔つきや独特の呼吸に度肝を抜かれることでしょう。この後藤誠氏撮影の写真は、OverSeasでのライブの凄さがよく現れています。
duoP1010076.JPG 演奏はソロと鷲見和広(b)とのデュオ、”タイガー・ラグ”や”ボディ&ソウル”、そしてストレイホーンの”ラッシュライフ”…スタンダードやバップ・チューンにオリジナルやクラシックまで、巧みなプログラム構成と、ノリスさんならではの深遠なアレンジで、息の呑むプレイを聴かせてくれました。
 鷲見さんとの共演はノリスさんにとって満足の行くもので「凄い才能だ!」と絶賛。同時にピアノをコンサートの合間もしっかり調律調整してくださった名調律師、川端さんの腕前にはとても感銘を受けて、帰国後エッセイやインタビューで再三「世界的調律師」と書いています。
<泣き虫>
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苔寺にて
 熱いスタンディング・オベーションを送るお客様に、ノリスさんも「大阪に来て良かった!」ともらい泣き。演奏後、寺井家にあった兜の置物をプレゼントすると、「Beautiful!」と嬉し泣き、京都旅行では苔寺の幽玄美を前に立ち尽くしてまた涙…やはり人に感動を与えるということは、同じように自分も感動できる人なんだ!エネルギー保存の法則を強く実感するほどの泣き虫でした。
 感動の達人ノリスさんが、話してくれる巨匠達の逸話の数々は、本当に面白いものでした。アート・テイタム、チャーリー・パーカー、ベン・ウェブスター、デューク・エリントン、そして親友ジョージ・ムラーツ・・・天才たちの武勇伝や神秘的なテクニックの話、ウォルターが眉毛と声をひそめて、前かがみになって話し始めると、おとぎばなしに耳を傾ける子供のような気分になったものです。
P1010098.JPG最後の夜は宗竹正浩(b)さんと共演。
<筆まめ>
seminar.JPGセミナーにて:台本と全く違うトークになり通訳慌ててます。
 元々高血圧気味だったノリスさんは、数年前の心臓発作に襲われて、飛行機に乗ることとピアノ演奏を医者に禁じられました。故郷の米国に気軽に帰ることも出来なくなってしまったんです。辛さを押さえ、専ら執筆活動に専念されていたノリスさんの著作の一部は彼のHPに掲載されています。
 その傍ら、私達には頻繁にメールを下さいました。テーマは近況から世界情勢、踊るトナカイのクリスマスカード、ユーモラスな話、自分の草稿などなど。大阪で出会った皆さんに感動されたからだと思います。
 ウォルターが就寝中に亡くなったと言う知らせは「最近は体調が良くて医者が驚くほど」というメールから僅か数ヵ月のことでした。
 最後のメールは3週間ほど前です。「自分は年金生活だから、彼を充分助けてやることが出来ない。日本人の若者(石川翔太くん)が身の回りの世話をしてくれているらしいが、彼がいない時はどうしてるんだろう。心配で仕方がない。君達も手助けしてやってくれないか。」親友ジョージ・ムラーツの怪我を気遣う長いメールでした。
 最後になりましたが、ベルリン在住のSoon Kimさん、東京のノリス先生の教え子、徳山さん、訃報お知らせいただきありがとうございました。
 優しき巨匠、ウォルター・ノリス先生、私たちはあなたを一生忘れません。

伝説のドラマー、林宏樹リターンズ!

