2002年6月4日(火)

ハナさんの写真
Sir Roland Hanna
サー・ローランド・ハナ
piano
1932年生まれ。
トミー・フラナガン同様、デトロイトが生んだジャズの巨人の一人。
ジョージ・ムラーツとの名コンビやサド・メル・オーケストラ、
またソロピアノの名盤でも人気を博す。
卓抜したテクニックと強烈なスイング感、
デトロイト派ならではの気品は、
現在<ジャズ界最高の巨匠>の名にふさわしい。

共演メンバー


青森善雄(ベース)


青森英明(as, ss, cl)


クリス・ロゼリ(ドラム)

曲目
第1部
1. Portrait Of John Lewis ジョン・ルイスの肖像
(Sir Roland Hanna)
2.
Treasures Lost トレジャーズ・ロスト
(Sir Roland Hanna)
3.
Isfahan イスファハン
(Billy Strayhorn)
4.
Let Me Try  レット・ミー・トライ
(Sir Roland Hanna)
5.
Portrait Of Thad Jones サド・ジョーンズの肖像
(Sir Roland Hanna)
6.
My Secret Wish マイ・シークレット・ウィッシュ
(Sir Roland Hanna)
7.
Forget About April フォゲット・アバウト・エイプリル
(Sir Roland Hanna)

第2部 
1. Improvisation on Azure
(Duke Ellington) Deep Purple (Peter De Rose) 青と濃紫の即興演奏
2. This Time It's Real ジス・タイム・イッツ・リアル
(Sir Roland Hanna)
3. Blue Surge ブルー・サージ(Sir Roland Hanna) 
4. Sonnet ソネット(Sir Roland Hanna) 
5. Cameo カメオ(Sir Roland Hanna) 
6. Song For Bass ソング・フォー・ベース(Sir Roland Hanna)
7. I Love Bebop アイ・ラヴ・ビバップ(Sir Roland Hanna)
アンコール
My Heart Stood Still
 マイ・ハート・ストゥッド・スティル(Richard Rodgers) 


賢者の贈り物
 
サー・ローランド・ハナは、デトロイトが生んだピアニストとしては現存する最高のヴァーチュオーゾ、OverSeasで最も人気のある出演者です。<ピアノの魔術師>というキャッチフレーズも当店から生まれました。常連さん達はみな尊敬と親しみを込め「ハナさん」と呼びます。ハナさんは1932年生まれの70歳。2歳ですでに読み書きが出来、5歳の時、真冬の雪道で拾った音楽書を片手に譜面の読み方を習得、それを片手にピアノも独習しました。8歳でバッハやモーツァルト等を弾いたといいますから、天才児です。"A Gift from The Magi(三賢者の贈りもの)"というハナさんの曲がありますが、音楽はまさに天からの贈り物でした。11歳から正式にレッスンを受け、クラシック一辺倒であったローランド少年がジャズに引き込まれたのは13歳の時、デトロイト・ノーザン・ハイスクールの2年先輩であったトミー・フラナガンとの出会いがきっかけでした。その頃ハナさんフラナガンは中学の講堂の、たった1台のグランドピアノを占領する為、用務員が驚くほど早朝から登校し夕方遅くまでピアノの練習をしたといいます(その学校は職能優先でピアノの技術練習をしていれば出席を免除されたそうです)。生前のフラナガン「ローランドがいつもピアノを独占していてなかなか弾く事ができなかった」とこぼしていましたが、当時すでにプロであり、「彼はアート・テイタムの様に弾けた」ハナさんが語るトミー少年と、クラシック一辺倒のローランド少年、若き日の天才2人がピアノの取り合いをする情景をぜひ見物したかったものです。 

 共にデトロイトの気品と洗練さを兼ね備えたトップ・ピアニストに成長した2人のキャリアの比較は、今後の<寺井尚之のジャズ講座>に譲るとしますが、生涯自らの演奏に徹頭徹尾精進し、基本的に弟子を取らず、ブラックな音楽美を追求したフラナガンに対し、ハナさんは自らの音楽活動だけでなく、後進の育成にも情熱を持っています。クイーンズ・カレッジなど音大で教鞭を取るだけでなく、キャンパス外で優秀な弟子たちに共演のチャンスを惜しみなく与え、現在は愛弟子の新進ピアニスト、ジェブ・パットンを強力にプッシュしています。それは自分が天から授かった音楽という贈り物を、今度は自らが賢者(The Magi)となり次世代に与える重責を担う姿にも見えます。トミー・フラナガンから大きな遺産をもらった寺井尚之が、自分の生徒達にその財産を分け与えようと骨身を削る姿勢と共通するようにも見えます。

 もうひとつのハナさんの特徴は、クラシック音楽とジャズを同じ視点で捉えていることです。6月20日に新譜のジョン・ルイス集『MILANO, PARIS, NEWYORK』(ジョージ・ムラーツ.b、ルイス・ナッシュ.ds)が発売されましたが、ハナさんはクラシック音楽とジャズとの垣根を取り払ったルイスに大きな共感と尊敬を抱いています。
 
