第45回トミー・フラナガン・トリビュート 曲目解説

寺井尚之の師、トミー・フラナガン(1930-2001) の命日、11/16に開催しました。

演奏:寺井尚之-piano、宮本在浩-bass演奏

寺井尚之(p)、宮本在浩(b)
長年のレギュラー・デュオにしかできないプレイを聴かせました。
コンサートにご参加いただいたお客様に感謝。

曲目解説

<1st>

1. Bitty Ditty (Thad Jones)

Thad Jones
Thad Jones (1923-86)

 〈ビッティ・ディッティ〉トミー・フラナガンが生涯愛奏したサド・ジョーンズ作品。Bitty Dittyは「ささやかな小曲」という意味で、親しみやすく軽快な曲だが、演奏者にとっては、複雑な変則小節で転調を繰り返す難曲。この逆説的なネーミングが、フラナガンが惚れ込んだサド・ジョーンズの音楽性と、デトロイト・ハードバップの「粋」の証だ。

『Beyond the Blue Bird』

2. Beyond the Blue Bird (Tommy Flanagan)
 〈ビヨンド・ザ・ブルーバード〉1950年代前半、20代のフラナガンが、サド・ジョーンズ達とデトロイト・ハードバップを開花させた場所は、デトロイトの黒人居住区にあった伝説的ジャズクラブ《ブルーバード・イン》だ。後年フラナガンがノスタルジーを込めて作った曲で、1991年にリリースしたアルバムのタイトル曲とした。《ブルーバード》の客層は、自動車産業に従事する黒人労働者で、ジャズを愛し、若手ミュージシャンを応援するアット・ホームな店だったと語ってくれたことがある。
 シンプルで親しみやすいメロディの裏にある綿密な転調と、”返し”と呼ばれる左手のカウンター・メロディが、デトロイト・ハードバップの特徴。寺井はアルバム(左上写真)のリリース前、フラナガンから譜面を授かり演奏を許された。 

3. Rachel’s Rondo (Tommy Flanagan)  

『Super Session』

〈レイチェルのロンド〉:フラナガンと最初の妻、アンとの間に生まれた美しい長女レイチェルに捧げたオリジナル曲。フラナガンは『Super Session』(’80:左写真)に収録したが、ライヴで余り演奏することはなかった。
 一方、寺井はこの曲を大切にして長年愛奏し、『Flanagania』(’94)に収録。冴え渡るピアノのサウンドを活かす気品溢れる秀作で、OverSeasの人気曲。

4. Medley: Embraceable You(Ira& George Gershwin)
   ~Quasimodo(Charlie Parker)
 

Bird
Charlie Parker (1920-55)

〈メドレー: エンブレイサブル・ユー~カジモド〉
 フラナガンはライヴでメドレーを盛んにプレイしたが、大半は録音されておらず、このメドレーも、レギュラー・トリオによる録音はない。
 チャーリー・パーカーは、ガーシュイン作〈エンブレイサブル・ユー(抱きしめたくなるほど愛らしい君)〉のコード進行を基にバップ・チューンを作り、原曲と正反対の、醜い「ノートルダムのせむし男」(カジモド)の名を付けた。そこには、白人社会の価値観に対する反骨精神が見え隠れする。
 フラナガンは、この2曲を絶妙な転調で結び、パーカーへのアンサー・ソングとしたのではないだろうか。

5. Lament (J. J. Johnson) 

J. J. Johnson (192402001)

〈ラメント〉フラナガンが’50代後半にレギュラーを務め、『Dial J J5』など多くの共演盤を遺したトロンボーンの神様、J.J.ジョンソンの作品。〈ラメント〉は「嘆きの歌」という意味、曲の品格がフラナガン好みだったのか、ライヴで盛んに演奏したので〈Lament〉を聴くと、フラナガンがよく出演していたグリニッジ・ヴィレッジの《Bradley’s》を思い出すというファンがいるほどだ。フラナガン名義の録音は『Jazz Poet』 (Timeless ’89)のみだが、録音以降も演奏し続け、どんどん編曲がアップデートしていった。
 本コンサートで用いたセカンド・リフは『Jazz Poet』以降の進化型だ。

6. Elusive (Thad Jones) 

Thad Jones and Tommy Flanagan
Thad Jones and T.Flanagan

〈イルーシヴ〉は「雲をつかむように捉えどころがない、表現しにくい」という意味で、その名のごとく、サド・ジョーンズらしい悪魔的なスリルに溢れた曲。’50年代のデトロイトで、20代のフラナガンはジョーンズと共に、この難曲を、いとも容易く演奏していたという。

7. Dalarna (Tommy Flanagan)

Overseas Tommy Flanagan Trio

 〈ダーラナ〉『Overseas』を録音したスウエーデンが誇る名リゾート地の名を冠した初期の代表作。
 尊敬するビリー・ストレイホーンの影響が感じられると同時に、厳しい転調をさりげなく用いて洗練された美しさを生み出す独特の作風が光る。
 フラナガンは『Overseas』に録音後、長年演奏することがなかったが、寺井尚之のCD『Dalarna』に触発され、寺井のアレンジを用いて『Sea Changes』(’96)に再録。その直後、フラナガンは寺井に「ダーラナを録音したぞ!」と電話で伝えてきた。その弾んだ声が、今も寺井の胸に響く。

