新春ジャズ講座に遂に待望の『Jazz Poet』が登場!寒い夜にも拘らず、沢山お集まり頂きありがとうございました。
- Raincheck
- Lament
- Willow Weep for Me
- Caravan
- That Tired Routine Called Love
- Glad to Be Unhappy
- St. Louis Blues
- Mean Streets
- *I’m Old Fashioned (add)
- *Voce A Buso(add)
ジャズ詩人”Jazz Poet”という言葉は、元々、雑誌”The New Yorker”でトミー・フラナガンの特集記事が出た時の見出しでした。”The New Yorker”は「知的で洗練されたNY」を具現する大人の雑誌。長年ジャズコラムを担当していたホイットニー・バリエットが名付け親。フラナガン夫妻は、コマーシャリズムの影響を受けない”The New Yorker”のバリエットの評論と、このニックネームをとても気に入っていて、自己プロデュースのこのアルバムのタイトルにしたんです。
日本では、フラナガンの代表作は今も『Overseas』ですが、米国では『Jazz Poet』の方がずっと評価が高い。メジャーのレコード会社製作でないのに、ビルボード誌「最優秀ジャズ・アルバム」やグラミーにノミネートされ、ダウンビートやジャズ・タイムズの人気投票で一位になった。’90年代の新しいジャズ・ファンに、フラナガンのバップの香りと、気品ある演奏スタイルが受け容れられたのだと、ジャーナリストのM.J. Andersenは述べています。
上のオリジナルLPのジャケット写真は、数あるトミー・フラナガンのポートレートの中でも最もトミーの個性が出ていて素敵ですよね。実はこのポートレートを撮影したのはジャズ写真家ではなく、リチャード・デイビス(!)というモード系フォトグラファー、落ち着いた錆色のプリントとパノニカの令嬢ベリットの特徴あるレタリング、すっきりしたジャケットデザインも、フラナガンの音楽スタイルにしっくり合っています。
リチャード・デイビスの撮影したファッション写真はRichard Avedonをガサツにした感じ。Poetのポートレートの方がよく見えるのは被写体のせいなのかな・・・
講座では、寺井尚之がトミー・フラナガンに頂いた原盤のLP、その後出たCD、フラナガンの意に反して発売されてしまった『Please, Requeat Again』というタイトルの日本盤のジャケット・デザインや曲順を比較しながら、タイムレス原盤LPには、フラナガンの配慮が隅々に行き届いていたことを実感できました!掲示板にむなぞうくんが書いていたけど、曲順は本当に大切ですね!
エリントン楽団やマット・デニスなど、収録曲のオリジナル・ヴァージョンと『Jazz Poet』を聴き比べ、フラナガンがどの部分を取り入れてアレンジしているのか、録音後『Jazz Poet』の収録曲が、バンドスタンドでどのように発展していったのかを見つめていた寺井尚之の解説を聞いていると、フラナガンのアートはピカソやダ・ビンチに負けないほど、日々進化していると判り、面白かった~
演奏は、どれもこれも肩の力が抜けていて、いとも容易に聴こえるけれど、実際は各メンバー(ジョージ・ムラーツ、ケニー・ワシントン)に卓抜した技量があり、レギュラーで活動しているからこそ出来るプレイであることが、講座で改めてよく判りました。
「灼熱の砂漠をエアコン完備の駱駝に乗って旅をしているように爽快なCaravan」という寺井尚之の名言に場内爆笑!
来月の講座は『Beyond the Bluebird』をたっぷり解説いたします。当時のフラナガンを公私に渡って知っている寺井尚之だからこその、面白くてためになる解説が聞けますよ。2月12日(土)は予定を空けておいてくださいね!
そして今週(土)は寺井尚之The Mainstemのライブです。『Jazz Poet』の名曲の数々を演奏予定!こちらも絶対聴き逃せません。こちらもぜひお待ちしています!
CU