 さて、今日のメンバーは昨年6月と同じく
ハナさんの弟子、青森善雄(b)英明親子(as.ss.cl)、クリス・ロゼリ(ds)とのカルテットです。昨年はハナさんの素晴らしさと共に、他のメンバー達の爽やかさが印象的なコンサートになりましが、その後、2回のヨーロッパツアーを成功させ、ユニットのまとまりも更に良くなり、20歳になった青森英明君の進境が著しいという噂が入ってきていました。父青森善雄さんは、NYで活躍するプロ・ベーシストの顔と、実業家としての顔を持つ稀有なミュージシャンです。我等の兄貴分ジョージ・ムラーツに個人レッスンを受けていたこともあります。昨年NYのテロ事件の後、トミー・フラナガン夫妻ハナさん青森さんのデュオをニッカーボッカーズに聴きに来て、楽しいひと時を過ごしたと青森さんから伺った直後、11月にトミーが亡くなりました。訃報を聞き、どうしてよいやら右往左往していた日本の私達に、迅速にアドヴァイスをくれたのが、他ならぬハナさん夫妻青森さんでした。「皆が集まる葬儀に無理して日本から駆けつける必要はない。それより、葬儀の忙しさが一段落しダイアナが本当に寂しくなる頃に訪ねてあげなさい」と勧めてくれたのもハナさんでした。そして3月のトミーの誕生日に寺井尚之が行なったトリビュートコンサートの後、NYニュースクールで唯一トリビュートライブをしてくれたのも、ハナさんバリー・ハリスでした。ですから寺井にとって、今回のハナさんの来演は、お父さんが亡くなった後、初めて叔父さんと再会するようなもの。迎える私達の心の中には、前回とは全く違う感慨がありました。

最高の調律師
 いつもの様にピアノの調律完了後にやって来た一行、爽やかなニ枚目の
青森善雄さんを先頭に、皆さんとても元気そうです。現在もジュリアード音楽院に在学中の英明君は、あどけなさが消え少し大人っぽくなりました。クリスは昨年よりスリムになっています。ハナさんは昨年病気をして体重を10キロ落としたそうで、ひとまわり小さく見えますが、聡明な瞳の輝きは同じです。寺井の渡米中はヨーロッパツアーで留守であった為、2人は一年ぶりの再会を喜び合いました。開口一番、「ヒサユキちゃん、『Yours truly,』(注:寺井の最新CD)は良かった!素晴らしいトリビュートだ!」お褒めの言葉をもらった寺井は夏休みの宿題に満点をもらった子供の様な笑みを浮かべました。ハナさんはピアノを見て「おっ、ピカピカじゃないか、買い換えたのかね? 違うの? あれ、椅子が新しくなってる、いいじゃないか! 椅子は一番高くしておいてくれよ」とご機嫌です。ピアノに少し触ってから、名調律師川端さん「パーフェクト!」と宣言。寺井尚之に向き直って、「(川端さんを)彼は本当に素晴らしい!絶対に離しちゃいかんよ。」と絶賛していました。
 
 実は5月の寺井尚之−鷲見和広(ベース)のレコーディングでピアノのコンディションはかなりダウンしており、川端さん寺井は、レコーディング後、即今日に照準を合わせてじっくりと手間暇惜しまず調整し、今日は椅子までひっくり返し隅々まで入念にチェックしました。ハナさんはその努力をピアノに触った瞬間に見抜いたのです。川端さんにもさっきの寺井尚之と同じ最高の笑みがこぼれました。

 というわけで、ハナさんのサウンドチェックは数秒で完了。開演まで、珍しくハナさんとゆっくりお話をする時間が持てました。何はさておき、まずトミー・フラナガンの話です。亡くなる1ヶ月前にハナさんが自宅で開いたパーティで、トミーがエレクトリックピアノを弾いてくれた事、また病院で最後にトミーを見舞った時の事などを聞き、私は不覚にも涙がこぼれてしまいました。するとハナさんはきっぱりと、「私はトミーが亡くなってもちっともめそめそしていない。今までもコールマン・ホーキンスを始めとして多くの人の死に立ち会ってきた。私はこれからも頑張るよ」と言われました。私達にとって最高の励ましの言葉でした。

 そして、話題はハナさん新譜『ミラノ、パリ、ニューヨーク』へと移りました。これはジョン・ルイス作品集で、ライナーノートはOverSeasでおなじみの気鋭の評論家後藤誠さんです。多忙な後藤さんがライナー原稿の英訳を私に依頼し、ハナさんに原稿のチェックを大阪でされるよう伝えていたので、ハナさんも心待ちにしていました。レポート用紙に7枚びっしりという長尺の原稿を一語一句仔細にチェックした後、ハナさん「Good Job! よく書けてる。マコトは熱心な批評家だな。私の言った事を正しく記述している。とても誠実だ!」と、後藤さんに代わってお褒めの言葉を頂戴しました。