Dalarna, Sweden
Darlana 地方


8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Gill Fuller Dizzy Gillespie)

Chano Pozo and Gillespie

〈ティン・ティン・デオ〉は、キューバ人コンガ奏者、チャノ・ポゾが口ずさむメロディとリズムを基にしたディジー・ガレスピー楽団の演目で、戦後、大流行したアフロ・キューバン・ジャズの代表曲。
 フラナガンは、ビッグバンドのマテリアルを、コンパクトなピアノ・トリオ編成で表現する達人だった。哀愁に満ちたキューバの黒人音楽と、ビバップの洗練されたイディオムが見事に融合したアレンジが素晴らしい。

たくさんのお供えをありがとうございます。写真はスウェーデンのベーシスト、ハンス・バッケンロスより

<2nd>
1. That Tired Routine Called Love (Matt Dennis) 

マット・デニス

 〈ザット・タイヤード・ルーティーン・コールド・ラヴ〉 作曲者マット・デニスは弾き語りの名手であり、〈エンジェル・アイズ〉を始め、フランク・シナトラの数々のヒットソングの作者。デニスはナイト・クラブに出演する際、一流ジャズメンをゲストに招いて共演するのを好み、それにつれ彼の楽曲はジャズメンに愛奏されるようになった。J.J.ジョンソンはフラナガン参加アルバム、《First Place》(Columbia, ’57)にこの曲を収録。その32年後、フラナガンはリーダー作《Jazz Poet》に収録し、ライヴで愛奏を続け、アレンジを進化させた。現在は寺井が進化型のアレンジを引き継いでいる。

2. Smooth As the Wind (Tadd Dameron)

Smooth As the Wind (Riverside)

 〈スムーズ・アズ・ザ・ウィンド〉フラナガンが愛奏したもう一人の作曲家、タッド・ダメロンの作品。力強く優美な「美バップ」の黄金比率を持ち、美しい花が次々と開花していくようなハーモニーの華麗さに目を見張る。
 この曲は、麻薬刑務所服役中のダメロンがブルー・ミッチェル(tp)の同名アルバム(Riverside, ’61)の為に書き下ろしたもので、録音にはフラナガンも参加している。
 一編の詩のような曲の展開、吹き去る風のように余韻を残すエンディングまで、完成度の高いアレンジがフラナガンのレガシーだ。

3. Medley: Thelonica (Tommy Flanagan)~Minor Mishap (Tommy Flanagan) 

寺井尚之
HIsayuki Terai

〈セロニカ~マイナー・ミスハップ〉トミー・フラナガンのオリジナル・メドレー、 “セロニカ”はセロニアス・モンクとパノニカ夫人の友情に捧げた作品、極上の日本酒のようにすっきりとした味わいが二人の間柄をよく表現している。ジャズのオリジナルの中では五指に入る難曲だ。
 “Minor Mishap” (ささやかな不幸)は、’58年、ジョン・コルトレーン(ts)、イドリース・スーレマン(tp)、ケニー・バレル(g)達とのアルバム『The Cats』で初演以来、フラナガンは何度もレコーディングしている。

4. If You Could See Me Now (Tadd Dameron) 

Sara Vaughan with C. Basie Orch

〈イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ〉1946年、当時、新進スターだったサラ・ヴォーン(vo)のためにダメロンが書き下ろした名バラード。フラナガンはダメロンを愛奏する理由として「オーケストラのサウンドが内蔵されているので弾きやすい。」と語っている。フラナガンのヴァージョンは、サラ・ヴォーンとカウント・ベイシー楽団による、81年の録音で使われたセカンド・リフを用い、オーケストラ感をうまく表出している。

5. Eclypso (Tommy Flanagan)

Eclypso
Eclypso (Enja 1975)

 〈エクリプソ〉フラナガンのオリジナル中、最も人気のある、カリプソ・ムードの軽快な作品。寺井尚之がフラナガンの招きで長期NY滞在した最後の夜、フラナガンは《ヴィレッジ・ヴァンガード》で、「ヒサユキのために」とスピーチして演奏してくれた思い出の曲。

6. But Beautiful (Jimmy Van Heusen)

Terai and Flanagan at Flanagan’s apartment in NY

〈バット・ビューティフル〉「恋は色々、おかしくも、哀しくもある。秘めた恋、狂おしい恋もある…」シンプルな形容詞で様々な恋模様を綴る名バラード。寺井尚之+宮本在浩デュオは、オール・2コーラスの切り詰めた構成で、歌詞の聴こえてくるようなプレイが深い余韻を残した。
 フラナガンが’90年代にこの曲を愛奏するようになったが、そのきっかけは寺井だ。ある昼下がり、フラナガンが寺井とOverSeasでくつろいでいるとき、偶然フランク・ウエス・カルテットによる『Moodsville8』(Prestige, 1960)の〈But Beautiful〉が店内に流れた。すると寺井は「師匠のこのイントロは、ジャズ史上最高のイントロです!なぜなら…」と演説を始めた。フラナガンはふーんと鼻を膨らますだけだったが、その直後、デンマーク、コペンハーゲンでおこなわれたジャズパー賞を受賞記念コンサート『Flanagan’s Shenanigans(右写真下)』(’93)でも名演を遺した。