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林宏樹(ds)、寺井尚之(p)、宮本在浩(b)
 11月22日、三重を拠点に活躍するベテラン・ドラマー、林宏樹(はやし ひろき)が帰ってきた!
hayashi_hiroki_solo.JPG 今を遡ること30余年、林さんは寺井尚之とコンボでレギュラー活動、関大New Tone Jazz Och.のスターとして、バディ・リッチばりの華やかなプレイは、関西学生ジャズ・シーンでも傑出していました。大学生ジャズ・プレイヤーが即戦力として、ジャズのライブ・ハウスに留まらず、新地の高級クラブから十三のキャバレーまで、ポップスや演歌、踊り子さんのダンス・ショーなど、様々な現場でプロのミュージシャンと一緒に仕事をしていた時代です。インターネットはなくとも、実力があれば、噂が広まるのは、今よりずっと速かったのかも知れません。
 卒業後は、プロへの勧誘を振り切り、(一応)カタギの道を選びつつも、ジャズ・ドラマーとして、ブランクなしに活躍をしてきたというのがすごい!今や、北海道から九州まで全国各地を飛び回るジャズマン!重役がこんなにスイングしていいのかしら?って心配になると同時に、うらやましくもあり・・・この日は、中国の大連から直行してギグをこなしてくださいました。
<Stablemates!>
 客席は三重県から追っかけてこられたファンの皆さんや、久々に林さんを聴こうと気合の入る、大学時代のステイブルメイツが駆けつけ大賑わい!
 回を重ね、これまでで一番林宏樹のドラムソロが冴え渡っていたように思います。特に左手足のコントロールが素晴らしく、タイコやシンバル…どれもクリアでヴォリュームは大きいはずなのに、ウルサいことがありません。4ビート&ラテンのギアチェンジもソリッドだし、バラードでのドラムソロもグルーヴィー。歓声、声援、野次そしてまた歓声、客席のリアクションがアドリブの触媒になり、一層すごいプレイに!歓声は止まずアンコールも2回。これぞライブの醍醐味ですね!
 寺井尚之も、同世代の仲間と演ると、茶目っ気が出て、違った味わいになるのが、また楽しい!とりわけ、私が一番好きだったのは、ラストの「チュニジアの夜」。林さんのドラムソロは、”クリスピー”という形容詞がぴったりで、客席にいる皆さんの背中が揺れていました!
林宏樹トリオ:セット・リスト

1. I’ve Never Been in Love Before
2. All the Things You Are
3. My One & Only Love
4. I’ll Remember April

1. Tea for Two
2. Blue Bossa
3. In a Sentimental Mood
4. Night & Day

1. What Is This Thing Called Love
2. Yesterdays
3. Body & Soul
4. A Night in Tunisia
Encore: Caravan
Just One of Those Things

simizu_photo.jpg 関大OBシミズ先輩(tp)撮影
 この夜は、脇役であるはずのベーシスト、宮本在浩(b)さんもフィーバー!アップ・テンポもスローも決して乱れぬランニングと、味わい深いラインに、「最強!」と掛け声が入り、ウルサ方の多い関大OBが舌を巻いてました。最後には「ベース・フィーチュア!ベース・フィーチュア!」のコールまで飛んで、物静かなザイコウもにっこり!林さんにも激励していただいて、とても嬉しそう!これからは四日市まで定期を買うそうですので、ライブに呼んであげてくださいね。
torii_photo.jpg 関大OBトリイ先輩(as)撮影
 ライブの楽しさ、ドラムの醍醐味が堪能できた林宏樹(ds)トリオ!お疲れ様でした。林宏樹を聴いた事のない方にもぜひおススメです。次回も楽しみにしています!
CU

映像で辿るジャズ・ピアノ・スタイル 11/6 (日)開催。

 なかなか秋が深まらない大阪ですが、皆様いかがお過ごしですか?
 土曜日は、寺井尚之の大学時代の盟友ドラマー、林宏樹トリオに、同世代のジャズ仲間が集結して、すごい盛り上がりになりました。
 なにしろ、掛け声も拍手のタイム感抜群!(ライブ・レポート近日UPします。)殆どの先輩方がスマートフォンで撮影されていて、私はフェイスブックから名写真をダウンロードさせていただきました。
 だけどやっぱりOverSeasは”I’m Old Fashioned“…寺井尚之は携帯すら持ってない!私の愛するPCは情け容赦なく年老いて、先月新しいPCを泣く泣く導入、宮本在浩さんの英知と、ジャズ講座発起人、ダラーナ氏に貸与いただいているプロジェクターのおかげで、ジャズの歴史的映像を大スクリーンで鑑賞することもできるようになりました。WOW! すごいでしょう!
 それで、今回はDVDでジャズピアノの歴史的名手のプレイを鑑賞しながら、寺井尚之がスタイルや奏法などを、楽しく判りやすく解説する講座を開催いたします!