ハナさんの新譜ジャケット
ハナさんの新譜
『ミラノ、パリ、ニューヨーク』
(VENUS TKCV-35303)

さて開演
 前置きが長くなりました。今日はワールドカップの日本初戦があり当初客入りが大変心配されましたが、
横浜トミー・フラナガン愛好会石井夫妻、広島から7時前に駆けつけたダラーナ山本氏を含めた常連さんに加え、ハナさんの至芸を盗もうとピアノ教室の生徒さん達がずらりと顔をそろえています。また、ハナさんファンで有名な落語家、桂南光師匠夫妻も見えてにぎやかな客席です。
 
 そしていよいよ定刻5分過ぎに、寺井尚之にコールされトリオで登場しました。まず
ハナさんからご挨拶です。

「アリガトウゴザイマス!私は日本で演奏するのをとても楽しみにしていますが、とりわけ大阪のここOverSeasは、皆さんの温かさを感じて、演奏に喜びを感じる場所です。なぜなら私の敬愛するトミー・フラナガンにとって第ニの家のような場所であるからです。トミー・フラナガンがここに来はじめた頃、私にこう言ったんです、『この間海外(overseas)で演奏してね…』。で、私が『へえ、海外でね、で、何という名前のクラブで演ったんだい?』と訊くと、『だから"OverSeas"って名前のクラブなんだよ!』というような事で(笑)、私も、まもなくヒサユキと知り合いになり度々演奏に伺うようになりました。
 私は帰国後
トミー・フラナガンへのトリビュートアルバムを製作する予定でありますが、来日前に、もう一人の偉大なるミュージシャン、ジョン・ルイスの作品集を録音完了しました。多くの人は私とジョン・ルイスが音楽的に非常に類似している事に気づいていませんが、ジョン・ルイスは私が最初に影響を受けたミュージシャンです。1951年ディジー・ガレスピー楽団時代にジョン・ルイスを聴いて以来、私はずっと彼に尊敬の念を抱いてきました・・・これは彼に捧げた曲です」。

 水を打ったように静まり返った中、
ハナさんが単音のシンプルなメロディを弾き始めました。そのメロディにハーモニーが加わると、ツーンした和音の一音一音が一番奥のキッチン前にいる私をも直撃します。ピアノから一番綺麗な音色だけが抽出され、最高のヴォリュームで響きます。一点の曇りもない朗々とした響きに対比して休符で生まれる沈黙の深さには畏怖の念さえ覚えます。その昔アート・テイタムの生音もこんなだったのでしょうか? 堺筋本町の私達の小さなクラブは一瞬にして不思議な魔法に包まれました。無伴奏ソロにうっとりした私達にクリス・ロゼリのブラシが一振りされ、軽快にスイングするトリオの演奏になります。ハナさんはWooと唸り声を上げ、メンバーの士気を鼓舞、厳粛なムードから楽しいスイングへ色合いを変えて行きます。この曲『ジョン・ルイスの肖像』は、新譜の収録曲の中でもハナさんのお気に入りのトラックです。

 拍手の中、「スペシャルゲスト」と呼んで青森英明君を紹介。ソプラノサックスで、曲はハナさんのオリジナル『Tresures Lost(失われた宝物)』『A Gift from The Magi(賢者の贈り物)』というソロアルバムに収録されています。トレジャーは宝ですが、人でも物でもかけがえのないものがTresureです。亡くなったジャズの巨人達への追憶の曲なのでしょうか?少しはかなげでクールな音色のソプラノが哀愁のあるスインギーなテーマを取ります。ピアノソロになると、天井知らずにせり上がるハナさん節が何種類か飛び出し、会場全体が喜びで満たされました。

 拍手の終わった一瞬の静寂の後、ハナさんの好きなモネの絵を思わす神秘的なイントロが流れます。こういう入り方、心の掴み方はトミー・フラナガン寺井尚之と共通のものです。ワイルドなトーンのアルトが奏でたテーマは、なんとビリー・ストレイホーンの名曲『イスファハン』ハナさんデューク・エリントン作品集(ソロ)にも収録されており、同郷デトロイト出身の親友ペッパー・アダムス(bs)が癌で亡くなる直前、ハナさんがこの曲のレコードを見舞いに持っていったという逸話もあります。このうねる様なピアノソロは一部のクライマックスでした。私もこの曲を生で聴くのは初めて。ピアノの凛としてふくよかな音、ダイナミクスは、どんな高級なオーディオでも味わえません。ストレイホーン作品に内在する“華”のイメージが満開となった名演でした。

 続いて昨年も演奏された御馴染みのワルツの難曲、『レット・ミー・トライ』ハナさんが先にメロディを提示し、ソプラノの英明君にバトンタッチ、ソプラノサックスによる完璧な音程の背後で、絵描きが仕上げの筆を入れるように、ハナさんが強烈な陰影を付けて行きます。このダンサブルな演奏を聴くとカルテットの実力が昨年に比べ格段にアップした事を実感しました。ピアノのアドリブになると無伴奏ソロとなり、一転、絢爛としたロマン派の世界が現出します。ラストテーマで再びカルテットに戻り、ピアノのオブリガードが桜吹雪のように舞い散りました。
 