7. Our Delight (Tadd Dameron) 

Tadd Dameron (1917-65)

〈アワー・デライト〉これもタッド・ダメロンの作品、フラナガンはライヴのクライマックスとなるラスト・チューンとして盛んに愛奏した。それにもかかわらず、レコーディングはハンク・ジョーンズとのピアノ・デュオしか残されていないのが残念だ。現在、バップの醍醐味が炸裂するスリリングなフラナガンのアレンジを再現できるのは寺井だけだ。ドラムレスであることを感じさせない、気迫のこもった演奏に喝采がやまない。

Encore:
 With Malice Toward None (Tom McIntosh)
 

Tom McIntosh (1927-2017)

〈ウィズ・マリス・トワーズ・ノン〉「フラナガン流スピリチュアル」と言える名曲で、当店の大スタンダード曲でもある。
 フラナガンージョージ・ムラーツ・デュオによる『バラッズ&ブルース』に収録され、今は寺井尚之の十八番として、お客様のリクエストが多い。メロディは、讃美歌「主イエス我を愛す」を基にし、エイブラハム・リンカーンの名言(誰にも悪意を向けずに)を曲名とした、トロンボーン奏者、トム・マッキントッシュの作品だが、フラナガンのアイデアがたくさん盛り込まれている。

Ellingtonia

Duke Ellington (1899-1974)

フラナガンが初めてOverSeasでコンサートを行ったのは’84年12月。それはフラナガン・トリオによる日本初のクラブ出演だった。
 そのときに演奏した長尺のデューク・エリントン・メドレーは寺井の原点となっている。
(下:当時の演奏写真)

Tommy Flanagan at OverSeas Club 1984

Chelsea Bridge (Billy Strayhorn)

Overseas

〈チェルシー・ブリッジ〉デューク・エリントンの共作者、ビリー・ストレイホーンの作品。1957年、ストレイホーンに心酔していたフラナガンはNYの街で偶然彼に出会った。「もうすぐJ.J.ジョンソンとスウェーデンにツアーして、トリオであなたの曲を録音する予定です。」そう挨拶すると、ストレイホーンは彼を自分の音楽出版社に同行し、自作曲の譜面をありったけ与えてくれたという。〈チェルシー・ブリッジ〉もその中の一曲で、初期の名盤『Overseas』に収録された渾身のプレイは、今も私たちを楽しませてくれている。

 Passion Flower (Billy Strayhorn)

Mrazの記念碑
ムラーツ記念プレート除幕式
下の大きな花は寺井寄贈。

 〈パッション・フラワー〉ベーシスト、ジョージ・ムラーツがフラナガン・トリオに在籍中は、彼の弓の妙技をフィーチャーしたナンバーとして、ほとんど毎夜演奏された曲。トリビュートでは宮本在浩(b)のベースが素晴らしい。ムラーツは独立後もこの曲を愛奏し、リーダー作『My Foolish Heart(’95)』に収録した。寺井にとって兄貴のような存在だったムラーツも3年前に他界し、今年になってようやく故郷チェコのプラハに記念碑が設けられた。

 Black & Tan Fantasy (Duke Ellington) 

Black & Tan 短編映画

〈ブラック&タン・ファンタジー〉トリビュート・コンサートのフィナーレは、フラナガン晩年の名演目で、いまからおよそ100年前の禁酒法時代、コットンクラブで人気を博したデューク・エリントン楽団初期のヒット曲だ。
 フラナガンが最後にOverSeasを訪問したとき、寺井がこの曲を演奏すると、珍しく絶賛してくれた思い出の曲でもある。

 寺井尚之がフラナガンに弟子入り志願したのは1975年、正式に弟子として認められたのは9年後、1984年のことです。以降、NYのフラナガンに演奏テープを送り続け、「NYに来なさい!」と命令されたのが1989年、フラナガン師匠は、寺井を色々な音楽の場に同行し、色々な巨匠に紹介し、演奏チャンスを与え、自分の演奏も間近でたっぷり聴く機会を与えました。それからはフラナガンが亡くなるまで、何でも教えてくれたそうです。今年で寺井は72才になり、フラナガンの享年を追い越してしまいましたが、師匠の音楽を伝えようとする熱意は今が一番強いのかもしれません。
 次回のトミー・フラナガン・トリビュートは来年の3月15日(土)に開催予定です。

 どうぞこれからも応援宜しくお願い申し上げます。(text by 寺井珠重)

11/16 第45回トミー・フラナガン・トリビュート曲目

 トミー・フラナガンの命日、満員のお客様に、今年一番の大きな拍手をいただいたトリビュート・コンサート、寺井尚之(p)+宮本在浩(b)によるフラナガンの名演目。じっくり培ったレギュラーならではの奥深いプレイが聴けました。

