2001年12月4日(火曜日) Freddy Cole フレディ・コール(ピアノ、ヴォーカル) Zackery Pride ザカリー・プライド(ベース) Curtis Boyed カーティス・ボイド(ドラムス) Jerry Byrd ジェリー・バード(ギター) <演奏曲目> 第2部 |
フレディ・コールは1931年生まれの、シンガー、ソングライター、ピアニスト。アメリカ芸能史に燦然と輝く歴史的大スター、ナット・キング・コールの12歳年下の弟で、ナタリー・コールの叔父さんにあたります。日本では今一つ知名度は少ないようですが、アメリカのミュージックシーンでは、キャバレーシンガーのトップクラスにランクされている人です。ここでいうキャバレーとは、歴史のある一流ホテル、例えばNYならカーライルホテルのカフェ・カーライル(店内にはロートレックの絵画!が飾られています。)やアルゴンキン・ホテルのオーク・ルームなど、上品でステータスのある顧客の為の洗練された数少ないクラブで、決して日本の「3千円ポッキリで遊べるオッサンの社交場」ではありません。当然お値段もそれなりに高いようですし、店によってはジャケット着用といった規則もあるようです。もちろん、そういうキャバレーの顧客達は全員純粋な音楽ファンではないでしょうし、彼らを満足させようと思えば、それなりのテクニックが必要です。弾き語りのキャバレーシンガーとして他に有名な人には、コール・ポーター歌いの男性歌手ボビー・ショートや、キュートな歌声で売ったブロッサム・ディアリー等がいます。今夜登場するフレディ・コールはその中でも最もジャズ色の強いキャバレーシンガーと言えるでしょう。今年のNY、JVCジャズフェスティバルでは、キャバレーシンガーを集めたコンサートがカーネギーホールで催され、彼のスインギーで円熟した歌唱は、NYタイムズで高い評価を受けていました。 フレディ・コールは、日本ではレコーディングアーティストというよりもエンタテイナ―として、毎年クリスマスシーズンには高級ディナーショーで引っ張りだこでしたが、今年は不況が幸いしたのかOverSeasにお鉢が回って来ました。今回は兄ナット・キング・コール同様、ギターを入れたレギュラーカルテットでの来演です。どうしてもナット・キング・コールのイメージが付いて回るフレディ・コール、一体自分の個性はどうして出すのでしょうか?世襲制の歌舞伎役者の様に徹底的にお兄ちゃんの路線を貫くのでしょうか?私自身、フレディ・コールを生で聴くのは今回が初めて、OverSeasで弾き語りのアーティストをお招きするのも初めてです。キャバレーシンガーは聴衆を前に生で歌ってこそのアーティスト、自慢じゃないが一流クラブのようなゴージャスさは微塵もないOverSeasですが、うちの常連さん達は飛び切り耳が肥えていて辛らつです。そんな場所で一体どんな歌唱を聴かせてくれるのでしょうか? 夕暮れ5時から始まったサウンド・チェックには、ギターのジェリー・バードと、ベースのザカリー・プライドがスーツ姿で先に到着。二人とも今までOverSeasとは全く馴染みのない人です。ジェリー・バードはNHKの朝の連続ドラマにおじいちゃん役で出ている佐藤慶という役者をゴツ臭くしたような男性で、昔の小学校の教頭先生という風貌、年齢は61歳だそうです。ギターケースから取り出したのは、風合いのあるGIBSONL-5、末宗俊郎の楽器と同じです。24歳の若手ベース奏者ザカリー・プライドは今回、フラナガニアトリオの宗竹正浩のベースを拝借。彼のベースは弦高が高く、普段弦高の低いベースを弾いているミュージシャンは嫌がります。以前ハナさんと来たポール・ウエストは、このベースはどうしても弾けないと駄々をコネ、関西ベース界の重鎮、宮本直介氏がわざわざ愛器を車で持ってきて貸して下さったというエピソードまであります。