 
「デューク・エリントンは、愛する人たちの為に64曲のポートレイトを書いたと私に以前語りました。私もそれに倣い様々な人のポートレイトを作曲しています。これはサド・ジョーンズに捧げた曲です。」ハナさんは次の曲を紹介しました。初めて聴く『サド・ジョーンズの肖像』。作風はハナさんの一連のプレリュードの延長線上にあり、哀愁に満ちた曲です。デトロイト・バップの創始者サド・ジョーンズ(cor.arr.comp.)は、ハナさんの少年時代からのヒーローでした。後年ハナさんサド・メル・オーケストラで胸のすくようなプレイを展開し、ビッグバンドの概念を革新しましたが、オーケストラがコマーシャルな仕事を始めた時点できっぱり袂を分かったと言います。あれほどの天才でありながら、一旦はアメリカを捨て突如デンマークに本拠を移したサド・ジョーンズ。この曲に漂う悲しさは、そんな天才ならではの孤独感を表現したものなのでしょうか?

 続いてやはりソプラノで、シンプルで可愛い3拍子の曲『マイ・シークレット・ウイッシュ』が続きます。これもソロアルバム『A Gift from The Magi』に収録された作品です。ピアノソロでの下降するきらびやかな3連符は、寺井尚之もよく使うウルトラCで、親近感を感じました。

 このあと1部は、昨年も演奏した『Forget About April(四月のことは忘れろ)』という、『I'll Remember April(四月の思い出)』の進行を元にハナさんが書いたオリジナル曲で終了しました。
 
 今日は
ハナさんの希望で1部はアンコールなし。休憩時間はピアノ教室の生徒さん達を含めたファンの皆さんがCDを持ってハナさんの前に長蛇の列。とにかくピアニストが多いことと、ハナさんが覚えている常連の皆さんの懐かしい顔を沢山発見し大満悦、一人一人に声をかけていました。2部になると勉学の為ピアノ教室休学中の医大生、進三君アチコちゃんが、和歌山大のジャズ青年を大勢引き連れてやって来て会場は更に若い熱気に包まれました。寺井尚之ジャズピアノ教室の生徒さん達を、現在の練習曲と共に紹介すると、殆どがタッド・ダメロンサド・ジョーンズの曲で、とうとう「デューク・エリントンも忘れるな!」と喝を入れられました。 
 
 さて2部は待ちに待ったソロからスタート。
「これからソロで演奏をいたします。まず『ディープ・パープル』と、デューク・エリントンの『アジュール』を。どちらが先か後かは聴いてからのお楽しみであります。ともかく、ディープ パープル(濃紫)とアジュール(青)に於ける即興演奏を…」ハナさんがアナウンスしました。偶然ですが、寺井も5月に『ディープ・パープル』を録音しました。アジュールは空や海の青を表現する言葉です。『アジュール』の断片を思わせるモチーフが段々曲の形になったと思った途端、いつの間にか『ディープ・パープル』へと移り変わり、さりげなく転調され、紫の色合いが微妙に変わります。すると再び光が揺らいで気が付くと『アジュール』に移行しています。太陽の位置や雲の動きにゆらめく海の色、空の色、青から濃い紫への色合いの無限の変化が音楽で見事に表現されます。それはまさしく2002年の印象派音楽です。2つの曲を順番に演奏するメドレーではなく、2つの曲を合体させて1つのテーマにするというのは、やはりハナさんならではの魔術。大海原に漂うヨットでたった一人、海と空だけを見て幾日も過ごしたような充実感です。会場はこのピアノの魔術に圧倒され、曲が終わってもみな息を呑んでいます。しばらくして感嘆のため息と割れんばかりの拍手に会場が包まれました。

 次はカルテットとなり、ハナさんが再び青森英明君をスペシャルゲストと紹介します。「なぜスペシャルなのかというと、14歳の時クラリネットを吹いている彼を発見し、私から一緒に演奏しようと誘ったからであります」と最大級の賛辞で英明君を紹介しました。曲は、これも寺井が5月に録音した『ジス・タイム・イッツ・リアル』。曲名を聞いた途端、最前列の児玉さんがまるで自分の出番であるかのように、なんとも言えぬ表情で顔を紅潮させたのが印象的でした。実は、ハナさんはこの曲を寺井尚之が録音した事と、最前列の児玉さんの練習曲だという話を聞きプログラムに入れたのでした。こういう所も寺井尚之と同じです。前回のレポートにも書いたように、恋多き女性フレンチホルン奏者の言葉から作った美しい曲ですが、件のホルン奏者はハナさんがこの作品で自分の恋愛を暴露した事に大変憤慨したそうです。長らく演奏していなかったようで、演奏前に青森さん達も緊張していました。クラリネットの英明君が奏でると、むしろ初々しい乙女の初恋の様でしたが、ハナさんのソロになると、その女性は急に成熟し、甘い香りを放つロマンチックなモチーフが次々に現れ、独壇場となりました。