=演奏曲目=

<1st>
1. Bitty Ditty (Thad Jones) 
2. Beyond the Blue Bird  (Tommy Flanagan)
3. Rachel’s Rondo (Tommy Flanagan) 
4. Medley: Embraceable You (George Gershwin)
   ~Quasimodo(Charlie Parker)
5. Lament (J. J. Johnson) 
6. Elusive (Thad Jones)
7. Dalarna (Tommy Flanagan)
8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Gill Fuller, Dizzy Gillespie)

<2nd>
1. That Tired Routine Called Love (Matt Dennis) 
2. Smooth As the Wind (Tadd Dameron)
3. Medley: Thelonica(Tommy Flanagan)~Minor Mishap (Tommy Flanagan)
4. If You Could See Me Now (Tadd Dameron)
5. Eclypso (Tommy Flanagan)
6. But Beautiful (Jimmy Van Heusen)
7. Our Delight (Tadd Dameron)

Encore: With Malice Toward None (Tom McIntosh)

Ellingtonia:
Chelsea Bridge (Billy Strayhorn)

 Passion Flower (Billy Strayhorn)

 Black & Tan Fantasy (Duke Ellington)

11/16 第45回 Tribute to Tommy Flanagan コンサートは残席僅かです。

11/16(土)のトミー・フラナガン・トリビュート・コンサート、残席がごくわずかになりました。

 早めにチケットをご購入ください。
 チケットは当店のみで販売しています。TEL 06-6262-3940

 Jazz Club OverSeas

第45回 Tribute to Tommy Flanagan トミー・フラナガン・トリビュート11/16(土)開催

前売りチケットは当店でお早めに

11月恒例のトミー・フラナガン・トリビュートは、フラナガンの命日に開催します。(English below)
前売りチケットは当店のみで販売中です。お早めにお求めください。

演奏:寺井尚之-piano, 宮本在浩-bass

日時:2024年11月16日(土) 7pm-/8:20pm(開場6pm 入替なし)
前売りチケット¥3850(税込 座席指定)
 席数が限られています。お早めにお求めください。

=Annual Concert tribute to Tommy Flanagan in November 2024=
This year of 2024, pianist and owner of Jazz Club OverSeas, Hisayuki Terai with Zaiko Miyamoto on bass will hold his special tribute concert to his mentor, Tommy Flanagan on the anniversary of his passing.

Date and Time:
Saturday, November 16, 2024
7:00 PM / 8:20 PM (Doors open at 6:00 PM, no seat change between shows)

Advance Ticket Price: ¥3,850 (tax included, reserved seating)
Seats are limited, so please purchase your tickets as soon as possible.

The 44th トリビュート・コンサートのCD&動画できました。

3月に開催した第44回トミー・フラナガン追悼コンサートのCDと動画ができました。ぜひご視聴ください! 

CD3枚組は当店までお申し込みください。

配信動画Peatixまで。

      

The Tunes Cherished by T. Flanagan: The 44th Tribute to Tommy Flanagan Program Notes

日本語版はこちら

tommy flanagan
March 16 on Tommy Flanagan’s birthday

Performance: Hisayuki TERAI on piano, Zaiko MIYAMOTO on bass

1st Set

1. Eclypso (Tommy Flanagan)

Eclypso

One of Flanagan’s famous uplifting originals, Eclypso holds a special memory for pianist Terai. When Terai visited New York for the first time at Flanagan’s invitation, on the last night of his unforgettable trip, Flanagan played this piece at the Village Vanguard, declaring to the audience that he would perform it for his protégé, Terai.

2. Out of the Past (Benny Golson)

 According to the composer Benny Golson, he composed ‘Out of the Past’ in the image of film noir. Trumpeter Art Farmer, a colleague of Golson’s, recorded it for his album ‘Art’ with Flanagan on piano. Years later, Flanagan often played it with his own trio and also recorded it on albums such as ‘Nights at the Vanguard’ (’86). The tune is quite popular here at the club, featuring the beautiful left-hand obligato in Flanagan style.

3. Beyond the Blue Bird (Tommy Flanagan)

At Flanagan’s Apartment in NY (’89)

 Flanagan wrote the piece in 1990 with nostalgia for the legendary jazz club in Detroit’s black community, the Blue Bird Inn, and the tune became the title track of his trio’s album, featuring fellow Detroiter guitar master Kenny Burrell. Prior to the album’s release, Flanagan had Terai transcribe this music in his apartment on the Upper West Side of New York City. With subtle and rapid key changes, it embodies typical Flanagan music, exuding elegance and depth.


4. Medley: Embraceable You (George Gershwin) – Quasimodo (Charlie Parker) 

Charlie Parker

  Flanagan’s style can hardly be discussed without taking his medleys into account. Charlie Parker wrote a bop tune based on the chord changes to the famous Gershwin song ‘Embraceable You’ and named it ‘Quasimodo’ after the hideous character from ‘The Hunchback of Notre-Dame.’ The medley ingeniously connects the original piece with the bop tune of the same construction through exquisite key changes, seemingly expressing Parker’s message that true ‘beauty’ lies not in appearance but within one’s soul. Among the numerous medleys by Flanagan, this is a legendary signature piece, sadly, no recording with his regular trio has been left. Terai continues to play this medley with unwavering belief in this sentiment.
  

