「トミー・フラナガンの足跡を辿る」11/12 土曜日に!

 やっと肌寒くなりましたね。今日は故ウォルター・ノリスさんに頂いたスカーフを巻いて出勤しました。皆様はいかがお過ごしですか?
 日曜日は「映像で辿るピアノ・スタイル」に多数ご参加ありがとうございました!好評につき、近々再び動画鑑賞のイベントを開催しようと思っています。今週は土曜日の「足跡講座」の準備に追われ怒涛の一日。日暮にやっと何とか目鼻がつきました。
 今回は’94-’96年にかけてのフラナガン参加アルバム4枚を寺井尚之の解説と共にお楽しみいただきます。
 この時期のフラナガンは、「名伴奏者」ではなく、自己トリオで世界中を演奏地を満員にしていましたから、どのアルバムもサイドメンというより「スペシャルゲスト」として参加する形になっています。こんかいのラインナップはこんな感じになりました。
<Hi-Fly / The Riverside Reunion Band>
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 モンクやウエス、キャノンボールやエバンスなどの歴史的名盤で有名な”Riverside”レコードに因むヒット曲を、レーベルゆかりのオールスターバンドが、フィンランドの”ポリ・ジャズ”で繰り広げた演奏です。
2011_NEA_Jazz_Master_Orrin_Keepnews_is_presented_his_Award_by_fellow_Jazz_Master_Jimmy_Heath_Credit_Frank_Stewart_depth1.jpg トミー・フラナガンはRiversideの専属ピアニストではなかったものの、’58年の”Blues for Dracula”/Philly Joe Jones(ds)を皮切りに、”Incredible Jazz Guitar”/Wes Montgomery(g), “Smooth As the Wind”/Blue Mitchell(tp)、それに今回も共演しているジミー・ヒースの名盤、”Really Big” など6枚のレコーディングに参加しています。
 オリン・キープニュースの回顧録,”The View from Within”には、「当初800枚しか売れなかった」ビル・エヴァンス、スタジオに連れて行ってピアノの前に座ってもらうことだけでもほとんど不可能なセロニアス・モンクなど、プロデューサー時代の苦労話が沢山。なによりも「低予算と限られた時間で高内容のアルバム作り」が一番大変だったと書いてありました。
 ジミー・ヒースが、麻薬の罪で刑期を終えた直後にRiversideで録音したリーダー作、”Really Big”は、アダレイ兄弟やクラーク・テリー達が「ギャラは幾らでもよいから、とにかく俺が一緒に演る!」と志願者続出、キープニュースは「Riversideのファミリー的要素」と胸を張りますが、それよりもジミー・ヒースの人望の厚さと言えるかもしれません。ジミー・ヒースはトゥティと共に、東京のコットンクラブに今月出演予定ですから、お江戸の皆様はぜひ応援に行ってください!
<Sonny Rollins + 3>
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 これは、キープニューズとディック・カッツ(p)さんが創設したレーベル、Milestoneのアルバムです。フラナガンはゲスト扱いで5曲に参加しています。”Mona Lisa”などおなじみのスタンダード曲のモダンアートな演奏解釈にマルセル・デュシャンのモナリザを連想してしまいます。フラナガン絶妙のバッキングとともにお楽しみください!
 晩年のトミー・フラナガンはソニー・ロリンズとしばしばリユニオンをしていました。ジミー・ヒース曰く「ソニーには僕らの動向がすべてわかっているけど、ソニーが今どこにいるかは誰も知らない。」
 トミーが心臓発作で入院した時、真っ先にお見舞いに来て下さったのがロリンズさんでした!
<Music Is Forever/ Annie Ross>
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 トミー・フラナガンと同じ’30年生まれのロンドンっ子、アニー・ロスは驚異のヴォーカリーズ・グループ、”ランバート、ヘンドリクス&ロス(LH&R)”(’57-’62)で一世を風靡しました。独特の高音と早口でワーデル・グレイのソロをそのまま唄った”Twisted”は今でも大好きです・グループ退団後はロンドンでジャズクラブ「アニーの部屋」を経営、LH&Rで築いた人脈を生かし、ジョー・ウィリアムスやエロール・ガーナーなど一流アーティストを招へいし、アニー自身も出演していました。アニーは女優としても長年活躍し、ロバート・アルトマンの名作「ショートカッツ」では、老いたジャズ歌手の役を演じ、ティム・ロビンスやジュリアン・ムーアなど多くのスターに交じって異彩を放ちました。レイモンド・カーヴァーの複数の作品を基に、沢山の物語が一度に語られるという斬新な映画ですからカーヴァーのファンの方はぜひ!また映画の話に脱線してしまいましたが、このアルバムは、「ショートカッツ」でアニーが演じた、テスというジャズ歌手のイメージで製作された感があります。
 アニーとフラナガン夫人のダイアナが仲良しということで2曲ゲスト参加。沢山のミュージシャンの名前が出てくるタイトル曲”Music Is Forever”ですが、このアルバムのアニーに色濃く感じられるカーメン・マクレエの名前が登場しないのが不思議です。
<Stomp, Look & Listen / Chuck Redd>
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 これは寺井尚之の友人で、ヴァイブとドラムの名手、チャック・レッドの初リーダー作です。何度もJazz Club OverSeasに遊びに来ているからご存じのお客様も多いはずです。このアルバムが発売された時は今は亡き「ジャズの専門店ミムラ」さんにかなりの枚数を売っていただきました。
 チャックは現在コンコード・ジャズフェスティバルでツアー中の美女ベーシスト、ニッキ・パロットや、ケン・ペプロウスキ(as,cl)とワシントンDCを拠点にレギュラー活動しています。
 講座では彼のひととなりをよく知る寺井尚之が楽しい録音秘話を沢山話してくれる予定。素晴らしい演奏と共にぜひご期待ください!
 講座は11月12日(土)6:30pm開講です。
bonne_femme-2.JPG お勧めメニューは、摩周湖川湯天然温泉のジャック・フロスト氏が今年も送ってくださった、五つ星ポテト「きたあかり」をチキンと一緒にシンプルな蒸し焼きににして素材のおいしさをご堪能いただきます。大阪ではめったに味わえないおいしいジャガイモですよ!Jフロスト氏に感謝をこめて!
講座でCU!

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