 さて、ここで再びハナさんが話し始めます。
「私達は皆、音楽的にロシア人作曲家に負うところが大であります。スコット・ジョプリン、ジェリー・ロール・モートン、ジェームズ・P・ジョンソン、ユービー・ブレイク達の時代に、1人のロシア人作曲家がおりました。彼の名はサージ・ラフマニノフ。当時彼の偉大さを知っているのは、ほんの僅かのロシア人の音楽教師のみでした。(註:ハナさん達の少年時代のデトロイトには、ナチの戦火を逃れヨーロッパから移民してきた優秀な音楽家達が多数音楽教師として教鞭を取り、彼らの優れた音楽教育が、デトロイトから大量のミュージシャンを輩出させる一因となったと、かつてハナさんは語りました。)ラフマニノフは物凄い大男で、手もまた巨大、殆どこの譜面と同じくらいでした(とB4サイズの譜面を指差します)。彼を初めて見たのは、デトロイトのフリーメイソン教会での音楽会で私が10歳か11歳のころでした。当時ラフマニノフは64歳であったと思います。彼の音楽は身体以上に大きなもので、私を含めデトロイトのミュージシャンの多くが、大きな影響を受けております。次の曲はラフマニノフに捧げた曲、『ブルー・サージ』です」。

 これも初めて聴く曲です。きらびやかな前奏から紡ぎ出される音、ハナさんの息遣い、高揚感に溢れるピアノソロを聴くと胸が一杯になります。寺井尚之ハナさんの後方より伸び上がって必死の姿勢、やれやれ、また肩こりがひどくなりそうです。カルテットになると緊張をほぐすかのようにボサノバで、クラリネットがテーマを取ります。アドリブに入ると、中音から高音域をまたがるクラリネットでは至難のパッセージもなめらかにソロが披露され、ハナさんは、もっと羽ばたけといわんばかりにバックであおりながら飛行速度を設定、変化に富む演奏となりました。

 次の曲もまたハナさんの解説付きです。
「昨年私は、NY北部郊外で毎夏コンサートを開催する、リーフ・ピープルズと名乗る団体にある依頼を受けました。リーフピープルとは野外で木々の葉の色を愛でる人々という意味だと思いますが、素晴らしい人達です。1890年代後半の有名な女性詩人のある詩に因んで組曲を作曲して欲しいというのでした。私はその詩を読み、2、3カ月構想を練り作曲に取り掛かりました。書けば書くほど熱中し、組曲の内の一曲が飛びぬけた出来になった思っています。完璧なジャズでありながら、純クラシックなアリアのサウンドの作品です。これに匹敵する曲を書こうとすれば、後7年はかかるでしょう。その作品『ソネット』を演奏いたします。」

 スローテンポで、グリークを思わせるような壮大なメロディをクラリネットが奏でますが、ブリッジの部分で、
ハナさんが強いオブリガートを入れた瞬間、サウンドの色が変わり、その後もピアノが魔法の杖を一振りするたびに、どんどん色合いが変わって行きます。こういう所をアリアのサウンドと表現したのでしょう。アリアと言うと意味が広いですが、ハナさんがここで言うアリアは、オペラの華、オペラのクライマックスで歌われる独唱曲のことです。歌うほどに、舞台がパノラマの様に変わるようなドラマチックな曲のことです。アリアはハナさんの音楽的理想の一つで、新譜ジョン・ルイス集のベストトラックは、ジョージ・ムラーツの弓とピチカートを巧く使ってアリア的世界を創造出来た『ペルージア』であると自薦しておられました。因みに私は、アリア的な演奏といえばOverSeas水曜のハイライト、寺井尚之&鷲見和広による『アイ・ウオント・トゥ・ステイ・ヒア』(from ポーギー&ベス/ ガーシュイン)を即思い浮かべます。

 続いてちょっとモンク的なブルース、『カメオ』(珠玉の短編)。イントロにハナさんの左手で繰り出されるベースラインは、強烈にスイングしていて、まるで、カルテット全員に乗った船をぐいぐい進める力強い船のこぎ手、同時に優等生に不良の作法を教える番長のようでもあります。青森英明君のクールなアルトの音色は、クリーンなアート・ペッパーのようです。ハナさんは自分のソロになると、物凄く速いオクターブ奏法をくりだし、ガオゥと唸りました。続く善雄さんのベースソロ、くぐもった音色で渋い感じ、もう1コーラス聴きたかった。

 「次はヨシオ・アオモリの為に作曲した、『ソング・フォー・ベース』です」ハナさんが紹介し弾き始めたブルージーでファンキーなイントロ、スゴイ!と、思いきや「あ、違った、こりゃ『アフター・アワーズ』だった」とフェイントをかけ仕切りなおし、青森善雄さんの弓の音色が生かされた変則ブルースです。ハナさんのオブリガートが強烈にスイング感を煽ります。ピチカートのソロを取る善雄さん「Yoshi!」ハナさんがコール、会場は大喝采です。