5. Dalarna (Tommy Flanagan)

ダーラナ地方

Flanagan’s early composition, Dalarna, was initially recorded on “Overseas” (Metronome/Prestige), an album produced during an extensive tour in 1957 across Sweden with the J.J. Johnson quintet. Throughout the tour of Sweden, they performed concerts in various locations across the country. It’s easy to imagine Flanagan being inspired by the beauty of Dalarna County.

Although Flanagan didn’t revisit the tune for many years, he found renewed inspiration from Terai’s CD titled “Dalarna” (1995), prompting him to re-record it for “Sea Changes” (1996, Alfa), utilizing Terai’s arrangement. Immediately after the recording, Flanagan excitedly called Terai to announce, ‘I’ve recorded Dalarna! His lively voice ringers on in Terai’s heart to this day.

 

6. Beats Up (Tommy Flanagan)
 A riff tune based on rhythm changes, Beats Up was originally recorded for “Overseas” and re-recorded for “Sea Changes” as well as Dalarna. Terai and Miyamoto challenge the dynamism of the trio in a duo format.”

7. Sunset and the Mockingbird (Duke Ellington, Billy Strayhorn)

Queen Elizabeth and Duke

The inspiration for the piece came from a bird call Duke Ellington heard while driving across Florida with Harry Carney. He composed the tune instantly, and it eventually became a part of the “Queen’s Suite,” which Ellington recorded with his Orchestra, intending to press only one copy to dedicate to Queen Elizabeth. Flanagan enjoyed playing the tune since the 1970s, and it later became the title track of his 67th Birthday Concert album (’97 Blue Note).

8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Gill Fuller, Dizzy Gillespie)

Chano Pozo & Gillespie

The closing of the first set is an Afro-Cuban jazz classic, pioneered by Dizzy Gillespie. Flanagan crafted an exquisite piano trio version, preserving the strength of the earthy Cuban rhythms and the wistful  melody. It is characteristic of the Flanagan style to perform big band repertoire with a compact piano trio setting, delivering an even more dynamic interpretation.

2nd Set

1.That Tired Routine Called Love (Matt Dennis)

Matt

 A witty love song written by Matt Dennis, a singer-pianist, and composer-arranger, is best known for penning numerous hit songs for Frank Sinatra. His compositions, while pleasant to the ear, are often tricky to play, and have been cherished by jazz artists. This particular tune, filled with modulations, stimulates the challenging spirits of jazz players. Trombone master J.J. Johnson recorded this

piece with Flanagan for the album “First Place” (Columbia, ’57). Over 30 years later, Flanagan included the song on his own album, “Jazz Poet” (Timeless, ’89), and the arrangement of this song evolved with subsequent performances. Terai performs the evolved version of the arrangement.

2. They Say It’s Spring (Bob Haymes)

Bobby Jaspar & Blossom Dearie

 One of the “Spring Songs” that Flanagan called and loved to perform at New York club gigs during the spring season was originally a hit song by Blossom Dearie. Dearie, who married Flanagan’s bandmate Bobby Jasper, first introduced the song to Tommy during one of her live performances. Flanagan later recorded it with George Mraz in 1975 for the album “Ballads and Blues” (Enja). 

3. A Sleepin’ Bee (Harold Arlen)

  A buoyant spring song originates from a show tune in the Truman Capote-scripted, Harold Arlen-scored musical “House of Flowers.” The song draws inspiration from a Haitian legend, which claims that a girl who holds a sleeping bee in her hand will find true love if the bee neither awaken nor sting her. Flanagan appreciated Terai’s streamlined arrangement of this tune.

4. Passion Flower (Billy Strayhorn)

Mraz performing at OverSeas club (’84)

A signature piece of bassist George Mraz during the Tommy Flanagan Trio era. You could enjoy his exceptional bowing on this Strayhorn song almost at every gig. In this particular concert, Zaiko Miyamoto’s beautiful bowing took the spotlight. Even after Mraz departed from Flanagan, he continued to perform this piece, eventually including it in his own album “My Foolish Heart”(Milestone, ‘95)

5. Minor Mishap (Tommy Flanagan)

An original recorded in his first album as a leader, “Cats” (New Jazz, ’57) featuring John Coltrane and Kenny Burrell, which album remains popular to this day. The name of the tune is derived from the musical circumstances during the recording session. Since then, Flanagan continued to play most frequently throughout his career.

6. I’ll Keep Loving You (Bud Powell)

Bud Powell

 A serene ballad composed by Bud Powell. When Flanagan performed Powell’s tunes, he infused them with an extra layer of elegance without sacrificing Powell’s distinctive qualities. Terai puts abiding love for Flanagan into playing.

7. Our Delight (Tadd Dameron)

Tadd Dameron

 Flanagan often closed his shows with the piece written by Tadd Dameron, showcasing his musical style that skillfully incorporated the dynamism of big band music into a piano trio setting. Flanagan had a customary introduction for this piece: ‘Bebop is the music before the Beatles and after the Beatles!’ The more enthusiastic the applause in agreement, the more magnificent the performance became. In the concert’s duo setting, Terai and Miyamoto were nothing less than dynamic.