でもザカリーには全く問題なさそうで一安心!彼はとても大人しそうな好青年です。 二人のデュオ演奏でサウンドチェックが始まりました。ジェリー・バードが先ず弾き始めるのは、きっとコテコテのブルースか?と思ったら、なんとモンクの<パノニカ>です。ところがベースのザカリーはこの曲を知らずにまごまごしています。とっさに寺井尚之がピアノに近寄って立ったままでコードをポンと入れて指示すると、二人は驚き、そしてにっこり!その後、トミー・フラナガンとケニー・バレルの共演盤『ビヨンド・ザ・ブルーバード』で名演の聴ける<イエスタデイズ>とデュオの音合わせが続きました。 驚いたことに、このジェリー・バードという名前も知らなかったギタリスト、物凄い名手です。大きな体躯で大型のL-5という名器から自在に操り繰り出されるバランスの良いコードワークと一音一音曇りのない流麗なフレージングは正真正銘一流プレイヤーのものです。よくアメリカのジャズ界は奥が深いといいますが、この人を聴くと全くその通り、改めて経歴を見るとピッツバーグ出身、フレディ・コールのバンドで勤属11年、それまでの共演者にはソニー・スティット、ルー・ドナルドソン等の名前が挙がっていました。一方ザカリー・プライドも宗竹さんのベースから落ち着いたよくスイングするビートを繰り出します。そうこうしている内に、御大フレディ・コールと、ドラムのカーティス・ボイドが到着しました。フレディ・コールは野球帽に上等そうなブルゾン姿で、にこやかに入場。ドラムスのカーティス・ボイドは滑車つきの大きなスーツケースから色々道具を取り出して、セッティングにいそしんでいます。「そのスーツケースは本番前にホテルに持って帰りますか?」と私が訊ねると、ロイ・ヘインズと似た大きなドングリ目で私をじろりと睨みつけ、にこりともせず「そこに置いといてくれ!」とぶっきらぼうに言いました。なんともトッツキにくい人です。 やがて全員でサウンドチェックです。ウォーミングアップは<イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー>から始まって、<フォー・オール・ウイ・ノウ>や、サンバの曲などを数曲。初めての場所にも拘らず、全員のサウンドバランスは最高、無愛想なドラマー、カーティス・ボイドの歯切れの良いシンバルワークにビビりました。フレディ・コールは71歳という年齢もあり声量は有り余るということはありませんが、うちの貧相な音響システムに文句一つ言いません。兄ナット・キング・コールに少し目元が似ていますが、アンパンマンと勝新太郎にも少しづつ似ています。ナットと顔以上にそっくりなのはピアノに座る姿勢です。弾き語りなので、ピアノに対し斜め45°に構え、お客様に自分の顔が見えるように座りますのでペダルは左足でダンパーを踏むだけ、ミュートペダルは使いません。私が子供の時ナット・キング・コールは来日したら頻繁にTVに登場していましたが、それと同じ姿勢でカメラ目線、トカゲのような顔が子供の時は恐かったのを覚えています。スイング、バラード、サンバを1曲づつ通して歌ってあっけなくサウンドチェックは終了しました。 |
サウンドチェックのもよう
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さて今日のコンサートのお客様は当店の常連さんがほぼ100%で、スムーズに仕事が運び定刻に開演です。フレディ・コールはシックなダークスーツ姿で、指にはカマボコ型のゴールドリングとダイヤを散りばめたリングが輝き、目もくらむようなピアジェのリストウォッチを身に付けて現れました。さすがにゴージャスですね! 1曲目は<サムシング・ハプンズ・ミー>。“君が傍にいるといつも、何かが僕に起こる。