 教室生でない方も大歓迎です。一般のお客様もお楽しみになれると思います。ぜひ沢山ご参加ください。

<映像で辿るピアノ・スタイル>

 【日時】11月6日(日)1pm~3pm (開場 正午)
 【会場】Jazz Club OverSeas 
 【講師】寺井尚之
 【受講料】¥2,500 (税込¥2,625)  要予約
 【主催】寺井尚之ジャズピアノ教室生徒会

 では、講座に登場する巨匠たちのごく一部をご紹介しておきます!








  































waller1g.jpg Fats Waller (1904~1943)

 ストライド・ピアノの神様、オルガンの名手としても歴史に名を残す。

 ”浮気はやめた””ハニーサックル・ローズ”作曲でも天才を発揮。

アメリカン・ポピュラー・ソング界の代表的作家、アービング・バーリンは、ファッツ・ウォーラーから大量に作品を買い上げ自己名義で発表したとも言われている。

 「緊張と緩和」に満ちたダイナミックな演奏は現在も人の心をつかんで離さない。
hines_bg.jpg Earl “Fatha” Hines (1904~1943)

j ジャズ創世記から活躍し、モダン・ジャズ・ピアノの基礎を作ったアール・ハインズのプレイは今でも決して古めかしくならない。禁酒法時代のシカゴで花開いたアール・ハインズのピアノ芸術、彼のプレイを最も愛好したのは、マフィアのボス、アル・カポネだった。ギャングの心を動かし、破格のチップを稼いだ秘密は?映像でとくとご覧あれ!
arttatum.jpg Art Tatum (1909~1956)

 上のファッツ・ウォーラーが「神」と呼ぶ、全知全能のピアニスト。

 トミー・フラナガンをはじめとする名手たちは、ピアノ演奏の「全て」がここあると異口同音に主張する。

 殆ど盲目であったテイタム、彼がこよなく愛したものは、ビールとアフターアワーズでピアノを自由に弾くことだった。ジャムセッションで対決するピアニストたちは、ことごとくテイタムにめった斬りにされ、慙愧の涙を流したといわれている。創作した斬新なピアノ芸術は、Bebopの誕生へとつながっていく。
teddy_wilson_2.jpg Teddy Wilson (1912~1986)

 ベニー・グッドマンとの共演で人気を博したテディ・ウイルソン、そのエレガントで洗練された演奏スタイルは、ハンク・ジョーンズやトミー・フラナガンの源流と言われる。その一方で、ウイルソンはクラシックを愛好すると同時に、セロニアス・モンクたちバッパーの音楽を最もよく理解し支持した。
dukeimages.jpeg Duke Ellington (1899~ 1974)

 「自分の楽器はオーケストラである。」という名言を遺したエリントン。エリントン的ハーモニーやスケールは、ビバップの基盤となり、同時に、武満徹を始め、多くの現代音楽家がこぞって導入した。

 エリントンのピアノ演奏は、名手の居並ぶオーケストラの中に埋没することなく、際立った輝きを放つ。

Thelonious-Monk-Live-At-TBS-TV-Studio-G.jpg  Thelonious Monk (1917~1982)

 デューク・エリントンを崇拝し、独自の音楽スタイルを編み出したセロニアス・モンク。

度肝を抜くトリッキーな演奏スタイルは、本音と建て前の二重構造、ジャズピアノの歴史を知りつくしているから者だからこそのスタイルだった。
powellimages.jpeg  Bud Powell (1924~1966)

 バップ・ピアノの元祖バド・パウエルは、セロニアス・モンクの理想の弟子、モンクはバド・パウエルを演奏者に想定し、パウエルのプレイから霊感を得て数多くのバップ・スタンダードを創造した。

時空を切り裂き、閃光のようにほとばしるパッセージ。バップ・ピアノの醍醐味を貴重映像で確認しましょう!
BillEvans.jpg  Bill Evans (1929~1980)

 印象派的と呼ばれるリリカルなビル・エバンスのピアノ・スタイルは、多くのピアニストに影響を与え、「エバンス派」と呼ばれる一大ピアノ・カテゴリーを形成。

tfimages.jpeg  Tommy Flanagan (1930~2001)

 毎月の講座「トミー・フラナガンの足跡を辿る」では観れない貴重映像を公開! 

