ライブ・レポート:Akira Tana at OverSeas, 2015 9/8

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左から:寺井尚之(p)、アキラ・タナ(ds)、宮本在浩(b)

 東日本大震災復興チャリティのために結成した日系人+在米邦人のスーパーバンド、「音の輪」を率いて第三回東北応援ツアーを敢行した後、関西、東京と、様々なフォーマットで連日演奏、各地で大きな感動を巻き起こしたドラムの巨匠、アキラ・タナ。

 9月8日は、OverSeasに詰めかけた沢山のアキラ・タナ・ファンのために、寺井尚之(p)、宮本在浩(b)とのトリオで出演!OverSeasのライブ史に残る名演奏になりました。

 口コミで評判が広がり場内は超満員、中には遥か熊本からのお客様も。現在、外務省の招聘教員として、神戸で

rp_primary_Tana_UAA_2-24-14.jpg教鞭をとるアキラさんの愛息、Ryan さんがジャズピアノ修行中の友人達を伴って、応援にやってきました! トランペット奏者でもあるRyan Tanaさんはアジア系アメリカ人 アスリートの名鑑に載っていて、ついこの間まで、全米有数の名門校NYU(ニューヨーク大)の強豪バスケ・チームの主将として大活躍していた名選手です! 

 

 <ドラムは歌う>

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 さて、今夜の演奏曲目は、ピアニスト、寺井尚之ゆかりのデトロイト・ハードバップ、アキラさんと共演したジミー・ヒース、J.J.ジョンソン、ベニー・ゴルソンたちのオリジナル、それに緩急自在のスタンダード曲、そしてアンコールは「音の輪」に因んだ日本のメロディー。アキラさんの実力をよーく知っている寺井尚之が、一夜限りの自由闊達な即興演奏のグラウンドになるようなプログラムを虎視眈々と組み立てていました。

  過密スケジュールで約3週間、ゆっくりする間のないアキラさんの為にリハーサルは一切しません。だって、並のプレイヤーなら崩壊不可避のややこしい小節の曲もノー・プロブレムの名手ですからね。「ドラムが演奏を作る」というマイルズの言葉通り、各人にスーパープレイ続出、笑顔でプレイするアキラさんの度肝を抜いたろう、とばかりに、演奏曲に因んださまざまなリフを入れて仕掛ける寺井尚之、返す刀で悠々と続きを叩くアキラさん、倍音に満ちたフォルテッシモから、ピアニッシモの囁きまで、ダイナミクスも三位一体!子犬のようにじゃれ合っていたずらを繰り返す二人の会話は、往年の浪速のお笑い芸術、やすきよ漫才を思わせる歯切れの良さ、華麗なドラミングの最中にも、ピアノのほんとうに小さな一音もかき消されることなくクリアに聴こえてくるのがミラクル!ベテランの間に挟まれたベーシスト、宮本在浩ならではのクールな仕切りも見事で、久々に来てくださったお客様は、彼の成長ぶりに舌を巻いていました。

 今回、最も印象に残ったナンバーは、3rd Setの”It Don’t Mean a Thing (スイングしなけりゃ意味が無い)“、意表を突く超スロー・テンポでスタートして、倍ノリ⇒倍テンポ⇒4倍ノリ⇒4倍テンポから逆方向へ、次から次へのシフト・チェンジ、まるでスイング感のジェット・コースター!満員の客席がどよめきました。

akira_tana_ippei_suga98_n.jpg 一方、ドラムに一番近い席で見ているメインステムの菅一平(ds)さんの横顔は、表情のデパート。演奏テクニックとドラムの”耳”の使い方、音楽の組み立て方・・・どれほど沢山学べたことでしょう。今回一番お得だったのはイッペイさんかも・・・(左写真)

 ””Project S”や”Sassy Samba” といったヒース・ブラザーズのナンバーがコールされるだけで大拍手、それはジミー・ヒースの音楽を聴きこむお客様。ミュージシャンが多いOverSeasならでは!ということで、私もちょっぴり鼻が高いです。(下右の写真は。ヒースBros時代のアキラ・タナ)

 アンコール”どんぐりころころ”は、「リズムチェンジで演るとおもしろいんだよ~!」というアキラさんの一言からレパートリーになった曲、寺井は「こういう曲こそ、大阪ならではのヴァージョンにせないかん。」と、歌詞が大阪弁に聞こえるメロディーになるよう少し修正して音楽劇に仕立ててしまいました。”どんぐり”=宮本在浩(b)、”どじょう”=アキラ・タナ(ds)、”横で見てるおっちゃん”=寺井尚之(p)という配役で、ベースの弓が”どんぐりころころ どんぐりこ”とおごそかに歌い出すと、会場は大爆笑!テーマが終わると、ピアノのシングルトーンが真珠の粒のように転がりだして、切れのよいドラムのビートが噴出、童謡の世界が、ビバップのロマン派世界に一変!コンサートもめでたし、めでたしでした。

 最後に ”OverSeasはHome Away from Home”とアナウンスをしてくれたアキラさんに喝采は止まず。

 次回は来年の4月頃にまたOverSeasで名演奏が聴けそうです。次回もどうぞ宜しくお願い申し上げます。 

 

=演奏曲目=

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  • Bitty Ditty (Thad Jones)
  • Out of the Past (Benny Golson)
  • Epistrophy (Thelonious Monk)
  • Lament (J.J.Johnson)
  • Eclypso (Tommy Flanagan)

<2nd>

  • Beats Up  (Tommy Flanagan)
  • Beyond the BlueBird  (Tommy Flanagan)
  • For Minors Only (Jimmy Heath)
  • If You Could See Me Now (Tadd Dameron)
  • Project ‘S’ (Jimmy Heath)

<3rd>

  • Perdido (Juan Tizol, Duke Ellington)
  • It Don’t Mean a Thing (Mercer Ellington)
  • Commutation(J.J,Johnson)
  • In a Sentimental Mood (Duke Ellington)
  • A Sassy Samba (Jimmy Heath)

Encore: どんぐりころころ@大阪 version:2015 9/8

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