・・・”軽快なスイングナンバーで、歌の合間にコールのピアノとギターが入れるソリが曲にメリハリを付けます。ドラムのビートが物凄く歯切れ良く、さすがレギュラーバンドならではの演奏です。寺井尚之に後から聞いたのですが、このカーティス・ボイドは本番になると突然隠し持っていたボロボロの革靴に履き替えてプレイを始めたそうです。それまで彼が履いていた靴と一見同じ靴だったそうですが、ジョー・ジョーンズが演奏の時必ず履いていたと言うダンスシューズ同様、それがなければ演奏出来ない魔法の靴なのでしょうね。ケニー・ワシントンや寺井尚之もそれぞれこんな魔法の靴で弾いています。フレディ・コールは明快な句読点のはっきりしたアレンジと渋い歌声で一気に心が惹きつけられました。 間髪を入れずに次もミディアムでナット・キング・コールのレパートリーから<イッツ・クレイジー・アイム・イン・ラブ>を続けます。ノンシャランな歌詞の気分が、歯切れの良いビートと、これ以上ないというくらいはっきりしたギターのプレイで、見事に浮かび上がります。フレディ・コールの歌唱は、ナット・キング・コールの声から甘さを抜いて渋みを増やしたような声質で、その分男らしさが加味されています。ピアノの方は、兄ナットがアート・テイタムとテディ・ウイルソンを繋げた延長線上にあるソフトタッチの名手であったのに対して、フレディはハードタッチのコード・ワークとナット流の様々なグリス使いが特徴です。ここでは逆循のエンディングでピアノと歌にナットのフレージングのもじりが聴けて大喝采! 続いて、フランク・シナトラのアレンジを多く手がけた作・編曲家、ゴードン・ジェンキンズの作ったバラードで、ジョージ・シアリングもメル・トーメとの、また自己アルバムで何度かレコーディングしている<私の求むすべて>です。しっとりとした情感を込め、しみじみと聴かせます。“人生の最高の時にさしかかり、やっとゆっくりする時間が出来た。ささやかな幸せでも、これが私の望むもの、今の素晴らしい時間が少しでもゆっくり過ぎるように・・・”という歌詞です。人生の絶頂期に登りつめた男性が、今の幸せも永遠のものでないと意識しながら、もう少し幸せが続くよう願う人生の秋の歌です。円熟した大人の歌手でなければ絶対に出ない味を満喫することができました。 アンコールはお客様に対する別れの挨拶として<アイル・ビー・シーイング・ユー>。フレディ・コールがスローでしっとりワンコーラス歌い上げた後で、イン・テンポとなり、手拍子をバックにワンコーラス、勿論OverSeasのリズム感の良い常連達の手拍子は、ばっちりオンタイム!大歓声で第一部が終了しました。 物凄い指輪をキラキラ光らせるフレディさんは、そのアクセサリーにそぐわないきさくな人で、このHPに曲目リストとレポートを載せますと言うと、頭もボサボサで小汚い服装の私にも大変親切に曲名を教えて下さって平身低頭でした。名プロモーター西陰氏がミュージシャン達に寺井尚之の事を「コイツは物凄いピアノ弾きでトミーのスチューデントだ。喪中なんで今日は冗談は言うな。それにここのスタッフは皆弟子のミュージシャンばかりだからな!」とホントとウソのまぜこぜを吹き込んだので皆さん大変寺井尚之に親切です。フレディ・コールは昨年、スペインのグラナダでトミーと会ったのが最後になったと思い出話をひとしきりしてくれて、「本当に残念だったけど、気を落とすな」と寺井尚之に優しい言葉をかけてくれました。店内に飾ってあるミュージシャンの写真を眺め、ハナさんを「He is My Man!」とおっしゃっていました。 ジェリー・バードに同じくギブソンL-5を使っている末宗氏を紹介すると、にこやかに記念写真を撮ってくれました。末宗氏が「僕はあなたと同じタイプのギターを弾いていて、今夜はあなたの演奏にとても感動しています!」と言うと大喜び!「実は俺のギターはいわくつきなんだ。