 最後は『アイラブ・ビバップ』、このカルテットのアルバムのタイトル曲です。アルトからバップフレーズが次々と繰り出され、盛り上がったところでハナさんのソロは無伴奏、力強い左手のストライドから、天井知らずにせり上がる、ハナさん独特の魔術フレーズや、テイタムの秘技も飛び出しエンジン全開、ベースからドラムと全員にソロを回し、非常にこなれたプレイで締めくくられました。会場は1年ぶりのカルテットの成長に感激!やんやの声援、総立ちの拍手です。

 アンコールは勿論ピアノソロで、『マイ・ハート・ストゥッド・スティル』フランク・モーガン(ts)が名ピアニスト達と作った名盤『You Must Believe In Spring』ハナさんのピアノソロで収録された、寺井ハナさんで最もお気に入りとするトラックです。普通Fで演るのを、ハナさんはA♭で演ります。A♭がハナさん好みの音の色なのでしょうか? 会場は再び息を呑み、心臓の鼓動を忘れるほどという曲のタイトル通りになりました。寺井尚之は覗き込む後姿に力が入っています。ピアニッシモでも朗々と響くピアノ、次々と繰り出されるウルトラC級の技、左手で表現するゆったりした鼓動が乱れて行き、どんどん速まり遂には激しい動きのアルペッジオに次々と変化し、その心臓の鼓動のもとで、恋と夢を語る右手が、大オーケストラよりも壮大なドラマ世界を作り出します。小柄なヴァーチュオーゾの桁外れに大きなソロ演奏は、充実感と余韻が残り、終わって見ると、魔法が解けたかの様に、今までのドラマは一瞬の炎の様な出来事であったのか、それとも長い夢であったのかも判然とせず、ただただうっとりするばかりでした。

 ブラヴォーの歓声の中、ハナさんは、感動に目を潤ませる若きピアニスト達の肩を叩いて激励しながら退場していきました。

終演後のハナさん
 終演後のディナーの時も、
ハナさんラフマニノフの手の大きさや彼のコンチェルトの話、そこから、ユービー・ブレイクアート・テイタム達の手の話、ジョン・ルイスセロニアス・モンクのピアノ奏法の比較など示唆に富む話を聞かせてくれ、夜は更けていきました。

 今夜、熱心なピアニストが余りにも多かったのに大いに触発されたハナさんは、いつかここで、学生達の為に講演をして、質疑応答をするインターアクティブな機会を持ちたいという強い希望を持っています。その講演は奏法解説ではなく、音楽とは何か?というピアニストだけでなく私達リスナーにとっても聞き逃せない根本的なテーマにしたいということでした。

 翌朝、ハナさんは定刻よりずっと早くホテルに迎えに行った我らが送迎部長むなぞうくん(彼もピアニストです)を朝食に誘い、クラシックとジャズを全く区別しないハナさんの音楽観や、むなぞうくんがこれから聴くべき音楽について、出発時間を惜しみながら30分余り色々語ってくださったそうです。むなぞうくんのピアノ人生に於いて最大のパワーブレックファストとなりました。

 バンドスタンド上のプレイのみならず、ピアノの椅子を降りても、少しでも音楽の素晴らしさを伝えるため、真心と情熱を持って接してくださるマエストロ、サー・ローランド・ハナ。その努力を無にしないようにOverSeasも全力でハナさんの情熱を受け止める努力をします。

 ジャズ界を代表する巨匠ピアニストと、弟子たちのカルテット。そして、ハナさんの講演会もOverSeasは心から楽しみにしています!我等がオジキ、ハナさん、また来て下さい!


(左から)寺井珠重、寺井尚之、サー・ローランド・ハナ


1978年製作のソロアルバム
A Gift From The Magi(West 54 WLW 8003)
残念ながらCD化はされていません。
管理人は昨年お茶の水のディスクユニオンで中古LPを見つけました。

ハナさんのホームページhttp://www.rahannamusic.com

掲示板から
今年もハナさんが聴けて幸せ
投稿日 6月5日(水)01時31分 投稿者 管理人
ワールドカップの日本対ベルギー戦もなんのその、超満員のお客さんが集まった今夜のライブ。内容も1年前に初めてこのカルテットを聴いた時よりずっと凄かった。昨年はハナさんの体調不良が気になりましたが、今日はもうとてもお元気で強烈なプレイを連発、本当にうれしかったです。青森善雄さんに再会できたのもうれしかった。

また、終わってから運良くハナさんと初めて2人で長い時間話すこともできました。私の拙い英語力におつきあいさせて申し訳なかったですが、ハナさんが自分のベストだと認める名盤『24のプレリュード』のこと、エディ・ロックさんのこと、コールマン・ホーキンスのことなど、半分くらいしか理解できてませんが、いろいろ貴重な話を聞かせていただきました。そうそう、元ハナさんの生徒である竹田さんの話もしました。

私のカメラを見て、「それデジタルカメラだろう?今日たくさん若い女の子と写真を撮ったけど、ウチにメールで送ってこないでくれ。ワイフに怒られるから」と茶目っけたっぷりに言っていたハナさん、あと20年は毎年OverSeasで演奏してほしいですね。


今日のコンサート
投稿日 6月5日(水)02時40分 投稿者 寺井珠重
さっき帰って夜食を食べたところです。管理人さん、片付けとテーブル運びまで手伝ってもらってすんませんでした!

