デトロイト・ハードバップの名演目と季節に因んだ”旬” の名曲をお聴かせするメインステム、寺井尚之(p)、宮本在浩(b)菅一平(ds)の3人が集まって、稽古に没頭してるのが、サー・ローランド・ハナの名作”Mediterranean Seascape (地中海の情景)”です。
この作品は、”New York Jazz Quartet”時代のもの。このグループは、度々メンバーが入れ替わるのですが、ハナさん、フランク・ウエス(soprano sax)、ロン・カーター(b)、ベン・ライリー(ds)での来日コンサートで、素晴らしい演奏を聴くことができました。レコーディングは上のYoutubeで聴ける『Live in Tokyo』(CTI)と、もうひとつ、ハナさん自身がとても気に入っていたソロ・アルバム『Round Midnight』で演奏されています。今この曲をレパートリーにしている演奏家はいるのかな?
情熱のロマン派、ハナさんのオリジナル曲には、いつも物語があります。この「地中海の情景」はアフリカ、中近東、ヨーロッパに囲まれた地中海のハイブリッドな文化圏を音楽で俯瞰する趣き、アフリカのリズム、中近東のエキゾチックな旋律、クラシカルなハーモニー、曲の中に様々な民族の文化と歴史が走馬灯のように現れては消えていき、ジャズに通じる海路を思わせます。イントロはアルゴー船の櫂の音?それともローマ軍の足音か、ハナさんならではの壮大な歴史ロマンが聴こえてきます。
もう随分前になりますが、OverSeasでコンサートを終え、ディナーを楽しんだ後のハナさんのために、寺井尚之が鷲見和広さん(b)とデュオでこの曲を演奏し、大変喜んでもらったことがあります。あれからもう15年以上の歳月が経ちました・・・
ハナさんとトミー・フラナガンは兄弟みたいに仲良しで、弟分のハナさんは、寺井尚之を甥っ子みたいに可愛がってくれました。
そんなハナさんを偲ぶ「地中海の情景」、ぜひご一緒に聴いてみませんか?
「一般に、音楽は色々なカテゴリーに分割して捉えられている。しかし、私は違う。私にとって音楽とは食物と同じだ。これはリンゴだ、梨だと、いちいち区別をする必要はない。」-サー・ローランド・ハナ(1932-2002)
もしサー・ローランド・ハナ(p)をご存じない方は、このブログに色々と書いています。
Tamae さんこんにちは.
タナさんのご両親のお話しも読みましたが、とても重いですねぇ.
気楽にコメントなんて入れられないので、遡ってこちらにお邪魔します.
このジャケットとても懐かしいですねぇ、昔アナログ盤で持ってました.
内容もすっかり忘れていましたが、貼りつけてある音源聴いて昔の記憶がよみがえってきました.
再販されたか買おうかな.
これからも楽しみにしています.
la belle epoqueさま、こんばんは!
アキラさんのご両親の歴史、今回は枕、これからもっと素晴らしくなります。
このNYJQのアルバムも現在は廃盤らしいですね。生で演奏曲を聴いたので、忘れられないアルバムです。
これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。