Encore:

  1. With Malice Towards None (Tom McIntosh)
Tom McIntosh

 Flanagan’s cherished spiritual masterpiece, recorded with George Mraz on ‘Ballads & Blues,’ holds a special place here at this club. The composer, Tom McIntosh, was not only a friend but also a neighbor of Flanagan, who closely observed the song’s creative process. It turned out that Flanagan’s ideas were intricately woven into this piece. The title of the song is derived from a famous quote in Abraham Lincoln’s speech after the Civil War. Here at the concert, the song moved some of our patrons to tears when they listened to it. 

2. Like Old Times (Thad Jones)

Thad Jones

 One of the songs from the Detroit era, when Flanagan used to play with Thad Jones at the Blue Bird Inn. Flanagan first recorded the tune with Jones on his own album, ‘Motor City Scene’ (United Artist). Later on, the tune became a staple encore in Flanagan’s performances. Sometimes, he would playfully blew a little whistle from his pocket with perfect timing, eliciting great laughter from the audience. Here at this concert, Terai whistled in the same manner, Like Old Times.

Note by Tamae Terai

Tommy on his birthday at OverSeas club
Hisayuki celebrating Tommy’s birthday party at OverSeas club (circa 94)

*Join the next Tribute to Tommy Flanagan concert will be held on November 16, 2024.

第44回トリビュート・コンサート曲目解説

English Edition is here

tommy flanagan
2024 3/16 Tommy Flanaganの誕生日に

演奏:寺井尚之-piano、宮本在浩-bass

1st Set

1. Eclypso (Tommy Flanagan)

Eclypso

エクリプソ:オープニング・ナンバーは、フラナガンのオリジナルの中でも、最も人気のあるカリプソ・ムードの作品。寺井尚之がフラナガンの招きで長期NY滞在した最後の夜、フラナガンは《ヴィレッジ・ヴァンガード》で、「ヒサユキのために」とスピーチして演奏してくれた思い出の曲。

2. Out of the Past (Benny Golson)

 アウト・オブ・ザ・パスト:テナー奏者、ベニー・ゴルソンがフィルム・ノワールのイメージで作った作品で、彼の盟友、アート・ファーマー(tp)はフラナガンと共に『Art』に収録した。その後フラナガンが、自己トリオのレパートリーに加え、ライヴ盤Nights at the Vanguard(写真)などに録音している。フラナガンがアレンジした左手のオブリガードが印象的で、OverSeasで大変人気がある曲。

3. Beyond the Blue Bird (Tommy Flanagan)

NYのフラナガンのアパートで。(’89)

 ビヨンド・ザ・ブルーバード:デトロイト時代にサド・ジョーンズ達とハウスバンドで切磋琢磨したジャズクラブ《ブルーバード・イン》へのノスタルジー溢れる名曲で、デトロイトの同胞、ケニー・バレルをゲストに迎えたリーダー作(’90)のタイトル曲とした。
 このアルバムのリリース前から、フラナガンはNYで寺井尚之にこの譜面を写譜させ、演奏することを許した。めまぐるしい転調によって曲に品格と深みを出す典型的なフラナガン・ミュージックだ。


4. Medley: Embraceable You (George Gershwin) – Quasimodo (Charlie Parker) 

Charlie Parker

 メドレー‐エンブレイサブル・ユー~カジモド:生前のフラナガンはライヴで数多くのメドレーを演奏したが、録音が残っているのはごく一部だ。これは、ガーシュインの「抱きしめたいあなた」というバラードと、チャーリー・パーカーが、その進行を基に作曲し、“ノートルダムの背むし男(カジモド)”と名付けたビバップの、例のない組み合わせだ。フラナガンがこの2曲を組み合わることによって「魂の“美しさ”は、表面的な美醜や肌の色とは無関係だ」というチャーリー・パーカーの芸術的真意を伝えた。寺井も、同じ信念で演奏を続けている。
  

5. Dalarna (Tommy Flanagan)

ダーラナ地方

ダーラナ:『OVERSEAS』(1957)に収録されたフラナガン初期のオリジナル。『OVERSEAS』を録音したのは、J.J.ジョンソンとのスウェーデン・ツアーの間だった。そのツアーはスウェーデン文化省の招きで、数か月かけてスウェーデンの津々浦々をまわってコンサートをするというもので、美しい森と湖に囲まれたダーラナ(上写真)でも公演したのだろう。

 フラナガンが心酔したビリー・ストレイホーンの印象派のタッチと、厳しい転調をさりげなく用いることによって洗練された美しさを生み出すフラナガンの個性が感じられる。
 『Overseas』に録音後は、長年演奏しなかったが、寺井尚之のCD『Dalarna』に触発され、寺井のアレンジを使い『Sea Changes』(’96)に再録。演奏する寺井尚之の胸中には、「ダーラナを録音したぞ!」とNYから電話をかけてきたフラナガンの弾んだ声が響いている。