今日は満員盛況、特に、遠来のファンや、ピアニストの弟子たち、はるばる小遣いをはたいてやって来た学生たち、またいつものOverSeasの常連に再会しハナさんも大喜び、終演後、“本当はもっと音楽についてバンドスタンドで語りたかった。”と言ってはりました。ハナさんも70歳、これから30年も弾き続ける事は多分無理、それならば、この瞬間を楽しみたいと思う気持ちで胸が一杯になった夜でした。ソロの名演、また青森さんたちの進境も著しかった今回のコンサート!
続きはLIVEレポートで!それから20日には、ハナさんの新譜、ジョン・ルイス集も発売されます。(G先生、ハナさんはあのライナーノートを読みふけり、満足しておられました。)
むなぞうくん、金ちゃん明日は送迎宜しく。


送迎無事完了!
投稿日 6月5日(水)21時28分 投稿者 きん だいご
といってもほとんどむなぞうさんが仕切ってやってくれたのですが、今回は一生に1度あるかないかの(来年できれば2度)貴重な体験をさせてもらいました。師匠、ありがとうございました。目の前にいるこの人があのサー・ローランド・ハナやねんなと思うと何を話せばいいやら・・・。緊張のあまり頭ん中真っ白でした。
最後のアンコールのピアノソロでは感動のあまり泣きそうになりました(目はうるんどったけど)。
また来年も必ず来てほしいと思います。


My Heart Stood Still
投稿日 6月6日(木)01時20分 投稿者 管理人
浪速のハリー・ポッターを涙ぐませたアンコールのピアノソロは、"My Heart Stood Still"。ああ、この曲なんていうタイトルやったかなあ、とついに出てこなかった自分が情けなかった。フランク・モーガンのリーダー作『You Must Believe In Spring』の8曲目になぜかハナさんのソロでこの曲の素晴らしい演奏が入っています(もちろんCDより昨夜の生のほうが良いけど)。

ちなみに同じアルバムの3曲目にはこれまたなぜかトミーさんのソロで"With Malice Towards None"が入っており、その名演は寺井師匠をして「これなしでは生きていけない!」と言わしめているほどです。<第1回OverSeasパーティ>のクイズコーナーでも「寺井師匠が日曜日の夜に必ず聴く3曲は?」という問題で出題されていて、上記の2曲プラス、トミーさんのジャズパー賞受賞記念アルバム『The Jazzpar Windtet』の7曲目に入っている"But Beautiful"、または、ビリー・ホリデイの『Jazz At The Philharmonic』の12曲目に入っている"You Better Go Now"が正解です。

↓↓↓持ってない人はワルツ堂カリスマ店に行ってカリスマ三村氏に注文しましょう。
http://flanagania2.hoops.jp/waltzdo/new_waltzdo.html


元気で良かった、ハナさん!
投稿日 6月5日(水)23時24分 投稿者 motodorakai
生真面目,真剣と言う言葉がそのまんまあてはまる青森さん父子に切れ込むが如く、溶け込んで行くハナさんのピアノ、本当に素晴らしかった。青森父は前回よりも余裕を見せた力強いベース、青森子はより成長して落ち着いた、そして重心が低い安定しているスイング感に酔いしれた昨夜でした。
ハナさんの体調が心配でしたが、お元気な御様子で安心!今後も元気で活躍される事を期待します。
アンコールの後、寺井ママとハナさんの抱擁シーン、ほのぼの、ほのぼの・・・


お答え
投稿日 6月6日(木)01時57分 投稿者 寺井尚之
沢山来た生徒の皆さん、何で感想を入れないの?
トミー・フラナガンが亡くなる迄、どの時期が全盛期かを言わなかったように、この場でわしはハナさんに対しての感想は述べない。ハナさんの体調を知る自分にとって、昨日のコンサートは最高のものであった。出てくる音、一つ一つに、今まで聴いたハナさん自身の音と、それとは別にトミー・フラナガンの音が、思い出された。なんとも説明のしがたい一夜であった。簡単に言うならば、トミーは父でハナさんは叔父。年齢を感じさせられた。わしなんか、もう2-3年の命かもわからん。ハナさんの、あの両手のバランス、タッチのフィニッシュ、ピアノの鳴らし方。自分のピアノで弾いてもらえる幸せは世界中のどのピアニストにも味わえない究極の幸せ!これがわしの財産。
むなぞう、トミーをホテル迄送ったし、今日もハナさんに色々教えてもうたやろ。
金も手伝いさせてもらえたやろ、一生忘れるな!
おわり


ハナさんの貴重なお話
投稿日 6月6日(木)02時01分 投稿者 むなぞう
昨日のハナさんは、気合い十分でしたね。その圧倒的な音の豊かさに何度も鳥肌が立ちました。青森さんたちも、ハナさんのリードにうまく乗って、暖かい演奏を奏でていて、とてもよかったです!