ジョージ・ベンソンがこのギターを大変気に入ってどうしても売ってくれと言うから売ってやったんだが、しばらくしてやっぱりこれはあんたのものだと言って返してくれたんだよ…」と驚くべき証言が出ました。その後彼はミュージシャンの卵と言われた今夜のスタッフ一人一人に「何か楽器を演るのか?頑張れよ」と声をかけ、楽器はやらないと言ったマツイ君には「楽器を始めた方がいいぞ!」と激励してくれてスタッフ一同大感激!最初無愛想だったカーティス・ボイドはいつのまにか寺井尚之と意気投合して話し込んいます。 さて、第2部も定刻にスタートしました。私はいつもどおり、一番遠いキッチン前からバンドスタンドのすぐ脇、フレディの背中と、ギター、ドラムが真正面に見える位置に移動しました。するとさっきはドラムのハイハットの先に河原さんと並んで座っていた末宗俊郎氏が、私の横、ジェリー・バードから1メートルくらいしか離れていないかぶりつきに移動して、一緒に記念写真を撮ったせいかそっくり返っています。するとジェリーは末宗氏を見てニンマリ微笑むとやおらギターを振りかざしジャーンと大見得を切って見せました。これは2部のギターソロがますます楽しくなりそうです。 1曲目はミディアム・スローの<アイ・リメンバー・ユー>。先日のトミー・フラナガンの葬儀の時にジミー・ヒースが追悼演奏した曲です。フレディはヴァースから入り快適にスイング。続いてナット・キング・コールも名唱を残した<スマイル>。“辛い時にはほほえむんだ、そうすれば曇り空から太陽が顔を出す”という素晴らしい歌詞がついた歌です。1コーラスしっとりと歌ってからもう一度ギターとピアノユニゾンでメロディを聴かせそのままアウトコーラスに帰るシンプルな構成でも、ギターのコードワークと音の切り方は完璧で、そこから歌に戻った時に入れた洒落たオブリガートのタイミングがぴったりなのは鳥肌が立つほどです。今のOverSeasのムードにぴったりの歌を歌ってくれてありがとうと名唱に感謝しました。 さて、がらりと雰囲気が変わって今度はナット・キング・コールがショウの始めと終わりに歌っていたこともある<ア・ラブリー・ウエイ・トゥ・スペンド・アン・イブニング(素敵な夕べの過ごし方)>という曲。“君と静かに過ごす夕方、それ以上に美しい夕べはない”という落ち着いたラブソングです。珍しくシングルノートでピアノが先発ソロを取ります。カーティス・ボイドのシャキシャキとした歯ごたえのドラミングは近くで聞くとなおシビレます。叩き出される音全てに活力が溢れていて全く超一流です。それにこの方、激しいスティックの動きに対して上半身は全く動きません。勿論顔をしかめたりもしません。ただただ流れるようなビートと、ハイハットの句読点、いつまでも続けられそうなロールがいとも易々と不動の上半身の元で繰り出されます。そういえば寺井尚之の上半身も無愛想な程動きませんね。 次はピアノで、ちょっと裏ぶれた感じのサルーンソング(酒場の歌)の趣のイントロから、スローなワルツのバラード、<フォーギブ・マイ・ハート>。“今でも貴女に恋をする私の心を許しておくれ。何故かわからないけれど、今でも君を忘れられない…”という未練の歌です。目を細めて歌うフレディさんの横顔と、使い込んだ声の渋さは昨日深夜見た寅さん映画に出ていた柳家小さん師匠にも似ています。じっくりと話し掛けるような大人の男が歌う恋の歌は、実に味わい深いものです。 さてここからブルースが3曲続きます。最初はザカリー・プライドをフィーチュアして、「ヨシ(名プロモーター西陰氏のこと)の書いた曲<ホームフライドポテト>を…」と、前置きしてから歌ったのは、フライドポテト、南部風サラダにビーフステーキ、チキンカツにトマト、コーンフライドケーキを頂戴と次々食べ物が出てきて、最後に“ベイビー、キッスもごちそうして”という、Fのブルースです。