6. Beats Up (Tommy Flanagan)
 ビーツ・アップ:これも1-5.と同じく『OVERSEAS』に収録し、『Sea Changes』に再録した作品で、リズム・チェンジのリフ・チューン。 
 寺井尚之は、宮本在浩とのデュオで、トリオに負けないダイナミックなプレイを聴かせる。

7. Sunset and the Mockingbird (Duke Ellington, Billy Strayhorn)

 デューク・エリントンがフロリダ半島で聴いたモッキンバードの鳴き声に触発され瞬く間に書き上げたとされ、エリザベス女王に献上するために、自費で1枚だけプレスしたアルバム『女王組曲』に収録。

女王陛下とエリントン

フラナガン67才のバースデイ・コンサートのライヴ・アルバムのタイトル曲。
 コンサートでは、冒頭のピアノの響きが格別で、「ピアノが腹から声を出している。」という宮本在浩(b)の言葉がうなづける。

8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Gill Fuller, Dizzy Gillespie)

Chano Pozo & Gillespie

ティン・ティン・デオ:第一部のクロージングは、フラナガン屈指の名演目、ディジー・ガレスピーが牽引したアフロキューバン・ジャズの代表曲だ。 
 読み書きのできない天才的なキューバ人コンガ奏者、チャノ・ポゾが口ずさんだメロディとリズムをガレスピー達が採譜し、ビッグバンド用の曲に仕上げた作品。フラナガンは、曲の持つ土臭さと哀愁を保ちながら、ビッグバンドに負けないダイナミクスに、持ち前の気品を加えたヴァージョンを創造した。
 トリビュートでは、さらに切り詰めたデュオ編成で、寺井尚之と宮本在浩が、フラナガン的ダイナミズムを再現してみせる。
 

2nd Set

1.That Tired Routine Called Love (Matt Dennis)

Matt

 ザット・タイヤード・ルーティーン・コールド・ラヴ:トミー・フラナガン全盛期の愛奏曲。フランク・シナトラのヒットソングを数多く手がけた作曲者マット・デニス(写真)は、弾き語りの名手でもあり、TV、ラジオでも活躍した。彼はクラブ出演する際、ゲストに一流ジャズメンを招くのを好み、それがきっかけで、彼の作品は

ジャズメンの名演によって、さらに長く伝承された。JJジョンソンも’55年、高級ナイト・クラブ”チ・チ”におけるデニスのショウにゲスト出演し、フラナガンが参加した《First Place》にこの曲を収録。その30年後、フラナガンはリーダー作《Jazz Poet》(’89 写真)に収録、ライヴでも愛奏し、数年後には録音ヴァージョンを凌ぐアレンジが完成した。現在は寺井尚之がそれを引き継ぎ演奏している。

2. They Say It’s Spring (Bob Haymes)

Bobby Jaspar & Blossom Dearie

 ゼイ・セイ・イッツ・スプリング:フラナガンが“スプリング・ソング”と呼び、春が来ると愛奏した演目の一つ。“スプリング・ソング”には、楽しい曲も寂しい曲もあったが、これは前者で、浮き浮きした春の恋の歌。もともとJ.J.ジョンソン時代のバンド仲間、ボビー・ジャスパーの妻だったブロッサム・ディアリーのヒット曲で、フラナガンは彼女のライヴで聞き覚えたという。’70年代にジョージ・ムラーツ(b)との名デュオ・アルバム『Ballads & Blues』に収録。 

3. A Sleepin’ Bee (Harold Arlen)

 スリーピン・ビー:これも楽しいスプリング・ソングで、カリブを舞台にしたファンタジックなミュージカル「A House of Flowers」(トルーマン・カポーティ原作、ハロルド・アーレン音楽)の挿入歌。「蜂が手の中で眠ったら、あなたの恋は本物」というハイチの言い伝えを元にしたラブ・ソングだ。フラナガン・ヴァージョンを基に、すっきりと切り詰めた寺井尚之のアレンジをフラナガンは大いに褒めてくれた。

4. Passion Flower (Billy Strayhorn)

OverSeasでプレイするムラーツ(’84)

パッション・フラワー:作曲者ビリー・ストレイホーン自身も愛奏した作品(’44)で、フラナガン・トリオのベーシスト、ジョージ・ムラーツの十八番。トリビュートでは宮本在浩(b)が磨きのかかった弓の妙技を聴かせる。パッション・フラワーは日本でトケイソウと呼ばれ、一風変わった幾何学的な形は、欧米で磔刑のキリストに例えられる。黒人でありゲイだったストレイホーンは、常にエリントンの影武者に甘んじた苦悩を、この花に例えたのかもしれない。
 ムラーツは、フラナガンの許を去った後もこの曲を愛奏し、リーダー作『My Foolish Heart(’95)』に収録。  

5. Minor Mishap (Tommy Flanagan)

マイナー・ミスハップ:フラナガンが終生愛奏したソリッドなハードバップ・チューン、初リーダー作『Cats』(’57)に収録したオリジナル。”minor mishap”は、「ちょっとしたアクシデント」という意味。名前の由来は『Cats』のレコーディングのほろ苦い顛末に由来する。。
 フラナガンは昔気質のジャズ・ミュージシャンで、演奏するときもたいてい譜面を使わなかったが、初めての共演者では、そうもいかず、譜面が必要になる。そこで、来日時には、寺井の採譜した譜面をコピーして持ち帰っていた。フラナガンのサイン入りのMinor Mishapの譜面は当店の壁に飾られている。(写真)