 



 それでは、日曜日のお昼、ぜひお待ちしています!!
CU

続報:ジョージ・ムラーツ愛用ベースお譲りします。

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http://www.dariovilla.net/jazzphotography/concerts/hankjones.htmlより
<ベースについてご興味ある方ご連絡お待ちします>
 先日告知したジョージ・ムラーツのベース購入の件、引き続き募集しています。ご興味のある方は、寺井尚之か私宛、あるいはNYでムラーツ兄さんのアシスタントを務める石川翔太君宛てにご連絡ください。ジョージ・ムラーツご本人と直接コンタクトを取って交渉されたい方は英文メールお送りいただければ、こちらから転送します。
 希望価格は250万円、輸送にかかるコストは購入者ご負担となります。実質的な輸送手続きはプラハで楽器を保管しているベース専門の業者が行います。ジョージ・ムラーツが保有するデヴィッド・ゲージ製のハード・ケース(新品)を一緒に購入いただき、それに入れて輸送するという方法もあるそうです。詳しい費用や手順は追ってご相談させていただきます。
<寺井尚之からのお願いです。>
 今回のベースの売却告知について、豪を煮やした寺井尚之が先日ムラーツアニキと相談した結果、寺井自身がOverSeasのHP上で、この件について改めてお願いのページを設置いたしました。
ジョージ・ムラーツの怪我とベースの売却について: 寺井尚之より。
 今まで内緒にしていてごめんなさい。
 ムラーツアニキは、夏のヨーロッパ・ツアーでベルギーに滞在中、階段から転倒し、左肩から上腕を螺旋骨折するという大きなアクシデントに見舞われました。現地で手術を受け、帰国してからはNYフィルやMET(メトロポリタン・オペラ)のクラシックの一流演奏家御用達の名医とセラピストの元で治療を続けており、当初は最短で年内復帰の予定でした。ミュージシャンやスポーツ選手にとって、怪我の噂は命取りになりますから、絶対の禁句ですから、私たち周囲は硬く口をつぐんでいました。ところが、ここに来て回復スケジュールが来春に伸びるかもしれないという状況になっているとのことで、寺井尚之がジョージ・ムラーツと相談の結果、みなさんにお伝えすることにいたしました。
 とはいえ、アシスタントの石川翔太君が献身的に身の回りの世話をしてくれているし、一流スタッフの元でリハビリを続けているので、日常生活や車の運転などはふつうにできておりますので過度にご心配いただくことはありません。なお、石川君は、ムラーツはじめルイス・ナッシュ(ds)やサイラス・チェストナット(p)など錚々たるアーティスト達が身元保証人となって、NYでデビューする予定ですので、ジャズ・ファンの皆さんは彼の今後にご注目ください!
 ジャズ史上に輝く偉大なベーシストの名器です。どなたかぜひ、引き継いで演奏してください。また、お心当たりの方がおられればご紹介お願いします。
寺井尚之よりの案内はこちらです。
CU

