The Mainstem7月PartⅡ、天神祭の賑わいから離れた路地裏で、ゆっくりジャズを楽しんでくださって、どうもありがとうございました。
≪セットリスト≫
<1st>
1. Bitty Ditty ビッティ・ディッティ (Thad Jones)
2. Eronel エローネル (Thelonious Monk)
3. Commutation コミュテーション (J.J.Johnson)
4. If You Could See Me Now イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ (Tadd Dameron)
5. Sid’s Delight シッズ・デライト (Tadd Dameron)
<2nd>
1. Walkin’ ウォーキン (Richard Carpenter)
2. Our Love Is Here to Stay わが恋はここに (Ira & George Gershwin)
3. Don’t Blame Me ドント・ブレイム・ミー(Jimmy McHugh, Dorothy Fields)
4. For Heaven’s Sake フォー・ヘヴンズ・セイク (Sherman Edwards/ Elise Bretton / Don Meyer)
5. Cup Bearers カップ・ベアラーズ (Tom McIntosh)
<3rd>
1. Thadrack サドラック (Thad Jones)
2. Misterioso ミステリオーソ (Thelonious Monk)
3. Elora エローラ (J.J.Johnson)
4. Goodmorning Heartache グッドモーニング・ハートエイク (Ervin M. Drake , Dan Fisher / Irene Higginbotham )
5. Project “S” プロジェクト”S” (Jimmy Heath)
Encore: Star Crossed Lovers スタークロスト・ラバーズ (Billy Strayhorn)
この夜は、「7月」の季節よりも、OverSeas的「旬」の曲が並びました。生徒たちのセミナーで聴いた曲(1-4, 3-4)、先日のジャズ講座でカムバック時のプレイを聴かせてくれたトロンボーンの神様、J.J.ジョンソンのレパートリー(2-1:『 J.J. In Person』 2-2: 『Dial J.J. Five』 2-4: 『First Place』 3-2: 『J.J. In Person』)やJ.Jのオリジナル曲(1-3, 3-3, )を軸に、デトロイト・ハードバップの名曲を絡め、締めくくりはThe Mainstemの持ち味を最高に活かすジミー・ヒース(ts,ss,fl)の作品、ジミーによれば Project “S”の”S”は、SWINGの”S”、文字通り、息もつかせぬリズムの変化でといことんスイングする強烈なプレイが聴けました。ホーンのいないピアノ・トリオで、あれだけのダイナミズムを出すのはすごいなあ。小柄なジミー・ヒースは「リトル・ジャイアント」と言われているけど、The Mainstemはリトル・ビッグ・バンドみたいにかっこよかった!宮本在浩(b)、菅一平(ds) Good Job!
最近、チャーリー・パーカーの「Confirmation」にチャレンジする若者が増えて頼もしい限りですが、<1-3: Commutation>は、Confirmationをトロンボーン仕様にJ.J.ジョンソンが書き換えたバップ・チューン、「Commutation」は振替という意味、また直流から交流に変換する意味の電気の用語でもあるらしいから、いかにもメカに強いJJらしいギャグですね。詳しくは講座本の第一巻を読んでみてください。
今セット・リストを書いていて気づいたのですが、今夜の作詞作曲クレジットは偶然「わけあり」が多かった。
1-2の”“エローネル”“の作者クレジットはモンクになっているけど、モンクのバンドにいたトランペット奏者のアイドリース・シュリーマンによれば、元々シュリーマンとサディック・ハキム(p)の共作で、サビのメロディを一音だけモンクが替えたものだと主張しています。「Eronelは僕のガールフレンドの名前、レノア(Lenore)のスペルを逆にしているのが何よりの証拠、なんでモンクのような偉い人が人の曲を横取りするのか理解できない。」と証言しています。(“Swing to Bop” Ira Gitler著より)
“ウォーキン”(2-1)の作曲者はリチャード・カーペンターになっています。(あの「カーペンターズ」のお兄さんじゃないよ。)でも実のところ、カーペンターは音楽家ではなく、編曲家のエージェントや版権会社をやっていた業界人。タッド・ダメロン、ジミー・マンディなどのエージェントをやっていて、カーペンターに上前をはねられたジャズメンは数知れず。クライアントの作品を自己名義にしていたんですね。チェット・ベイカーはカーペンターを「一回殺したろか」と思ったほど搾りとられたらしい。『J.J. in Person』ではナット・アダレイのコルネットの魅力が炸裂して、マイルス・デイヴィスのヒット・バージョンよりずっと魅力を感じます。この夜のThe Mainstemのプレイも最高でした!寺井尚之はWalkin’の作者について、「ほんまはタッド・ダメロンちゃうかな?」と言ってる。
ビリー・ホリディの名唱で、最も有名なジャズ・バラード、3-4にクレジットされているアイリーン・ヒギンボサムは、”Some Other Spring”などホリディの持ち歌を作ったアイリーン・キッチングス(テディ・ウイルソンの元妻)と同一人物であるとされてきました。結婚相手が変わって、姓が変わったと言われていたんです。ところが、ここ数年、二人のアイリーンを知るアイラ・ギトラーの証言などから「グッドモーニング・ハートエイク」のアイリーンは、スイング時代の有名なトロンボーン奏者、JCヒギンボサムの姪でありピアニスト、後に政府機関で公務員として勤務していた女性であり、キッチングスとは別人だと分ったんです。
ヒギンボサムもビリー・ホリディの友人でありピアニスト、1918年生まれで、ジャズ界にいたのは短かったようです。88年まで存命だったのに、ずっとキッチングスと同一視されていたとは・・・ジャズ界でも女性は軽視されているのかな?
寺井尚之のきらめくタッチ、宮本在浩(b)の精妙なライン、菅一平(ds)のダイナミズム、この夜のThe Mainstemはスリルも情感もあって、とっても楽しかった!
8月のThe Mainstemは15日(土)&28日(金)!ぜひお越しください!
CU
珠重さん、おはようございます!!
今回も曲目リスト、読み方も書いて下さって、曲の由来などたくさん教えて下さってありがとうございます!!
英語の綴りが判らないときにもすぐに判るのでとても感謝しています!!
本当の作曲者の事、すごく興味を持ちました。
リチャード・カーペンターさんは本当に作った人の曲を横取りするなんて恐ろしい人だなあ。。。なんかチャーリー・パーカーさんの気持ちがすごくわかるような気がします。
けど、珠重さんが書いてくださったように「本当の作曲者はこの人」ってわかっている人がたくさんいらっしゃるから、少しホッとします。
Walkin’は大好きな曲なので、師匠のおっしゃている、「タッド・ダメロンさん」が本当に作曲した人って思うことにします!!
そこで、気になることが、、、Star Eyesの作曲者、ジーン・デ・ポールさんはこの曲の本当の作曲者なんですよね?(^^;)
珠重さん、曲の事やアーティストの事、いつもていねいに教えて下さって
とても感謝しています!!!
ありがとうございます!!!!!
またこれからもいっぱい教えてください。
よろしくお願いします!!!
みゆき☆
みゆきさん 早起きですね!
作者の真偽は、ジャズに限らず、ルネサンスよりも昔から、アテになるものではありません。
Star Eyesの作者はたぶんデポールさんです。Never Mind!
これからもThe Mainstemをよろしく~
珠重さん
こんばんは!
返信メッセージありがとうございました!!!
Star Eyesの作曲者ジーン・デ・ポールさんで良かったです!!
また明日ライブとても楽しみにしています!!
今からピアノ練習がんばりま〜す!!
珠重さん、いつもありがとうございます!!!!!
みゆき☆