FはFOODのFなのか?ナット・キング・コールにも<フリムフラムソース>というヒット曲がありました。ザカリーが歯を食いしばって繰り出すベースソロは、スイングしていてなかなかのもの、宗竹さんはウム、としっかりうなずいていました。 次はミシェル・ルグランの書いた異色作で“恋こそが人生を左右する”と歌うスローなブルースです。フレディ・コールのブルースには南部の香りが漂うものの、余りコテコテした所はなくあっさりとした口当たりで、バンドのハードな演奏にぴったりとマッチしています。だんだんとギターのソロにも凄みがまし、ツボにはまった華麗なブルースフレーズが次々と繰り出されゴキゲンです。そして次はもっとブルース色が強くなり、シャキっとしたビートの<マディ・ウォーター・ブルース>。ここまで来ると今までしっかりと自分を抑制してフレディの脇役に回っていたジェリー・バードが、もう抑えきれないという感じで堰を切ったようにプレイをほとばしらせて興奮が高まります。これも前で腕組みをしている末宗さんのおかげでしょうか?いずれにしてもこんな華麗なプレイヤーが無名とは本当に信じがたいことです。 そしてここでちょっと雰囲気を変え、ボサノバでフレディ・コールの最新アルバムに収録されている、<ジャスト・トゥ・セイ・グッドバイ>。これもまた“さよならを言うだけでいいからもう一度帰ってきておくれ・・・”という未練の歌です。ソロを入れずにフルコースのソルベのようにさらっとした口直しと言う感じでしょうか。 メンバー紹介の後で、いよいよお客様達待望の、兄ナット・キング・コールのヒットメドレーが始まりました。先ずナットの初の大ヒットで、はげわしの口車にのせられて空にさらわれ、落ちて死なないよう必死なサルの歌<ストレイトン・アップ・アンド・フライ・ライト>。このユーモアソングがヒットしたのは1943年と言いますから第二次大戦中の不安な時代で現在の世相と共通するところがあります。次にスインギーに歌った後は<スイート・ロレイン>。キング・コールの名唱が蘇りました。ピアノでうまく転調して次に同じテンポのまま大ヒット曲<モナ・リザ>に入ります。お兄さんのように天井をめがけて朗々とは歌わずに囁きかけるような歌唱で、モナリザのお父さんが娘に説教をしているような感じです。カーティス・ボイドがブラシを置いて素手でドラミングするとガラッとリズムがラテンに切り替わり、神秘的な<ネイチャーボーイ>と続きます。フレディ・コールのアレンジは最高です。お兄さん譲りの部分的なグリス使いも効果的にはまって、メドレーの中で最高の1曲でした。とりわけカーティス・ボイドのハンドドラムの切れの良いこと!この人は一昨年、OverSeasで大反響を巻き起こしたエディ・ロックをもう少しモダンにしたような素晴らしいドラマーです。そのスピードと叩いた瞬間に頭の上まで手を振り上げるアクションに、まん前の河原氏の両目が完全に寄っています。後でカーティスが言うには、「一番前のヤツがむちゃくちゃ真剣に見るので非常に緊張した!」そうです。<ネイチャーボーイ>を歌い終えた瞬間、目にもとまらぬ早業でスティックを握ったカーティス・ボイドが、トップシンバルから4ビートを叩き出すと、<L-O-V-E>が始まりました。昨年5月にモンティ・アレキサンダーのコンサートでアンコールにモンティがベースの弾き語りで歌ったのがこの曲でしたよね!ハードなシンバルとなんともリラックスしたギターのオブリガートがたまらなくハッピーです。締めくくりは<アンフォゲッタブル>。始まるなりお客様全員が大拍手、“The Unforgettable Nat Cole”とフレディがアナウンスして長いメドレーが終わりました。こうしてみるとナット・キング・コールの寿命の長いヒット曲の多さに驚くとともに、フレディ・コールのプログラム構成にも惚れ惚れしました。 