ところで今朝、ハナさん一行を伊丹空港までお送りさせていただいたのですが、その際、とても貴重な経験をすることができました。出発予定時間より早めにホテルのロビーに着くと、ちょうどハナさんも荷物をもって出てきたところでした。挨拶を交わすとハナさんは、「今から喫茶室で朝食をとるけれど、君も一緒にどうか」と誘ってくださいました。それから出発までの約30分ほど、ハナさんはそこでいろいろな貴重なお話をしてくださいました。

昔と違いジャズが大学などで教えるべき対象になっている現在のジャズ事情、トミー・フラナガン氏のこと、アート・テイタムやテディ・ウィルソン、ナット・キング・コール、ジョン・ルイスetcからクラシックまで、ハナさんが「誰か一人というのではなく、たくさんのたくさんの音楽家」から影響を受けていること・・・など。なかでも印象に残ったのは、「世界中にはピアノを演奏する人はたくさんいて、優れたピアニストも多い。その中で長年ピアニストとしてやっていくのは、私にとって簡単なことではない。でも、フラナガン氏にとってそれはたやすいことのように私には思えた。・・・彼は高校生のときにすでに、アート・テイタムと同じように弾くことができた。」

英語にしても音楽に関しても未熟な私には、ハナさんの言ったことすべてを理解することはできなく、私よりももっと理解力のある方々に聞いてもらいたかったという気持ちで一杯です。私がホテルに着いたほんの数分後にやってきた金ちゃんも後でその話を聞いて悔しがっていました。

過密スケジュールにもかかわらず、疲れも見せず次の演奏地へと旅立っていったハナさん一行。来年もまたOverSeasに来たいとおっしゃってました!


ハナさん、すごかった!!!
投稿日 6月6日(木)22時36分 投稿者 m.m
昨年来られた時は、少しお疲れだったようで心配でしたが、そんな心配は無用!
ものすごいパワフルな演奏に圧倒されてしまいました。
青森さん息子さんは一年間で大きな進歩が感じられ、お父様はスマートな演奏に時折息子さんを見る優しい顔、そしてブラシの棒の先でいろいろに演出し、時折耳に心地よいトライアングルを混ぜて完璧サポートのクリス・ロゼリさん・・・
そして、ハナさん、サイコー!!!どう表現すればいいのか、七色の音色で観客をグイグイひき付け、最後のソロはもう感激!・・2セット熱演した後なのに、更にあんなパワフルな演奏ができるなんて!!!なんか、いっぱい、いっぱい我々に伝えたい事があるんだよ〜と言っておられたようで、感動でした!!!来年も、是非お元気に来日されて素晴らしい演奏を聴かせていただきたいです。
むなそう君、金ちゃん、素晴らしい経験をさせてもらえて良かったね!


HANNAさん、素晴らしかったです。
投稿日 6月2日(日)19時09分 投稿者 お江戸いくら子
遅れてしまいましたが、昨夜、東京でにHannaさんに会いに行ってきました。1番のりって感じでpianoが目の前の席に座ることができました。そして、しばらくするとG先生ともばったり久しぶりにお会いできたのでした。1番最初にひょこひょこ出て来られたのが、HANNAさんでした。HANNAさんが一人づつ紹介するような形で、スタートでした。後で聞くとどうやらいつもは、進行役の方が案内されるようでした。そして・・・もうすっごい素敵でしたよ。と、省略すると怒る?

実は前回、コンサートの時には遠い席のせいもあり、疲れてる様子もあり、心配していたのですが、全くそんな感じはなく全身でパワフルで、いつもの奇麗な響きに、指は動く動く、両手同じ位置で上になったり下になったり、鍵盤の上から下まですべて使いまくり、重音は広がりを感じ、Saxとユニゾンを奏でるとSaxの音に優しい厚みが加わり・・・感動です。

1stの5曲目だったかなぁ。ピアノソロでスタートした曲では、いつものHANNAさんワールドが聴けて、超ラッキーな席に感謝です。いつもHANNAさんの音には感動させられます。音が重なるぎりぎりで次の音にバトンタッチされて、そこから厚みあるクリアーな響き、指の動きを見ても私には当然わからない、少々押さえつけるような弾き方に見えるのに・・・なんで弦に響かせる事ができるのか?あ〜ん、もっと聴きたい〜と、2ndまで聴いちゃいました。実はHANNAよりだんごの計画もあったんですけどね。(失礼しました)   

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