6. I’ll Keep Loving You (Bud Powell)

 アイル・キープ・ラヴィング・ユー: 静謐な硬派のバラード。
 フラナガンがパウエル作品を演奏すると、曲の持ち味を失うことなく、一層洗練された美しさが醸し出された。トリビュート・コンサートではフラナガンに対する変わらぬ想いをこめて。

7. Our Delight (Tadd Dameron)

 アワー・デライト:ピアニスト、作編曲家、タッド・ダメロン(写真)の作品で、ライヴを盛り上げるラスト・チューンとしてフラナガンが愛奏した。それにもかかわらず、レコーディングはハンク・ジョーンズとのピアノ・デュオしか残されておらず、バップの醍醐味が炸裂するスリリングなフラナガンのアレンジを再現できるのは寺井しかいない。この夜の寺井尚之と宮本在浩は、いつにもまして、この曲は本来ドラムレスで演るのだと思ってしまうほど、ダイナミックなプレイを聴かせた。


Encore:

  1. With Malice Towards None (Tom McIntosh)
Tom McIntosh

 ウィズ・マリス・トワーズ・ノン: フラナガンージョージ・ムラーツのデュオ・アルバム、『Ballads&Blues』に収録されたスピリチュアルな名作。作曲者のトム・マッキントッシュ(tb)はフラナガンの友人で、この作品の創作過程には、フラナガンのアドバイスが大きく取り入れられた。
 「誰にも悪意を向けず」というジャズらしくないタイトルは、多くの犠牲者を出した南北戦争後、エイブラハム・リンカーンが演説で口にした名言だ。
 “ウィズ・マリス…”は、寺井尚之の十八番としても知られ、コンサートでは演奏に涙ぐむお客様もおられた。

2. Like Old Times (Thad Jones)

Thad Jones

 ライク・オールド・タイムズ:サド・ジョーンズとデトロイトの《ブルーバード・イン》で演奏した作品。ジョーンズ名義の『Motor City Scene』(’59 United Artist)に収録され、フラナガン自身、アンコールでよく演奏した。彼がご機嫌なときは、ポケットの中から小さなホイッスルをこっそり取り出し、ここぞのタイミングで、ピューッと吹いて会場を多いに湧かせた。トリビュートでは、やはり寺井も隠し持っていたホイッスルを鳴らし大喝采。トミー・フラナガンが元気だった「昔のように」楽しい空気が満ち溢れた。 フラナガン・トリオの演奏は『Nights at the Vanguard』(Uptown)に収録されている。         

解説:寺井珠重
監修:寺井尚之

*本コンサートのCD3枚組をご希望の方は当店にお申し込みください。
動画は近日Peatixで配信。

第44回 Tribute to Tommy Flanagan- 今夜の曲目

大盛況のトリビュート・コンサート、寺井尚之(p)、宮本在浩(b)が演奏したフラナガン名演目集、素晴らしい響き、素晴らしいタイム感、まさに円熟のプレイ!この日のダイナミクスは最強でした。
 良い音楽はお客様のおかげです。お越しくださった新旧のお客様の応援に心より感謝します。

 

第44回トミー・フラナガン・トリビュート・コンサート曲目

1st set

  1. Eclypso (Tommy Flanagan)
  2. Out of the Past (Benny Golson)
  3. Beyond the Blue Bird (Tommy Flanagan)
  4. Medley: Embraceable You (George Gershwin) – Quasimodo (Charlie Parker) 
  5. Dalarna (Tommy Flanagan)
  6. Beats Up (Tommy Flanagan)
  7. Sunset and the Mocking Bird (Duke Ellington, Billy Strayhorn)
  8. Tin Tin Deo (Chano Pozo, Gill Fuller, Dizzy Gillespie)

2nd Set

  1. That Tired Routine Called Love (Matt Dennis)
  2. They Say It’s Spring (Bob Haymes)
  3. A Sleepin’ Bee (Harold Arlen)
  4. Passion Flower (Billy Strayhorn)
  5. Minor Mishap (Tommy Flanagan)
  6. I’ll Keep Loving You (Bud Powell)
  7. Our Delight (Tadd Dameron)

Encore
1. With Malice Towards None (Tom McIntosh)
2. Like Old Times (Thad Jones)

3/16トリビュート・コンサートのチケットはお早めに

2024, 3/16(土)、トミー・フラナガンの誕生日に第44回トリビュート・コンサートを開催します。

7pm-/8:20pm(開場6pm 入替なし)
前売りチケット¥3500(税込 座席指定)
今回は、いつもよりチケットが早くなくなりそうですので、お早めにお求めください。

お知らせ:第43回トリビュート動画

第43回トミー・フラナガン・トリビュート・コンサートの動画ができました。 http://ptix.at/Z4P2zE

 先にお知らせしたCDもありますので、お好きな方で、ぜひお聴きください。

寺井尚之