このメドレーでショウは終わりなのかしら?するとやはりフレディ・コールはやはりナットのダミーなのかしら?と思う間もなく、またまたFのブルースです。歌うというよりは語り出したました。“ナットは僕の兄さんだ、でも僕はナットじゃない、僕はフレディ、僕は僕,ナットが僕に似てるんだ。お前の兄さんは大金をもうけたろって?いやになっちゃうね、僕は僕さ、ナットじゃない!”これはプロテストソングじゃないですか?こんなに渋く円熟した大人の歌手が“僕は兄ちゃんじゃない”ですって!?このユーモア感覚、最高です。でもこれがフレディ・コールの心からの姿勢でしょう!こうやって自分のスタンスを正面から宣言するなんて日本の歌手ならちょっと考えられないんじゃないでしょうか?こんな仁義を切られてはOverSeasのお客様達も黙って聴いているだけではありません。全員立ち上がってそうだ!フレディはフレディだ!自分の個性を持った素晴らしいアーティストだ!と賛同の拍手は鳴り止みません。 アンコールは再び最新アルバムから<リオ・デジャネイロ・ブルー>。そして今夜のお客様達が来てくれたことに感謝する歌、<アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー>。最後はインストルメンタルで<コパカパーナ・リップル>とたっぷり3曲のアンコールに皆大満足でした。
今日はいつもの様に満員ではありませんでしたが、不満そうな顔一つしないミュージシャン達の誠意溢れるプロ根性と、素晴らしい演奏、名唱に本当に頭が下がりました。翌日一同の送り役を担当してくれたむなぞう君がカーティス・ボイドから寺井尚之への伝言を預かってきてくれました。「CDウオークマンで尚之の『フレグラント・タイムス』と『ユアーズ・トゥルーリー』を聴いた。なかなか良かったと言っておいてくれ!」。でもあの名手カーティス・ボイドの自己名義のCDは皆無なのですから全く不思議です。 フレディ・コールとバンドの皆さん、そして今夜来て下さったお客様達、本当にありがとう!来年は絶対満員にして見せます! |
投稿日 12月5日(水)00時47分 投稿者 管理人 残念ながら今日のライブはお客さんが少なかったですが、来なかった人は損、とても楽しいライブでした。 フレディ・コールさんは第1部では兄・ナット・キング・コールの名前を全然出さなかったので、やっぱりそういう目で見られるのがイヤなんだろうなとか思っていたけど(声はやっぱりよく似てます)、第2部にはあんな曲やこんな曲を・・・。第2部に居なかった人は残念でしたね。 そして予想外と言ったら失礼ですが、誰も知らなかったギタリストのジェリー・バイアードと、ドラマーのカーティス・ボイドが、寺井師匠も「めちゃめちゃよかった!」と絶賛するほど素晴らしく、末宗先生も酔いどれドラマー河原達人氏も感激しておられたのでした。 ドラマーのボイド氏は、ビシッとしていた。聴いてスカッと爽快、華のあるバチさばきを見てうっとり。ムチャかっこよかったです。 一部と二部で内容も代わり、もっと盛り上がり、通しで聴いて得しました。ドラムの正確さにはびっくり、ギターもやわらかく流れる演奏でとても素敵でした。お客さんが少なくてホントに残念!! お答え 翌日は東大阪の司馬記念館へ寄って、午後は奈良を散策して、OVERSEASへ着いたのが7時前。2セットまで寺井さんと鷲見さんのデユオをきかせてもらいました。司馬記念館の書架もすごかったけど二人の音のシャワ−はほんとにすばらしい。次回は3セットまで居て是非デンジルズ・ベストを聴きたいと思っています。 それから管理人さん、回転焼きをありがとうございました。耳に美味しいです。 |
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