対訳ノート(32) Street of Dreams

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 先日のフラナガニアトリオ・リユニオンに、喝采ありがとうございました!
 あの昼下がりのプログラムはジャズミュージシャンのオリジナルが中心で、歌詞のないナンバーばかりでしたね。そのせいか久しぶりに歌詞のことを書きたくなりました。歌は“Street of Dreams”「夢の街角」っていったいどんな所なんでしょう?
 土曜日の寺井尚之The Mainstemトリオに来てくだされば、この素敵な歌詞が聴こえてきます。
<A Song of Great Depression(恐慌時代の歌)
 “Street of Dreams”は、先日のジャズ講座に登場したドイツのサックス奏者、クラウス・ドルディンガーのリーダー・アルバムのタイトル曲にもなっていましたね。4beatと6/8beatを組み合わせた斬新な90年代サウンドでした。でも“Street of Dreams”はとても古いポップソングで、大恐慌時代に生まれました。当時の社会情勢は今と似ています。この歌が生まれたのは、ウォール街の株価が大暴落したブラック・マンデーの3年後、1932年。ダウ平均は暴落以前から89%下落し、アメリカ中、世界中に失業者が溢れていました。同年、日本では5.15事件が勃発、歴史は第二次大戦へと突き進みます。
2_great_depression.jpg 職がなく食糧もない、まっとうな人達が食べて行けずスープキッチンと呼ばれる配給食に長い行列をしなければならなかった時代の歌は、アメリカのポップ・ソング史に於いてGreat Depression Songsと呼ばれています。”On the Sunny Side of the Street”や、寺井尚之が『Evergreen』に収録している”I’m Thru with Love”は今もスタンダードとして親しまれるDepression Songだし、Bebop通なら、ビリー・エクスタインとウディ・ハーマンがデュエットしている”Life Is Just a Bowl of Cherries”もお馴染みかも知れません。
 “Street of Dreams”は、Depression Songsの中でも、リアルでありながらロマンティック、なんとなく山田洋二監督の映画を観たような気分になります。’32年当時は、ドリーミーな歌声のビング・クロスビーが歌ってヒットしました。”Stella by Starlight”の作者、映画音楽家としても有名なヴィクター・ヤング作曲、作詞は”Just Friends”や”My Foolish Heart “の詞を書いたニューヨーカー、サム・M・ルイスです。
 クロスビーの音源はyoutubeにありました。
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<Street of Dreams 夢の街角>
(Sam M. Lewis/ Victor Young)


<ヴァース>
午前零時、
いろいろ大変だね、もう夜中だよ、
さあ、古い夢を下取りに出し、
新しい夢を手に入れよう!
新しい夢と
昔の夢と取り換えるてもいいね。

僕は知ってる、
どこで夢が売れるのか、
どこで夢が買えるのか。
午前零時、
真夜中にそこに行かなくちゃ、
そうすれば君みたいな人たちに会える、
君と同じようにブルーな仲間にね。
<コーラス>

愛は王様でも笑い飛ばしてしまうもの。
この夢の街角じゃ、
王様なんてどうってことない。

引き裂かれた夢、
夢の街角なら、
新品同様元通り。

金や銀、
月明かりの下で、
取り放題。

貧乏人、
そんな者はいない、
愛が確かである限り。
この夢の街角では。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Verse
Midnight,
You heavy laden, it’s midnight.
Come on and trade in your old dreams for new.
Your new dreams for old.
I know where they’re bought,
I know where they’re sold.
Midnight,
You’ve got to get there at midnight,
And you’ll be met there by others like you,
Brothers as blue,
Chorus

Love laughs at a king,
Kings don’t mean a thing
On the street of dreams.
Dreams broken in two
Can be made like new
On the street of dreams.

Gold, silver and gold,
All you can hold
Is in the moonbeams;
Poor, no one poor
Long as love is sure
On the street of dreams.

 『夢の街角』というのは、愛の世界のことだったんですね。愛する人と一緒なら、どんなに苦しくても、新しい夢に向かって頑張ることができるんだ!よ~し、めげずにがんばろう!森ノ宮の駅の階段でずっこけそうになってもヘコたれないぞ!
 ’29-’33の「Great Depression」に対し、現状は「Great Recession」(大不況)と呼ぶらしい。不況の悲哀は、Interludeもご同様。でも、OverSeasに溢れるお客様の楽しい笑顔や拍手は私にとってSilver and Gold! それに思いがけないジャズ界の大先輩がこのブログを愛読してくださっていると教えてもらったりすると、路地裏も一瞬にして『夢の街角』に変わります!
 それでは土曜日の寺井尚之The MainstemでCU!

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